元勇者提督 作:無し
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
ドームエリア
トキオ
ここで人の流れを見ていても
ここで何かを待っても、何も起きはしない
トキオ「っ…?」
今、人混みの中に…みんなが持ってる武器の中に、見たことある槍が有った様な…
トキオ(気のせい…かな…?)
トキオ「うーん…オレはこの時代で何をすればいいんだろう」
彩花『そんなの、クロノコアを手に入れればいいに決まってるじゃない』
トキオ「うわっ!?彩花ちゃん!?」
彩花『なによ、アンタの監視は常にしてるんだから今更驚かないでよね?』
トキオ「…ずっと出てこなかったもんだから…」
彩花『…まあね、ちょっと忙しかったのよ、でも今のアンタの目的はハッキリしてるでしょ?クロノコアを手に入れる…まずは所持者を探しなさい、あんまり時間がかかる様なら、シックザールを利用して…』
トキオ「カイトと同じ様に手に入れる…って?」
彩花『それもやむを得ないわ、カイトを復活させられなかった様に、黄昏の騎士団が増えないのはイタいけど、シックザールに匹敵する力がある連中が協力してくれるなら問題ないし…』
トキオ「そんなの、おかしいよ…!」
彩花『な、なによ…?』
トキオ「彩花ちゃん…ずっと見てたんだよね!?何も思わなかったの?カイトが青葉に貫かれた時の表情は…?ミストラルの話は覚えてる!?司なんてオレと同じ…ずっと苦しんでたんだ!」
彩花『だからどうしたって言うのよ!こんなのただの…』
トキオ「ただの…?ただのなんだよ!!彩花ちゃんにとって…この世界って何なの?…オレにとっては、ここは、“今“で…“本物“で………」
…でも…
彩花『…なによ…』
トキオ「…彩花ちゃん、一つ聞いてもいい?」
彩花『……』
トキオ「どうして、オレだったの?」
彩花『え?』
トキオ「…オレ、嬉しかったんだ…ゲームの中に入って冒険できるなんて…勇者になるの、ずっと憧れてたからさ……でも、シックザールのやつにも…他の強い敵にも、全然敵わなかった」
スケィス、イニス、メイガス
青葉、ポザオネ、トロンメルにだってかなり苦戦した
トキオ「カイトも、助けられなかった
彩花『アンタねぇ…!何度も言ってるけど、私たちの目的はクロノコア!クロノコアさえ手に入ればそれでいいの!』
トキオ「ちっとも良くないよ!彩花ちゃんの目的はそうかもしれない!でもオレは違う!!オレはカイトを助けたい!この世界で、勇者になりたい…!」
彩花『……』
トキオ「でも……わかってるんだ、オレが来たから…カイトはフリューゲルにやられたんだ…オレがこの世界に来なければ…」
彩花『……あーもう!!だからってアンタがイジけててもしょうがないでしょ!?』
トキオ「……」
彩花『もー!私お風呂入ってくるから!戻ってくるまでにシャキッとしてなさいよ!』
彩花ちゃんのホログラムが途切れる
静かにはなったけど…すごく、心が重たい…
トキオ(もう、何もしたくないや…)
トキオ「……っ!?」
悲鳴が中央広場に響く
トキオ「なんだ…!?」
悲鳴がした方に走る
トキオ「っ…!」
噴水の周りから逃げ出す人達と、その中心にただ1人立ち尽くす男…
長い金髪が一まとめにして、袖なしのジャケット
両腕は…なぜか、青い…
皮膚というか、ゲームの生体金属みたいな…
オルゲル「……見つけたぜ」
トキオ「えっ?」
オルゲル「テメェがトキオだな」
両腕を左右に広げると同時に、左腕がガトリングガンに変形し、右手には大きなリボルバー拳銃が握られていた
オルゲル「返事をしねえってことは、“はい”って事だ」
ガトリングが回転し始め、周囲に向けて弾が乱射される
トキオ「なっ…!?」
慌てて身をかがめ、銃声が鳴り止むのを待つ
ようやく銃声が止み、顔を上げた時にはタウンの所々のグラフィックに穴が空いていた
銃弾を受けた壁、何でデータはどこにも存在しない
つまり、テクスチャとポリゴンを破壊していた…
銃弾を受けた場所、そこだけが、黒くて緑の…謎の穴が空いていた
オルゲル「テメェをぶっ壊してやる…!」
トキオ(ムチャクチャだ…!こいつ…!)
