元勇者提督 作:無し
宿毛湾泊地 演習場
重巡洋艦 青葉
ワシントン「
青葉「ひいぃぃ…!」
号令に合わせて部隊が動き、激しい動きで標的を蹂躙する…
青葉(普段やる訓練と全然違う…!)
アイオワ「
アトランタ「
アイオワ「
青葉(へ?今呼ばれた…?)
青葉「い、今なにか言いましたか!?」
…こういう不慣れな連携が、全体の動きの乱れにつながる…
キタカミ「えーと、うん?…何で的当てにこんなに時間かけてんの?次に使う奴らも控えてるのにさあ…ていうかそもそも訓練に参加しろって言った覚えもないし…」
青葉「ご、ごめんなさい…」
結局、あの一回の動きの澱みが原因でお説教を喰らう結果にもなったし…
キタカミ「まあ、青葉が英語全然ダメだってのはわかったけど…それ先に伝えてた?」
青葉「いや…その…」
キタカミ(あー、そもそもあんまり関わりたくないと思ってる感じだなぁ、これは…苦手意識があると避けちゃうのはなあ…無理言って使ってる立場だし、アイオワ達にまた譲歩させるのも…)
キタカミ「しゃーない、ワシントン」
ワシントン「何?」
キタカミ「ガンビアベイとあと1人、適当なの連れてきてよ」
ワシントン「え?連携の方は?」
キタカミ「いやいや、青葉が訓練に参加してるのはコミュニケーション取れるようにする為だから、んなもん二の次三の次だよ、狭霧から言われてないの?」
ワシントン「言われたけど…」
キタカミ「じゃあわかるでしょ?青葉は戦争しに行くんじゃなくて、止められるかもしれないことを止めに行くだけ、それに必要なのはお互いを理解して通じ合うこと」
ワシントン「…私達の日本語ってそんなに下手?」
キタカミ「あー…そう言うことじゃないんだなぁ…日本語が上手い下手じゃなくて、ほら、信頼関係築くことの方が大事って言うか」
ワシントン「…それは、わからなくもないけど…」
キタカミ「なら誰か仲良くできそうなの連れてきてあげて、ヘレナとかは?」
ワシントン「買い出しに出てる、フレッチャーなら適任かもしれないし、2人とも連れてくるわ」
青葉「ええと…よろしくお願いします…」
ワシントンさんを2人で見送る
キタカミ「さ、てと…青葉?」
背後から肩に手を置かれる
青葉「ぁい!?」
キタカミ「人見知りしてんのか、それとも避けてんのか知らないけど…記者がそれじゃダメなんじゃないの?みなとみらいも、もし大規模なトラブルになったら?」
青葉「…わかってますよ…自分の役目から逃げるつもりはありませんし…」
キタカミ「……まあ、青葉ってほんと…おとなしいよねえ…内気で控えめっていうか」
青葉「え?」
キタカミ「仲良い相手とはとことん仲良いんだけど、そうじゃないととことん奥手だし…まあ、あと頑固だし」
青葉「がんっ…!?」
キタカミ「頑固でしょ、自分の考えを中々に変えないとことかも含めて」
青葉「……確かに、そう言われればそうかもしれませんけど…頑固かなあ…私…」
キタカミ「自分から話しかけて友達作ったこともないでしょ、いや、無いね、長い付き合いだけど私は見たことない」
青葉「え…?あー…どうだろう…」
キタカミ「…じゃあ青葉に一つ命令」
青葉「命令?」
キタカミ「次、初めて会ったやつに自分から話しかけて友達になる事」
青葉「は、はい?…ハードル高くないですか?そんなコミュニケーション能力の塊みたいな事…」
キタカミ「難しい方が、燃えない?」
青葉「燃えませんよ…!」
キタカミ「でも、やっといた方がお得だと思うよ、今後のためにさ…あ、来たね、悪いね、フレッチャー、ガンビアベイ」
フレッチャー「い、いえ…」
ガンビアベイ「…あの…あ、I'm…じゃなくて…私達は何を…」
キタカミ「いや、そんな固くならないでよ、作戦の話は聞いてるでしょ?」
ガンビアベイ「Yes…」
キタカミ「なら話は早いんだけど、それまでにアメリカ組と仲良くできるようにしたいんだよね、まあ、早い話友達になったげてよ」
ガンビアベイ「…Friend…?」
フレッチャー「構いません、けど…」
青葉「よ、よろしくお願いします…」
キタカミ「……青葉、あんたが尻込みしてたら仲良くなんてなれるわけないでしょ」
青葉「だ、だってぇ…」
キタカミ「だってもへちまもないよ、青葉一人部屋だし、フレッチャーとガンビアベイは今日泊まりね」
青葉「な、ななっ…」
ガンビアベイ「
キタカミ「や、まあ…距離感近い方がいいっしょ」
青葉「良くないですよ!…ほら、私も守秘義務が…」
キタカミ「あー…
青葉「横暴…!」
キタカミ「だって、数百数千人の命かかってるんでしょ」
青葉「それはそうですけどぉ!」
フレッチャー「…なら、そのお仕事以外の時間をご一緒する…とか?」
キタカミ「まあ、それが妥協点だよねぇ…青葉、それなら良い?」
青葉「は、はい…」
青葉(これ以上抵抗したらとんでもないことになる…)
キタカミ「ガンビアベイもさ、友達作ってよ」
ガンビアベイ「うう…」
キタカミ「じゃないと私が友達になるけど」
ガンビアベイ「ひっ…
