元勇者提督   作:無し

580 / 625
Catastrophe

みなとみらい

綾波

 

綾波「……変ですね」

 

さっきから既に5回、艦娘を見ている…どれも横須賀の所属のようだけど

武装はしていなかったが、この辺りをわざわざ“艦娘”が巡回する理由がわからない

(おか)の仕事は警察やら自衛隊やらがいるのにだ

 

綾波(まさか、気付かれている?…何故?そんなはずは…)

 

綾波「…延期すべきか?…いや、こちらの人数も百二百では効かない、隠れての移動も楽ではない、ここまで来た以上は引き下がれない…」

 

夕立「どうすればいいの?」

 

綾波「…ここまできたら居直りましょう、ここが阿鼻叫喚の地になる…それは不変の事実です」

 

夕立「……こっちのメンバーは、戦闘経験なんてろくにないっぽい」

 

綾波「大丈夫、何人かは仕込んでありますし、大半は今日ここで逃げ出す…殆どが逃げ出して、艦娘システムを批判する役割なんですから」

 

神通「…待ってください、居ます…朧さんが…」

 

綾波「…!…本当ですか」

 

神通「ええ、海上警備をしてるようでしたが…」

 

朧さんは不味い、たとえ人混みの中に居ても、私達を察知しかねない

 

綾波「開始の用意を」

 

神通「…食事ぐらいしてからでも」

 

綾波「…遊びに来たんじゃないんですよ」

 

夕立「お腹減ったっぽい…」

 

綾波「そんな悠長な事を…」

 

夕立「本土に帰ってくるのも暫くぶりだし、思いっきり食べたいっぽい」

 

綾波「………はぁ…では元の予定通り、各々でランチだけ済ませましょうか」

 

…先が思いやられるな

 

 

 

 

重巡洋艦 青葉

 

ワシントン「…朝から見回ったけど、どこが怪しいのかしら」

 

青葉「わかりません…狭霧さん、そっちはどうですか?」

 

狭霧『回線に異常なし…付近のデータセンターもハッキングを仕掛けましたが、特に気になる点はありませんでした』

 

青葉「…となると、やっぱり足で探さないといけないんですね」

 

現在、私たちは三チームに分かれている

万が一の時の避難誘導の準備をしながら、原因となるものを探している私達

そして、少し離れたところからネットの監視をする狭霧さん

もう一つのチームはというと

 

朧『こちら朧です、船舶のルート確保完了しました』

 

青葉「わかりました、では避難誘導の際は各々各地点に誘導してください」

 

この作戦は一応横須賀にも伝えてあって、かなりの数の人間が動いている

…それだけに、私の予測が外れたらどうなるのか…

 

正直心臓が痛いほど緊張している、だってそうではないか、アカシャ盤を利用した過去の事象の呼び出し…

それが本当に起きる確証なんてどこにある?

 

ただ、私はこうかもしれないと言っただけ

 

青葉(…って訳には、いかないよね…)

 

何もなければそれで良い

私の読みが外れてるのが、一番良いんだ

 

アトランタ「…顔色悪いけど」

 

青葉「だ、大丈夫です!」

 

フレッチャー「そうは見えませんよ…?」

 

青葉「…あー…いや、ほんとに大丈夫なので…あれ?」

 

携帯からメールの受信音が鳴る

 

青葉「キタカミさん?」

 

[from:キタカミ

  件名:無題

 

この前の島風が倒した偽物の事件覚えてる?

あの時鹵獲した深海棲艦からさ、LSFDが出てきちゃったんだわ。

 

これは確証は無いんだけど、偽物とLSFDにも関連があるって考えて良いと思ってる。

今そのLSFDは明石が解体して調べてるんだけど…。

 

いや、それよりも問題なのはさ、LSFDがそっちで起きる事件に繋がるなら…多分偽物も出てきちゃう可能性が充分にあるって事だけ共有しておいて。

 

それとさ、これはあくまで疑問なんだけど…、

ネットワーククライシスってネットからしか起きないものなの?

LSFDの力とかはまだわからないけど、その気になれば過去のその時代をアカシャ盤ってのでそのまま呼び出すとかさ…?

 

流石にナイかな、ごめん、気にしないで。]

 

青葉「…それは、流石に…」

 

でも、それが可能であるとしたら…

 

青葉(キタカミさんにLSFDって装置の写真とか送ってもらわないと!)

