元勇者提督   作:無し

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prayer

神奈川 横浜

摩耶

 

摩耶「おい!ここ通れねえってどうなってんだよ!」

 

みなとみらいへの橋が戦車やら金網やらで塞がれていて、通れない

 

警官「この先でテロリストとの戦闘があってね、危険だから封鎖してるんだ、危ないから離れて」

 

摩耶「んな事知ってるよ!通せ!」

 

警官「もし家族や友達のことを探しているのなら向こうに避難所と、行方不明者の名前を伝える場所があるから…」

 

摩耶「そうじゃねえ!アタシは…!」

 

…アタシは、なんだ?

今のアタシは、艦娘じゃない

世界を超えて、戦わないことを選んで…でも、何のためにここまで来た?

あの、みなとみらいが燃えているニュースを見て、居ても立っても居られなくなって…必死でここまで来たのに

 

今のアタシは、なんだ?

 

アトランタ「だから!ここに民間人を非難させるのを手伝えって!」

 

摩耶「…何だ?あいつ…」

 

日本人っぽくねえ顔して、流暢な日本語話してる外国人…

しかも、後ろには怪我人やら子供やら…

 

摩耶(あいつ、なにモンだ…?)

 

警官「そう言われましても、今は…」

 

アトランタ「ガキだけでも引き取れって…!」

 

…改めて周り見て見りゃあ…戦車やら機銃やらで固めてるってだけじゃなく、その銃口をいつでも向けられる様な状態…

 

摩耶「おい…なんだよこれ、あいつらなんで受け入れねえんだよ…!」

 

警官「民間人に偽装したテロリストが大量に出没したそうで…貴方も危険なので離れてください」

 

摩耶「…だからって…あんな小さなガキも…」

 

アトランタ「… A deep-sea vessel(   え、深海棲艦が   ) Seriously?(マジで言ってんの?)…わかった、なんとかしたいけど…おい!深海棲艦が川登って来てるって!」

 

摩耶(深海棲艦…!?)

 

警官「何と言われても、順番に安全を確認するまでは通すわけにはいきません」

 

アトランタ「テメェそれでコイツら死んだら責任取れんのかよ…!」

 

摩耶(…ここに、深海棲艦が来るのか?…戦車とか機銃ならぶっ殺せるとは思うけど…)

 

砲撃の音が遠くから聞こえる

 

アトランタ「!」

 

摩耶「うわっ!?」

 

戦車の直ぐそばに着弾し、戦車が傾く

 

摩耶(…艤装がないってだけで、当たりもしない弾がこんなに怖いのか?…こんなな、かすりでもしたら、至近弾にでもなったら、体が木っ端微塵に吹っ飛びやがる…)

 

アトランタ「っ…ー…ワシントン!サム!抑えられる!?……数は…っ…Fuck(クソが)!!おい!さっさとコイツら引き取れ!」

 

そういって女が来た道を向く

 

摩耶「…!…駆逐級…!」

 

3匹の駆逐級が砲撃しながら橋を進んでくる

…どうやらさっきの砲撃もコイツららしい

 

今のアタシは、駆逐級相手にビビることしか、できないらしい…

 

アトランタ「まともな武器もないってのに…!」

 

女が艤装と思しき機銃を取り出し、駆逐級相手に応戦する

 

摩耶(アイツも、艦娘…!?)

 

アトランタ「Fuck(クソ)…!全然火力足りない… Give me the flyer(攻撃機回して)!…橋が壊れる!?…クソッ!あたしはこういうの苦手なんだって…!」

 

深海棲艦の進行は止まる気配はない、戦車の砲撃で一体吹っ飛んだけど…

 

摩耶(このままじゃ、アイツらみんな殺される…それで、良いのか?…そんなの…)

 

駆逐級が目と鼻の先まで…

 

摩耶「チッ!」

 

金網に手をかけ、登る

静止する声がした気がしたけど、聞こえない

 

金網を乗り越え、その辺に落ちてた棒切れを拾い、走る

 

摩耶「でえぇぇぇいッ!!」

 

駆逐級に棒切れを叩きつけるも…こちらの手が砕けたかと思うほどの激痛しか帰ってこない

 

アトランタ「な…」

 

女にバカを見る目で見られてる気がしたけど、それも知らない

 

