元勇者提督 作:無し
ネットカフェ
重巡洋艦 青葉
青葉「ぅ……っ…?」
いつの間にか、借りていたM2Dも外れてブースの中でだらしなく寝ていたらしい
青葉「っ!?ね、寝てた…!い、いや、気絶してたのかな……でも…異様に疲れちゃった…」
あの白い世界で、綾波さんと対峙した瞬間
私はおかしくなりそうなほどのプレッシャーを浴び、精神が磨耗してしまった…そして、気絶…情けない
青葉「半日経ってる……あ、あれ?…ブラウザが開ける…」
…つまり、ネットワーククライシスが回復したんだ!
青葉「よ、よかったぁ……いや…でも」
安心するにはまだ早い、下手をすれば、未曾有の大災害が外で起きてるのかもしれない…
デッドリーフラッシュは、結局どうなったのか
確かめる為にも、一度戻って……
青葉「…あ」
キタカミ『はあ!?お金が足りないから迎えに来い?!』
青葉「ごめんなさいごめんなさい!気づいたら時間が過ぎちゃってて…!」
2時間分のお金しかないのに…
キタカミ『……冗談キッッツ…』
青葉「ほんとなんですよぉ…!」
キタカミ『…誰かに行かせるわ、待ってな』
青葉「え、キタカミさんじゃないんですか」
キタカミ『なんで私が、嫌に決まってるじゃん』
…キタカミさんならまだ気心が知れてる分、申し訳ありませんで済むのに…これで知らない人でも来た日には地獄だ…
青葉「あ、そうだ、摩耶さん……帰ってる!?」
いつの間にか隣のブースは空だった
青葉「起こして行ってくれたら…うう…仕方ないかあ…」
ため息をついてブースに戻る
コンコンとブースの扉を叩く音がして鍵を開ける
夕張「はーい」
青葉「うげっ…ゆ、夕張さん…」
夕張「…その反応は地味にショックだわ…」
青葉「だ、だってぇ…キタカミさんが離島のメンバーじゃなくて夕張さんに頼んだって事は…」
夕張「ん…うーん、まあ、確かにいるよ、アオバと衣笠…車で待機してる」
青葉「やっぱり……」
こうなるから嫌だったのに…
夕張「で?いくら?お姉さんが払っといてあげるから」
青葉「夕張さんは私のお姉さんじゃないですよ…」
夕張「でも、年上よ?」
青葉「……」
夕張「そんな蔑むような目で見ないでよ…」
衣笠「青葉!久しぶり!」
青葉「ああ、どうも…衣笠さん…」
衣笠「…やっぱ私嫌われてる?」
アオバ「ガサはテンションが高いから…」
衣笠「アオバよりは嫌われてませんーっ!」
アオバ「なんだとー!?」
青葉「……はぁ…」
夕張「…と、いうより…2人とも同じように扱われてる…気がするわね……そんな事より、青葉ちゃん、ネットが回復したのは、知ってる?」
青葉「ええ、まあ…」
衣笠「そうそう!それでいち早く会いに来たくて!」
青葉「…へ?」
アオバ「何ボケーっとしてるの?」
3人が不思議そうにこちらを見る
青葉「な、なんの話を…」
衣笠「ほら」
衣笠さんがタブレットを見せる
そこには
[The・World内でデッドリーフラッシュ発生!有名ブロガーの勇気ある行動!]
青葉「…ええええぇっ!?」
夕張「このThe・Worldに現れたブロガーって青葉ちゃんでしょ?」
青葉「…[少数の被害者を出したものの、早い段階で対応が広く認知されたおかげで被害は激減したもよう]……ほ、ほんとですか…?これ…!?」
夕張「え、ええ…そうだけど…?」
アオバ「いやー、優秀な妹を持って鼻が高いというかなんというか!」
…信じられない
あの即席の新聞だけでは絶対に足りないと思ったのに…
だからあの場に残り続けて戦わないといけないと思ったのに…
目が覚めた時、本当に後悔した
外に出る時、ものすごく怖かった
私があそこで意識を手放したせいで、街中大混乱になったと思ったのに…
青葉「……よ、よかった…」
衣笠「え!?な、なんで泣いてるの!」
夕張「よーしよし、ほら、落ち着いて…」
青葉「違うんです…あ、安心しちゃって…良かった、ほんとに…!」
アオバ「…良かったね」
青葉「うん…!」
…私のやったことは無駄じゃなかったんだ
それだけで、本当に…
ピリリリリッ
携帯が急に鳴り出す
青葉「…団長…?」
表示された名前は曽我部隆二
…フリューゲルさん…
青葉「ちょっとごめんなさい、電話に出てきます」
車を降り、電話を受ける
青葉「はい、もしもし」
曽我部「おっ…やぁっと繋がったか…いやー、青葉ちゃんお手柄だったねえ!オジサン驚いちゃったよ!」
青葉「…本題はなんですか?」
曽我部「…んー…ジーニアスが呼んでいる…ってトコかな、これからサイバーコネクトジャパン社の本社ビルに来られるかい?」
…CC社の本社ビル…
ジーニアスと言うと、シックザールに直接の指示を出す上司…だった筈
中々自信たっぷりな名前だけど…
