元勇者提督   作:無し

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disguising a corpse

離島鎮守府跡地

綾波

 

綾波「…LSFDを使った実験ですか、私は“あなた達”相手に許可した覚えはありませんが」

 

モニター越しに相手を睨む

 

太平洋棲姫『ダガソノ技術ハ元々我々ノサポートノ為ニ作ッタ物ダロウ?何カ問題デモアルトイウノカ?』

 

綾波「大アリですよ、非常に不愉快だ、私の作ったものを勝手に使うなどと…はあ……不愉快極まりない」

 

太平洋棲姫『シカシ、ヨク気ヅイタナ?何故ダ、一切連絡ハシナカッタノニ』

 

綾波「……」

 

LSFD、限定空間(Limited space)融合装置(fusion device)

これを動作させる際にはオンラインに接続し、空間を生成するほどの巨大な演算装置が必要になる

 

そして、太平洋棲姫は黒い森…人間の脳を使った処理装置を接続し、使った

 

黒い森は私も接続している…故に、負荷がかかった場合、私も感知できる

 

綾波「情報が入ってるんですよ、あなたの部下から」

 

太平洋棲姫『ソンナ嘘ニ踊ルト思ウナ』

 

綾波「真実ですよ、それよりもあなた達、データを提出はしてくれないんですね」

 

太平洋棲姫『貴様ニ共有スル理由ガナイ』

 

綾波「はいはい」

 

通信を切り、ため息を吐く

 

綾波「はあ…実験段階の代物をすでに完成してると勘違いして使うのは…賢いとは言い難いですよねぇ……神通さん」

 

神通「なんですか」

 

綾波「夕張さんと会ってきます、残りの深海棲艦も人間に戻しておいてください」

 

神通「…わかりました」

 

綾波「流石に1人でやるのはキツイでしょうし、全部とは言いませんので」

 

神通「いえ…全部、人間に戻します」

 

綾波「そうですか」

 

指を鳴らし、転移する

 

 

 

横須賀鎮守府 工廠兼医務室

 

夕張「うわぁっ!?」

 

綾波「どうも、会いに来ましたよ」

 

夕張さんは驚きのあまり箸を落とす

 

綾波「相変わらず何か食べてますね、太りますよ?」

 

夕張「い、いや…あ、はい…気をつけます……じゃなくて、何しに…」

 

綾波「LSFD」

 

夕張「あ、それか…それならほら」

 

夕張さんがこちらに手を向ける

…腕時計が目に入る

 

綾波「その腕時計が?」

 

夕張「そう、持続とかは全然うまくいかなかったから、一旦携行しやすく、なおかつ節電とかに切り替えてみたんだけど」

 

綾波「性能は」

 

夕張「ベースの30メートルを30秒のドームから変化なし、これを巨大化させて…ってのも考えたけど、ダメ…今の回路じゃ無理、どんな高性能な装置を使っても3から5秒の持続を伸ばすことしかできない」

 

綾波「…成程、やはりあなたは凄い、それほど延ばせるなら話は早いです」

 

夕張「あ…やっぱり普通の機械じゃそこまでしか延ばせないんだ…?」

 

綾波「ええ、それで、これを」

 

USBメモリを渡す

 

夕張「…このUSBメモリ、何かに接続する機能がついてる…?これってどこに接続されるの?」

 

綾波「黒い森です」

 

夕張「黒い、森…」

 

夕張さんの顔が強張る

 

夕張「…それなら、これは要らない」

 

綾波「…今更逃げられる道があると?」

 

夕張「私は、科学者の前に人の命を救う医師でもある…あんな道を間違えた人間の作った邪悪なものなんて…」

 

綾波「…なら今、あなたをここで殺しますよ」

 

拳銃を抜いて眉間に突きつける

 

綾波「私たちは協力関係です、そしてあなたは私の思想に賛同したからこそ私についた…なのに、あなたは今更裏切ると?」

 