だって、アタシは摩耶だから

アタシがここで逃げ出すなんて、あり得ない

びびって震えてることしかできなくて…そんなの、堪えられるか

 

摩耶「…確かに硬ぇけど…目ん玉ならどうだ!この野郎!!」

 

棒切れを目ん玉向けて突き刺す

駆逐級が吠え、暴れるも…それを無視して深く突き刺し、抉り込む

 

摩耶「この野郎…!」

 

アトランタ「look out(  危ない  )

 

摩耶「あ…?」

 

もう1匹の駆逐級が大口開けてこっちに…

 

摩耶「っ!……なん、だ…?」

 

迫って来た駆逐級が銃撃を受けて止まる、そして止まった瞬間その駆逐級の両目が撃ち抜かれ、潰される

 

アトランタ「…は…あ…」

 

続け様に銃撃を受け、駆逐級の頭が割れる

そして、もう1匹も同様に銃撃を受ける

 

キタカミ「…よっ、間に合った?」

 

摩耶「…は…?」

 

アトランタ「キタカミ…!?な、何でここに…いや、助けに来るならもっと早く来いよ!」

 

キタカミ「ダメだよアトランタ、そんながなりたてたら小さい子が泣いちゃうからさ」

 

キタカミが手に持っていた小銃を自衛隊のヤツに返す

 

キタカミ「いやー、怪我なさそうで何より、来た甲斐もあったってもんだよ」

 

摩耶「お、おい…キタカミだよな…!?」

 

キタカミ「はいはい、そうだよ、久しぶりっていうか…初めましてになんのかな…?」

 

 

 

 

教導担当 キタカミ

 

アトランタ「…アンタのおかげであっさり通れたけどさ…何でここにいんの」

 

キタカミ「アンタらが出てった後にね、まあアケボノとか提督と話して、監督役として行って来いって、間に合わなかっけど…あとほら、委任状…コレがあれば多少の融通は効くしさ」

 

摩耶「…無事だったんだな、お前ら」

 

キタカミ「え?…ああ、離島潰された時のこと?まあ、無事っちゃ無事か…」

 

アトランタ「…なんでここの奴らは、こんな事」

 

キタカミ「暴れたのが人間だったから、銃火器持ち込まれちゃ堪らないだろうしね、被害を抑え込むのでいっぱいいっぱいだろうし」

 

アトランタ「…通して良かったワケ?アンタの独断でさ」

 

キタカミ「銃火器持ってる奴はいない、その確認さえ取れれば良いし…それよりも怖がるべきなのは、ここ通るのが遅れて深海棲艦に喰われるやつでも出たら…?」

 

摩耶「…それはわかンだけどよ、1人できたのか…?武器も無しに?」

 

キタカミ「武器はあるよ」

 

指輪に視線をやる

コレさえあればナノマシンを操作して主砲を生み出せる…

 

キタカミ「…でもそれより足がいる、私はあんまり早く動けないし」

 

摩耶「…足、悪ぃのか?」

 

キタカミ「良くはないよ、潰れちゃいないけど…阿武隈か不知火でも連れてくればよかったかな…流石に自衛隊とか警察隊の車両動かせるほどの権限ないしさ」

 

アトランタ「細か…」

 

キタカミ「そうだねえ、でも細かく権力が分かれてるから安全ってこともあるでしょ、混乱も抑えられるだろうし…向こうは向こうの上がいる、だからこっちもこっちの上を使う」

 

摩耶「上?」

 

キタカミ「…お、来た来た」

 

遠くに見えるのは、軍艦の船団…3隻ほどだけど

あれだけあれば充分か

 

アトランタ「戦艦…?」

 

摩耶「護衛艦ってんだよ…たしかな、アレを動かしたのか?キタカミが?」

 

キタカミ「そ、横須賀に発破かけてね、大淀もなんか動き遅かったのは気になるけど…とにかく、あれで安全に海を渡れるワケだ」

 

アトランタ「海を渡るのはヤバいってLinkの奴らが…」

 

キタカミ「普通の船ならそりゃあね、そっち(アメリカ)だって輸送とか、止むを得ず海を渡るときは船使うでしょうよ、ちゃんとしたやつ、それに今回は優秀な護衛部隊もいるんだから、心配無いって」

 

