元勇者提督 作:無し
離島鎮守府
駆逐艦 アヤナミ
アヤナミ「…えっと…?」
狭霧「すみません、やはりご迷惑をかけるとは思っていたのですが…」
神鷹「…綾波さんなのに、違う…?」
ビスマルク「見れば見るほど、見分けがつかないわ」
アヤナミ「…あの…」
アークロイヤル「記憶も大体同じなのだろう…?一時的に指揮を取ってもらうのはどうだ」
神風「…止めなくていいんですか、これ」
青葉「あー、すみません、一度離れて…あ、髪引っ張らないで!!」
もみくちゃにされた…
アヤナミ「…あの…わ、私は綾ちゃんとは…いえ…身体を借りてるだけで、わ、私、人間ですらないのに…」
神鷹「
神風「これが、あの綾波…?信じれない…」
…怖い、この人たちは怖くない、でも、私に期待して欲しくない
私を信じて欲しくない
私を見て欲しくない
私と綾ちゃんを重ねないでほしい
綾ちゃんは、私より、ずっと立派で素敵だから
だから、私を見ないで
狭霧「アヤナミさんはアヤナミさん、別の人だと何度説明したらわかってくれるのか…」
ガングート「おお!綾波!…じゃない方のやつか!おーい!みんな!居たぞ!」
グラーフ「本当か!?」
ザラ「あら本当ですね」
リシュリュー「記憶も同じって本当なの!?」
アヤナミ「ひっ…」
狭霧「……」
狭霧さんが何も言わずにカートリッジを起動する
狭霧「ここはよそ様のおうちです、少しくらい…」
狭霧さんの回し蹴りが異様な音を鳴らしながら、空を切る
狭霧「静かにしなさい」
ガングート(改二…)
グラーフ「わ、わかった…」
狭霧「それと、あなたたち警護の仕事はどうしたんですか」
リシュリュー「そこまで気負わなくていいし、「基本は自由にしろ」って言われたから」
狭霧「……はぁ…」
アヤナミ「…ああ、あ、あの…わ、私はこれで…!」
その場をそそくさと逃げ出す
アヤナミ(怖い…)
農園
清霜「あ」
アヤナミ「ど、どうも…」
朝潮「どうも…目元が腫れてますけど…」
アヤナミ「ご、ごめんなさい…」
清霜「え、なんで謝るの…?」
アヤナミ「す、すぐに消えるので…!ちょっとだけ地盤の確認をさせてください…!」
今日の仕事は、地質調査とか、その辺のなんでもないことばかり…
に、見せかけた索敵や罠の補強、周辺の確認…
朝潮「い、いや…別にそんなに焦る必要はありません…どうぞゆっくりと…」
清霜「…焼き芋食べる?」
くぅ、とお腹が鳴る
そういえば、昨日から何も口にしていない
別に忙しいわけじゃない
私はどんどん不安感が増していく
最初の頃の綾ちゃんみたいに、私は何もかもが怖い
だから、苦しくて、辛くて
綾ちゃんはもっと苦しくて辛いのに
そう思うと、食欲が湧かなかった
…身体を借りてるのに、餓死なんて笑えないことはできない
アヤナミ「頂きます…」
清霜「はい、冷たい牛乳」
アヤナミ「あ、ありがとうございます…」
朝潮「…ふう…」
3人で丸太で作られた椅子に腰掛け、焼き芋を食べ、牛乳で流し込む
アヤナミ「はふ…」
清霜「えっ…皮ごと?洗ってあるけど…」
アヤナミ「せ、せっかくいただくなら、余す事なく頂かないと…失礼かなって……思ったんですけど…」
どんどん声が小さくなってる自覚がある…
朝潮「食物繊維やアントシアニンが含まれてて、身体に良いそうですね、山雲が教えてくれました」
清霜「へー、自分に教えてもらったんだ、山雲サン」
…そう、今の朝潮さんは"山雲さん"ということになっている
そして護衛は清霜さん
倉持司令官とキタカミさんが持ちかけた交渉により、成立した…
アヤナミ「…美味しいですね」
ここは、野菜を育てるのに向いた土地とはいえない
でも、ちゃんと毎日、欠かす事なく面倒を見続ける事でしっかり育った作物はとても美味しく感じられる
風情、と言うのだろうか
この土地、そして、遠くまでぼんやりと眺められる空と海
静かなこの島を楽しみながら食べるから、こう感じられるのだろうか
元々ただのAIDAの私には、有り余る幸せだ
清霜「…ふー…美味しかった」
アヤナミ「…はい、本当に…」
朝潮「な、なんで泣いてるんですか…」
アヤナミ「…なんででしょう…」
笑って見せるものの、涙がボロボロと零れ落ちる
アヤナミ(…やっぱり、綾ちゃんは泣き虫ですね…綾ちゃんが泣いてばかりだったから、私もすぐ泣いちゃいます…)
清霜「ふふっ…泣きながら笑ってるじゃん」
アヤナミ「そうですか…?ふふ…」
朝潮(やっぱり、満潮達の言う通り…普通の人、か)
執務室
重巡洋艦 青葉
青葉「そう言うわけで、これから司令官の時代に…」
海斗「そっか……うーん、なんだか恥ずかしい気もするね」
2010年のThe・Worldに入った事を伝えた、けど、あんまりいい反応はもらえなかった