夕張「…裏切るんじゃない、けど…」

 

夕張さんがたじろぐ

 

綾波「いいですか、実験は進めなさい、それにCubiaによる究極の抑止の完成した世界ならより多くの人の命が救われるんですよ…?今出る犠牲はその礎」

 

夕張「…究極の、抑止?」

 

綾波「ええ、説明していませんでしたか?」

 

夕張「…クビアを、利用する…?倒すんじゃなくて…」

 

綾波「倒す?何を言ってるんですか、利用できるものは利用しなくては」

 

夕張(じゃあ、私の予想は…)

 

夕張さんが一瞬目線をよそに送る

 

綾波「…あなた、まさか誰かに計画を話したんじゃ」

 

夕張「っ…」

 

綾波「……最悪ですね」

 

 

 

実験軽巡 夕張

 

一歩、二歩と後退る

 

綾波「実に残念な事この上ありません、あなたも瑞鶴さん同様に…殺すしかなくなった」

 

夕張(殺した…!?瑞鶴ってあの佐世保の…)

 

綾波「どう殺されたいですか、いや…あなたは、見せしめにちょうどいいか」

 

綾波の手がぬっと私へと伸び、何かを掴む

 

夕張「っ…?…え?」

 

…私の目の前に、別の私が…首を締め上げられて…?

 

夕張「…どう、な…むぐ…っ!?」

 

誰かに口を塞がれ、無理矢理後退させられる

 

 

 

夕張「っぷは…はー……へー…成る程ね…そういう事だったか…」

 

大きく息を吸い込み、振り返る

 

瑞鶴「そうそう、私達はこれで死んだことになる…」

 

夕張「…でも、なんで?」

 

瑞鶴「綾波は今、視覚と聴覚のデータがそのままアップロードされ続けてる、綾波が見たもの、聞いたものは綾波の背後にいる第三者に筒抜けになってる」

 

夕張「ほんとに?」

 

瑞鶴「だから、私はこうやって死んだフリをしてるのよ、綾波は自分に仕込まれたナノマシンが何をしているのかを理解した上で敢えて放置して、自分を操ろうとする連中を騙して…」

 

夕張「…待って、じゃあ綾波の目的って本当に…?」

 

瑞鶴「そう、反存在Cubiaの完全撃破」

 

夕張「やっぱり…合ってたんだ、じゃあ全部…合ってるんだ…!」

 

瑞鶴「綾波は夕張、アンタを殺した事にしてうまく逃す算段なの、でも、誰かに見られでもしたら困るし、死体もあげなきゃいけない」

 

夕張「…え?どういう話?それ」

 

瑞鶴「死体役、やってくれる?」

 

夕張「…自分の死体のフリをしろと?え、私どうなるの…?」

 

瑞鶴「んー…元々の予定ではモニターの前でバラバラに解体するって事になってたけど」

 

夕張「……一つ聞いていい?」

 

瑞鶴「なに?」

 

夕張「綾波と会話できるの?」

 

瑞鶴「いや、一方的に指示されるだけ、もし喋りかけたりしたら私が生きてるのバレちゃうじゃない」

 

夕張「だったらどうやって意思疎通してるの…?」

 

瑞鶴「ここよ、ここ」

 

瑞鶴が口を開いて奥歯を指す

 

瑞鶴「ここをカチカチ鳴らすの、普通の時に鳴らすと不自然だから食事の時にだけね」

 

夕張「…モールス信号ってこと?」

 

瑞鶴「そうそう、それで細かい指示をもらって、私がそれに対応した行動をする…今回は、ほぼ即興だったけど」

 

夕張「え?」

 

瑞鶴「さっきの死体処理の指示とかも、会話中に飛んできた指示だから」

 

夕張「…食事の時にしか指示が出ないんじゃないの?」

 

瑞鶴「食事中以外にもう一つ、自然にカチカチと音を鳴らせるタイミングがあるの」

 

