元勇者提督 作:無し
太平洋棲姫基地
綾波
綾波「ふーん…面白いものが多いですねえ」
神通「何が面白いんですか」
綾波「この装置のログですよ」
目の前の膨大な数のモニター、それに移されてる文字
[…個体 A-1と認定 特殊行動を確認 記録▽]
[タクティカルリロードと判定 動作テスト 良好▽]
綾波「さっきの戦闘でアケボノさんとキタカミさんが見せた、拳銃を撃った時の廃莢の時、薬室に直接弾を押し込む動作、あれは所謂エマージェンシーリロードというのですが、それを機械に記録してるんです」
神通「なんのために」
綾波「仮面の敵…イミテーションとでも呼びますか?あれらは私たちの動きを真似た存在です、神通さんも青葉さんの動きを真似た敵にやられたでしょう?」
神通「…ええ」
綾波「アケボノさんは艤装のシステムからも、ナノマシンからも外れた、深海棲艦の力を利用した艦娘、そうですね…ダイバーとでも呼びましょうか、あの力は何者の力でもなく、彼女達自身の力です…内側から記録をつける手段はない」
神通「…内側から」
夕立「まさか、さっき戦ってたのって」
綾波「おお、意外に切れますね?そうです、あの部屋は動体感知センサ、それから細かな動きまで把握するようなセンサーがたくさんありました、もちろん私たちの動きもバレてます」
夕立「じゃあ、なんで無事なの?」
綾波「モニタールームとか、記録してるのはここなんですよね、どうやら……それで、これが私たちのデータなので、これを削除すればよしと」
神通「目的は果たせましたか?」
綾波「ええ、面白いものも見れて満足です…さて、帰るか遊ぶか、選んでいいですよ」
夕立「…慣れないことしてお腹痛いから帰りたいっぽい」
綾波(夕立さんは緊張に弱いタイプか)
綾波「ではすぐに」
ブラックホールに呑まれる
離島鎮守府 執務室
提督 倉持海斗
朝潮「…はい、殆ど誰にも気づかれていませんでした」
海斗「そっか…それは良かった、のかな…?」
アケボノ「恐ろしいのは綾波の手際の良さです、朝潮さんの位置を確認せずに正確に連れ去った…誰でも良かったのかもしれませんが…」
海斗「いや、それはない」
朝潮は一時的にアウラと融合状態にあった
そんな朝潮を選んだ理由はなんだ?
海斗(…綾波の事を簡単に悪く言うつもりはない、綾波は誰よりも考えてる、はずだ…それは、良くも悪くも…綾波がまた世界を滅ぼすつもりなら、僕たちは全力で止めるしかない)
綾波の真意はわからない、だけど…
綾波とは何度も戦った
そして、綾波は信じて欲しいとまで言った
これが綾波にとっての理想の過程で、それが僕にとっては納得のいかない事で、ぶつかっているとしたら…
海斗(綾波とは話し合いたい、だけど連絡が取れない…か)
この状況を解決する手段は今はない…
海斗「…ところで、アケボノ、そんなに隅っこに居なくてもいいんだよ?」
アケボノ「いえ、この距離でお願いします」
…アケボノは銃口を向けた事をよほど気にしているのか、帰ってから半径2メートル以内には近づかないと言って距離を取り続けている
なんと言うか、極端な性格が災いしているようだ
朝潮「面倒な人ですね…せっかく司令官にお許しを頂いて、膝の上にまで座らせてもらっていたのに、また振り出しですか」
アケボノ「よく舌がまわりますね」
朝潮「…司令官、私が座っても?」
海斗「え…あー…別に良いのはいいんだけど…」
もう業務時間差すぎている
つまり今からはThe・Worldをプレイするのだが…
海斗(アケボノが落ちそうになった時とか、ゲームに意識を向けられないしヒヤヒヤしたから…ゲーム中はちょっと怖いなぁ…)
海斗「寝ないでね?」
朝潮「大丈夫です」
食堂
秘書艦 アケボノ
アケボノ「……」
キタカミ「……」
真向かいに座られ、じっと見つめられる
アケボノ「なんですか、気色悪い」
キタカミ「いやー?…嫉妬してんなぁって」
アケボノ「誰が」
キタカミ「アケボノ以外にいる?」
アケボノ「誰に」
キタカミ「朝潮以外に思い当たらないなぁ…」
アケボノ「なぜ」
キタカミ「そりゃあ、特等席取られたからでしょ」
そう言ってキタカミさんはクツクツと笑う
キタカミ「自分から離れて他の奴に近づかれたら嫉妬…めんどくさー」