やはり、司令官からしても過去を好き勝手に覗かれるのは当然好ましくないらしい
青葉「あ!そ、それと、砂嵐三十郎さんってわかりますか?」
海斗「わかるけど…」
青葉「現代のThe・Worldに!ログインしてるんですよ!!」
海斗「え…?本当に!?」
青葉「はい!話を聞いてみたら、どうやらアメリカにいたせいでネット回線が悪くてログインが間に合わず、そのおかげで助かったとか…!」
海斗「…そっか…!よかった…」
青葉「…司令官、私はあの時代において、正しい時の運航のため、何をすればいいのかを知るために…司令官にあの時代について教わりたいんです」
海斗「…あの時代、か…もう10年も前だから、ちょっとあやふやなことも多いんだよね…それに、何から話せばいいのか…」
青葉「そうですか…なら、助けが欲しくなったら話を聞きにきます、司令官のキャラを時間移動させるのはリスクも多いですし」
海斗「またレベル1はちょっとごめんかなぁ…僕もできる事を探してみるよ」
青葉「はい」
青葉(よし…それじゃあ、The・Worldにログインして…)
キタカミ「ああいた、青葉、ちょい良い?」
青葉「ひゃえっ!?」
キタカミ「…そんな驚かないでよ」
青葉「ご、ごめんなさい!なんでしょうか」
キタカミ「ゲームに詳しいんだっけ、ウイルスバグってゲームのモンスターと同じ症状だよね?」
青葉「ウイルスバグ…ですか」
キタカミ「殺す方法、データドレイン以外にある?提督に聞いたけど死ぬまで殴れば一応死ぬけど馬鹿みたいに硬いからさ」
海斗「まあ、ネットゲームだった頃はその手が使えたけど、今は…ね」
青葉「私も、司令官以上には何も知りません…」
キタカミ「そか、悪いね、じゃ」
無人島
綾波
綾波「…くぁ…あ…」
大きく欠伸をする
綾波「みなさん起きましょう、どうやら来たようですよ」
海を埋め尽くすほどの大群
2000の深海棲艦
…まあ、烏合の衆、役には立たないのだが
装甲空母鬼「コレデ離島鎮守府ヲ落トセ、トノコトデス」
綾波「舐めた事を」
…こんな烏合の衆では、意味が無いだろうに
本当にあそこを落としたいなら、万はいる
完全包囲の兵糧攻め
それが鉄板の戦術なのに
綾波「どうやら太平洋棲姫は随分私を勘違いしているらしい、何のこともない駆逐級や軽巡級ばかり、これでは補給線を断つ事すらできない」
装甲空母鬼「……」
綾波「そんなことは向こうも承知、使えないゴミを押しつけ、離島鎮守府の戦略を削れれば御の字…か、バカめ」
装甲空母鬼の首を鷲掴みにする
装甲空母鬼「ッ!?」
綾波「落としてやろう、落として見せましょうとも、いとも簡単にね…でも、この仕事の払いは高くつく、装甲空母鬼、太平洋棲姫に伝えなさい、試作機の、1番の大型を持ってこい、と」
装甲空母鬼「カッ…アッ……」
綾波「境界線を破るための実験場として、あそこを使います」
装甲空母鬼の首から手を離し、肩を撫で、顔を近づけ微笑む
綾波「しっかりと、仕事を果たしなさい」
装甲空母鬼「ハ、ハイ…!」
装甲空母鬼を送り出し、食事の支度をする
神通「良いんですか?」
綾波「ええ、夕立さん、そのコオロギとバッタの下処理をしたらこの石臼に入れて混ぜておいてください、神通さんは山芋を刻んで一緒に合わせてください」
神通「…おぇ…」
夕立「もう慣れちゃったっぽい」
綾波「あとはムカゴ、それから山菜各種、魚のワタ、これらをよく合わせ、海塩で味付けしたらそれをよく焼いて完成です」
神通「…兵糧丸ですか」
綾波「カロリーもタンパク質も食物繊維も、ミネラルなども含めて摂れるようにしてあります…が、いささか味気ないのが悩みですね」
夕立「爪先くらい小さくして固焼きにしたら美味しいっぽい」
綾波「さて、離島鎮守府を落としますが…みなさん、覚悟の程は?」
神通「強敵揃いです、簡単に勝てるとは思えませんが」
夕立「勝算あるのかしら?」
綾波「…風向きが悪い、そして私のやる気がないことが憂慮すべき事ですが…問題ありませんよ、明後日、日没と共に出立します、そして北側から奇襲をかける」
神通「北?」
夕立「北は本土に近いっぽい」
綾波「ええ、ですから…本土との補給船が通るルートも北にあります、普通に考えてそのルートに罠はほとんど配備できませんからね」
夕立「基本戦術は?」
綾波「ありません、あなた達は私に操られていると言う体を装いなさい、そうすれば殺されるはずありませんから、あの甘い人たちは誰も殺せない」
神通「では、誰を殺しましょうか」
綾波「殺すのはまだです、今殺しては我々の価値を理解させ、買わせる前に話が終わる…太平洋棲姫が十分な見返りを用意しないなら、仕事をする価値はありません」
夕立「ふーん…」
綾波「電撃戦、一瞬で終わりますよ、気をつけてくださいね?」