キタカミ「いや、そうじゃなくて青葉と仲良くなれって」
ガンビアベイ「は、はい…」
食堂
青葉(って言われても…)
フレッチャー「ランチ、何を頼みますか?」
ガンビアベイ「
フレッチャー「ガンビー、折角だし青葉さんと同じものにしましょう?」
青葉「え?そこまでしなくても…」
フレッチャー「せっかくなんですから、お互いの好物を知れば仲良くなれるかもしれません」
青葉(え…?私の好物……ううん…)
青葉「じゃあ…」
ガンビアベイ「…
フレッチャー「思ったより、しっかり食べるんですね…」
青葉「…ええと、お肉が好物なもので…」
ガンビアベイ「…お、美味しいですよね…」
青葉「あ、その…もしかして…ベジタリアンとかだったり…」
フレッチャー「いえいえ、大丈夫ですよ」
青葉「……じゃあ…いただきま…あ」
ステーキを一切れ、横からつまみ上げられる
ガングート「ふむ…ミディアムか……もぐ…ふう、珍しい組み合わせじゃないか、混ざっていいのか?」
青葉(と、取られた…)
ビスマルク「ガングート、行儀悪いわよ」
ガングート「ああ、すまんすまん…おい、同志、同志青葉?」
フレッチャー「同志…?」
ガンビアベイ「
ガングート「なんだ、お前」
ビスマルク「ちょっとガングート、喧嘩腰にならない!狭霧を呼ぶわよ?」
フレッチャー「…貴方達は、ロシア人とドイツ人でしたよね…?」
ビスマルク「仲が悪くないのか、とか思ってる?何十年前の話よ」
フレッチャー「…どうやら、システムに際する教育などもかなり変わるようですね…」
ガングート「教育だと?」
フレッチャー「…私達は戦争の歴史を刻まれましたから、アトランタやアイオワなんて特に影響されやすくて」
ビスマルク「何でそんな事…」
フレッチャー「深海棲艦が居なくなったら、次の敵は?」
ガングート「次の敵など居ない」
フレッチャー「いいえ、同じ力を持った艦娘です、私達はそう教えられました」
ガンビアベイ「フレッチャー!」
フレッチャー「いいの、どうせもう国に見放された身…」
ガングート「国に見放されたか、お前には国しかないのか?」
フレッチャー「貴方は愛国心がないのですか?」
ガングート「…何を言ってるんだ?お前は、国家機密をつい先ほどしゃべっておいて愛国心を問うか」
フレッチャー「それは…」
ガングート「今だ、生きているのは今、国の為にと言う考えは大切だ、私も祖国を大事に思っていたからな」
フレッチャー「…今は違うと?」
ガングート「…私1人に国を守る力はない、無理矢理気付かされたんだがな、お前もそうだ、みんなそうだが…たった1人で世界をどうこうする力なんて無いんだよ」
フレッチャー「……」
ガングート「私からすれば、今のお前は…アメリカを恨んでいるように見える、きっと今までのお前は大役を担い、胸を張って生きていたんだろう、つい最近まではな」
ガングートさんが椅子をひいてこしかける
ガングート「しかし、失敗したのか、それとも諦めたのか…お前は国から見放されたらしい…そして、国を恨む…」
フレッチャー「…悪い事でしょうか」
ガングート「いいや、全然悪くないさ、だが…お前1人で背負えるものじゃないんだ、お前1人でも、お前の仲間達とでも…背負い切れるようなもんじゃない、そんな無理をする必要はない、できなくて当然なんだ」
フレッチャー「…最初から期待されてないと?」
ガングート「ククッ…卑屈な事を言うんだな?…でも、私は思うんだ、生きてるだけで幸せだと、死んでないなら次もあるしな」
フレッチャー「……」
ガングート「お前の人生はお前のものだろう?国に捧げるのも悪い話じゃないが、私は自分のために生きたいと思ったんだ、そしてその自分の為が…仲間の為だった、お前はどうだ?」
フレッチャー「……」
ビスマルク「偉そうに言ってるけど、ボロボロ泣いてた癖に」
ガングート「な…貴様!誰から聞いた!」
ビスマルク「朧と狭霧、あとタシュ」
ガングート「アイツら…!クソ!とっちめてくる!」
フレッチャー「…自分の為…」
ガンビアベイ「フレッチャー…?」
フレッチャー「……私達も、在り方を見つめ直すべきかもしれませんね」
ビスマルク「変化っていうのは…良い方にも悪い方にも転がるわ…身に沁みて知ってる……ところで…」
フレッチャー「はい?」
ガンビアベイ「…あ」
ビスマルク「青葉?随分と静かだけど…」
青葉「…え?…あ!?ぜ、全部食べられてる…」
ステーキプレートの上に乗っていたステーキは…もはやどこにも無い
ビスマルク「…ガングートね、良い話してる風にしながらつまみ食いしてたなんて…後で見つけたらしばいておくから」
青葉「…お願いします、本当に…」
ガンビアベイ(す、すごく悔しそう…)
フレッチャー「は、半分食べますか?」
青葉「え、いえ…」
ガンビアベイ「あ、これも…」
青葉「いや、その…悪いですよ…」
フレッチャー「大丈夫、気にしなくて良いですから」
ガンビアベイ「どうぞ…」
青葉「う…す、すみません…」