元勇者提督   作:無し

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記録 決着 スケィス

The・World R:1

Θ選ばれし 絶望の 虚無 最奥部

重槍士 青葉

 

青葉「…それにしても、恐ろしい出立ちですね」

 

…かつて、夢で対面した時と同じプレッシャーだ

恐ろしい化け物だ

 

これを、今から倒さなくてはならない

 

リコリスさんと繋いだ手に、力がこもる

 

青葉「三十郎さん!なつめさん!メインアタッカーは私が引き受けます!サポートをお願いできますか!?」

 

砂嵐三十郎「援護は慣れちゃいねえが…あいわかった!」

 

なつめ「はい!頑張ります!」

 

カイト「トキオ!ブラックローズ!2人は何も考えず削ることを考えて!青葉さん!そっちの回復アイテムは…」

 

青葉「ご心配無く、買えるだけ買って来ました…!」

 

ステータス諸々は弱体化していたが所持金はそのままだった、だから買えるだけ買った、私と砂嵐三十郎さん、なつめさんがそれぞれ持ちきれないほど買えた

 

青葉「っ!」

 

スケィスが振り下ろした杖を振り上げた槍で防ぐ

 

トキオ「ふ、防いだ!?」

 

青葉「ぐ…っあ!!」

 

力の差は歴然で、一瞬は持ったが吹き飛ばされ、地面を転がる

すぐに起き上がり、体力を確認したがやはりHPは半分以上削れている…

顔を上げるとリコリスさんが私の方にゆっくりと歩きながら寄ってくるのが見える

 

青葉(ウイルスコアも吸収した分多少耐えられると思ってたのに…!2発で死ぬ、でもあの攻撃はかわせない!)

 

カイト「アレを受けても…HPが残ってるなんて……青葉さん!!」

 

青葉「!」

 

幾つかのウイルスコアが目の前の地面に転がる

 

カイト「今!ここでやられたらそれは何の意味もなくなる!」

 

青葉「カイトさん…!」

 

ウイルスコアへと手を伸ばそうとしたが、すぐにやめ、防御の姿勢を取る

 

青葉「っっ!」

 

スケィスが、それを許さないとばかりに杖で殴りつけてくる

 

ブラックローズ「こっちも、見なさいよ!!」

 

トキオ「斬烈波!!」

 

青葉(ウイルスコアをヴォータンに使えれば…きっとチャンスは…!)

 

杖と槍がぶつかり合い、吹き飛ばされる

 

青葉「っ…」

 

なつめ「リプス!」

 

砂嵐三十郎「反隼(かえりはやぶさ)!」

 

なつめさんが回復し、三十郎さんが攻撃で追撃を防ぐ

 

青葉「すみません!助かりました…」

 

槍を構え直し、スケィスと向き合う

 

トキオ「うおおぉぉーッ!連牙・昇旋風!」

 

ブラックローズ「ガノスマッシュ!!」

 

カイト「雷帝の呪符、ギライローム!!」

 

スケィスが腕を振るい、あたりに冷気を撒き散らす

 

青葉「っ!炎殺球の呪符!」

 

カイト「不死鳥の呪符!ギバククルズ!」

 

即座に火属性の呪符を放つ

しかしそれでも微かなダメージを与えるのみで、容赦なくフィールドを氷が包む

 

青葉(別に発動を妨害できるわけじゃ無いのか…弱点属性でもない…!)

 

氷に囚われ、動きを制限される

そして、氷が砕け、HPが削れるのとほぼ同時にスケィスが瞬間移動し、杖を振り上げる

 

青葉「っ…やあぁぁぁッ!」

 

タダでは、死なない!

 

横薙ぎの一閃が空を切り、そのまま一回転

最大射程の槍の回転斬りを放ち、スケィスの杖にぶつける

 

青葉「ぎ…っ!」

 

瞬きほどのほんの一瞬の膠着の後、ヴォータンが宙をまう

 

青葉(ヴォータンが弾かれた…!でも、ダメージは防げた、ヴォータンをもう1度掴みさえ…)

 

スケィスは防がれた攻撃をやり直すように、同じ機械的に繰り返し、また杖を振り上げる

 

カイト「リグセイン!」 

 

HPとMPが継続回復(リジェネ)を始める

スケィスの杖によるダメージを受けてなお、継続回復(リジェネ)のお陰で微かにだけHPが残る

 

青葉「助かりました!」

 

カイト「それよりも早く!」

 

…強い、その上に速い

こんなバグみたいな、ありえない強さをしたモンスター…

明らかに正規のモンスターじゃない

 

全身が痺れてるように、感覚があやふやになる

 

青葉(全力で攻撃したのに、押し負けてヴォータンが弾かれた…全力でも、私じゃ足りない!!)

