元勇者提督   作:無し

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宿毛湾泊地

重槍士 青葉

 

Linkの人たちに解放された頃には夜になっていた

自室に戻るため、廊下を歩いていると前に七駆の5人組が歩いてるのが見えた

 

青葉「あ、演習終わったんですね、お疲れ様です」

 

朧「お疲れ様です」

 

漣「あ、ども…」

 

青葉「うわっ!?さ、漣ちゃん…その…か、顔に紅葉…」

 

漣「顔だけじゃなくて…その、腹部にもボディブローもらってます…」

 

青葉「な、何があったんで……はっ…」

 

いつの間に少し前にいた2人の曙さんが振り返っている

しかし、何か違和感…

 

青葉(2人とも相変わらずそっくりだなぁ……じゃ、なくて……あれ?…なんか、やっぱり…)

 

青葉「そんな髪型でしたっけ…?」

 

2人揃って前髪が乱れてると言うか、目の部分まで髪でしっかり隠されてるような…

 

漣「あー、これはですねぇ、ボーノとぼのたんが演習の最後に頭突きで相打ちになった結果…」

 

漣ちゃんの脇腹とまだ紅葉のついていない頬に平手が飛んでくる

 

漣「あべしっ!」

 

アケボノ「余計な事を言わないでくれる?」

 

曙「何が相打ちよ、どう考えてもまだやれたでしょ」

 

アケボノ「そうね、でもあれ以上やるとあんたを殺しちゃいかねないわ」

 

曙「はっ、アンタが?殺されるの間違いでしょ?でもまあ、あたしは殺さない程度に手加減できるけど」

 

青葉「あー……」

 

潮「これを提督の前でやって…」

 

朧「注意されて、帰るところだったんですけど…」

 

青葉「す、すみません、私のせいですね…」

 

漣「あー、いや…漣が悪いでお気になさらず…」

 

朧「わかってるなら煽らないでよ…」

 

漣「にへへ…」

 

青葉(あ、痕は派手だけどそんなに痛く無いのかな…?)

 

潮「ほら、アケボノちゃん達も早く戻ろ?こんなところで喧嘩してると提督に怒られるよ?」

 

アケボノ「……はあ、今は私をアケボノって呼ばれると困るんだけど」

 

朧「でも、曙が帰ってきたから名前も割れちゃってるし、みんなもうアケボノはアケボノに戻してるからね」

 

アケボノ「それが困るんだって言ってるのに」

 

青葉(そう言えば、アウラの残り香が…みたいな話をしてた割には朝潮さんはやはり狙われてないのかな…)

 

携帯のメール受信音が鳴る

 

青葉「ん?こ、このフォルダにメール?ってことは…

 

このアドレスは、The・World用…

そして、このフォルダに振り分けられてると言うことは、過去からのメールという事になる…

 

[送信者:ヘルバ

  件名:DEAR青葉

 

久しぶりの連絡で失礼だけど、いきなり本題に入らせてもらうわ。

 

カイト達があるプロテクトエリアに向かった、そこには貴方とカイトが出逢った敵がいるかもしれない。

 

どうするかの判断は貴方に任せるわ

カイトに送ったメールは、↓これ。

 

 差出人:ヘルバ

タイトル:DEARカイト

 

削除された書き込みは、 ↓ これ。

 

メグ

Θ選ばれし 絶望の 虚無

女の子と十字架を持った黒衣のキャラの

追いかけっこを見たっていってました。

アルフの家族の人からメールが来て、

ゲーム中意識不明になって入院している

そうです・・・

 

Θ選ばれし 絶望の 虚無

の容量が肥大している。

今なら、何かいるかもね]

 

青葉(…過去の司令官達がスケィスとの決戦に向かった…!?)

