元勇者提督   作:無し

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即時奪還

 

離島鎮守府

提督 倉持海斗

 

海斗「……」

 

目の前に空いた黒い大穴を見つめる

綾波のブラックホール…

 

アケボノ「提督、綾波からです」

 

執務室の電話を取る

 

綾波『ああどうも、倉持司令官、朝潮さんが深海棲艦に捕まってますよ…助けたければ、2人艦娘を連れてそのブラックホールの中へ…擬似的にアウラと融合したことのある朝潮さん、どうなっても知りませんよ?』

 

海斗「綾波…君は…」

 

綾波『そちらはそちら、私は私だ』

 

その言葉とともに電話を切られる

 

海斗「キタカミを呼ぼう」

 

何が待ち受けているかもわからない状況

それなら最高戦力でいくしかない…アケボノとキタカミの2人で行く

そして、待ち構えている者を倒すしかない

 

アケボノ「…提督が行く必要はありません」

 

海斗「君たちを連れて、ということは僕も行かなきゃいけないんだ、大丈夫、足手纏いにはならないようにするから」

 

アケボノ「…なら、アヤナミを、キタカミさんではなくアヤナミにしましょう、その場の状況判断ならアヤナミの方が長けています」

 

海斗「いや…アヤナミは確かに素の力も強いし何より頭がキレる、でも相手は同じ綾波、読み合いになれば…どうなるかわからない」

 

…なにより、もし綾波が目的のために非情になったというのなら、勝ち目はない…アヤナミにはそれができないと思う

 

アケボノ「…仕方ありませんね」

 

 

 

キタカミ「それで、私かぁ……武器持っていっていいんかね」

 

アケボノ「さあ、とにかく、行きましょう」

 

 

 

 

 

 

ハワイ

 

転移したのはビーチ側の街…

 

キタカミ「…ここどこ」

 

アケボノ「看板などは英語…アメリカ?いや、この気候は……かなり暖かいし、ハワイか?…いや、オーストラリア…」

 

海斗「ここ、ワイキキのビーチだよ、写真で見たことがある…」

 

キタカミ「じゃあ、ハワイか…でも、おかしくない?アイオワやワシントンはハワイは大丈夫だって…」

 

海斗「…アメリカのみんながハワイを離れた後、侵略された…」

 

アケボノ「侵略にしては、建物が綺麗に残り過ぎている…」

 

しかし、気になるのは

 

海斗「人1人居ない…」

 

 

 

 

 

 

 

太平洋棲姫基地

綾波

 

太平洋棲姫「何?モウ来タダト!?マダ一時間ダゾ!?」

 

ヲ級「キュ、急ニ現レタト報告ガ…!ドウシマスカ!?」

 

太平洋棲姫「…拷問ハ後ダ!手配通リニ動ケ!」

 

綾波(うーん、急に状況が動いた時の対処が下手…か)

 

神通「これ、何故私たちに誰も気づいてないんですか」

 

綾波「瑞鶴さんの能力です、私たちの姿を蜃気楼で隠してる、なんとも良い力だ、味方にしてよかった」

 

夕立「…見てるだけで良いのかしら?」

 

綾波「ええ、私達と手を組むなら、これくらいの事態は自分たちで解決してもらわないと」

 

 

 

 

 

ビーチ

提督 倉持海斗

 

海斗「…深海棲艦」

 

海からゆったりと深海棲艦が浮上してくる

 

アケボノ「来たか…」

 

キタカミ「綾波の匂いはしない…さて、撃つ?撃たない?」

 

海斗「まだ様子見だよ」

 

太平洋棲姫「人間ドモ!良ク来タ、歓迎シテヤロウ…」

 

宙に浮く鯨のような魚に乗った深海棲艦がそう言う

 

キタカミ「あれが親玉か…撃てるのは、撃てる」

 

キタカミ(殺し切れるかは置いておいて)

 

アケボノ「やめましょう、人質がある以上は」

 

太平洋棲姫「真ン中ノ男、来イ」

 

海斗「……」

 

一歩前に出る

 

太平洋棲姫「オ前ノ部下ヲ預カッテイル…会イタイカ?会イタイヨナァ?…ココカラ先ハオ前1人ダ…1人デツイテコイ」

 

アケボノ「何?」

 

キタカミ「私ら呼んだ意味よ…やるか」

 

太平洋棲姫「オ前達ハ後ダ、ガ……アマリ騒グト捕虜ノ命ハナイゾ?」

 

キタカミ(チッ…居場所がわかればどうにかなるかもしれないけど…)

 

