元勇者提督   作:無し

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第528話

The・World R:1

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

トキオ

 

トキオ「…司と昴の調子が戻ったみたいだ、それに合わせて…司をリアルに返すための作戦会議があるらしいけど…」

 

ベア「来たか、トキオ」

 

トキオ「あ、ベア!みんなはどこにいるの?」

 

ベア「ネットスラムに集まっている」

 

トキオ「…ネットスラム?なに、それ」

 

ベア「ハッカーやチートPCの溜まり場、The・Worldのまともではない部分だ」

 

トキオ「なんでそんなところに?」

 

ベア「そこには、ヘルバがいる、今回の話はヘルバが手を貸してくれなくては実行できないからな」

 

トキオ「伝説のスーパーハッカー…ヘルバ、か」

 

ベア「ゲートから、Ωサーバー、遺跡都市、リア・ファイルだ」

 

 

 

 

Ωサーバー 遺跡都市 リア・ファイル

 

壊れたビルが立ち並ぶ

廃都市の様なタウン…

全体的に暗く、空も夜の様に…

 

トキオ「あ、みんな!」

 

クリムに昴、ミミルやBTもいる…

 

トキオ「でも、司がいない…」

 

ベア「司は、今ここに向かっているらしい…だが」

 

ベアが上を見上げる

 

トキオ「うわっ!?」

 

大量の、壊れた司のPCボディ…?

 

トキオ「これは…!?」

 

ベア「…おそらく、司のデータの残滓だ…そのデータを取り続けていた誰かがいる」

 

青葉「それがモルガナでしょう」

 

背後から声…

 

トキオ「うわっ!シックザール!!」

 

青葉「…ことを構える気はありません、私は今、ここに協力者として来ています」

 

トキオ「……シックザールが、協力者?」

 

青葉「私の名前は青葉です!前にも名乗ったはずですよ…!」

 

青葉(団長にも連絡して、和解の方向で話を聞いてもらうために協力する事にしたけど…うまくいくのかなあ…)

 

ベア「モルガナか」

 

青葉「The・Worldに潜む偏在する意思…ですよね!ヘルバさん!?」

 

青葉が天を仰ぎながら言う

 

ヘルバ「そうなる」

 

ヘルバと呼ばれたPCがゆっくり降ってくる

全身白のドレスと帽子、そして杖…顔は目元をバイザーで隠した…かなり特徴的なエディット…

 

トキオ「この人が、ヘルバ…!」

 

ヘルバ「ようこそ、ネットスラムへ」

 

ベア「……リア・ファイルそのまま、アンタのエリアになってるとはな」

 

ヘルバ「少し違うな、このネットスラムはデバッグされなかったバグやデータの屑の集まりでタウンの形を成している…Ωサーバー、リア・ファイル…と言うよりは、これはネットスラム以外に言い表し用のないものだ」

 

ベア「まさか、CC社が用意したタウンじゃないって言うのか…!」

 

青葉「そうですね、それよりも…早く本題に移りましょう」

 

ヘルバ「……この司の壊れたデータは…半年ほど前から私のプログラムが拾う様になったものだ」

 

BT「そのプログラムとは」

 

ヘルバ「The・World内のイリーガルなものを集めるプログラム」

 

ミミル「待って、半年って…」

 

トキオ「司はそんなに前からこのゲームに…」

 

青葉「いいえ、その時期の司さんは取り込まれていない…つまり、元々データを取られていた、ターゲットにされていた」

 

ヘルバ「そう、司は狙われていた…理由は、本人にしかわからないだろうけど」

 

トキオ「…それで」

 

ベア「俺たちの獲得目標を確認したい」

 

ヘルバ「アウラの覚醒…というところかしら?」

 

トキオ「…司の帰還じゃなくて?」

 

青葉「…アウラと司さんがリンクしているのは知ってる様ですが…おそらく、司さんが帰るためにアウラを目覚めさせる必要がある、と考えていたりしませんか?」

 

ベア「違うのか」

 

青葉「逆です、アウラの正常な覚醒を持ってして…司さんがリアルに帰れる様になる」

 

ベア「その根拠は」

 

青葉「司さんを閉じ込めたモルガナは…今、The・Worldの全権力を持っている…それが、アウラに移った時、アウラは司さんを束縛する理由がない」

 

BT「なるほどな」

 

クリム「だが、どうする」

 

青葉「……ここからは、私は司さん次第だと思います」

 

ヘルバ「私もそう思う、それにしても…青葉だったか、随分と事情に通じているものだ」

 

青葉「それほどでも…」

 

青葉(…この時代のヘルバさん、口調がキツいなぁ…)

 

クリム「…どうする」

 

ベア「それよりも、主役の登場だ」

 

司が中心に転送されてくる

 

司「っ…!なに、ここ…!」

 

クリム「怖がるな、安心しろ」

 

トキオ「む、無茶な…」

 

空中に自分のお化けがたくさん浮いてる様な状態でどうなって安心しろと…

 

昴「司、向こうに行きましょう」

 

昴が司を連れてその場を離れる

 

トキオ「…良いの?大事な話なのに」

 

ベア「今はいい、しかし、来てしまったか」

 

BT「なんだ、ベア、呼んだのはお前だろう」

 

