元勇者提督   作:無し

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記録 勇者の始まり

The・World R:X

Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ アカシャ盤

重槍士 青葉

 

青葉「…はい、そうです、団長、私の見てる限り…はい」

 

周囲の状態を報告する

ビッグTと呼ばれる巨大兵器は崩れ落ち

私は二人の剣士を連れている

 

フリューゲル『とりあえず、だ…ポザオネを向かわせる、今度こそ一緒にトキオを追ってくれ、それと……その記憶の泉の先は2010年、そこにいるのはカイトだ、カイトの復活を阻止してくれ』

 

青葉「わかりました」

 

フリューゲル『そっちの2人は、まあ…任せるわ、オレ他にも仕事あるし…まあ、一回ログアウトしてもらったほうがいいんじゃねーかな』

 

青葉「はい、では、失礼します」

 

通信を切り、記憶の泉を見下ろす

 

青葉(今ならまだ間に合うかもしれない、急げば追いついて止められるかもしれない)

 

リコリスさんを抱き上げる

 

砂嵐三十郎「…行くのか……ふむ…おれは一度落ちよう」

 

砂嵐三十郎がログアウトし、オバケの銀漢だけが残される

 

青葉「銀漢さんを連れていくには……ううん…」

 

記憶の泉は通常のPCが通るとデータが破損し、抜けた頃にはクズになってて戻らない、そう聞かされている

 

銀漢「私はあくまでこの時代のものだ、2009年に貴様に救われ、そしてこの時代の私も救われた、それだけだ…よって、私がここから先の時代に進むのは間違いだ」

 

青葉「……もし、この時代で戦う時、手を貸してくれませんか?」

 

銀漢「よかろう、それが正義なのならな」

 

青葉「もちろんです…!」

 

銀漢さんを見送り、記憶の泉の前に立つ

 

青葉「…行きます!!」

 

 

 

  

 

 

トロンメル「ぐ……ぐう…本気で、やったのに…何故…!…あのガキ…!」

 

???「負け犬は退場のお時間だよ」

 

シャッという音共にトロンメルの身体に赤い筋が何本も浮き上がる

 

トロンメル「な………」

 

???「バイバイ…T様♪」

 

ブロック状になったトロンメルのデータが、チリとなり、消えていく

 

???「本気のトロンメルでも敵わなかった…勇者トキオ、期待できそうだね、フフフ」

 

 

 

 

 

 

 

The・World R:1

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

トキオ

 

記憶の泉を抜けた先はマク・アヌ…

の、空中

 

オレ達はそのまま重力に従い、落下した

 

トキオ「あがっ!?…ま、また、腰打った……」

 

石畳に腰をぶつけ、鈍痛に唸っている所に、もう一撃

 

電「きゃあっ!?」

 

同じ場所に放り出された電ちゃんが落ちてくる

そして、体勢がまだ戻っていないオレの上に

 

トキオ「っ〜〜!?…い、痛た…」

 

電「はわわ…ご、ごめんなさいなのです…」

 

彩花『あんたらねぇ…落ちるってわかってるんだから受け身くらい取りなさいよ』

 

トキオ「そ、そんな余裕ないよ…」

 

腰をさすりながら立ち上がる

 

トキオ「……あ、ここは、マク・アヌか…でも、司達の頃から全然変わってないなぁ……」

 

彩花『バージョンそのものは同じだから、時間としては1年経ってるらしいけど』

 

トキオ「へぇ……それより、連戦で少し疲れたし、一度グランホエールに戻らない?」

 

彩花『そうね、追手が来るでしょうし…一度身を隠す必要があるかも…いいわ、戻ってきなさい』

 

トキオ「やった!」

 

 

 

 

重槍士 青葉

 

青葉「うぁっ!?…い"っ!?……ったぁ〜…!こ、腰…The・Worldは私の腰に怨みでも…!?」

 

リコリスさんの分も重量が上がったせいで…致命的に痛い…

 

青葉「うう…もうやだ…」

 

槍を杖の様につきながらマク・アヌを徘徊する

 

青葉(ここに過去の司令官が)

 

…となると、直接リアルの司令官に話を聞いて、ネタバレをくらう方が物事はスムーズなはずなんだけど…

 

青葉(昔の司令官ってどんな人なんだろう…)

 

ここで私の中の好奇心が責務を大きく上回る

 

青葉「あれ、ゲートの前…」

 

オルカ「だからぁ…ここではオルカなの!ま、リアルではともかく、ここじゃちょっとしたもんなんだぜ!」

 

青葉(やっぱりオルカさんだ!)

 

バルムンクさんとオルカさん

アルビレオさんと共に見届けた、ザワン・シンを討伐した2人の剣士のうちの1人…

 

青葉(…あの隣にいるのって…)

 

オルカ「なんだよぉ…」

 

カイト「いや、いいかも(笑)」

 

青葉(…司令官?……いや、キャラの色が違いすぎる…司令官のキャラは赤い、なのにあのキャラは深緑のエディットだし…)

 

オルカ「よ〜し!Δサーバー、萌え立つ 過ぎ越しの 碧野に出発だ」

 

青葉(…ついていってみようかな…この時代のことわからないし、知り合いと接触できた方がいいよね…ああ、でもこっそりついていくなんてやめた方が…うう…偶然を装う?…考え方暗いかなぁ…)

 

青葉「あ!いっちゃった」

 