太平洋棲姫「武器ヲ全テ捨テロ」

 

キタカミ「……」

 

キタカミが主砲を四つ、魚雷発射管二つを棄てる

 

アケボノ「私は武器を携行しない」

 

太平洋棲姫「嘘ヲツクナ、敵地ニ乗リ込ムノニ武器ヲ持タヌワケガナイ…オイ、調ベロ」

 

ル級「ハ…」

 

ル級がアケボノに近寄り、ボディチェックを行う

 

キタカミ(私の杖はスルーか、知られてない感じかな)

 

アケボノ「何か、出てきましたか?」

 

ル級「……コノ瓶ハナンダ」

 

アケボノ「ああ…持病持ちなもので…それと、武器というなら…」

 

ル級「エ?」

 

太平洋棲姫「…ホウ…」

 

アケボノがル級の顔面を握りつぶす

 

アケボノ「…この、手を指すべきかと…さて、どうします、切り落としますか?」

 

アケボノが深海棲艦を笑いながら睨む

 

太平洋棲姫(体術タイプカ…マアイイ…モウ片方ハ射撃ニ強イト見エルシ、ソコソコ悪クナイ…)

 

太平洋棲姫「オイ、案内シロ」

 

海が割れ、トンネルが口を開く

 

海斗(海の中…逃げ場は、ない…か)

 

 

 

 

 

太平洋棲姫基地

 

海斗「…これは」

 

海中基地なのに、太陽の光の届く場所…そして、その光の中心に目隠しと猿轡をされ、縛られた朝潮…

 

キタカミ「悪趣味なコトすんねぇ…」

 

キタカミが周りの深海棲艦を見ていう

 

海斗(…深海棲艦が持ってるのは、拳銃?しかも三挺…まさか)

 

太平洋棲姫「オイ、渡セ」

 

拳銃がそれぞれに配られる

 

キタカミが足元に向けて引き金を引く

 

キタカミ「…カラじゃん」

 

弾倉に弾は入っていない、らしい

 

太平洋棲姫「今カラ配ル…オイ、立タセロ!」

 

深海棲艦に無理やり朝潮が立ち上がらせられる

そして、頭に…リンゴ

 

太平洋棲姫「ロビンフッドハ好キカ?私ハ好キダ、オ前達ニハリンゴヲ撃ッテモラウ…順番ニナ」

 

キタカミ「あ、そ」

 

キタカミ(距離38.2メートル…風はなし、拳銃も…銃身に癖があるな、この距離なら7ミリ右下を狙って…)

 

アケボノ(…外しはしない、問題はない)

 

太平洋棲姫「1人、3つノリンゴヲ撃ッテモラウ、全テ撃テタナラ解放シテヤロウ」

 

海斗「…わかった…朝潮!少しだけ我慢してて」

 

朝潮が小さく頷く

 

キタカミ「はやく、弾ちょうだいよ、撃てないでしょうが」

 

太平洋棲姫(コイツ、狂人カ?)

 

太平洋棲姫「渡セ」

 

1人1発ずつ弾が配られる

 

キタカミ「!」

 

アケボノ「この弾…」

 

海斗「…マガジンがないけど…」

 

太平洋棲姫「直接薬室ニ入レロ」

 

アケボノ「それより、1人1発ですか」

 

太平洋棲姫「外シタ時ニモウ一発ヤル」

 

キタカミ「おーおー、臆病だねぇ」

 

全員が薬室に弾を込める

 

海斗「……外しても殺されるわけじゃないんだね」

 

太平洋棲姫「ハードモードガオ好ミカ?…ナラ、両脇ノ艦娘、コメカミニ向ケロ」

 

アケボノ「なんだと?」

 

キタカミ「抑えなアケボノ」

 

海斗「…言う通りにしよう」

 

アケボノとキタカミの銃口が僕に向く

 

キタカミ(…弾持ちは3人、位置は…)

 

アケボノ(…キタカミさんの動きを見極めろ…完全に、模倣する)

 

海斗(2人を信じるしかない)

 

太平洋棲姫「サア、撃テ、人間」

 

朝潮から大きく外したところに狙いをつける

 

海斗「…撃つよ」

 

引き金に指をかけ、力を込める

 

引き金を引くと同時に屈む

 

キタカミ「バーン」

 

キタカミとアケボノが少し銃口を逸らし、近くに居た弾持ち2人を撃ち殺す

 

太平洋棲姫「ナ…何故拳銃ナンカニ…!」

 

アケボノ「やはり対深海棲艦用弾…何故ここに」

 

キタカミ「アケボノ!やるよ!」

 