夕張「会話中…成程、確かに喋ってる時は…鳴らせなくもないか」

 

瑞鶴「綾波としても、夕張が誰かに情報を流してるのは想定外だったみたい」

 

夕張「……まあ、私としても、綾波の真意はなんとなく読めてたから、だから…味方を増やすべきだと思ったんだけど」

 

瑞鶴「綾波はできる限り味方を作りたくないみたいだけどね」

 

 

 

 

 

 

離島鎮守府跡地

綾波

 

綾波「…どうでしたか、ショーは」

 

ヴェロニカ『悪くないけど、それだけのためにわざわざ呼びつけたのかしら?』

 

綾波「ええ、私を裏切ればどうなるか…わかったでしょう?」

 

視界の端にある角切りにされた夕張さんをチラリと見る

 

ヴェロニカ『随分と怖いことを言うのね』

 

綾波「恐怖してくれるならよかったですよ、それでは」

 

ビデオチャットを終了し、死体の夕張さんを見て微笑む

 

夕張(こ、怖…)

 

綾波「神通さん、片付けておいてください、私は夕張さんの抜けた分の仕事をしなくてはならないので」

 

神通「……ええ」

 

 

 

 

宿毛湾泊地

秘書艦 アケボノ

 

アケボノ「今度は、夕張さんが消えたか…」

 

キタカミ「怪奇現象が起きまくってるねえ…でも、潰しに来る気配はない…敵さんの狙いがわからないのは、まずいねえ…」

 

アケボノ「…やはり、私たちが先に仕掛けるべきなのでは」

 

キタカミ「…居るとしたら、離島だろうけど…」

 

イムヤ「今行くのは、やめたほうがいいと思う」

 

アケボノ「イムヤ?」

 

イムヤ「潜水艦隊として、密偵に行ってきたけど…数キロ離れてても爆雷が投げ込まれるくらい厳重に警戒されてる、今は近づけないわ」

 

キタカミ「…潜水艦隊の出撃なんて聞いてないけど」

 

イムヤ「極秘任務だったから、まあもう帰ってきたし喋っていいかなって」

 

アケボノ「さすが綾波、守りは鉄壁か」

 

キタカミ「感心してる場合じゃないけどね」

 

イムヤ「……とにかく、今は迎え討つ準備をしたほうがいいと思うんだけど」

 

アケボノ「……ええ、そうしますか」

 

キタカミ「了解」

 

イムヤ「それじゃ」

 

イムヤがこの場を離れたのを確認する

 

アケボノ「…内通者がいるとすれば、イムヤか」

 

キタカミ「あ、やっぱそう思う?極秘任務がどうであれ、明らか様子がおかしいもんねえ」

 

アケボノ「……」

 

キタカミ「…もし内通者が居たとして、行動を監視されてんじゃ……敵の実態すら見えてこないか…」

 

アケボノ「手詰まり…いや、何か手段はあるはず」

 

キタカミ「……あれ?なにこれ、イムヤのスマホ落ちてんじゃん」

 

キタカミさんが杖でスマホを指す

 

キタカミ「ロックかかってなかったりして」

 

アケボノ「…そんなベタな」

 

キタカミ「かかってないわ」

 

アケボノ「……」

 

キタカミ「…なにこれ」

 

アケボノ「なんですか」

 

キタカミ「…めっちゃ過激なレディコミ読んでんじゃん」

 

アケボノ「……あの?」

 

キタカミ「はいはい、ええと……あ?…あー…多分、これを見せようとしてたわけだ」

 

キタカミさんがスマホをこちらに向ける

 

アケボノ「…アカシャ盤とLSFDの同時起動の実験にはCC社の承認を待たねばならず…アカシャ盤?CC社?」

 

キタカミ「…確か、両方青葉が言ってた記憶がある、The・Worldのなんかなんだけど…」

 

アケボノ「…The・World…?」

 

キタカミ「……なんでイムヤはこれを持ってきた?」

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