元勇者提督   作:無し

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Source of terror

The・World R:X

データ潜航艦 グラン・ホエール

軽巡洋艦 那珂

 

那珂「うわー…本当に電ちゃんじゃん」

 

電「お久しぶりなのです」

 

ブラックローズ「ってか…リアルデジタライズがそんなに頻繁に起きるって、本当に大丈夫かよ、そのうちリアルの人間全員ネットに入るんじゃねーの?」

 

那珂「冗談じゃないよ…」

 

…もし、リアルデジタライズという事象が各地で起きたら

もし世界中の人間がデータにされてしまったら…

 

那珂(あ、あれ?何この感覚…いや、感情…?)

 

わからない、だけど…どこか、悪くないなと思う自分がいる

それは間違いなく、私の本意ではなかった

 

なのに、私の内から湧き上がっているこの感じ…

 

那珂(…何か、変)

 

私の望みとはかけ離れている、だと言うのに、さっきの言葉が嬉しく感じてしまった

私の意思が、世界の根底を否定している様なものだ

 

ネットとリアルを分かつために前の世界を終わらせたのに、その意味を失うような事…

 

那珂「…あれ?」

 

電「どうかしたのですか?」

 

那珂「わかんない…けど、何か、気配がした様な…」

 

ブラックローズ「気配ィ…?」

 

電「一応…過去のThe・Worldで出会ったって人達が奥に居るのです」

 

那珂「…そうじゃなくて、もっと近くに……気の所為かなぁ…」

 

…キョロキョロとあたりを見渡す

 

那珂「あ」

 

トキ☆ランディ「ウパッ!?」

 

ブラックローズ「お、グランディじゃねえか」

 

久々に見た、ギルドマスコットのグランディ…豚鼻の小さなマスコット…

 

グランディに近寄り、抱き上げる

 

那珂(…これの気配?…いや、そんな感じじゃ無かったんだけど)

 

那珂「お名前は?」

 

トキ☆ランディ「お、オイラはトキ☆ランディ!お前たちは黄昏の騎士団じゃないウパな!?何者だウパ!」

 

ブラックローズ「うぱってなんだよ」

 

那珂「那珂って言うの、ヨロシク!それより、ちょっと教えて欲しいんだけど…」

 

グランディの眼をジッと見る

 

トキ☆ランディ「な、なんだウパ!オイラは食べても美味しくないウパ!」

 

…今、目線が向いた先か

 

那珂「そこに誰が居るの?」

 

ブラックローズ「は?」

 

電「…誰か居るのですか?」

 

トキ☆ランディ「な、なんの事だウパ!」

 

那珂「さっきから気配はあったんだけど、この子の目線で確信したの、グランディって独自に成長するAIが入ってるらしいんだけど…AIってさ、嘘とかつくと思う?私はつけると思う」

 

電「AIが嘘をつけるかは、良く知っているのです」

 

ブラックローズ「だからそれがどうしたんだよ」

 

那珂「何かを庇うこともできる…として、この子は今、嘘をつきながら、その庇いたいものの方に目線を送った…私達には見えてないからって迂闊にもね」

 

トキ☆ランディ「な、なななな何を言ってるウパ!彩花はそんなとこにはいないウパ!」

 

那珂「へー、彩花って言う子が居るんだー…出てきてよ、那珂ちゃん達はトキオくんに協力する事にした…ってだけで、敵じゃないんだよ?」

 

彩花『……はぁ…コピー元に似てほんっとにバカね…!』

 

学生服姿の女の子が姿を表す

 

那珂「…PCボディじゃない…?」

 

彩花『ホログラムよ、だから何したところで意味ないから』

 

那珂「…全身ホログラムで取り込んじゃって良いの?身バレするよ?」

 

彩花『そうかもね、でもグランホエールまだバレてるんだし、隠し事するよりは全部曝け出して本当に味方にした方がマシでしょ?』

 

ブラックローズ「てめえの態度次第だがな」

 

彩花『こっちだって、そっちの態度次第でアンタ達をデータの海に羽織り出せるんだから』

 

那珂「あのー、喧嘩しにきたんじゃないんだけど…?」

 

電「そうなのです、電達はただリアルに戻りたいだけなのです」

 

彩花『…なら、あたしに協力して…目的さえ達成できれば、リアルに返してあげられる…はず』

 

那珂「その目的って?」

 

彩花『……クロノコアを集めて、アカシャ盤の頂上を目指すこと』

 

那珂(目的ハッキリしてるようでしてないなー…多分たどり着いて終わりじゃないよこれは…)

 

那珂「で?クロノコア?は、後いくつ必要なの?」

 

トキ☆ランディ「トキオは三つめのクロノコアを手に入れたウパ!だからあと一つだけウパ!」

 

ブラックローズ「へー、どうやって手に入れるんだよ」

 

トキ☆ランディ「時代の乱れを修正することでクロノコアが手に入るウパ!」

 

那珂「具体的にはどうすれば時代が修正できるの?」

 

トキ☆ランディ「そ、それは…良くわからないウパ…今のところ、過去に起こったことの追体験を重ねていくと手に入ることがあるウパ、ただ、一つ目は知らないうちにシックザールが入手していたのを奪ったウパ」

 

彩花『三つ目も、シックザールが手に入れそうだったところを奪い返した…みたいな感じらしいわ』

 

那珂「ふーん……じゃあまたシックザールに取らせる?」

 

ブラックローズ「そんで手に入れたとこを叩きのめすか」

 

トキ☆ランディ「ぼ、暴力的だウパ…」

 

彩花(とんでもない奴らがきたわね…)

 

那珂「…わっ…地震?…って、これ、おおきな艦なんだっけ?」

 

足元が揺れる

 

トキ☆ランディ「2017年のマク・アヌに到着だウパ!」

 

那珂「2017年…って、第三次ネットワーククライシスの起きた?」

 

彩花『そうなるんじゃない?』

 

那珂(提督の時代だ…じゃあ、わかることもあるかも…!)