アケボノ「ええ!」

 

キタカミとアケボノが廃莢と同時に薬室に弾を押し込みながら一体ずつ深海棲艦を撃ち殺す

 

海斗「朝潮!」

 

朝潮の方へと走る

 

キタカミ「援護は任せといて!」

 

アケボノ「…銃弾は全て差し上げましょう」

 

レ級「私は素手で十分です」

 

太平洋棲姫「何!?レ級ダト!」

 

レ級「果たしてただのレ級でしょうか」

 

背後から激しい戦闘音が聞こえてくる

それを無視して朝潮に駆け寄り、拘束を解く

 

朝潮「けほっ…司令官…!」

 

海斗「キタカミ!アケボノ!逃げるよ!」

 

レ級「ええ」

 

キタカミ「さあて、どう逃げたもんかな!」

 

集合し、撤退を開始する

 

太平洋棲姫「逃ガスナ!殺セ!」

 

 

 

 

 

綾波

 

綾波「なかなか面白い見世物でしたねぇ」

 

夕立「…あのアケボノ…本当に強い…」

 

神通「一番恐ろしいのはキタカミさんですよ…杖も指輪も隠す判断…流石でした…それに比べて私は…」

 

綾波「無駄話は良いから、行きますよ」

 

神通「私達も狩りに?」

 

綾波「いいえ、あの4人は離島に戻します、ここで死なれたら計画が狂う…私たちは私たちの目的のためにこの騒ぎを利用したに過ぎない」

 

ブラックホールを操作し、天井に大穴を開ける

 

太平洋棲姫「ナニ!?天井ガ…!」

 

一部の深海棲艦が水圧に潰され、グチャグチャになる

そしてここは深海、建物も一箇所崩れれば…水圧で全て壊れる

 

綾波「行きますよ?ここにいたら死んでしまうかもしれない…私以外は」

 

どうせ私はこれでも死ねない

 

 

 

 

 

 

 

離島鎮守府

教導担当 キタカミ

 

キタカミ「…は…?な、なにこれ、なんでここに…」

 

アケボノ「…離島鎮守府…?」

 

海斗「帰ってきた…みたいだね」

 

アケボノ「…そうか、やられた…!綾波は私たちを利用して…!」

 

キタカミ「そんなもんずっとそうでしょうが、綾波は私らを使って目を引いてるうちに…何か自分がやりたいことをやってる…つまり、あそこに居たわけだ」

 

走って逃げてる途中で急に転移させられたあたり、すぐそばにいたのは間違いない

 

朝潮「…あの、司令官…」

 

海斗「うん、無事に戻れたみたいでよかった…朝潮、怪我は…特にははない?」

 

朝潮「はい…しかし、何かをされたようで…」

 

キタカミ「…何されたの、わかる限り言ってみ」

 

朝潮「…注射器で血を抜かれました、それと、ゴーグルのような機械をつけられ、変な映像を見せられてて、その時、なんだか…力が抜ける感覚がして…」

 

海斗「…何をされたかはわからないけど…良くないことなのは間違いないね」

 

キタカミ(…綾波、これになんの意味があるって言うのか…いや、説明すら必要ない、次見たら…いや…早まるのはやめたほうがいいか)

 

アケボノ「提督、先程は銃口を向けてしまい申し訳ございませんでした…!」

 

海斗「いや、いいよ、でも、すぐに理解してくれてよかった」

 

キタカミ「そっちこそ、ちゃんと私達のこと信頼してくれて良かったよ、おかげで多少の痛手は負わせられたんじゃない?」

 

海斗「だといいけど…とにかく、すぐに立て直して備えよう、横須賀のようなことがいつ起きるかわからない」

 

キタカミ「そうだね」

 

キタカミ(…頭を潰すつもりなら、問答無用で殺しにかかるべきだった…多分あの基地、それなりに広かったし、数百の深海棲艦がいたと見て良い…なら、引き込んで殺そうとすれば…こっちは痛手を免れなかった)

 

綾波の策略にしては、やはりお粗末

私たちはただの餌だった…

 

なんにしても腹が立つ

 

キタカミ「これで無傷じゃなかったら、今すぐ見つけ出しに行ってたのに」

 

…無傷で帰れて良かったと言う他ない

敵が杜撰だったことを喜ぶ他ない

 

…敵の基地まで、腹の中まで行って、消化されなかった幸運を噛み締める他ない…

 

綾波の方に攻めた時は、ほとんど全員死んだんだ…これには綾波は殆ど絡んでない…

 

キタカミ(でも、なんもなしとはいかないからね)

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