元勇者提督   作:無し

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The way forward.

 

みなとみらい

綾波

 

アヤナミ「私は、あなたが愛した人を守る…あなたが愛した人たちをあなたが傷つけるのを、許すわけにはいかない…」

 

アヤナミが一歩下がり、主砲を構える

 

綾波「……殺してでも?」

 

アヤナミ「或いは、そうかもしれません」

 

綾波「上等です、素晴らしい、私のオリジナルらしい目つきになってきましたねぇ……と?」

 

狭霧「……お待たせしました、快復、完了しました」

 

綾波(…やはり、異常だな…この回復速度…あのカートリッジに明石さんの増殖の因子が組み込まれていてそれで再生した…と考えたが、それも腑に落ちない気がする)

 

アヤナミ「あなたは下がって…」

 

狭霧「そうもいきません、綾波さんが愛した人の中には、貴方も居ます…私達は、2人とも、生き残る…」

 

綾波「2人ともここで死ぬの間違いですよ…いいですよ?来なさい、相手になります」

 

綾波改二の艤装、それはベーシックなもので、主砲を両手に二門ずつ、そしてブーツ型の脚部艤装と大腿部の魚雷発射管…

 

あとは各種カートリッジによる強化での戦闘になる

そうなると…個性が出るのはそのカートリッジの使い方、その個性を刈り取れば、私に負ける道筋はない

 

アヤナミ(…さっきから見てたけど、綾ちゃんは転移を連続で発動できない、もしくは控えたがっている…体力消耗の様子が無いし、恐らく耐えられないとしたらカートリッジの方)

 

狭霧(だとしたら、綾波さんの転移を狩る事で倒すチャンスは有る、教えには忠実に…綾波さんの動きなら、頭に叩き込まれてる、単位のタイミングを読み切り、発動させて…狩る)

 

2人がこちらに主砲を向けてくる

 

綾波「…仕掛ける気がないのなら」

 

踏み込む素振りを見せると同時に前後から砲撃…

身体をかがめてそれをかわす…はずが

 

綾波「っ!?」

 

二つの砲弾がぶつかり、真上で炸裂し、爆風でかがめた身体を地面にたたきつけ付けられる

 

綾波(まずい…動きが制限されたことより、聴覚が…)

 

きーん…と音が響き、聴覚が完全に使えない

視覚もぼやけているし、頭の回りも遅い

 

綾波「チッ!」

 

転移し、アヤナミの真上を取る

 

アヤナミ(…そうくるだろうと思っていました)

 

狭霧(あなたは今まで転移する時、常に背後をとり続けた…だから、私達相手に同じ手を使いたくない)

 

綾波「な…!」

 

転移先に、既に砲撃が…

目の前まで砲弾が迫って…

 

綾波「っ…が…あ…」

 

両腕を交差させて受けたものの、オートガードのカートリッジでダメージを抑えたものの…

 

綾波(読まれたか…ボヤけた頭で変に動いたのが悪い…考えて動いたつもりが無理矢理反撃しようとしたせいで…)

 

綾波「!」

 

私を取り囲むように地面に魚雷が突き刺さる

 

綾波(不味い!流石にこの距離でこの数は…)

 

魚雷の炸裂を、防ぐ術なく受ける

 

アヤナミ「…まだです!」

 

狭霧「ええ!」

 

容赦のない追撃

砲撃の威力を強める各種カートリッジ…

 

綾波(…殺す気だな)

 

狭霧「転移しましたよ!」

 

カートリッジの起動音を聞かれた、このやかましい砲音の中で…意識は鋭く研ぎ澄まされているらしい

 

綾波(なら、当然生半可では勝ち目はない)

 

アヤナミ「どこに…」

 

綾波「ここですよ」

 

アヤナミを真下から蹴り上げる

 

アヤナミ「っ…!」

 

あえて防がせる事で、足元をガラ空きにし…

 

綾波「反応が、遅い!」

 

下段の回し蹴りで脚を取り、続いて上段の回し蹴りを叩き込む

 

アヤナミ「っあ…!」

 

綾波「やはりこんなものですか、完治したオリジナルボディでそれでは、全く、程度が知れる」

 

狭霧「やあぁぁーーっ!」

 

綾波(接近戦!)