青葉「そうじゃありません、司さんがここに来たのは、少し不味いんです…モルガナは、司さんを監視している…それが急に、司さんの位置を掴めなくなれば…」

 

トキオ「位置が掴めない?」

 

青葉「ネットスラムはThe・Worldでも異質な場所、此処を監視するには、この内側にいる必要があります…ここは、The・Worldの中にありながら、The・Worldの外部なんです」

 

ヘルバ「そうね、ここはThe・WorldであってThe・Worldではない…内部に外部を持ち込む様なものだもの…簡単には割り出せないはずだけど」

 

青葉「持って…2時間ですか?」

 

ヘルバ「敵を甘く見過ぎね、もう少ししたら始まるわ」

 

トキオ「…始まるって、何が」

 

ベア「司を、絶望させる戦いだ」

 

…司が負の感情に呑まれれば…アウラは歪んだ誕生を…

 

ベア「…そもそも、そのモルガナは、アウラを誕生させる気すら無いのかもしれんな」

 

ヘルバ「おそらく、歪んだアウラを取り込み、さらに大きな存在になろうとしてるはず」

 

ベア「そうなると、今の心の支えである昴が狙われることになる」

 

ヘルバ「そして、昴はここにいる…ここももはや安全ではなくなった」

 

ミミル「昴に落ちてもらうのは?」

 

ベア「司をここに引き留めているのは昴だ、昴が落ちれば司はここには居ない」

 

BT「…守るしかないか、二人を」

 

トキオ「…2人とも…」

 

青葉「……絶対にさせない」

 

クリム「そうだ、絶対に守りきる!」

 

トキオ「あれ…誰か、転送してきた…?」

 

転送音だけ鳴ったけど、どこに…

 

青葉「上!!」

 

クリム「アイツは…!」

 

言われた通りに上を見上げる

 

青葉「何故、貴方が此処に…楚良さん…!」

 

楚良「何故?んー…招待状は出てなかったけど、パーティの声が聞こえちゃった」

 

楚良の周りに司のガーディアンと同じモンスターが次々と現れる

 

青葉「…そういう事ですか…!」

 

楚良「そ、そういうことッ!」

 

楚良が建物から飛び降り、近くに降り立つ

 

クリム「此処は俺に任せろ!!」

 

楚良「ハッハー!いい加減にお前もウザいんだよ!」

 

クリムと楚良が斬り合ってるうちにその場を離れる

 

トキオ(青葉は…一人でガーディアンを相手にしてるのか!?)

 

青葉「振り返る暇があるなら早く!女神より早く司さんを!!」

 

そう言いながら飛び上がり、ガーディアン3体を一刀両断して見せる

 

トキオ(つ、強っ…!)

 

 

 

 

 

トキオ「司!昴!」

 

司「トキオ、どうしたの?」

 

ベア「ここが襲われている、逃げるぞ!」

 

 

 

Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域

         グリーマ・レーヴ大聖堂

 

聖堂の中に立て篭もり、祭壇の裏側に身を隠す

 

トキオ「侵入経路が一つしかない分、守りやすい様な気はするけど…」

 

ベア「…不味い!居るぞ!」

 

空中にネコのPCが現れる

 

トキオ「お前…!司の友達だったんじゃ…」

 

ネコPCの周りにガーディアンが現れ、ガーディアンは司と昴めがけて触手を伸ばす

 

ベア「はあぁッ!」

 

ミミル「りゃぁっ!!」

 

2人がガーディアンの触手を斬り落とす

 

BT「やるしかないのか…!」

 

ベア「俺とミミル、トキオで前を張る!BTはバフと回復だ!」

 

BT「わかった!」

 

トキオ「よし…行くぞ…!」

 

ガーディアンの攻撃を防ぎ続ける

 

昴「…でも、ここに居たのでは、埒があきません…」

 

司「…どこかに、また別の場所に逃げるの?」

 

ミミル「どこに!」

 

昴「……貴方の、司の意志のままに」

 

司「……」

 

司と昴が飛び出す

 

トキオ「司!昴!」

 

ガーディアンの触手が2人へと伸びる

 

トキオ(間に合え!!)

 

空を蹴った

 

そして、攻撃の間に割って入る

 

トキオ「ッ…うわあぁぁぁぁぁッ!!」

 

ミミル「トキオ!」

 

BT「ミミル!すぐに触手を斬り落とせ!!」

 

ミミルが触手を切り落とし、BTに回復される

なんとか意識は失ってない…

 

トキオ「う…」

 

でも、身体から何か変な光が…

 

マハ「…!」

 

マハの手に、光が集まる

エノコロ草の形になったとたん、その光は消えていく

 

司「トキオ!」

 

トキオ「司!早く行って…!」

 

昴「!ダメです!司!」

 

司の方にガーディアンの触手が伸びる

 

マハ「…」

 

司「…マハ…?」

 

触手が貫いたのは、マハだった

 

マハが、割って入り、攻撃を受けた…何故?

 

マハ「…!!」

 

トキオ「…攻撃を受けた、マハが…消滅した…」

 

司「どうして…!」

 

昴「…モンスターが…」

 

マハを攻撃したガーディアンが消滅していく

 

トキオ「…司を、守ったんだ…」

 

司「…マハ…」

 

この逃亡劇を、成功させるために…

最後に、味方になってくれた…

 

トキオ「絶対に、逃げ切るんだ…!」

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