 

朧「どうかしましたか?」

 

青葉「急用ができました…!失礼します!」

 

 

 

 

The・World R:1

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック

トキオ

 

トキオ「ゲートのそばにいるのは…カイトとブラックローズだ、どこかに行こうとしてるのかな」

 

2人に近づくと会話が聞こえてくる

 

カイト「アイツがいるかも知れないんだ、オルカを…ヤスヒコを、あんな目に遭わせたヤツが…」

 

ブラックローズ「そいつを倒しに行くんだ?」

 

カイト「倒せるかどうか、わかんないけど…」

 

ブラックローズ「倒すのよ!アタシも行くわ!……イヤとは、言わせないからね」

 

…2人は、決戦に行こうとしてるのか…

 

トキオ「2人とも!」

 

ブラックローズ「トキオ、アンタもしかして聞いてたの?」

 

トキオ「ああ!オレも行かせて欲しいんだ!」

 

カイト「……トキオ」

 

トキオ「3人なら、倒せるかもしれない…いや、倒せる!」

 

ブラックローズ「…そうね、足引っ張んじゃないわよ?」

 

カイト「…2人とも……よし、行こう」

 

カイトが腕輪をカオスゲートに向ける

 

カイト「ゲートハッキング!」

 

 

 

 

 

Θ選ばれし 絶望の 虚無

 

トキオ「…いつものプロテクトエリアだ、空が裂けて、空間がおかしくなってる…」

 

薄暗い、夜のプロテクトエリア…

 

ブラックローズ「…いや、感じね…あれ?」

 

カイト「…!…腕輪が、光ってる…」

 

カイトの腕輪が、発光してはっきり見える

データドレインの時以外、カイトの腕輪が見えたことなんてなかったのに

 

トキオ「それだけここが特別ってことか…」

 

ブラックローズ「違う、ここに居る何かが特別なのよ」

 

 

 

 

3人でダンジョンを少しずつ進む

 

カイト「…ここの敵で死ぬ様なことはないだろうけど…」

 

ブラックローズ「うん、あんまり消耗したくないわね…」

 

トキオ「アイテムは2人とも十分にあるの?」

 

カイト「一応ね、回復アイテムと蘇生アイテムが少しずつ」

 

ブラックローズ「同じくらいかなあ…」

 

トキオ「オレもだよ、足りるかなあ…」

 

勢い任せで来てしまったのもあって、不安は拭えないが

 

カイト「仕方ない、マップアイテムを使って戦闘はとことん避けよう…それから、ブラックローズ、武器は足りてる?」

 

ブラックローズ「ちゃんと全属性揃えたわ、だけど火と雷以外はかなり弱いのよね」

 

カイト「アイツにオルカの攻撃が効かなかったのは属性の問題の可能性もあるし、試せることはなんでも試そう」

 

 

 

 

対策を話し合い、戦闘を避けながらダンジョンを駆け抜ける

そして、最後の扉の前にたどり着いた

 

カイト「最深部、か…」

 

トキオ「…この先、普通はボス部屋かお宝だと思うけど…」

 

ブラックローズ「イヤな感じがするわね…」

 

…なんだか、ただならぬ緊張感が走る

 

ブラックローズ「ステータスアップは?ちゃんとかけた?」

 

トキオ「継続回復もついてるし、大丈夫!」

 

カイト「…行こう」

 

扉をくぐった瞬間、どこかへ飛ばされる

 

浮遊する瓦礫で作られたフィールド

それを彩る鈍く光るエメラルド色の紋章

 

瓦礫の世界の中心に、彼女は佇んでいた

 

カイト「アウラ…?!」

 

トキオ(あれが、アウラ…?すごく成長してるぞ…)

 

オレの知ってるアウラは幼児ほどの小ささだったのに、たった一年でカイトやオレほどの大きさにまで成長してる…

 

アウラ「届いてたんだ……私のメール…でも……間に合わなかった」

 

カイト「え?まって!ぼくは君に訊きたいことが…!」

 

アウラの背後に、赤い十字架が浮かび上がる

 

カイト「!?」

 

そして、ノイズとともに、その十字架の後ろに黒い石の人形がぼんやりと浮かび上がり、段々と実態を得ていく

 

カイト「やめろおぉぉーーーっっ!!」

 

突如カイトが叫ぶ、それが何を意味するのかを、教える様に、オレの脳裏にも訪れるであろう結果が浮かび上がる

 

石の人形が左腕を十字架に向けて突き出すとその腕に腕輪と同じ幾何学模様が顕れ、形を作る

そして、放たれた光線がアウラを貫く

 

アウラは悲鳴とともに赤い光の玉となり、ふわふわと浮かび、尚も逃れようと、その石人形から離れようとする

 

しかし、石人形の胸部から放たれた光線により、その赤い球も3つに砕け散る

わかたれた3つの光の球は、砕けた勢いのまま、どこかへと消えた

 

トキオ「っ…!」

 

カイト「……」

 

カイトが一瞬自身の腕輪を見て、そして石人形へと向き直る

それに呼応するかの様に、石人形も十字架の杖を一度地面に打ちつけ、カイトへと向ける

 

phase:1(第一相  )

The TERROR of DEATH(死の恐怖   )

SKEITH(スケィス )

 

視界の端に、チラリと文字列が浮かんだ

スケィス、それがあの敵の名前か?