青葉「少し時間をもらえますか、私、さっきまで意識を失ってて…返事はメールでします…」
曽我部「…なら今日は休んだほうが良い、無理に来る必要はない…ただ、詳細な報告書を作る必要がある、また電話させてもらっても良いかな?」
青葉「すみません、わかりました」
…確かに、今はまだ本調子じゃない、頭が少し、クラクラするし…
青葉「……っ…?」
いつの間にか電話は切れていた
どれだけ棒立ちしていたのだろう
…頭に、ずっと張り付いている
私は、ずっと…それだけを考えている
どうすれば良いのだろうか
私は、あの時綾波さんと対峙して、どうなったのか
横須賀鎮守府 医務室
青葉「…結局、電車も何も当日には乗れませんでした…」
夕張「そりゃあ、あの大混乱だし」
キタカミ「でも聞いたとこによると、被害は限りなく少ないらしいね、経済損失も僅かで」
…そう、今までのネットワーククライシスよりも、圧倒的に被害は抑えられた
だから私は気になるんだ
青葉「夕張さん、パソコンって借りられます?」
夕張「いいけどディスプレイデバイスもコントローラーもヘッドセットも何も無いわよ?」
キタカミ「流石にゲームしないでしょ」
青葉「いえ、The・Worldで確かめたい事が…」
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
重槍士 青葉
青葉「…他に人はいない、か……だけど」
念のため、結界を張る
これで私の行動は記録されず、視認されず
私1人のものになる
青葉「…綾波さんは、いくつかのヒントをくれた、一つは、私の感情」
あの瞬間、綾波さんを貫いた瞬間のヴォータンは、かつてのその攻撃力を取り戻していた
これは、ナノマシンタイプの艤装と同じ…感情が性能を左右するということ
青葉「そして、カイトから取り出した、このデータ」
青葉に戻る時、カイトから取得しておいた、データドレインで取得したデータ
egassem.cyl
リコリスさんの"eye.cyl"や"eciov.cyl"と同じように、これは逆さに読むことができる
lyc.message
メッセージ…
リコリスさん、もしくは、ネズミを仕組んだ誰かからの
リコリスさんにegassem.cylを渡す
リコリス「………」
リコリスさんはこちらを向き、口をパクパクと動かす
声はしない…だけど、ログが流れ始める
リコリス[こんにちは、このメッセージはあなたにしか表示されていません、リコリスさんの隣にいる…と言うことは、おそらく青葉さん]
青葉(綾波さんだ…)
リコリス[このメッセージは、CC社が私の予測を超えた行動を始めた為に作った、謂わば救難信号です、もう既にわかっているかとは思いますが、ネズミから発される光は、デッドリーフラッシュという光になります]
青葉「…デッドリーフラッシュ…」
リコリス[しかし、オリジナルとは少し違う……この光を浴びたものは、脳内にネズミを飼うことになります…そして、そのネズミの幻覚に、殺される]
青葉「…え」
…認識が甘かった
私は、ぴろし3やなつめさんが死ぬことはないと思っていた
デッドリーフラッシュの事件の時だって、死者は7人だ、でも実際光を浴びた人は数えきれない筈だ
だから、そんな低い確率…なんて
リコリス[精神に異常をきたし、最終的に解放される為に、ネズミを殺す為に何処かから飛び降りる…非常に危険で、悪質なウイルスです…青葉さん、私は表立っては動けない、あなたに止めてもらいたい]
青葉「そんな……まだ、混乱してるのに…」
わからないんだ、私には
綾波さんの真意も、私が今、正しいのかも
だから、足が止まりかけていたのに
青葉(…止めるって、どうやって…?)
リコリス[それと…あと一つだけ、その神槍・ヴォータンに一つだけ細工をしようと思っています、その為にはあなたに一度殺される必要があります、私の想像通りなら、このメッセージを読んでから対峙する筈なので…お願いします、私を刺してください]
青葉(さ、刺したけど、本当はこのメッセージを先に読むと思われてたんだ…?)
リコリス[私があなたの槍に仕込むのは、ウイルスコアによるデータ復元の機能です、今のヴォータンはデータが破損して、ほとんど力を持たない…だから、あなたにはウイルスコアを使って槍を修復して欲しいんです]
青葉「…ウイルスコアで、修復…」
リコリス[完全に修復できれば、力を取り戻せるでしょう…健闘を祈ります]
青葉「ウイルスコアを手に入れる為には、あの時代のカイト達に接近する必要が、ある…でも、ネズミも止めなきゃいけない」
…やる事が、多いな…
でも…
青葉「…私、頑張りますからね…」
槍の力を取り戻す目処もついた
恐れる事はない、私が…
青葉「…何になっても、何であろうとも」
この世界を、守る