元勇者提督 作:無し
The・World R:1
Δサーバー 忌まわしき 破壊者の 遠雷
重槍士 青葉
砂嵐三十郎「ほお、お前さんらも刀探しか?だったらやめておいた方がいいぜ」
カイト「いや、別にそう言うわけじゃ…」
青葉「まあまあ司令か…カイトさん、せっかくだし行ってみませんか?この人も、コテツソードを探しにきて困ってるみたいですし」
カイト「…わかった、あの、BBSにコテツソードを探してるって書き込みを見て…良かったら、手伝いましょうか?」
砂嵐三十郎「何…?だが、やっぱりやめておいた方がいい…へへっ、BBSを見て来てみりゃあこのザマだ、その辺の宝箱を探ってみてもガラクタミテェなものばかり…冗談にもなりゃしねえ」
三十郎さんはすでにモンスターにやられてボロボロ、やられる直前にダンジョンから抜け出せた…と言ったところか
ここの適正レベルは初心者には少し高い…
砂嵐三十郎「すまねえが、もしコテツソードを手に入れたら、譲ってもらえねえか」
カイト「わかりました」
青葉「そうですね、私たちでとってきちゃいましょう」
そう言って2人でダンジョンに進む
青葉「ダブルスィーブ!」
モンスターを槍の斬撃で吹き飛ばす
カイト「プロテクトブレイクした…!データドレインできるよ!」
腕輪から放たれた光線がモンスターを貫く
カイト「よし…!ウイルスコアだ…」
青葉「やりましたね…それにしても、ここの敵は少し強いですね…」
カイト「青葉さん、これ」
カイトがアイルスコアをこちらに差し出してくる
青葉「だから、それは…」
カイト「今は必要なウイルスコアは無いし、この種類のウイルスコアは余ってるから」
そう言って笑顔で押し付けられる
青葉(断りにくいし、断る理由もない、か…)
青葉「ありがとうございます」
ウイルスコアを受け取る、するとウイルスコアは小さく砕け、破片が槍へと取り込まれていった
青葉「…あ」
ステータス画面を見る限り、2レベルほど上がったくらいの強さだろうか…
一つのウイルスコアでこれだけ上がるのなら…
青葉「…このダンジョン、今の私なら余裕ですよ…!」
カイト「本当に?」
青葉「ええ!…早速、次の敵を…」
青葉「いました、アンデッド系ですか…」
私のキャラデータにかかっているデバフは槍を変えても消えることはない
だけど、属性の違う武器を使うのも大事だ、特に弱点なら
青葉「バカドゥーム!!」
炎を纏った槍の斬撃が一瞬でモンスターを薙ぎ倒す
カイト「…凄いね、ウイルスコアでこんなに強くなるなんて…」
青葉「はい!私も驚いてます…!」
カイト「でも、威力が強すぎてデータドレイン出来なかったね…」
青葉「あ…」
カイト「できれば技の威力を抑えてくれると…」
青葉「わ、わかりました!」
青葉「よし!そろそろですか?」
カイト「うん、これならいける…データドレイン!」
モンスターをデータドレインする
カイト「……ダメだ、また装備アイテムか…」
青葉「…さっきから、ずっと別のアイテムばかり出てますね…その、ウイルスコアはあんまり出ないんですか?」
カイト「比較的、珍しいとは思うけど…」
青葉「うーん…あ、あそこにもモンスターがいますよ、やりますか?」
カイト「……うん」
青葉(…何か様子がおかしい、ウイルスコアがでないことを悔しがってる様子じゃない……何か、何かあるんじゃ…私が見落としてる?いや、知らない何か…)
青葉「カイトさん、大丈夫ですか?」
カイト「…大丈夫…まだあと一回くらいなら…」
青葉「一回?」
カイト「…なんでもない」
青葉(…何かはある?だけど、言いたくないのかな…)
モンスターに接近し、背後から槍で突き上げる
青葉「ふんぬっ…ぬぬぬ…」
槍を突き刺したまま壁に押しやり、動きを制限してタコ殴りにする
カイト「…よし!データドレイン!」
モンスターがデータドレインを受ける
そして、腕輪から展開された光線が格納される…それが普段の流れなのに
青葉「っ!何かおかしい…!」
パリンッ
青葉「っ…!?の、呪いのデバフ…!」
カイト「う…!」
青葉(呪い魔法が降りかかって…これ、MPが継続的に減らされてる!?モンスターは動けなかったし……なにが…)
青葉「ええい!リパルケイジ!!」
モンスターを無理矢理倒して戦闘を終わらせる