 

カイト「行くよ!!」

 

ブラックローズ「わかっ…えっ?」

 

スケィスがブラックローズの背後に瞬間移動し、機械的に杖を振り上げる

反応する暇もなく振り下ろされた杖により、ブラックローズのHPが無情にも削り取られる

 

トキオ「…い、一撃…?」

 

ブラックローズ「死んだ…!?で、でも、意識はある!蘇生して!」

 

カイト「わかってる!」

 

…防御バフに攻撃バフ

様々なステータスアップをかけていたのに、一撃で…

 

死んだらバフは消える

だから、バハは意味がない…

 

カイト「トキオ!両側から攻めるよ!」

 

トキオ「ああ!」

 

スケィスに左右から近づくも、スケィスが杖を掲げた途端に辺りを冷気が包む

 

カイト「!」

 

トキオ(まさか、あの速度とあの威力に加えて、全体攻撃まで…!?)

 

カイト「炎術士の呪符!ビバクローム!」

 

カイトがスケィスに炎を放つ

しかし、スケィスは止まる事なく杖をフィールドに突き立てる

 

フィールド全体が凍り、オレ達も氷塊に包まれる

 

トキオ「っ……」

 

一瞬の後、氷塊が砕け、解放されるが…

立ち上がれない…

 

トキオ(さ、寒い…!身体が、凍る…!)

 

カイト「リプス!」

 

ふわっと、身体が光に包まれ、少し楽になる

 

トキオ(…回復したら楽になったってことは、さっきのがHPの少ない状態…?…何もできなくなるのか…)

 

剣を突き立て、立ち上がる

 

トキオ「うおおおおお!!」

 

叫び、自身を鼓舞し、2本の剣を構え直す

 

スケィスを睨み、斬りかかろうとするものの

 

トキオ「消えた…!?」

 

ブラックローズ「違う!こっち!」

 

速い…

スケィスは消えたのかと思うほどの速度で移動し、攻撃…

 

ブラックローズ「目で追えない…」

 

カイト「いや!よく見るんだ!移動ルートに薄らと残像が残ってる!」

 

スケィスの攻撃は今のところ1人に対して機械的に振り上げた杖を振り下ろす攻撃、もしくはフィールド全体を凍らせる全体攻撃…

 

全体攻撃は耐えられたが、直接攻撃はブラックローズでも即死した、オレたちも即死すると考えていい…

 

カイト「アプボーブ!アプボーマ!」

 

カイトが死亡によりバフの剥がれたブラックローズにバフをかけ直す

全体攻撃はバフをつけていても半分以上削られた…

バフがなければ、死ぬかもしれない

そういう考えなのだろう

 

当然だ、さっきブラックローズは死んでもなんとか意識不明を免れたが、次はどうだ?

次も無事という保証もないんだ、警戒はしすぎるくらいでいい

 

カイト「ぼくが惹きつける!」

 

カイトがスケィスから距離を取り、魔法を呼び出すアイテムで遠距離攻撃を仕掛ける

 

そして、その攻撃がスケィスにダメージを表示させる

 

カイト「効いた…!?」

 

トキオ(効かないつもりで打ってたのか!?…いや、それより…攻撃は通るんだ…)

 

カイトの思惑通り、スケィスはカイトへと迫り、杖を振り上げる

 

トキオ(止まった!!)