 

呪符を構える

 

青葉「破魔矢の召喚符!!」

 

呪符から強い光と共に大量の光の矢が召喚され、スケィスへと放たれる

 

青葉(これは目眩し、本命は…)

 

ヴォータンを取りに行く暇はない

隙を見せればスケィスは即座に瞬間移動の如く迫り、攻撃を仕掛けてくる

 

青葉「……え…?」

 

光の矢は、スケィスを貫く筈が…肝心のスケィスがそこに居ない…

 

カイト「三十郎さん!」

 

砂嵐三十郎「チィッ!」

 

砂嵐三十郎さんが十字架の一撃を受け、瀕死になる

 

なつめ「回復します!…うわっ!?」

 

私の放った魔法が大きく方向を変え、なつめさんのすぐそばを通ってスケィスを追尾する

 

青葉「あ!ごめんなさい!」

 

魔法は必中、一度ターゲットしたら術者を倒さないかぎり逃れる術はない

 

スケィスは当たる直前に再び高速で移動する

 

トキオ「今度はオレか!この!!」

 

青葉(トキオさんは不味い…!)

 

装備している適当な槍を手の中で返し、逆手に持ち…投げる

 

槍がスケィスの腕に突き刺さる

 

カイト「火炎車!」

 

そしてカイトの追撃

 

トキオ「連牙!昇旋風!!」

 

スケィスの姿勢が大きく崩れる

 

トキオ「おおぉぉぉっ!!」

 

トキオさんの乱撃を受け、スケィスの姿勢が崩れ、最後の一撃でスケィスの巨体が吹き飛ぶ

 

青葉(な…なんて、力…!)

 

ブラックローズ「追撃は任せて!デスブリング!!」

 

吹き飛ばされた先で大剣の一撃

そして、それをさらにトキオさんが斬りつける

逃れる事を許さない、2人係で仕掛ける怒涛の攻撃

二、三度それを続けたあたりでトキオさんが飛び上がる

 

トキオ「ゴートゥ・ヘブン!!」

 

二本の剣で地面に叩きつけるようにスケィスを斬りつけ、フィニッシュ…そしてそこに遅れて私の呪符の閃矢が…

 

ブラックローズ「流石に堪えたでしょ…!」

 

トキオ「…どうだ…!」

 

一瞬、全員の動きが止まる

スケィスは無機質に地面から浮き上がり、体制を立て直してみせる

 

トキオ「そんな!」

 

青葉「まだピンピンしてるなんて…」

 

カイト「いや…違う!」

 

スケィスを球体が包み込むようなエフェクト

そしてそれが砕け散る

 

カイト「プロテクトブレイク…!これでデータドレインが…」

 

カイトがデータドレインを構えようとした瞬間、凍りつく

 

トキオ「カイ…トっ…」

 

ブラックローズ「やられた…!」

 

近くに居たメンバーから順々に凍り始める

 

青葉(そうか、地面に叩きつけられた時に発動してたんだ…!)

 

ジワジワと徐々にフィールドが凍り始める

でも、これならかわせる…

 

地面に転がったヴォータンに走る

 

青葉「なつめさん!回復の用意を!三十郎さんも!」

 

すぐ後ろまで氷が迫る

槍に飛び付き、転がりながら構え直す

 

青葉(取り戻した!でも…)

 

氷が砕け、カイト達が大ダメージを受ける

 

カイト「ぐ…」

 

トキオ「っ…カイト!早くデータドレインを…!」

 

カイト「わかってる…」

 

カイトがよろよろと腕輪を展開し、スケィスを捉える

 

カイト「データドレイン!!」

 

光線がスケィスへと伸びる

 

トキオ「やった…!」

 

スケィスへと届く瞬間、砕け散った球体が戻るようなエフェクト共にデータドレインを弾かれる

 

青葉「…え…?」

 

カイト「そんな…プロテクトを修復された…!」

 

プロテクトを修復…?

データドレインが、効かなかった…?

 

青葉「…っ…」

 

言葉が出ない

勝つための、手段が…尽きた

 

回復アイテムも残りわずか

これ以上の戦闘は望めない…

 

カイト「…まだだっ!!」

 

カイトが1人、スケィスへと迫り、斬りかかる

 

青葉「…カイトさん」

 

…歴史をなぞるのなら、勝利できるはずだ、だが…

今の歴史はイレギュラーだ、私たちという本来存在しない不確定要素に…改変されている

 

カイト「舞武(まいぶ)!!」

 

だから、私は、悪い方向に歴史が改変されたんだと…思った  

 

でも、この時代の勇者は、まだ…ただ1人、立ち向かっている

 

ブラックローズ「…デスブリング!!」

 

なつめ「虎輪刃!」

 

砂嵐三十郎「爪牙翔(そうがしょう)!」

 

…そして、カイトに勇気づけられたのか、みんながスケィスに立ち向かっている

 

…私は…

 

青葉「!…リコリスさん、それは…」

 

リコリスさんが、両手いっぱいのウイルスコアをこちらに差し出す

…拾ってくれていたのか、目も見えず、耳も聞こえないのに、なぜそこにあると分かったのかはわからないけど…

 

青葉「…これなら、いけます!」

 

ウイルスコアをヴォータンに喰わせる

…力が、私の中に力が宿る感覚が…全身を走る

 

青葉「…ダブル…スィーブ!!」

 

槍の大ぶりな斬撃がスケィスを大きく揺らす

この戦闘で初めて3桁の大ダメージをスケィスに与える

 

カイト「青葉さん…!」

 

青葉「行きますよ!!」

 

槍を突き立てる

 

カイト「虎輪刃!」

 

ここまで来たら、もはや攻めるのをやめない

 

カイト「みんな!回復よりもダメージを与える事を優先するんだ!!」

 

なつめ「アプコーブ!アプコーブ!」

 

なつめさんがみんなに攻撃バフを与え続ける

 

青葉「リパルケイジ!」

 

カイト「舞武!」

 

スケィスが杖を振り下ろす

 

ブラックローズ「っ…!ごめん!死んだ!」

 

トキオ「後で蘇生するっ…!」

 

今は、蘇生も回復も、する余裕はない!