 

 

 

 

狭霧『本当にそんなことがあり得るんですか…?…いや、あり得るんですね…だからこんな事態になって…』

 

ワシントン「じゃあこの装置がありそうな場所を探る?」

 

青葉「いえ…どうやら、これはこのサイズではあまり大きなエリアを展開できないらしくて、都市ひとつとなるととても無理だそうです、だから…もっと大きい物…もしくは、複数あるのかと…」

 

狭霧『……そんな破壊計画を黙認する筈がない…となると…』

 

青葉「狭霧さん?」

 

狭霧『場所を絞ります、その機械の構造通りなら外部にバッテリーが必要です、キタカミさんに鹵獲した駆逐級の装備を再度確認してもらいます』

 

朧『バッテリーって…動かすには外から電気を送らなきゃいけないの?』

 

狭霧『おそらくは、もしそうならこの機械、大体高さ50cm横幅70cmの機械は目立ちます、隠して設置するには…』

 

携帯にマップの写真が送られる

そして、端っこに赤い丸

 

狭霧『その辺りかと…』

 

青葉「発電所…?…でも、そこから盗電…?」

 

朧『…いや、そこか地下じゃないと無理だよ、周りを見て、電柱なんてひとつもないんだし、そんなに大きな機械を置ける場所なんて他にない筈』

 

青葉「地下配線をいじれる場所は?」

 

狭霧『少ないです、Linkでそちらを押さえます、青葉さん達は発電所を、朧さん、海上警備の班を急行させましょう…ネットワーククライシスさえ潰せば、私たちの勝ちです』

 

朧『わかった!』

 

青葉「…よし!行きましょう!」

 

フレッチャー「どっちに行けば…」

 

青葉「場所はわかってます、ただ…」

 

距離がある、流石にタクシーを使うとして…

 

青葉「先に数人で向かいます、フレッチャーさんとガンビアベイさん、来てくれますか?」

 

ガンビアベイ「は、はい…」

 

フレッチャー「わかりました」

 

ワシントン「場所、メールしておいて、こっちも別の車捕まえるから、現地で集合しましょう」

 

青葉「よし、行きますよ!」

 

 

 

タクシーに乗り込み、発電所を目指す

 

青葉(…やっぱり、人がすごく多いな…)

 

車窓から見える人混みも、惨事を防げなければ…

 

青葉(…絶対に、防いでみせる…確実に防ぐんだ!)

 

目を瞑り、気合を入れ直し、再び目を開く

 

青葉「…え?…ぁ…」

 

窓の外、道路の向こうのファミレスに…

 

青葉(アヤナミさん…?…いや、でも今回の作戦には参加してない筈……って…)

 

青葉「あれ綾波さんだ!!」

 

フレッチャー「え?」

 

ガンビアベイ「ど、どうかしたんですか?」

 

青葉「う、運転手さん止めて!あ!あー!」

 

慌ててタクシーを止め、降りる

 

青葉「もしもし!」

 

アケボノ『はい、こちら宿毛湾泊地です』

 

青葉「その声はアケボノさんですか!?あの!アヤナミさんそっちに居ますか!?」

 

アケボノ(えーと…青葉さんか…)

 

アケボノ『いいえ、確か今日は敷波達とTDLに行くとか言ってましたけど』

 

青葉「…え?…じゃああれは…アヤナミさん?…私の杞憂?…って、千葉と神奈川じゃ全然違うし…!」

 

アケボノ『…1人で何言ってるんですか?』

 

青葉「綾波さんを見たんです!多分間違いなく!」

 

アケボノ『…待ってください、今連絡して確認してみます……千葉に着いたばかりだと』

 

青葉「じゃあやっぱり!」

 

アケボノ『…だから何が』

 

青葉「綾波さんですよ!Linkの方の!」

 

アケボノ『は?』

 

青葉「ここに居るってことは綾波さんが実行犯…?…とにかく捕まえないと…!」

 

アケボノ『ちょっと何を…』

 

電話を切り、全体に通信で伝える

 

青葉「こちら青葉です!発電所に向かっている途中で綾波さんらしき人物を発見しました!一度見失って今探しているところです!」

 

狭霧『えっ?』

 

朧『そ、それって…あ!ガングート!今喋らないで!』

 

それぞれが疑問を一度にぶつけ、無線の音がはっきりと聞き取れない

 

青葉「一度に喋らないでください!…っ…!」

 

ぞわり

 

間違いの無い敵意を向けられ、咄嗟に顔を上げる

 

青葉「…おん、なの子…?」

 

数人の女の子が此方にゆっくりと、歩いてくる

 

…まさかあの子達が私に敵意を向けている?

