元勇者提督   作:無し

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横浜

工作艦 明石

 

海斗「これでようやく仕事も終わったし、帰れるね」

 

アケボノ「明石さん、わざわざ来ていただいてすみません」

 

明石「いえ…いきなり来いと言われた時は何事かと思いましたけど…」

 

海斗「偽装に関わる事は僕達にはあんまりわからなくて、でも明石のおかげで納得してもらえたみたいだし…本当に助かったよ」

 

明石(と言うより、オカルトじみた技術に理解を諦めたみたいに見えましたけど…)

 

アケボノ「…デモ、少し人の数が減ってますね」

 

明石「飽きたんじゃないですか?」

 

海斗「いや、キタカミからメールを受けたんだけど、どうやらニュースの影響でデモが間違ってるって意見が出てきたらしい」

 

アケボノ「ニュース、私たちを攻撃してきたのもニュースではあるのですが」

 

SNSを開き、軽く調べる

 

明石「わ…ホントだ、みなとみらいの一件、艦娘のせいかもしれないけどまともな人まで攻撃するのはおかしいって」

 

アケボノ「…デモに対するデモですか、面白くなっていますね」

 

海斗「これで少しはマシになってくれれば…」

 

アケボノ「キタカミさんからお土産の要望リストが来ていますが…」

 

海斗「…多分、時間をかけて帰ってこいってことかな…」

 

明石「時間をかける?」

 

アケボノ「恐らくですが、時間が経てばデモに参加する人間も減って出入りが楽になるでしょう…特に、このデモで標的にされるのは私達艦娘以上に提督の様な指導者です」

 

海斗「…気を遣わせちゃってるな…」

 

アケボノ「ここはお言葉に甘えて要望通りの買い物をしましょう、荷物は…最悪、私が保管します」

 

明石「どうやって?」

 

肩に何かが寄りかかる

 

明石「へ?」

 

そちらを向くと、黒い三角形の鋼鉄でできた蛇の顔…と言うより、これは…

 

明石(れ、れれっ…レ級の…)

 

アケボノ「この尻尾に呑ませれば簡単です」

 

海斗「アケボノ、誰かに見られでもしたら…」

 

アケボノ「はい、使う場所は弁えるつもりです」

 

明石「…心臓止まるかと思った……」

 

…でも、お土産買いに行くのかぁ…

要求されてるものはいろんな種類があって、買って回ると本当に1日では終わらない…

 

明石「これは手分けしても無理ですね…ある程度絞らないと」

 

海斗「この辺りのお菓子とかはまとめて買おうかな…」

 

アケボノ「……土産屋で買えないものを要求されるのは面倒ですね」

 

明石「…とりあえず、手分けします?」

 

海斗「僕は先に新幹線の切符を買ってくるよ」

 

アケボノ「では私はこの専門店を回ってきます」

 

明石「じゃあ私はお土産屋さんを適当に…」

 

 

 

 

 

 

実験軽巡洋艦 夕張

 

夕張「…さて、どうする?横須賀があの有様じゃ私達に居場所は無いわね」

 

横須賀鎮守府は提督が不在の為、他所から代理がやってきて、完全な管理体制を敷いていた

まあ、だけどその体制になったせいで逆に色々な歪みが現れ、みんな気が立っていたし…デモ隊に囲まれてるし

 

夕張「どこに行こうかなあ…研究ができる場所…」

 

瑞鶴「それは…まあ、このケーキを食べてからでも良いんじゃ無い?」

 

夕張「同感…はー…綾波も気を利かせてお小遣い持たせてくれてるなんて…ありがたいなー、確かに貯金に手をつけるのはまずいし…」

 

瑞鶴「銀行の履歴に残るからね…」

 

ケーキを口に含み、

 

夕張「んー…甘いクリームにビターなラテ…まさしくベストマッチ…でも、この辺のお店はもう来れないと思ってたけど…」

 

瑞鶴「大丈夫、イニスの力で私達は別人に見えてる」

 

