元勇者提督   作:無し

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記録 痛みの森

The・World R:2

Σサーバー 隠されし 禁断の 罪界

            痛みの森

青葉

 

青葉「……ふっ……はぁ…この区画の敵は終わり…か」

 

一度腰を下ろし、体を休める

 

青葉(敵も強いし、数が多い、状態異常も多いから無闇に戦闘したくないな…)

 

…妙な焦燥感が、心を駆る

私の中に何があるのか

 

異質な感覚がずっと私の中で…

 

青葉(……あ)

 

モンスターが目の前で出現(ポップ)し、何かにターゲットを向けて走って行く

 

青葉(ロックされたかと思った…今のモンスターにターゲットされてたら死んでたかも)

 

まだ重たい腰を上げて立ち上がり、モンスターが走った方向を見る

どうやら誰かが戦っているらしい、隠れて様子を伺う

 

青葉「あれは…」

 

三郎「やぁっ!!」

 

青葉(三郎さんだ、いつの間にか追い抜いてたんだ……それにしても、改めて見ると…三郎さんの動き、違和感があるな…)

 

三郎「…はっ!」

 

モンスターが大振りな斬撃を受けて倒れる

 

青葉(…何だろう、この違和感…)

 

三郎「おっ……アンタら…」

 

青葉(気づかれた…?物陰に居るのに…)

 

三郎「リタイアしたと思ってたのに」

 

ハセヲ「誰が」

 

青葉(ハセヲさんだ…ちゃんとここまで来れたんだ…)

 

三郎「いやー…てっきりね……まあ、いいや、私、リタイアするから」

 

ハセヲ「関係ねえ、時間がもったいねえ、リタイアするならオレに構わずどっか行けよ!」

 

無視して通り過ぎようとするハセヲさんの前にアイテムが差し出される

 

ハセヲ「っ…なんだよ」

 

三郎「これやる、回復アイテムその他、要るだろ?リタイアする私には必要無い」

 

ハセヲ「……礼は言わねえぞ」

 

三郎「いいよ、その代わり」

 

ハセヲ「なんだ」

 

三郎「今ならこの贈り物にはもれなく私のメンバーアドレスがついてくる、無料サーバーの広告バナーみたいなもん」

 

ハセヲ「迷惑な話だぜ」

 

三郎「とにかく、モンスターの特殊攻撃がきつい、状態異常かけられてタコ殴りにされたりね…しなくていい戦闘はできるだけ、避けたほうがいいと思う」

 

ハセヲ「…大きなお世話だ!」

 

アイテムを受け取ってハセヲさんが森を駆け抜ける

 

三郎「焼けた鉄板の上の水滴みたいなヤツだな…蒸発しきる前にクリアできるか……おっ!今の例えなかなか!そう思わない?」

 

青葉「…やはり、気付いてたんですね」

 

三郎「まあね、なんか用?」

 

青葉「いえ、でも……その、貴方のキャラ…正規のものではありませんよね…違和感があるんです、動きに…」

 

三郎「…何だ、そう言う話?時間も無いのにそんな事話していいの?」

 

青葉「……」

 

三郎「…このキャラは、貰い物、何か仕込まれてたとしても知らないけど」

 

青葉「誰に」

 

三郎「さあ?…エンダー…って言ってもわからないか…TaN(タン)はわかる?」

 

青葉(TaN……)

 

青葉「トレードギルドの?」

 

三郎「そうそう、でもあんま詳しくなさそうだね、そこのエンダーって名前だったヤツにもらった」

 

青葉(確か、TaNはR:2で超巨大なギルドの一つだった、トレードするならTaNを介してと言われるほど信頼性の高いギルドで、情報のやり取りもあったとか…)

 

青葉「…今って、TaNは…」

 

三郎「え?知らない?解散したの有名だけど」

 

青葉(…この反応、解散直後…?だとすると、時期が割り出せるかも……ええと、確か、TaNの解散は……2016年後半…?……あれ、そういえばTaNの噂でこんな話を聞いた事が…)

 

青葉「……三郎さんは、もしかして…」

 

