元勇者提督 作:無し
宿毛湾泊地
秘書艦 アケボノ
アケボノ「帰ってきて早々に尋ねるのもどうかとは思いますが…どうですか、士気の方は」
キタカミ「てんで、ダメだねえ…アメリカの方の事件、誤報かもーなんて噂がネットで出てるけど、まあ…自爆テロがありましたってなると見えるもんなんでも的に見えるもんさね、それに引っ張られて街は疑心暗鬼」
アケボノ「ワシントンさん達に向く街の目が厳しく、落ち調子、そして周りもそれに流され…はあ…」
キタカミ「全体の士気が下がるのはちとまずいね、だけど……物事は多方面から見るべきだ、なんで綾波はネットワーククライシスの混乱とともに襲撃を仕掛けなかったのか」
アケボノ「それについては私も気になっていました、国防システムも大半が潰れていたとか…日本の端から順に空襲を受けた日には、気づいた時には逃げられなくなっていたでしょうね」
キタカミ「なぜその手を取らなかったのか、綾波が考えつかないとは思えない」
アケボノ「無駄な手を打つとも思えません」
キタカミ「綾波の目的は、見えないところにあるんだろうね…」
しかし、怪我で離脱していたキタカミさんが戻れば少しは士気が上がると思ったのだが
キタカミ「みんな、自分の力じゃどうにもならない何かに怯えてる」
…情報操作を起こし、そしてネットワーククライシス
そう考えると、まるでこれは…
アケボノ「Linkの居場所を潰しにかかっている、とか」
キタカミ「…って言うと?」
アケボノ「Linkは大半が外国人で構成されています、そして国内の目は外国人に対して異様なほど厳しくなった…だから、綾波はそれを狙い、居場所を…奪ってどうするのか……」
二手、三手先が見えてこない
キタカミ「案外、単純に…情が湧いて、逃したいとかそんな気持ちなのかもね」
アケボノ「まさか、だったらなぜLinkから離れたのです、もしそうならこんな騒ぎを起こさなければ良かった、Linkと敵対するような真似をした意味がわからない」
キタカミ「…なんだろうねえ…綾波の考えてる事は、全く、理解できないけど」
キタカミ(「私と似ている」か……私がその言葉を受け止めるなら、綾波と同じ点は、守るためにみんなを強くした事…でも、その上で離れるとしたら…)
キタカミ「綾波は、とんでもない敵にでも挑むつもり…?……あっ」
アケボノ「キタカミさん?」
キタカミ(分かったかも、綾波の目的…でも、そうするメリットが見えてこない、この感じ、よく掴めない…)
アケボノ「どうかしましたか」
キタカミ「んや…あ、それより青葉は?一緒に帰ってきたのに…」
アケボノ「提督とパソコンを買いに」
キタカミ(……聞いておきたいことがあったんだけどな)
ゲームショップ
重巡洋艦 青葉
海斗「あ、このP-COMってデバイスはどうかな、The・World用の最新モデルだし…これ一つでThe・Worldがプレイできるんだって」
青葉「司令官がそう言うなら、これで…」
海斗「…ええと、あ、青葉?やっぱりこう言うのは自分で選んだ方が…」
青葉「先の活躍の褒賞に一式を用意してくれると言ったのは司令官です、だから、司令官が選んでください!」
海斗(うーん…青葉のやることも考えると、自分にあったデバイスを揃えてもらった方がいいと思うんだけど…それに、僕が選んだ機器で青葉が危険な目に遭うのも良くない…)
青葉(…デッドリーフラッシュもある、それにトキオさんに負けたら、次は意識が戻らないかもしれない…あのあと見に行っても病院の人たちの意識は戻らなかったんだし…)
自分が納得できる形で、戦いたい
海斗「…そうだ、モニターだけど…あのフェイスマウントディスプレイは重くなかった?」
青葉「あ、ええと…はい、すごくつけやすかったです…」
海斗(でも、あれは重いものをつけてる分、肩がこりやすいし…あ、これって…)
海斗「これにしようか」
青葉「…VRスキャナー…?」
海斗「うん、最近出たばっかりの、メガネ型のモニターデバイスだよ」
青葉(これ、まだ商品化してないはずなのに…いや、知らないだけで出回ってた?)
海斗「それと、あと必要なのはコントローラーとパソコン本体だね、コントローラーはレバーの重さとかも選べるけど…」
青葉「それも、選んでください」
海斗(だ、ダメか…これは逃げられそうにないな…)
青葉「…散々注文しておいてなんですけど、本当に一式をいただいて良かったんですか?」
海斗「構わないよ、僕もThe・Worldにもっと行かなきゃいけなくなった…だから、手伝ってくれるかな、青葉」
青葉「はい…私は、The・Worldに囚われた人達を、助けます」
…でも、もう一つ、気になることがある
青葉「…メール…」
携帯に届いたメールを見る
[送信者:ヘルバ
件名:2人について
今、確認が取れたわ、なつめたちは病院に入院してる、今回はデッドリーフラッシュの可能性が公に知られているから、愛知の病院に集められたみたいね。
愛知には優秀な脳外科医が居るわ、貴方も会ったことがあるはず。
一度訪ねてみたらどうかしら?]
青葉「愛知の病院…あ、私が深海棲艦になりかけた時の…」
海斗「どうかしたの?」
青葉「…なつめさんと、ぴろし3の入院してる病院を教えてもらったんです」
海斗「…そっか、そっちも、気になってたんだ…今度、お見舞いに行ってみようか」
青葉「はい」
青葉(…そう言えば、司令官は…)
青葉「司令官はどんなデバイスを買ったんですか?」
海斗「僕は…公私をしっかり分けなきゃ行けないし、さっき言ってたP-COMっていうポータブルデバイスを買ったよ」
青葉「それ一台でどこでも遊べるって、すごいですね…」
海斗「これをヘルバに送って、The・Worldにログインできるようにしてもらわなきゃ…今のThe・Worldには普通はログインできないからね」
青葉「そうですね」
青葉(うーん…私もそっちにしておけば良かったかな…あれ、でもメーカーはCC社だ……司令官には悪いけど、私はCC社苦手だし、やめておいて良かったかも)
宿毛湾泊地
青葉「へ?…綾波さんと、ですか?会ってませんよ?」
キタカミ「嘘、匂いするよ?」
青葉「え?綾波さんの、ですか…?……ま、まさか、ネットの匂い…?」
キタカミ「…何言ってんの?」
青葉「…私が綾波さんと会話したのは事実っていうか、その.まず直接は会ってないんです、ネットの中で出会っただけで…」
キタカミ「は?」
青葉「ああもう」
いきさつを話した
キタカミ「ってことは、綾波を刺し殺したと?」
青葉「いや、多分死んでません…」
キタカミ「……その綾波、実体かもね」
青葉「へ?」
キタカミ「リアルデジタライズ?だっけ、それで入ってきてた可能性あるよ、だから私の鼻で匂いが感じられるんだと思う」
青葉(じゃ、じゃあ綾波さんは自分が死ぬかもしれない賭けをした…と…!?)
青葉「て言うか、それならもっと早く聞けば…」
キタカミ「そん時に聞いたら行かなきゃ行けない理由ができる、負けたばっかの相手に無策で挑みたくなかったの」
青葉「は、はあ…」
キタカミ「情報ありがとう、こっちからも探れるとこ探るわ」
青葉「は、はい…」