考えてる間に2人は行ってしまった…

 

こうしていてもアテもないのだ

ついていく以外の選択肢は、どのみちない

 

 

 

 

Δサーバー 萌え立つ 過ぎ越しの 碧野

 

青葉「…あ、居た」

 

…どうやら初心者に対する講習会の様な形で、プレイ方法を教えている様だった

 

青葉(…なんか、微笑ましいなぁ…)

 

2人に見つからない様について回り、ゆっくりとダンジョンに脚を踏み入れる

 

青葉「え?」

 

進めない

見えない壁…じゃない、リコリスさんだ…拒絶してる…

 

ダンジョンの奥へと進むことを、拒んでいる

 

青葉(確かにこの槍は力を失ったけど、この初心者用エリアのモンスターなら狩れるし、代わりの槍もある…モンスター相手の戦闘なら問題ないのに…)

 

前を歩く2人が止まる

 

悪寒が走る

 

青葉(この、嫌な感じ…何か…)

 

青葉「!」

 

目の前の通路を飛んで逃げる白いワンピースの少女、そして、黒い石人形がそれを追いかける

 

青葉(…今の、間違えようもない……スケィスだ…)

 

オルカ「このレベルにいたか…?あんなモンスター…!」

 

…いるわけがない

あれはイレギュラー中のイレギュラー…最強のバグモンスターの一角、八相の中の第一相

第一相死の恐怖スケィス

 

青葉(リコリスさんはいち早く感じ取っていたんだ、スケィスを…!……待って、さっき追われてた女の子…)

 

そうだ、よく思い出せば…あの女の子は…

 

青葉「ア、ウラ…?」

 

アウラはあの後、旅だったはず…

 

まさか、丸々一年以上追われて…!?

 

青葉(どうなって…この時代に何が…)

 

…2010年、確か第二次ネットワーククライシスの起きた頃だ

そして、その時みなとみらいが焼けて、他にも…

 

青葉(…どうなってるのか、わからないけど…その時代に居る以上、いや…待って、私の役目はトキオさんを捕まえることで…この時代の問題は司令官が解決する)

 

青葉「よし…とりあえず、私は…ん?」

 

ノイズが走る

当たりが揺らぐ

 

青葉「わわわわわわ!?」

 

 

 

 

 

青葉「こ、ここは…!?」

 

荒廃した大地

鈍いながらもエメラルドの様に輝く地面の紋様

 

そして暗く、沈んだ空

 

電子的な音が響き、そちらに視界を向ける

 

青葉「あれは…オルカさん達もここに…!」

 

こちらには気づいてない様だけど…

 

青葉「!」

 

2人の前に、アウラが現れる

やはりアウラだ、成長してる

あの幼い少女が、少し大人っぽくなって…背も伸びている…

 

オルカ「まさか…噂は本当だったのか…!」

 

青葉(噂?)

 

アウラ「これを」

 

アウラの前に、一才の本が現れる

それは明らかに巨大で分厚い

 

オルカ「え?」

 

アウラ「時間がないの…お願い…早く…!」

 

オルカ「これは?」

 

アウラ「強い力……使う人の気持ち一つで、救い、滅び、どちらにでもなる…」

 

青葉(…まさか、黄昏の書…)

 

オルカ「キミは…!」

 

アウラ「……来る!」

 

アウラが姿を消すと同時に、2人の背後にスケィスが現れる

 

オルカ「…!逃げろ!今のお前じゃ即死だ!」

 

オルカさんがスケィスに斬りかかる

何度も、何度も斬りかかる…

だけど、ダメージ表記ではなく、MISSの文字だけが画面を埋める

 

青葉(通用していない…!)

 

しかし、腐ってもトッププレイヤー、スケィスの攻撃を的確なガードで防いでいるおかげで致命打はまだない…

 

オルカ「なんだこの攻撃!それにこいつ……攻撃が効いていない!普通じゃない!!」

 

手が強く握られる

 

青葉(…!……リコリスさんの手、怯えて…)

 

オルカ「っぐ!?」

 

オルカさんが赤い十字架の杖に磔にされ、宙に持ち上げられる

 

そして、スケィスが手を向ける

 

青葉「データドレイン…!」

 

オルカ「ぐ…うう…!この…!ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

データドレインに貫かれたオルカさんが地面に落ちる

 

オルカ「こんなはずじゃ、なかったのに……ごめ、ん……逃げろ…!」

 

オルカさんのPCボディが砕け散る

 

スケィスが杖を振り上げ、もう1人へと迫る

 

カイト「…ぁ…!」

 

青葉(……リコリスさん、ごめんなさい!)

 

青葉「でりゃああぁぁぁぁッ!!」

 

ガキンッ

 

槍で杖を受け止めた…のに、HPが削れて…

 

青葉(一撃で7割…!この防具最高ランクなのに!)

 

オルカさんが守ろうとした人を、視認する

 

青葉「…司令官…!?」

 

まさか、そんなわけは…いや、でも、なんとなく、そう直感する

 

青葉「…早く、逃げて…!」

 

電子音、そしてこの感覚…背後に振り返る

スケィスがデータドレインを展開して…

 

青葉(…どうすれば…)

 

青葉「!」

 

スケィスがデータドレインをやめ、何かを見る

 

青葉「…何かの、杖…」

 

地面に突き刺さった杖…

そして激しいノイズ…

 

私のThe・Worldはそのまま落ちた

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