元勇者提督 作:無し
The・World R:1
Δサーバー 水の都 マク・アヌ
トキオ
…カイトを少し離れた位置から観察するようにして、もうどれくらい経ったんだろう
シックザールに邪魔されることもなく、オレはこの時代の情報収集ができた
彩花『そろそろ、接触してみない?』
トキオ「…ニセモノなのかもしれないって思うと、何だか…それに、ここが本当にカイトの時代だったとしたら…オレ、初対面だし…」
彩花『いくらこの時代のカイトと面識が無いからって緊張しすぎよ、さっさと話しかけなさい』
背筋に電流が走る
トキオ「んがっ!?…ったた…」
カイト「……大丈夫?」
カイトの前に、出てきてしまった…
トキオ「あー、うん、ありがとう、カイト」
カイトの動きが止まる
カイト「…僕の事を知ってるの?」
トキオ「あ、えっと……」
…きぃぃぃぃぃん、と体内から音が響く
カイト「…!これは……腕輪が共鳴してる…君を指し示して…?」
トキオ「な、なんだ…!?」
トキオ(カイトは腕輪なんてしてないよな…?)
カイト「…まさか…キミも、あの女の子に会ったの…!?」
トキオ「え…?」
彩花『話を合わせなさい!そうすれば一緒に行動しやすくなるわ!』
トキオ「あー…ええと……そう!オ、オレも…女の子?に…会ってさ…あ、えっと、オレはトキオ!よろしく!」
カイト「僕はカイト…って、キミはすでにボクを知ってるみたいだけど…」
トキオ「え?いや…あはは……」
トキオ(…怪しまれてる…?)
カイト「…キミは、女の子のこと、何か知ってるの?」
トキオ「えっ」
彩花『…余計な事を言うのはやめておきなさい、あんまり知らないって言って…誤魔化すしか…』
カイトが指してる女の子が分からない以上、そうなるか
トキオ「オレ、女の子のことはあんまり…」
カイト「そっか…ねえ、トキオ、よかったら僕と来てくれないかな、調べたいエリアがあるんだ」
トキオ「え、あ、うん!分かった!一緒に行くよ!」
Δサーバー 萌え立つ 過ぎ越しの 碧野
エリアを探索…してはいるけど、変わった所は見えないな
それに、カイト…敵との戦闘を見てると、あんまりダメージも出てないし、そこまで強いようには見えない…
…かなり昔に来たのかもしれない
カイトが、まだ強くなる前の時代に
カイト「……エリア自体に変な所はなさそうだけど」
トキオ「うん…ここはどういうエリアなの?」
カイト「…ここは、僕が初めて冒険して、そしてあの女の子にあったエリアだよ」
トキオ「女の子に…」
カイト「……ここで、僕は…女の子と、あのモンスターに会って……」
トキオ「カイト?」
カイト「…僕の友達が、このエリアで…あるモンスターに出会って、襲われて、意識不明になったんだ…」
トキオ「…!」
カイト「…だから、僕は友達を助ける手段を探してる……それと、もう1人…」
トキオ「もう1人?」
カイト「うん…モンスターの攻撃から僕を助けてくれた人がいて…」
トキオ「助けてくれた?」
カイト「うん、その人とも、会えるかなって思ったんだけど……どうやら、居ないみたいだ…」
トキオ「…あれ?」
唸り声が背後から聞こえる
振り返ると髑髏を被った悪魔剣士のモンスター…!
トキオ「またモンスターか…!」
カイト「行くよ!トキオ!」
カイトは双剣士
手数重視の攻撃スタイル
オレと同じ、だから2人合わせれば手数で圧倒できる…!
カイト「疾風双刃!!」
トキオ「連牙・昇旋風!!」
2人で同時に連続で斬撃をたたき込む
トキオ「うわっ!こ、こいつなんか光りだした!」
カイト「…ウイルスバグ…」
トキオ「こんのぉっ!!」
…攻撃をしても、HPが減らない…
カイト「トキオ!ダメだ!ウイルスバグは普通の手段じゃ倒せないんだ!!」
トキオ「へ?ウイルス…?うわっ!?」
なんとか振り下ろされた剣をかわす
カイト「…僕に合わせて!!…行くよ…!!」
トキオ「えっ」
カイトに合わせる為、必死に攻撃を繰り返す
トキオ(カイト、なんだか焦ってるような…!)
カイト「やああぁぁぁっ!!」
モンスターが一瞬怯む
その瞬間、ノイズが走る
トキオ「うわっ!?」
カイトが飛び上がり、右腕をモンスターに差し向ける
謎の光に包まれる
トキオ(…なんだ、何が起きて……カイトの右腕が発光してるような……アレが、腕輪…?)
カイト「…データドレイン!!」
トキオ「…今のが、腕輪…?」
カイト「これが…あの子に託された、データを改変する腕輪の能力…どんなモンスターも倒せるように改変してしまう力……データドレイン……」
トキオ「データ…ドレイン……?」
カイト「だけど、こんなものもらっても……僕にはどう扱えば良いか、わからないんだ……!」
トキオ「カイト……」
…カイトは腕輪のことで、そんなにも悩んでいるのか…
バルムンク「また、貴様か…!」
どこかから声が…
トキオ「だ、誰だ!?」
カイト「……」
オレ達が来た道を辿って大きな翼を纏った銀騎士が歩いてくる
バルムンク「違法なチートPC達がいるという噂を聞いてきたが、やはり渦中にいるのは貴様という訳か…!」
カイト「…違う…僕は…」
バルムンク「何処が違う!その力はオルカを意識不明にしたものと同じだ!貴様ら違法なチートPCによってThe・Worldがどうなっているか…!」
トキオ「おい待てよ羽根男!カイトが違法なPCだって!?なんだよそれ!」
バルムンク「仕様にないスキルでモンスターを倒したな、何処が合法だ」
トキオ「うぐ…」
彩花(口喧嘩弱っ…)
カイト「…僕は、ウイルスバグを倒しただけだ」
バルムンク「…その様だな、だが、貴様らがウイルスを撒き散らしている犯人だという証拠、必ず掴んでやる…!」
そう言って銀騎士は転送されていった
トキオ「な、なんだよアイツ…!偉そうにして…」
カイト「…彼は、バルムンク…凄腕のプレイヤー…らしいよ」
トキオ(…いきなり悪者扱いされて、カイトも相当参ってるな…)
カイト「…ごめん、今日はもう落ちるね」
トキオ「あ…うん…わかった」
カイトが消える
彩花『何やってんのよ、アンタ…あんな羽根男にあっさりと言い負かされちゃって…時間データを正常なレベルまで復元しないとクロノコアは手に入らないんだから、アンタがカイトをフォローして時代を進めなきゃダメでしょうが!このバカトキオ!』
トキオ「うう…でも、あれは正論言われちゃったから……」
彩花『もう、しっかりやってよね?…あ』
聞きなれた様な電子音が微かに聞こえる
彩花『お風呂が沸いたから、私は落ちるわ、戻ってくるまでに三つ目のクロノコアよろしくね』
トキオ「…オレのこと、放置ゲーのキャラか何かと勘違いしてない…?」