 

狭霧と互いに片腕を掴み合う形になり、膠着する

 

綾波「愚直な接近戦とは、あなたらしくもない」

 

狭霧「いいえ…これが私らしさです!」

 

綾波「!?」

 

ここは何処だ!何故落ちている!

 

綾波「…まさか!空に!」

 

狭霧「上空2000メートルから自由落下です…そして、逃げ場はありませんよ…!」

 

空に転移して…!?

しかも、がっちりと捕まえられて、ろくに身動きも…

このまま2人で死ぬほど馬鹿ではないと信じたいが.

 

綾波(…まさか!狙いはカートリッジの消耗か!)

 

既にかなりの速度で落下している以上、このまま地上に転移したところで落下の衝撃をもろに受けてしまう、だから一度この落下の勢いを殺さなくてはならない

その為には、まあ要するに地球の真裏にでも行けば良い、そうすれば上下が逆転する、すると落下の勢いを利用しようとして上昇する事で勢いが死ぬ

そこで改めてこの場の地上に転移すれば良い

 

だが、困っている点は…カートリッジによる転移をなど行わなくてはならない点だ

 

できるだけカートリッジへの負荷を抑えたいのに…

 

狭霧(どうしますか!そのまま落ちるわけにはいかないでしょう!)

 

綾波(…いや、死ぬなら死ぬだけ!)

 

地面のすぐそばに転移する

 

狭霧「!」

 

アヤナミ(不味い!)

 

落下の衝撃は特になく、ゴロゴロと地面を転がる

 

綾波「…は…はは……そうですよねえ、まだ覚悟ができてないらしい、非情になりきれない…そこが弱さだ」

 

アヤナミ(…重力操作で落下の勢いを殺したは良いけど…)

 

狭霧(…殺せなかった)

 

綾波「折角のチャンス、無駄にしてしまいましたねえ…アヤナミ、あなたが狭霧さんを見殺しにしていればよかった、狭霧さんも自分を殺すつもりで転移すればチャンスはあったのに」

 

狭霧「…私達は…」

 

アヤナミ「私達は非情になるとか、そんなことを望んでるんじゃない!…殺してでも止めたい、でもそれ以上に…あなたを連れ戻したい…」

 

綾波「…未だ、寝ぼけているらしい」

 

狭霧「…もう一度、行きますよ」

 

アヤナミ「…ええ」

 

 

 

 

軽巡洋艦 川内

 

神通「姉さん、私たちもそろそろ始めましょう…良い加減に…またくたびれてしまいました」

 

川内「…いいよ、相手してあげる…でも、本当にいいんだね」

 

神通「何がですか」

 

川内「今なら戻れるんだよ、神通、全部綾波のせいにして逃げられるんだよ」

 

神通「お断りします…私は私が望んでこの場に立っている、私達は信じてここに立っている」

 

川内「信じて?」

 

神通「…この目をもってしても何が正しいのかはわかりません、ですが姉さん、私は…強くなり続けています…それこそが、正しい道を進んでいる証明…だと、私は考えていますが?」

 

川内「……大馬鹿だよ」

 

指輪をなぞり、大鎌を取り出し、構える

 

神通「…姉さんの目は、濁っているのかもしれませんね」

 

神通が距離を詰め、蹴りかかってくる

それを大振りな鎌の斬撃でいなすが…

 

川内(わかってたけど、間合いは完全に不利、本来射程の長いこっちが有利なはずだけど、神通は懐に潜り込む術を熟知してる)

 

今のところ神通は大きな回し蹴りなど、攻撃のテンポが遅いものばかり

だから大鎌で対応できてるけど…

 

川内(神通が隙の小さい動きにシフトしてきたら完全に対応できない…双剣に切り換えて戦うにも、下段の…脚回りばかりを狙われたら相当しんどいし…)

 

となると、受け手に回る戦術は全て不利

 

川内(なら!)