 

カイト「絶対に…絶対に、倒すんだ!!」

 

青葉「トリプル…ドゥーム!!」

 

槍がスケィスにぶつかった瞬間、違和感を感じる

 

青葉(…まさか…いや、いける…!)

 

青葉「デリート!!」

 

先ほどと同じエフェクトを伴いスケィスのプロテクトがブレイクする

 

カイト「データドレイン!!」

 

データドレインがスケィスを貫く

 

カイト「…いっけぇぇっ!」

 

スケィスが、黒い、複数の石の破片へと姿を変える

 

バグっていたHP表記が正常になる

 

青葉「残りHP3000ですか…!」

 

カイト「双邪鬼斬(そうじゃきざん)!」

 

トキオ「連牙・昇旋風!」

 

2人の攻撃がスケィスのHPを削る

 

青葉「やあぁぁぁッ!」

 

槍を突き下ろし、スケィスを攻撃する

 

青葉「!?」

 

…私の与えるダメージが、下がっている…

一桁しかダメージを与えられない

 

青葉(ま、まさかデリートを使ったせいで…不完全だったのに無理やり使ったから!?)

 

ブラックローズ「あー!」

 

なつめ「か、回復しましたよ!」

 

砂嵐三十郎「行動パターンが変わってやがる…範囲攻撃に回復技か!」

 

カイト「でも、ダメージはかなり減った…これなら耐えられる!!」

 

…心が、前を向いている

 

青葉「火炎太鼓の召喚符!!」

 

スケィスを爆炎が包み込む

 

トキオ「熱っ!?」

 

カイト「雷舞!」

 

ブラックローズ「カラミティ!!」

 

着実に、確実に

こちらが有利なまま、戦闘を押し切る

 

青葉(倒れろ…倒れろ…!このまま!)

 

呪符を放ちながら、祈るしかなかった

 

カイト「トドメだ!!」

 

カイトの攻撃がスケィスのHPを、削り切る

 

スケィスは淡い光を放ち、泥のように崩れ、地面へと溶けていった

 

トキオ「…やった、のか…?」

 

ブラックローズ「やったのよ…!」

 

砂嵐三十郎「骨が、あるやつだったな…」

 

…本当に、倒せた…?

 

青葉「……やっ…」

 

喜びの言葉を発しようとした時、異質な雰囲気に気がつく

 

カイト「……え…?」

 

ステージが、薄暗かったステージが、さらに暗く、悍ましい雰囲気に包まれる

 

ブラックローズ「え…!?」

 

地面から青く発光する植物の根のようなものがいくつも隆起する

 

なつめ「こ、これってなんですか!?」

 

周囲で地割れが起きる

 

青葉(何が起きて…)

 

カイト「!」

 

カイトの目の前の地面が砕け、紫色の光が天へと走る

 

全員が、目を瞑り、衝撃に備えた

 

カイト「…っ……」

 

青葉「…なんとも、ない…?」

 

周囲を見渡す

隆起した岩

吹き飛んだ瓦礫

暗い世界

 

それだけ…

 

みんなが、辺りを見渡しても、何も…

 

青葉「…司令官?」

 

カイトは、ただ1人、空を見上げていた

そして、その視線の先を、私も見る

 

青葉「っ……」

 

巨大な浮島か?

紫の、植物の根の様なものが生えた、直径数十メートルの浮島に、化け物の顔がついている様な

そんな夢見たいな、恐ろしい生物が私たちを見下していた

 

トキオ「な、なんだよあれ…!」

 

その生物は、口を開き…

 

ブラックローズ「な、何する気!?」

 

エネルギーを溜めて……

 

青葉「に、逃げ…」

 

放った

 

何かに私たちの体は吹き飛ばされ、地面を転がる

 

青葉「っ……」

 

何とか、顔をあげる

かなり吹き飛ばされたらしい、あの生物が手のひらほどの大きさだ

そして、私たちのいたであろう場所は…きっと何もなくなっている

 

青葉「…ヘル、バ…さん…?」

 

空中に浮かんでいるヘルバさんと目が合った

そして、ただ一言

 

ヘルバ「…クビア」

 

…クビアと

 

青葉(クビア…あれが…!?)

 

…どういう事だ

何が、どうなっているんだ

 

クビアは、何処かへと姿を消し、私たちもいつの間にか、ゲームから落とされていた

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