元勇者提督   作:無し

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記録 すり合わせ

The・World R:X

シックザール ギルド@ホーム 

重槍士 青葉

 

扉をノックし、入る

 

青葉「失礼します」

 

フリューゲル「おー、わざわざきてくれてありがとう、ま、座ってよ」

 

ソファに腰掛け、フリューゲルさんと向かい合う

…面倒な話をするかも知れないと事前に断ったのだが、それに関しては気にも留めていないようだった 

 

フリューゲル「ま、先に伝えるところを伝えとくかあ……The・World R:Xの日本サーバーは一時的に閉鎖、一般PCは正規のログインが不可能になった」

 

青葉「…ニュースで見ました、デッドリーフラッシュ事件の影響でサーバーを浄化するまで一時閉鎖するしかない、と……今回は閉めたんですね、黄昏事件の時はログインできたのに」

 

フリューゲル「そいつはお偉いさん達の都合だ、そもそも、サイバーコネクトジャパン社はネズミを流したやつをとっ捕まえればこの機会にThe・Worldの信用を世界に示せる、と考えている…おめでたい事にな」

 

青葉「……フリューゲルさん」

 

フリューゲル「大丈夫だ、ここはログは残らない」

 

青葉「……私の掴んだ情報によると…ネズミを放ったのは、サイバーコネクト社です…」

 

フリューゲルさんがキョトンとした表情になり、何かに気づいたように頭に手を当てる

 

フリューゲル「あー…マジ?……そっかあ…それは…あー…」

 

青葉「…それと、私の話もして良いでしょうか」

 

フリューゲル「…どうぞ」

 

青葉「…R:1で、一時的にカイトのサポートをしたいんです」

 

フリューゲル「…それは、何故」

 

青葉「この槍です」

 

フリューゲル「…神槍ヴォータン」

 

CC社の人間でも、限られた人間のみが感知している

デバッグ用のアイテム、神槍ヴォータン

 

貫いたものをデリートする力のある、仕様内にありながら、仕様外の武器

 

青葉「これは、R:1でモルガナに力を破壊され、使えなくなりました……でも、昨日のあの事件の最中…この槍にウイルスコアを投入する事で槍の力を修復する事ができるようになったんです」

 

フリューゲル「…その説明は、何故そうなったのか…ってトコが抜けてると思うんだけどなあ」

 

青葉「……」

 

綾波さんの事を話すのは、中々に厳しいものがある

どうすれば良いのか、まだ掴めない

私が綾波さんを信じても、他の人が無条件に信じる理由にはならないのだから

 

フリューゲル「……ま、いいか」

 

青葉「え?」

 

フリューゲル「…青葉ちゃんは今回の件の謂わばMVPだ、システム管理者側も混乱状態だったにもかかわらず、こんな紙切れで沢山の人の命を救った」

 

青葉「あ…それ、私が書いた…」

 

フリューゲル「…CC社側の人間として、礼を言わせてもらう、本当にありがとう」

 

青葉「え、いや…」

 

フリューゲル「ま、その活躍に応じた褒賞とかも出たかも知んないけど?それを破棄してまで青葉ちゃんがやりたい事があるって言うなら?オジサンはなーんにも言わないよ!」

 

…意思確認か

 

青葉「…はい、もう一度R:1に行こうと思います」

 

フリューゲル「……なら、オレから言うことは特に無いか、だが…こちらからも一つ、条件がある…カイトは復活させない事だ」

 

青葉「……」

 

フリューゲル「この時代の石像にしたカイトは、R:1での全ての歴史をなぞった時、復活するだろうねえ…だ、が…そいつはちと不味い、本来カイトは1人になるまで追い詰めてシックザール総力で挑む程の危険な相手だ」

 

青葉「腕輪、ですか」

 

フリューゲル「そーそー、まあ、他にもヤバいのは居たけど、そう言うのは囲んで叩いてきた、でもトロンメルってタンク役が落ちてる今、それはちょーーっと難しい訳よ」

 

青葉「だから、復活しそうになったら…」

 

私が…

 

フリューゲル「いや、青葉ちゃんは何もしなくて良い」

 

青葉「え?」

 

フリューゲル「ポザオネに任せる、アイツが復活を止める手筈にする、だから、リミットをつくる…青葉ちゃんの槍が力を取り戻すか、カイトが復活する危険が、迫ったら…カイトは石化させる」

 

青葉「……わかりました」

 

フリューゲル「よし、それと、今後の活動における注意点だが、ネズミの活動が見られるのはThe・World内ではR:Xのみ、現在はそこでしか確認できてないし、青葉ちゃんにはあんまり関係ないか」

 

青葉「…シックザールとしては、ネズミに関しては?」

 

フリューゲル「手出しはしない、そこはシステム管理者の仕事だ、オレ達雇われはそこまで手を出す理由はない…今回のデッドリーフラッシュは強力らしいからな」

 

青葉「……光を浴びた人達は…?」

 

フリューゲル「…今回の事件の被害者は判明してる限り24人、青葉ちゃんのお友達2人と、ドル・ドナで12人、各エリアで残りの10人がネズミによるフラッシュを見た…」

 

青葉「そんなに…」

 

フリューゲル「これでも抑えられたほうだ、目を瞑るって簡単な対処が知られてたのが良かった…いや、実際症状が出てないだけで…って可能性はあるが」

 

青葉「そ、それで…」

 

フリューゲル「……「かゆい」んだと」

 

青葉「かゆい…?」

 