夕張「碑文使い様々ね…」

 

瑞鶴「…あれ?」

 

夕張「どうかした?」

 

瑞鶴が窓の外を指す

 

夕張「……あの大荷物抱えてるのって、明石だ」

 

窓の外の明石と目が合う

 

夕張「やばっ……って、大丈夫か」

 

瑞鶴「そうそう、私たちの姿はちゃんと認識できないんだし」

 

一度目を離し、再び見た時には明石はいなかった

 

夕張「…ああ、居なくなってる…そりゃそうか」

 

瑞鶴「相手から見たら私たちは見ず知らずの一般人だからね」

 

…少し、寂しい気もする

多くはない友達の1人が、私を忘れたのではないかと、寂しさを感じる…

 

夕張「まあ、でもそんなのはこの憩いのひとときの前には…」

 

明石「そんなのって?」

 

夕張「え?そりゃあ明石に忘れられたんじゃないかって…」

 

瑞鶴「夕張って案外寂しがり?」

 

夕張「まあ…ほら、こんな生活してると人肌恋しく…って、言わせないでよ!……ん?」

 

瑞鶴「…あれ?」

 

明石「夕張、生きてたんだ」

 

夕張「…瑞鶴…さん?」

 

瑞鶴さんが驚きのあまり席を立ち上がる

 

瑞鶴「そんな…イニスの力は正常に作用してるはず…!」

 

明石「…何をそんな驚いて…」

 

瑞鶴「まさか、何で私達だってわかったんですか…!?」

 

明石「…何言ってるんですか?2人とも…」 

 

夕張「…明石、私普段と見た目違う?」

 

明石「いつも通りの夕張…っていうか!話が…」

 

瑞鶴「あり得ない!…あり得ないあり得ないあり得ない…!つまり私達は姿を隠せてるつもりでその姿を晒したまま…?いや、嘘…だとしたら全部破綻…!?」

 

夕張「瑞鶴、一度落ち着いて、ここ店内だし……あれ?」

 

…確かに店内だし、瑞鶴は場所を選ばずに取り乱したのに…誰も反応してない…

 

瑞鶴「……違う、おかしいのは私達じゃない…」

 

夕張「え?」

 

瑞鶴「何で見えてるんですか…?イニスの力をすり抜けて、私達を認識できてるなんて…何をしたんですか…?」

 

つまり、瑞鶴は姿形を操作し、取り乱してる事すらも周りに悟らせなかったのに…

なのに、明石は正常に認識している

 

明石の方がおかしいのは、頷ける

 

明石「へ?」

 

夕張(…イニスの力をすり抜けて認識…まさか、新しい発明?)

 

夕張「明石!いったい何を開発したの!?碑文の力を無視するなんて…!」

 

知りたい、何を作ったのか、何を使ったのか!

 

夕張「可視光に作用する眼鏡…はしてないから!コンタクトとか!?それとも神経系を直接いじった!?」

 

明石「い、いや…何もしてないけど」

 

瑞鶴「嘘、あり得ない……って、その眼…」

 

明石「へ?…眼…?」

 

瑞鶴「…メイガス、そうだ、メイガスのダミー因子を持ってるんじゃ…」

 

明石「え?…そ、そうですけど…」

 

夕張「…そういうことかあ…」

 

明石「え?何?何の話?」

 

夕張「…ダミー因子のこと、忘れてない?」

 

明石「忘れてないけど…じゃあ、2人を認識できるのは因子のおかげって?」

 

瑞鶴「じゃないと説明がつかない…でも、神通は私を認識できてなかった…」

 

夕張「ちょっと待って…本当に神通は私たちを認識できてなかったの?」

 

瑞鶴「視覚を司るメイガスの力が作用してないはずは………いや、明石さんって…視覚増大の影響をそもそも受けてんの?」

 

明石「…いや、特に…」

 

夕張「そもそも今は何が起きてるの?」

 