アケボノ「私はこれからの方針を考えてるので、邪魔しないでもらっていいですか」
キタカミ「なんの方針さ」
アケボノ「それはもちろん、艦隊の…」
キタカミ「嘘吐き、そんなわけないでしょーが、それはアケボノの仕事じゃ無いんだから、「提督の仕事を取るのは不味い、今はとにかく邪魔になりたく無い」顔にそう書いてあるのにねえ」
…心を見透かされているようだ
キタカミ「つまり、今考えてるのは…実に簡単、どうやって提督の側に戻るか…だ、ついでに答えを言っておくとそのままでいいよ、普通に戻りな、そしたら解決だから」
アケボノ「……」
キタカミ「あ、納得して無いねえ、でも考えてみなよ、銃口向けたのは提督の命令な訳じゃん?」
アケボノ「……まあ」
そう、それは…たしかに
キタカミ「だから真っ当に、忠実に命令をこなしてるアケボノは評価されて然るべき、なのになんで自分からその機会遠ざけてんのかな」
アケボノ「……」
そうなんだ、だけど…
キタカミ「さらに、あんたの感情で勝手に離れて近づいてを繰り返してると……正直クッソ迷惑だよ?」
アケボノ「うぐ…」
トドメの一撃
私をノックアウトするには十分すぎる言葉の数々
アケボノ「……そうでしょうね」
キタカミ「はーい、あとで一言言っていつも通り接する、オーケー?」
アケボノ「…はい」
こう言うところがあるからキタカミさんは小さい子たちに好かれているのだろうな
面倒見の良い姉のような…
アケボノ(…そうだ)
アケボノ「折角ですし、試しにキタカミさんも座ってみては?」
キタカミ「…は?」
アケボノ「結構快適というか…暖かくて安心しますよ」
キタカミ「提督の膝のこと言ってんの?え?頭おかしい?壊れた?私そんな歳じゃ無いけど」
…キタカミさんが動揺している、珍しい
アケボノ「何を言います、まだうら若い乙女ではありませんか、お互いにね」
キタカミ「……いや…というか、重いでしょ」
アケボノ「キタカミさんはたしか平均より軽…」
口を塞がれる
キタカミ「こんなとこで体重言おうとすんな…」
アケボノ「数値までは言いませんよ」
キタカミ「推測できる情報出すな…!阿武隈と不知火ですら知らないのに」
アケボノ「…そんなに気にしてたんですね」
キタカミ「るっさい、あー…もうやだ」
アケボノ「…キタカミさん、ところでハワイの事なんですけど」
キタカミ「伏せな、多分…聞かれたら無理矢理にでも奪還に行くだろうし……そしたら無駄死にだよ、そんなのダメ」
アケボノ「どうやら、愛着が湧きましたか」
キタカミ「その言い方は好きじゃ無いけど、手のかかるやつほど可愛いもんさね、特にアトランタは打ち解けてからは…まあ、ちょっとしか手を焼くようなことないし」
アケボノ「へえ…意外ですね」
キタカミ「まあ、根はいい子なんだよ」
アケボノ「…ま、私は盗聴器とか仕掛けられなくなって良かったとだけ」
キタカミ「そーね…ん?イムヤ?」
イムヤ「あ、いた、アケボノ」
アケボノ「私に用事ですか」
イムヤ「うん、工廠で新艤装についてのテスト、私たちダイバーのお仕事だって」
アケボノ「潜水艦用艤装か…」
キタカミ「え、ダイバーってダイビングの?」
イムヤ「そうです、だって潜るから」
キタカミ「へー…カッコいいじゃん、それでどんな艤装なの?」
アケボノ「それが…アメリカから輸入したナノマシンタイプらしくて」
キタカミ「…それ、もともと日本がアメリカに輸出したもんじゃなかった?」
イムヤ「よく知ってますね、それの改良版らしいです」
キタカミ「…きな臭い」
アケボノ「キタカミさんの鼻は効く、それ、全て解析にかけるように連絡を」
イムヤ「ええ…?わかりました」
キタカミ「よろしくね」
工廠
キタカミ「結果出たって?」
アケボノ「どうでしたか」
明石「至って普通、ナノマシンがアメリカ製なのは置いておいて普通のものですよ」
キタカミ「それおいといていい話なの?」
明石「さすがキタカミさん、実は大問題で、このナノマシン不安定なんですよね、どうやら無理矢理作られていろんな機能を持たされたらしく、まともな代物とはいえません」
キタカミ「じゃあ?」
アケボノ「全廃棄」
明石「…は、流石に怒られるので…」
アケボノ「責任は明日私が持ちます」
明石「今待ってください!」
キタカミ「なんにせよ、こっちも解析かけなきゃだね」