フリューゲル「「脳の奥をネズミが噛む」だとか、「かゆい」だとか、とにかく、ネズミにやられて気が狂いそうになるらしい」

 

…綾波さんの言ってた通りだ

そして、最後には…

 

青葉「あ、あの!その人達すぐに入院させたほうが…!」

 

フリューゲルさんは俯いて首を振る

 

フリューゲル「…本人達が拒否してる、一見マトモな健常者が、急に発作を起こすようになった、それも不定期に、本人達はさっきの発作で「治った」と信じ込む」

 

青葉「…それで…」

 

フリューゲル「だが、実際のところそうも言ってられない…今朝のニュースは見たか?世田谷であった飛び降りだ」

 

青葉「…まさか」

 

フリューゲル「あの事件は2階からの高さで車の上に落ちたから死ななかったが…飛び降りたのは、フラッシュを見た奴だ、つまり…」

 

綾波さんの言う通り、死ぬ…

 

青葉「すぐにでも病院に入れないと…!」

 

フリューゲル「オレもそうは思う、だが、ここからは一ゲーム会社の雇われ職員には何もできない、いや、CC社でも無理だろうな」

 

青葉「そんな……」

 

フリューゲル「…さらに、まだ悪い事がある…ネズミを放ったのは、シックザールPCを素体にしたキャラクターである可能性が高い」

 

青葉「シックザールPC…」

 

CC社側の存在であるシックザールのPCはかなり強化されている…

破損しにくいPCボディに大型パソコンのような処理能力

チェロさんの連れているモンスターを扱う力や、クラリネッテさんの高速戦闘、これらもシックザールPCが可能にしている、イリーガルな力

 

仕様にあって、仕様書にはない力

 

フリューゲル「…まあ、これは部外秘だったんだが、そのシックザールPCが…サイバーコネクト社の中の誰かに盗まれた、と言うのなら…納得がいく」

 

先ほどの、サイバーコネクト社がネズミを放ったと言う事に対する反応の意味がわかった

 

フリューゲルさんも漸く事態を呑み込め始めたばかりなんだ

 

青葉「それで、私はどうすれば」

 

フリューゲル「…いや、今はいい…ただ、まあ、どうしても青葉ちゃんに逢いたいって奴がいてな、それで…まだ、時間大丈夫?」

 

青葉「はい」

 

電子音とともに、スクリーンが現れる

 

青葉(うわ、SF映画みたい…あ、そうだ、このモニター前に見た…)

 

スクリーンにスーツ姿の男が映し出される

…明らかに日本人ではない、褐色の肌に金色の髪

 

ジーニアス『フリューゲル』

 

フリューゲル「へー…あー…青葉ちゃん、前にちらっとだけ見たと思うが…一応覚えとくといい…この画面に写ってるのがサイバーコネクトジャパン社の代表取締役社長…ジーニアスだ」

 

青葉「えっあっ…えと…!あ、青葉です!…あ、違う」

 

慌てて敬礼…をしたものの、間違えたとお辞儀に直す

 

ジーニアス『…なるほど、彼女が件の』

 

…前にこの人を見た時は、直属の上司としか聞いてなかった

でも…代表取締役社長…?

 

な、何でそんな人がシックザールを動かして…

 

ジーニアス『…青葉、だったか』

 

青葉「は、はいっ!?」

 

ジーニアス『キミの働きに、賞賛の言葉を贈らせてもらう』

 

青葉「あ、え…こ、光栄です…?」

 

フリューゲル「あー、そんな話のためにわざわざ会いに来たんじゃない…ですよねえ?この子も時間ないでしょうから、手っ取り早く本題といきましょうよ」

 

ジーニアス『そこでだ、キミにも正式に、シックザールとして我が社に来てもらいたい』

 

青葉「えっ?」

 

…ヘツドハント…?

 

フリューゲル「おやっ?おややや…なんか回線の調子が…」

 

フリューゲルさんがスクリーンを消す

 

青葉「えっ?」

 

フリューゲル「ま、こんなとこだと思ったよ」

 

青葉「な、なんだったんですか…?」

 

フリューゲル「…嬢ちゃんは知りすぎたってとこだ、だから行動を契約で制限しやすいように正式に部下にしたい…特に、国の人間を雇ってるなんてジーニアスからしたら避けたいだろうしな」

 

青葉「…あの、幾つか気になってますけど、ジーニアスって…本名じゃないですよね…?」

 

フリューゲル「ああ、本名は調べりゃいくらでも出てくるだろうが、ドゥルガ・フィダ・シャルマー…聞いた通り見て通りの外国人、インドの上流階級出身の筈だ…だが、ジャパン社の社長になってるくらいのキレ者、ジーニアスって事だな」

 

青葉(それで、ジーニアス…)

 

フリューゲル「…嬢ちゃんがジーニアスに雇われるかどうかは、嬢ちゃん自身の判断だ、今回は押し切るつもりだったみたいだったから止めたが、基本的にそこにはオレは干渉しない」

 

青葉「……私は、艦娘を辞めるつもりはありません」

 

フリューゲル「なら、そうするといい」

 

 

 

 

 

 

アカシャ盤

 

青葉「では、また行ってきます」

 

フリューゲル「トキオの確保については焦る必要はない、どのみちオレらはR:Xでも仕事がある、こっちも緊急だし、もしトキオを捕まえても後回しになるかもしれないしな」

 

青葉「わかりました」

 

記憶の泉へと飛び込む

 

青葉(…もう一度、過去へ…!)

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