摩耶「へぇ…」

 

キタカミ「どしたのさ、摩耶」

 

摩耶「お前がそんなふうに褒めてんの、滅多に見たこと無えから」

 

キタカミ「ま、そんだけ優秀なんだよ」

 

アトランタ「……」

 

アトランタがそっぽを向く

 

キタカミ「何?照れてんの?」

 

アトランタ「… No, it's not( そんな事ないし  )…」

 

キタカミ「愛い奴(ういやつ)め…まあまあ、遊んでる暇も無い…し…?」

 

この匂いは…潮風に乗って、確かに感じたこの匂い…

 

キタカミ「…チッ…行こうか、話しなきゃならなくなったみたいだし?」

 

 

 

 

 

船室

 

キタカミ「お邪魔しまーすよっと」

 

綾波「…他の船室に目もくれずここに最初に来る当たり、全く迷いがありませんね」

 

キタカミ「いい部屋だねえ…ちゃ〜んと客室だ」

 

ソファに腰掛け、綾波の方に視線をやる

 

キタカミ「で?大淀殺したの?」

 

綾波「いいえ、青森にあるLinkの基地に向かってもらいました」

 

キタカミ「何のために」

 

綾波「…青森には、人間の脳を保存し、それを巨大なコンピュータとして運用する設備があります」

 

キタカミ「……黒い森だっけ?そんな都市伝説聞いた事あるわ」

 

綾波「事実です、私も今それに接続していますし」

 

キタカミ「…で、それが何?」

 

綾波「私はそこに囚われた人たちを解放したい…彼らは決して何かの罪を犯したわけではありません、ただ、無作為に選ばれたモルモットというだけ…そんなのは、あんまりでしょう?」

 

キタカミ「……私はさ、綾波」

 

脚を組み、目を閉じ、息を吐く

落ち着け…綾波の返答次第では、殺し合いになる

 

鋭く研ぎ澄ませ

 

キタカミ「あんたの目的は、クビアの討伐だと思ってる」

 

綾波が目を丸くする

 

綾波「…何故?」

 

キタカミ「…そこがわからない…思えば、アンタの行動は不可解なことが多かった、Linkを設立したと思えばそれを捨ててさ、次はなんか山ほど兵士集めて」

 

綾波「Linkはもう邪魔になりましたから」

 

キタカミ「んー、そこでさ、一つ思ったのさ…情が湧いたんじゃ無いかってね」

 

綾波「情?」

 

キタカミ「…アンタは賢いよ、百と一万なら迷いなく一万を選べる人間だとは思うね、でも…それは赤の他人に限った話、例えば私がその状況で、一人と一万人で…その一人が大事な仲間だったら…」

 

綾波「あなたは一人を選ぶ…と」

 

キタカミ「そう、極端だけどさあ…そういうことになる、青葉から聞いたよ、ガングートってやつが言うにはクソくだらない事で泣いてくれるやつだって」

 

綾波「……」

 

キタカミ「アンタ言ったよね?私とアンタは良く似てるってさ、綾波、アンタの狙いは、近いうちに顕現するであろうクビアの排除…それは、自分が大事な人を守るため、だからどんな事でもしようとしてる」

 

綾波「もし、そうだとして…あなたは私と同じ道を歩みましたか?」

 

キタカミ「…いいや、私は弱いからさ、みんなに助けてって…言いたくなるよ」

 

綾波「…それができるのが、あなたの強さでしょう」

 

…どうやら、殺し合わなくては…いいらしい

 

綾波「…しかし、あなたが、答えに辿り着けるとは」

 

キタカミ「……これは、なんのマネ?」

 

…鉄臭い…

入念に隠されていた、鉄の匂いが…鼻腔に触れた

 

綾波「…あなたを返すわけにはいかなくなりました」

 

キタカミ「…クビアを斃すなら、一緒に戦えばいい…何か間違ってるのかね」

 

綾波「ええ、大間違いです、この罪滅ぼしに…道連れは必要ありません、私は私一人で成して見せます」

 

キタカミ「…アンタ、ほんっと…馬鹿だねえ…」

 

綾波「ええ、そうですよ…私はバカの頭でっかちです…だから、もう、手を出さないでください」

 

キタカミ「……いいや、気が変わるまで、大人しく捕まってあげるよ」

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