明石「…別に、ただ横須賀に用があって、その帰りに見つけて会いにきただけ…」

 

瑞鶴「……ごちゃごちゃしてきたし、場所変えて整理しない?」

 

 

 

 

明石「…まあ、まとめると、そっちも極秘任務で動いてるから、私に他言しないで欲しいと」

 

夕張「そっちは私たちが生きてるのを確認できて満足だ、と…」

 

瑞鶴「で、結局何故見えてるのかは不明…と」

 

夕張「んー……本当に普段の生活にも何の影響も?」

 

明石「ありません」

 

瑞鶴「見えちゃいけないものが見えたり」

 

明石「それもありません」

 

夕張「機械の中身が見えたり?」

 

明石「あ、それはあるかも」

 

瑞鶴「やっぱり原因不明か…」

 

夕張「…いや、今のスルーするの…?機械の中身が見えるってどんなレベル?」

 

明石「それは…こう、ほら、配線とか、全部大体透けてるみたいにイメージできるって言うか…」

 

瑞鶴「…それって透けてくるの?それとも最初から?」

 

明石「…頭の中で組み立てる感じだし、だんだんと理解したところから見えてくるから、透けてくるって方が…でも、流石に関係ないと…」

 

瑞鶴「ならこれは」

 

明石「え?……んー…」

 

明石がこちらを注視する

 

明石「うん、ちゃんと見えます」

 

夕張「何をしたの?」

 

瑞鶴「今、光の屈折の角度を変えて私達の姿をまた別の姿に変えたのよ、例えば服の色が変わってたり、そもそも透明になったりもできるのは知ってるでしょ?」

 

夕張「いや、それは知ってるけど」

 

瑞鶴「じゃあ、明石さん、どっちが私かわかる?」

 

明石は迷わず瑞鶴を指指す

 

瑞鶴「…ふむふむ、よし、わかった、やっぱメイガスの力だ」

 

明石「えっと…?」

 

瑞鶴「明石さん、艤装の修理するとき細かい破損とかも気づく?内部パーツの欠陥とか」

 

明石「まあ…そりゃあ、それが仕事ですし」

 

瑞鶴「見えない部分も?」

 

明石「え?……あー…?」

 

夕張「そう、か…明石は本来見えないものを見る事ができる…?」

 

瑞鶴「いや、正確には、本質っていうか…隠れた部分を見る力っていうのかな…神通は視野が広いとか、遠くが見えるって形に発現してたけど、明石さんは重要な物を見落とさない力…」

 

夕張「同じ碑文の力でも、違うって事?」

 

瑞鶴「だってそうでしょ?例えば特務部の秋津洲と大湊の弥生は?秋津洲の方は二式大艇が“触れて”感じた物を感じ取れる、弥生は自分が“触れた”ものから様々な感覚を得る…同じ触覚でも違う」

 

明石「あ!それなら、アケボノさんも言ってた事があります、綾波さんがコルベニクを使ってた時、アケボノさんの阿頼耶識に作用して操った事があるとか…でも」

 

夕張「でも?」

 

明石「キタカミさんと朧ちゃんは同じな様な…」

 

夕張「……まあ、似通ってるのかそれとも全く同じもあり得るのか…」

 

瑞鶴「元々かなりオカルトな力だし…私もこの力を完全には理解してないし…使い過ぎたら消耗するしで…」

 

明石「…そういえば、たしかに私も最近艤装を修理したり改修するとすごく疲れるかも…」

 

夕張「どうやらその線で正しそうね…」

 

瑞鶴「…ねえ、明石さん?」

 

明石「はい…?」

 

瑞鶴「本当に他言しないでくれる?」

 

明石「…まあ、もちろん」

 

瑞鶴「…手を貸してくれない?」

 

夕張「瑞鶴?」

 

瑞鶴「夕張…上手くやれば、ね」

 

明石「手を貸すって、何をすれば?」

 

瑞鶴「宿毛湾泊地の工廠…貸してくれない?」

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