 

大鎌が霧散し、大剣が握られる

刀身に細かなサメの歯の様な刃が大量に付いた大剣…

 

神通「!」

 

神通(大振りで、なおかつ愚鈍な大剣を使う…!?何故!)

 

川内(神通が青葉の真似してたけど…槍以外でも…)

 

遠心力を利用して大きく横薙ぎに大剣を振るう

神通はそれを地面に張り付くように伏せてかわし、カウンターの蹴りを…

 

川内(できるんだよ!!)

 

軽く飛び上がり、大剣の重みでぐるりと回転しながら破壊力最大の一撃を放つ

 

神通「っ…!」

 

脚部艤装で受けられるが、地面が陥没するほどの威力…

目に見えないダメージがあるはず…それに

 

川内「…神通、この大剣はガードしちゃいけないんだよ、忘れた?」

 

神通(そうだ!しまった…!)

 

大剣についた小さな刃が音を立ててチェーンソーの様に回転し始める

 

川内「悪いことする様な脚…一旦斬り落としてお説教だね…!」

 

神通「…どうやら、そうはいかない様ですね…?」

 

…斬れない

 

川内(硬すぎる…!?いや、違う、斬ってる感覚はある!…増殖で修繕してるのか…!)

 

一度大剣を引いて振りかぶり、振り下ろす

 

神通「っ…!…危ないですね、生身にそれを受けたら…」

 

そう、生身に当てれば一撃で一刀両断にできる

でも、私はできれば殺さず捕まえたい…

 

神通(…一度回避に専念するか!)

 

神通が逃げ回るが、それを追って周囲の建物ごと斬りつける

大剣の威力に臆したわけではないはず…

 

川内「やああぁぁぁッ!!」

 

建物の壁ごと粉砕する

 

神通(…アレではないな、このあたりにあるはず…)

 

川内(何か、探して…)

 

神通(…さっき足元の地面を叩き割られた時、視えた…いや、まて…)

 

神通が立ち止まり、こちらを向いて手を向ける

 

川内「っ!」

 

神通の手に…黒い物質が形成されていく

そして、それを自身の顔に当てる

 

川内「…黒い、目隠し?」

 

神通「…ああ、視えた」

 

川内(なにが…)

 

川内「何が!!」

 

神通に飛びかかり、大剣を振り下ろす

 

川内「那珂が傷ついたのを見て!何もしなかった癖に…何が視えただ!!!」

 

神通が半歩引いて剣戟をかわす

地面を大きく抉り、突き刺さった大剣を踏みつけられる

 

神通「何も思わなかったわけではありません」

 

神通がうつむき、少し屈む

 

神通「那珂ちゃんが傷ついて、死ぬかもしれないと思って…ショックでしたよ、でも…世界のために必要な犠牲なのかもしれないと思いました」

 

川内「犠牲…?ふざけた事…」

 

神通が大きく屈み、息を吸い込む

 

川内(何して…)

 

神通「ふーっ」

 

神通がこちらに息を吹き付ける

 

川内(な…この、匂い…ガス!?)

 

神通が歯を合わせ、その歯を見せたまま微笑む

 

川内(仕込みの火打ち石…)

 

カチッ…

小さな火花がガスに引火し、爆発を引き起こす

 

 

 

 

 

川内「…かはっ…ぁが…」

 

神通「……素敵な作戦でしょう?増殖を持つ私だからでから、自爆特攻の様な…本当は直接肺にこのガスを流して引火させようと思ったんですが…やはり姉妹ですから、姉さんを殺してしまうのは、忍びないな、と」

 

川内「じ…神通…!!」

 

神通「…姉さんの目はやはり濁った、この街のガス管の位置を私が把握した時、愚かにも「視えた」と言ったのに、それが癪に触って無駄な突撃…らしくありませんよ?」

 

神通が踵を返し、去っていく

 

川内「…待て、神通…!」

 

神通「私はこの世界が善くなると信じています、だから綾波さんに近づいた…あの人が瑞鶴さんを殺した時、それも正しいのかすらわからなくなりましたが…ですが…私の眼は、この道を観ている…進むべき道は…もう視えている」

 

神通は…止められなかった…

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