 

ターゲットがわかっているなら、スケィスが止まっているなら…攻撃はできる

 

ブラックローズ「ガンドライブ!」

 

トキオ「連牙・昇旋風!!」

 

一撃辺り二桁、もしくは一桁の最低レベルのダメージを、確かにスケィスに与える

 

しかし、スケィスをロックオンしても、体力バーは減らず、評価はバグっていて読めない

こいつも、データドレインの必要なウイルスバグだということ…

 

カイト「う…!」

 

ブラックローズ「カイト!」

 

スケィスの杖がカイトのHPを一瞬で削り切る

しかし、すかさずブラックローズが蘇生…

そして、死亡の際に失われたMPを回復し…

 

カイト「雷独楽!」

 

ブラックローズ「デスブリング!!」

 

トキオ「斬烈波!!」

 

スキルをとことん叩き込む

 

トキオ「!」

 

スケィスが一度高速で移動し、視界外へと消える

 

カイト「後ろ…っ!」

 

スケィスが杖を振り上げ、突き立てる

 

カイト「ぐ…」

 

ブラックローズ「なによコイツ…!一撃でこんなダメージ…」

 

一撃辺りのダメージが大きすぎる

 

二撃くらえば確実に死ぬ

攻撃と攻撃のスパンは決して長くない

その間に回復を終えないと…

 

カイト「完治の水!ファリプス!」

 

ブラックローズ「ちょ…それまだ2個しか無いのに!」

 

カイト「出し惜しみしてたらやられるよ!!」

 

全員のHPを満タンにする為に上位回復アイテム、使うとなれば確かにここしか無いだろう

 

ブラックローズ「え…」

 

ブラックローズのPCボディがふわふわと浮き上がる

 

トキオ「な、なんだ…」

 

スケィスが十字架の杖を投げると、それはまるで吸い付く様にブラックローズの背に向かい、止まる

 

ブラックローズ「う、ウソでしょ…!?」

 

カイト「データドレイン…!止めないと!」

 

そんな暇もなかった

そうだと気づいた時にはブラックローズが光線で貫かれ、地面へと放り出される

 

トキオ「ブラックローズ!」

 

ブラックローズのステータスは満タンのHPと、大量のバッドステータスが表示されていた

 

ブラックローズ「っ…平気よ!それより攻撃に集中して!」

 

トキオ「無事だったのか…なんで…いや、そんなことより先に…」

 

スケィスに攻撃を続ける

 

カイト「虎輪刃!」

 

…コイツの体力は、どれほどあるんだ

 

ブラックローズ「こっち回復切れたよ!」

 

同じパターンで何度も攻撃をして、死んで

 

カイト「ぼくももう残り少ない!」

 

…このままじゃ、ジリ貧だ

 

ブラックローズ「ごめん!死んだ!蘇生できる!?」

 

カイト「こっちはもう無いよ!」

 

トキオ「待って!今…う…!?」

 

ふわりと、身体が浮き上がる

 

ブラックローズ「データドレイン…!でも、大丈夫!さっきはオールデバフだけだったし!」

 

…確かにブラックローズはダメージも受けてなかった、そこまで怯える必要はない、のかもしれない…

でもそれは、普通ならの話

 

生身のオレがくらったら、どうなるんだ?

 

意識不明?それともちょっと気絶するだけとか…いや、もしかしたら

…死ぬ、のか…?

 

試行している間に、背後に張り付く十字架

そして、向けられたスケィスの腕に、データドレインが展開していく

 

…こんなに、怖いとは思わなかった

 

トキオ「…っ!」

 

もはや、防ぎ用などない

ただ、助かることを祈るしか無い…

 

青葉「ダブルスィーブ!!」

 

大ぶりな槍の二連撃をくらい、スケィスが大きく揺れ、データドレインの構えをやめる

 

青葉「……間に合った…!」

 

トキオ「あ、お前は…!うわっ!?」

 

空中から自由落下し、腰を強打する

 

トキオ「っ…たた…」

 

青葉「間に合ったみたいですね…」

 

目の前に手を差し伸べられる

 

トキオ「なんで、シックザールが…」

 

青葉「何度も言わせないでください…私はシックザールじゃなくて、青葉です!」

 

カイト「青葉さん…それに…」

 

ブラックローズ「蘇生…?あ、アンタら…誰?」

 

砂嵐三十郎「今は、どうやら名乗る余裕は無さそうだぜ?」

 

なつめ「アレが敵ですか…!」

 

カイト「三十郎さん!なつめ!」

 

砂嵐三十郎「おう!遅くなっちまったみたいだな!」

 

なつめ「スパイラルエッジのお返しに来ました!」

 

青葉「援軍、ってとこです…!」

 

青葉の手を取り、立ち上がる

 

トキオ「…カイト!」

 

カイト「うん、反撃開始だ!」

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