青葉「はぁっ……はっ…ふぅ……な、何が起きたんですか…」
カイト「…う、腕輪が…暴走した…」
青葉「え?」
カイト「……また、侵食率の上がり方を見誤った…」
青葉「…待ってください、腕輪を使うとその侵食率が上がるんですか?それで、侵食率が上がるとあんなことが…?」
カイト「…うん……侵食率が100%を超えると…腕輪が暴走して、変な効果が…何が起きるかは、僕には分からなくて…」
青葉「なんでそんな重要なこと先に言わないんですか!?それを知ってたら無理にデータドレインなんてさせなかったのに!」
カイト「あ、いや、別に無理してるわけじゃ…」
青葉「何が起きるかは分からないんでしょう!?…あなたの身が危険なのかもしれないのに…!」
カイト「…それは」
青葉「…私は確かにウイルスコアが欲しいと言いましたけど、あなたに危険な目にあって欲しいわけじゃない…お願いですから、自分を大事にしてください…!」
カイト「…でも…」
青葉「でももだってもありません!あなたはオルカさんを助けるんでしょう!?」
カイト「それは…」
青葉「いいですか、貴方がやろうとした事はオルカさんを見捨てる様なことです…もし貴方まで意識不明になったら…!」
カイト「え?」
青葉「…どうかしましたか」
カイト「あの…なんでオルカが意識不明って…」
青葉「あー……そ、その、話を立ち聞きしてしまって」
カイト「…いつ?」
青葉「この前ですよ!ほ、ほら、ええと、マク・アヌだったかなー…」
カイト「バルムンクとの話の時…か…」
青葉「そ、そうそう!」
青葉(納得してくれて良かったぁ……私はただ知ってるだけだから、追及されたら変なことになっちゃう…)
青葉「それよりも、ここに来たのは息抜きのためだったんですよ…ね?確かに危険と隣り合わせで生きてるのは…その、少し疲れちゃいますけど、慣れれば考えを曇らせることも無くなっていきますから」
カイト「…青葉さんは、なんだか、不思議な人だね」
青葉「え?」
カイト「ホントに、危険と隣り合わせで生きて来たみたいな…」
青葉「ホントですよ、私は命懸けの世界で生きて来ましたから」
カイト「え…?」
青葉「…私は、その…軍人なんですよ、ほら、わかりますか?だから…命を奪うことも守ることもする道具を扱います…だから、こう…腕輪ってそれと同じじゃないですか、その力で、人を守ることもできる」
カイト「…腕輪が、人を守る」
青葉「誰かを助けるために使うこともできるはずです…だから、その為にも、あなたは自暴自棄になってはいけない」
カイト「……うん」
青葉「私は、あなたを応援してますから、護りますから…必ず…貴方の味方ですから…だから、道を違えない様に…往きましょう」
カイト「あった、コテツソードだ」
青葉「よし、戻りましょうか」
来た道をゆっくりと帰っていく
カイト「あの、実は…」
青葉「はい?」
カイト「……侵食率を下げる方法っていうのもあって…」
青葉「え、なんでそれをしないんですか?…もしかして、難しいとか…?」
カイト「いや、普段は簡単なんだけど…その…侵食率を下げるには、僕がモンスターにとどめを刺さなきゃ行けないんだ、通常攻撃で」
青葉「……あ」
そういう事か…
私の火力が高いばかりに、いや、そもそもその条件を知らないからさっさと敵を倒してしまいがちだったが…
それが裏目に出たわけだ、本来ならラストヒットで下げられる侵食率が下げられなかった
青葉「え、ええと…ごめんなさい…」
カイト「い、いや!こっちこそ…」
青葉「…その、お互い、言わなきゃいけないことはさっさと言うようにしましょうか…」
カイト「うん…あの、ついでに一つ聞きたいんだけど…」
青葉「はい?」
カイト「青葉さんが連れてるその子は…?」
青葉(あ、今更触れるんですね…)
青葉「ええと…リコリスさんと言って、私のサポートのNPCなんです」
カイト「へえ…何かのイベントで仲間になったの?」
青葉「そういう訳じゃ…あー、いや、そうです、イベントで…」
カイト「すごくかわいいね」
青葉「あはは、どうも…」
カイト「あ、出れた…」
砂嵐三十郎「コテツソードがあっただと!?どうだ、その刀、俺に預けねえか?」
青葉(預ける?渡すんじゃなくて?)