 

 

 

 

 

 

リアル

離島鎮守府跡地

綾波

 

綾波「…宿毛湾泊地にいる?しかも医療班として…?何故…カートリッジの作成のために横須賀に行ったんじゃ…」

 

夕張『あー…あはは…その、色々面倒なことに巻き込まれて…特に横須賀は警備が厳しいし…途中で明石に見つかって、メイガスの眼でバレたりして…』

 

綾波「…それで?」

 

夕張『いっそのことと思って、宿毛湾に匿ってもらったんだけど…タイミング悪く青葉ちゃんは倒れるし、川内が調子崩してメンタルケア必要になるし…あと、瑞鶴のリアルデジタライズは失敗するし…』

 

綾波「そうですか…そう言うふうに進んでしまってるのは仕方のない事です、いつ何が起きても良い様に、カートリッジだけは早めにお願いしたいのですが…」

 

夕張『は、はい…ごめんなさい…』

 

綾波「いえ、責めているわけでは…そうだ、その…楽しいですか?…いや、違うな、今、幸せを感じていますか?」

 

夕張『え?』

 

綾波「あなただって、医学や科学の知識を身につけたのは…誰かの役に立ちたいからでしょう?その…だったら今、それが役にたって、幸福を感じられているのかなって」

 

夕張『そう言う意味なら、いいえ…私じゃ全然力不足なんだなって…』

 

…夕張さんは優秀な人だ、夕張さんほどの人が壁に阻まれるとなると…

 

綾波「そんな事はありません…それに、その状況…あなたなら楽しめるでしょう?」

 

夕張『え?』

 

綾波「あなたなら、なんだってできるでしょう…?だって、この私があなたを評価してるんですよ、あなたはその分野に於いて“天才”だ…とね」

 

夕張『…私には、あんまりにも重い称号だけど』

 

綾波「でも、それに見合った活躍をしてくれる」

 

夕張『……わかった、期待してて、すぐに仕上げるから』

 

綾波「ええ、お願いします」

 

通信を切り、眼を閉じて目頭を強く摘む

 

綾波(計画が狂い続けている…か、それと…一昨日の夜の地震が気になる、ずっと頭に残っている、地震の一つや二つで何が狂うと言うのか…深い深い海の底に、何かあるとでも言うのか)

 

綾波「…キタカミさんの海洋恐怖症がうつったか?いや…違うな…そんなに軽い考えではいけない、不安だと言うのなら徹底して潰さなくてはならない」

 

…私1人で終わらせられるのか?

 

心臓が痛い、鼓動が早くなって、不安になって、焦燥感に駆られる

 

綾波「……計画の変更を迫られている……いや、今更そんな事…くぁ…」

 

大きく欠伸をする

 

綾波「…一息入れますか」

 

 

 

 

 

 

山風「あ…綾波さん…」

 

キタカミ「へえ、あの部屋から出てくることあるんだね」

 

綾波「自分のお茶くらい自分で用意する…何か文句でも?」

 

キタカミ「んにゃ、なんもさ」

 

綾波「……」

 

なんだろう、この胸のつっかかりは

 

私は何に迷っている、何を求めている

 

欲しい答えはどこに落ちている

 

山風「キタカミさん、昨日の続き…教えて?」

 

キタカミ「ん、いいよ、他の駆逐も連れてきな」

 

綾波「…勉強会ですか?」

 

キタカミ「そうそう、物理学とかなら少しできるんだ」

 

綾波(空間把握能力や反射についてはずば抜けた理解を示しているし…適任だろうけど…)

 

綾波「戦闘に関する事じゃないんですね」

 

キタカミ「……私はさぁ…結局、人の才能測れるほど、賢くもないんだよね、だから…出来る限りやれることを、一番良い形でやってあげるよ」

 

綾波「…それは、どういう」

 

キタカミ「常識的な事ならなーんでも、叩き込む…明日から本土で1人で生きていけるくらいにね…」

 

綾波「…ありがとうございます」

 

キタカミ「アンタさ、ほんと回りくどいよね…何でもかんでも1人でやろうとして失敗ばっかしてるイメージだわ」

 

綾波「そうですね…でも、誰かを信じて頼っても、いつの間にかいなくなるんです」

 

キタカミ「…死ぬ時はみーんな1人さ、前の世界で敷波が死んだ時もね」

 

綾波「……」

 

反応を見られているのはわかっている

だから、眉ひとつ…動かしていないはずだ

 

私は敷波のことは忘れた

忘れたんだ

 

キタカミ(…ほんとに記憶ないんかね…?……ま、いいや…)

 

キタカミ「今大事なのは、今だよ、本当に今、1人で解決なんてロクなことになんないしさ、手を借りようとしなよ」

 

綾波「……1人でやるのが、精一杯です」

 

キタカミ「…確かに、あんたくらいになると完璧にスケジューリングしないと周りに仕事任せるの怖いんだろうね、でもさ、周りの奴ら…思ってる以上にやるかもよ?」

 

綾波「考えておきます」

 

…それはもう、Linkでやった事だ

 

ただ、結局、そこでの課題も私にあった

 

そのままであることが、失うことが…ただ、怖い

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