そんなわけがあるか

見たこともない相手だ

 

青葉(…え…なんでこっちにくるの?…何、この子達…)

 

綾波「そう怯えなくて良いんですよ?」

 

青葉「!」

 

振り返る…

そしてその先に、居た

 

青葉「あ…綾波さ…」

 

綾波「捕縛しなさい」

 

青葉「っ…!?」

 

先端に重りのついたロープのような物が飛んできて足に絡みつく

 

青葉「な、何これ…っ…!?」

 

両手、両足…気づけば一瞬のうちに自由が奪われる

 

綾波「…極度の緊張状態…それに加えて対象( 私 )への意識の集中……隙だらけになるのも仕方ありませんねぇ…でも、あまりにもお粗末だ」

 

青葉「ま、待ってください!貴方をここで何を…」

 

綾波「こちらのセリフです、貴方達はここに何をしに来たんですか」

 

青葉「…そんなの、貴方を止めに…!」

 

綾波「……おかしいですよねえ?私を止めに来た?…なら何故私の目的を知らない」

 

綾波(…これは、少しまずいな…おそらく何かと被った…)

 

綾波「このまま行動の真ん中で拘束しているのも良いですが……聞こえますか?神通さん、始めなさい」

 

青葉「待っ…」

 

方々(ほうぼう)で銃声がなる

 

青葉「え…?」

 

青葉(…何を…)

 

綾波(この表情、間違いない、予測していた事態と違うというわけか…何を防ぎに来た?)

 

フレッチャー「そこまでです!」

 

ガンビアベイ「青葉さんを、は、離してください!」

 

綾波「…おや…」

 

青葉「2人とも…!逃げてください!何かおかしい!本部と連絡を…!」

 

綾波(なるほど、なるほどなるほど、まさか…アレか?…イムヤさんの連絡から想像はしていたが、切り捨てた考えだった、まさかここまでバカな事をするとは思わなかったが…実行する気か)

 

綾波「貴方達は、この都市の炎上を防ぎに来た…か」

 

青葉「…やっぱり、貴方が犯人なんですか…?どうして…」

 

綾波「信じてはもらえないでしょうが違いますよ、でも、破壊活動をするつもりなのは間違ってません…おや」

 

青葉「…この音、砲撃…!」

 

砲弾がすぐ側の建物に着弾し、炸裂する

 

綾波「っ…危ない事を…」

 

女の子達に降り注いだ瓦礫が黒い球体に呑み込まれて消える

 

青葉「誰が…」

 

明らかに遠くからの砲撃、つまり…此処をどこかから狙撃してる?

 

綾波「貴方達のお仲間でしょう?そこのお二人」

 

フレッチャー「…此処の位置は伝えてあります!私たちの仲間は一人じゃない、みんなここに砲弾を撃ち込む…いくら貴方が防ぐ手段を持っていると言っても、全て防げますか?」

 

青葉「ま、待ってください!艤装をどうやって…いや!此処に打ち込んだら関係ない人も死んじゃう…!」

 

綾波「でしょうね、私も貴方も、何もせずぼうっと観ていればここでついでに殺される」

 

飛んできた砲弾が黒い球体に飲み込まれて消える

 

綾波「ですが、私もそんなつもりはありませんので…」

 

綾波さんがガンビアベイさんとフレッチャーさんの方を向く

 

綾波「…戦争屋は嫌いですよ、私は」

 

フレッチャー「戦争屋…?」

 

綾波「お金の為に人を殺す、最低な人種じゃないですか」

 

ガンビアベイ「あ、貴方もそうですよね…!?」

 

綾波「…いいえ、私が殺すのは…」

 

綾波さんの周りの空間が歪む

 

綾波「私が気に食わないと思った時だけです」

 

フレッチャー「えっ…」

 

ガンビアベイ「ひっ…!?」

 

地面が隆起し、逃げ場を失う

 

綾波「これで砲撃は届きませんね」

 

青葉(…届け…あと、少し…)

 

綾波「おや、何を?」

 

青葉「掴んだ!威吹の呪符!」

 

風の刃が私を切り刻む

 

綾波「……へえ…自傷しながら無理やり縄を切りましたか…しかし、貴方も武器を持ってるんですね」

 

青葉「…呪符なら持ち物検査にも引っかかりませんからね」

 

別の呪符を掴む

 

青葉「岩戯王の召喚符!」

 

綾波さんの足元が隆起…する筈が…

 

青葉「…え?な、なんで何も起きないの?」

 

綾波「…呪符をあげたのは、私ですよ?」

 

青葉「でも!これは明石さんが…」

 

綾波「なめないでくれますか?少し手を加えただけでベースは私の作った呪符、その程度…簡単にハックして…操作できる」

 

私の足元のコンクリートが砕け、舞い上がり石の礫となりぶつかる

 

青葉「ふぐぁ…!?」

 

フレッチャー「青葉さん!」

 

綾波「人の心配をする暇があるんですか?」

 

フレッチャーさんとガンビアベイさんの両腕にロープが絡みつく

 

綾波「さあ、楽しい時間の始まりですよ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。