カイトがコテツソードを三十郎さんに渡す
砂嵐三十郎「俺が欲しくなったらいつでも呼んでくれ!それと、こいつは気持ちだ、取っときな」
カイト「どうも、ありがとう」
そう言って三十郎さんは何処かに去っていった
青葉「何をもらったんですか?」
カイト「防御力アップのアイテムみたいだ」
青葉「助かりますね、良かったです」
カイト「…青葉さんもありがとう、少し迷いが吹っ切れた気がするよ」
青葉「なら良かった」
カイト「…これから、Δサーバー、埋もれし異教の熱砂に行くんだけど…」
青葉「喜んで、お供します」
Δサーバー 埋もれし 異教の 熱砂
カイト「虎輪刃!」
青葉「やあぁぁぁッ!」
斬撃を合わせ、モンスターを吹き飛ばす
カイト「データドレイン!」
そして、プロテクトを破壊したところにデータドレイン
カイト「やった…!ウイルスコアだ!」
青葉「いいですね!このエリアに来て2つ目ですよ!」
カイト「…実は、ヘルバにもらったメールに、侵食率の低い状態を維持するとウイルスコアを取得しやすいって書いてあったのを、さっき思い出したんだ」
青葉「なるほど、カイトさんが安全に戦える上に、ウイルスコアも手に入る…一石二鳥ですね」
カイト「じゃあ、はい」
青葉「…いや、今はやめておきます」
差し出されたウイルスコアを拒否する
カイト「…どうして?」
青葉「その……多分、これ以上強くなるとこのエリアの敵一撃です…」
カイト「あ…」
…強化アイテムがあっても使えない、そういう事情も、たまにはある
青葉「あ、あそこにいるのが…?」
カイト「貴方が、リンダさん?」
リンダ「……君が、オルカの友達?1人って聞いてたけど」
青葉「私は付き添いです、気にしないでください」
リンダ「まあいいや…ボブから話は聞いてる、例の噂のことだろ?The・Worldはただのネットゲームじゃない、別の目的を持った何かが蠢いているって」
カイト「別の目的を持った何かって?」
リンダ「さあね、結局はただの噂だし、本当にそんな存在があるのかなんて…でもね、オルカとバルムンクは…その何かの正体を掴もうと、動いていたよ」
カイト「オルカと…バルムンク」
リンダ「蒼海のオルカ、蒼天のバルムンク…誰言うとなく、そんな二つ名を持つ、最強のパーティさ」
青葉(…もし、あの時アルビレオさんもいたら、そこにアルビレオさんの名前もあったのかな)
リンダ「なのに、そのオルカでさえ…悪いことは言わない、噂のことは忘れちまいな」
カイト「そうはいかない」
リンダ「…」
カイト「僕は……オルカの友達だから」
リンダ「なるほどね、それが理由か…なら、Δサーバー、孤立せる沈黙の大蓋に行ってみるといい、オルカはそこで奇妙な部屋を見たと言っていた」
カイト「わかった、どうもありがとう」
リンダ「…それからそっちの、アンタ…もしかして、ザワン・シンを知ってるかい?」
青葉「え?…ええ、まあ」
リンダ「…じゃあ、アンタが連星の槍使い…か?」
青葉「連星の槍使い…?あ!いやいや、私じゃないです!」
青葉(クリムさんも言ってたけど……連星の槍使いって絶対アルビレオさんのことだよね…と言うか何でそんなに有名に…?)
リンダ「そうかい、本物に会えるかと思ったが…まあいい……キミたちに、夕暮れ竜の加護のあらんことを」
そう言ってリンダは転送していった
青葉(…碑文の一説、か)
青葉「…夕暮れ竜の加護のあらんことを」