三郎「ん?」

 

青葉「TaNの…暗部…っ」

 

喉元に剣の切先が触れる

 

三郎「……ははっ、冗談冗談!攻撃しないって!」

 

青葉「…当たり、ですか…」

 

三郎「そう、正解…探偵になれるかもね?…さて、私は帰るや、ソッチは途中参加なら回復アイテムも尽きてないだろうし…メンバーアドレス、要る?」

 

青葉「…いただきます、また機会があれば」

 

三郎「んじゃ」

 

三郎さんがアイテムで離脱する

 

青葉「…TaNの暗部…だからあんな動きを?……いや、どこか違うような…スキル構成も、立ち回りも、熟練したものなのに、なにかがおかしいような違和感…今は、いいか」

 

走ってハセヲさんを追いかける

 

モンスターは一通り倒されていて、足止めも無く進める…

 

青葉「っ!」

 

目の前でモンスターがポップする

 

青葉(戦闘は避けて…)

 

モンスターの放ったエネルギー弾を槍で弾く

 

青葉「っ…!…向こうが見逃してくれないか!…トリプルドゥーム!!」

 

攻撃の合間を縫って大技で仕留める

 

青葉(HPよりMPの問題だ…そろそろ最深部に……)

 

青葉「っ…ハセヲさん」

 

ハセヲ「…ここが、最深部か」

 

青葉「みたいですね…それ、双剣ですか…?」

 

岩に突き立てられた双剣を見る

 

ハセヲ「……」

 

ハセヲさんが双剣に手をかけて、抜く

 

ハセヲ「…っざけんな!!オレは武器が欲しくてここまで来たんじゃねえ!!!」

 

青葉(…そう言えば、ハセヲさんの目的って何なんだろう…クリアが目的では無いことが今の発言から明らかになった、だけど…)

 

ハセヲ「っ!?」

 

青葉「うわっ!?」

 

 

 

 

 

…色が混ざった、異質な世界

刃の振り子が逆さにゆらりゆらりと揺れていて、中心らしき場所には巨大な赤い人形(ヒトガタ)が逆さまに座した状態で浮かんでいた

 

青葉(これは…!かつて、R:1で見たハロルドの…でも、逆さ男がいない…)

 

創造者(ハロルド)の消えた、この場所は何を意味しているのだろうか…

 

ハロルド『我、なんじに問う』

 

青葉「っ…!」

 

ハロルド『我らの娘は、すこやかなりしか?』

 

ハセヲ「なんだ、それ…!」

 

ハロルド『答えよ!』

 

ハセヲ「知るか!誰だよお前っ…!娘って何だよ!?」

 

逆さに座した巨人が赤く発光する

 

ハロルド『なんじにその剣を授ける事、あたわず』

 

ハセヲ「っ!?」

 

青葉「なっ…!」

 

黒い雷がハセヲさんに降り注ぐ

 

ハセヲ「がっ…ああぁ…!!うわあぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

青葉「っ…ハセヲさんが、消えた?」

 

そして、先ほど双剣が刺さっていた台座には、一本の槍が…

 

青葉「……」

 

明らかな地雷だ、だけど、これがクリアフラグなら…

……私の中には一つの思惑があった

 

青葉(…行くしかないか)

 

俯いて微笑み、槍を掴み、抜く

 

 

 

 

 

青葉「……また、ここか」

 

逆さの巨人が、再び問う

 

ハロルド『我、なんじに問う、我らの娘はすこやかなりしか』

 

青葉「……」

 

ハロルド『答えよ』

 

健やか、か…

 

青葉「…わかりません、娘さん…アウラは幾多の災難に見舞われました…そして、今はどこかへと雲隠れしてしまった……」

 

アウラが今どこにいるのかは、私は知らない

 

青葉「でも、貴方の娘は1人じゃない…見えますか?私の隣にいるこの子が…この子は貴方の娘の1人のはずです、確かに貴方の望んだ子ではなかった…だけど、リコリスさんは…貴方を想い、ここに健やかなままに居る…!」

 

…痛みの森のクリアフラグ、ではないだろう

だけど、私には思い浮かんだ、これがリコリスさんにとっての…

アルビレオさんが終わらせて、私のもとにやってきた新たなリコリスさんのイベントのクリアフラグ…

 

ハロルド『なんじにその槍授ける事、あたわず』

 

青葉「っ…!」

 

リコリスさんを庇うように抱き抱える

 

青葉「……雷、じゃない…?」

 

黒い雷は降らなかった

 

ハロルド『…だが……代わりに、なんじを解き放とう』

 

青葉「え?」

 

…何かが弾けた感覚

体がふっと楽になる

 

青葉「……何が、起きて…っ」

 

音ともに、メッセージウィンドウが表示される

 

[eciov.cylを手に入れた!]

 

…クリアフラグ、だと思ったこれは…

開始地点に過ぎなかった

 

 

 

 

 

 

青葉「っ…?……ここは……これ、R:2のカオスゲート…?……エリアの入り口!?…クリア…したって事?…っ!」

 

背後の物音に振り返る

 

ハセヲ「ぐ……っ…ア…!」

 

地を睨み、その爪で土を掴みながら、その獣は立ち上がった

 

青葉「……ハセヲ、さん…?」

 

ハセヲ「……あ…?」

 

…全身を指先まで包む赤黒い獣のような鎧、握られた大鎌

そして、向けられた敵意…

 

私の知っているハセヲ(三崎亮)さんとは、別の…

 

青葉「あっ…」

 

ハセヲさんは、どこかへと転送されて行った

 

 

 

 

 

 

リアル

宿毛湾泊地 医務室

No side

 

春雨「青葉さんが消えた…!?」

 

狭霧「はい!今みんなで探していますが…っ…停電…!」

 

…嵐が来た

雷が落ちて、風がうなって、雨が打ちつけて

みんな静まり返ってるのに、世界だけが騒がしい

 

春雨「…外に出ていたら危険です!私は外を探してきます!」

 

狭霧「念のため艤装を…今は、危険だと思います…何か、すごく嫌な感じが……っ…!?」

 

狭霧が片眼を抑えて疼くまる

 

春雨「狭霧さん…!?」

 

狭霧「熱い…!な、何…!?」

 

春雨「大丈夫ですか!?…まだ非常用の電源が付かない…とにかく横に…」

 

夕霧「すみません!春雨さんか狭霧さん!」

 

春雨「夕霧さん…今忙しいです!後に…」

 

夕霧「朝霧が!朝霧が倒れて…!」

 

春雨「っ…次から次に…急いで連れてきてください!!」

 

 

 

 

 

正門前

 

川内「……ほぉら…来た…やっぱり、終わっちゃうんだ。。この感じ、間違えようもないよ…アレが目を覚まそうとしてる」

 

川内(私達を喰おうとしてる……喰って、完璧なカタチになろうとしてるんだ)

 

川内「…っ」

 

嵐の中、正門を潜って横須賀に行ってた集団が帰ってくる

 

川内(…来ちゃダメだ、来たら、来たら知ってしまう)

 

1人、2人と倒れた

1人は急いで泊地の方に助けを呼びに行ったみたいだけど…

 

アケボノ「っ…!…コレは…何が……」

 

朧「眼が…熱い…!」

 

アケボノ「…共鳴してる…!でも、因子じゃない……何が…!」

 

漣「2人とも!しっかりして…!」

 

曙「潮!医務室は!?」

 

潮「ダメみたい…!」

 

アケボノ「さ……漣!」

 

漣「何!?お水!?」

 

アケボノ「提督に…!提督に、避難を…!」

 

曙「何言ってんのよ…!」

 

アケボノ「っ…早く!!」

 

アケボノ達へと、誰かが近づいて行く

 

潮「…青葉、さん…?」

 

青葉「……」

 

曙「青葉、なにやってんのよ…傘もささずに…!」

 

アケボノ「…違う…!」

 

漣「え…?」

 

アケボノ「ソレは青葉さんじゃない…!」

 

青葉「………カイトは…ドコ?」

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