トキオ「お前…!タウンでいきなりそんなもんぶっ放して…!」
オルゲル「知るかよ…テメェだろ?トロンメルをやったのは…ぶっ壊しがいがあるって野郎は!」
トキオ「さっきから壊す壊すって…何なんだよお前!!」
オルゲル「俺は“火吹き男”のオルゲル…テメェを壊しに来た」
周囲に青い
トキオ(これって、結界!?コイツ…!)
トキオ「シックザールなのか…!」
オルゲル「……これで絶対に逃しゃしねぇ……心置きなく、テメェをぶっ壊せるってわけだ」
トキオ(…青葉達と違う、オレを捕まえるかなんてさらさらないんだ…!)
剣を構える
トキオ(……1人で、勝てるのか…?オレに、シックザールを倒す力はあるのか?)
わからない
勝ちの目なんて、殆どない
でも
トキオ(…やってやる!!)
オルゲル「すぐ終わらせてやるよ…」
ガトリングが回転し始め、銃口が黄色く輝く
トキオ(また連射がくる!結界の中には遮蔽物も無い…となると!)
オルゲルに向けてダッシュする
腕一本丸々の巨大なガトリング砲、離れるより近づいた方が当たらないはず…
オルゲル「ハッ!近づけば当たらねえとでも思ったか!?そもそもこれは…」
トキオ「っ!?」
オルゲルが地面に向けてガトリング砲から巨大なエネルギー弾を放つ
そして、弾丸が地面に触れたと同時に爆発し…
トキオ「うああぁぁぁっ!」
地面を派手に転がりながらも、体勢を立て直し、飛び上がる
体勢を戻すのに斬りあげる動作を挟み込み
トキオ「斬烈波!」
遠距離からの斬撃を叩き込む
オルゲル「…痛えじゃねぇか…!」
オルゲルがリボルバーを走りながらブッ放す
当てるつもりの一切ない、接近を避ける様な攻撃で逃げられる
オルゲル「これでもくらいな!!」
そして、次はガトリングの連射
トキオ(クソッ!…ダメだ、一方的に立ち回られてる…俺一人じゃ、どうしても勝てない…のか…)
このままじゃ殺される
このまま、ただなぶり殺しにされる
そんなの嫌だ
トキオ「…クソッ…!どうすれば…そうだ!メンバーアドレス!タウンの中なら…!」
ここはエリアじゃない、タウンの中なら誰かを…
トキオ「呼べない…!?」
オルゲル「結界の中にいる以上、シックザールPC以外は外と連絡は取れねえ…それに、入って来れるのも、出て行けるのもシックザールPCだけだ」
トキオ「…どうすれば…」
オルゲル「まだにどうにかなるつもりで居ンのか?…気に入らねえ…」
トキオ「…どうにか、してみせる…しなきゃいけないんだ!!オレは!」
オルゲル「じゃあ、やってみろよ…!」
オルゲルのガトリングが再び回転を始め、こちらを向く
トキオ(……倒すには、どうすればいいんだ…よく考えろ…!)
トキオ「っ!?」
オルゲル「……なんだ?」
結界の一部が崩れる
電「…これは…?」
トキオ「な…どうして電ちゃんが…!」
オルゲル「……誰だ、テメェ」
よく見ると、電ちゃんの隣に…
同じ歳くらいの女の子が…
トキオ「…いや、それよりもあの女の子の持ってる槍…!」
間違いない、青葉と同じ槍…
トキオ「な、何がどうなってるんだ…!?」
電「この子に…この子に手を引かれてきたのです、トキオさん、ここは…」
トキオ「来ちゃダメだ!殺されちゃうよ!」
電「え?…でも…」
電ちゃんの入ってきた入り口はもう閉じて…
オルゲル「仲間か?…まあどうでもいい、まとめてぶっ壊してやる」
トキオ「なっ…そんな事絶対にさせない!!」
オルゲルに接近し、斬りかかる
オルゲル(コイツ!動きが…!)
剣をガトリング砲で受け止められる
オルゲル「テメェ…!」
トキオ「絶対に、絶対に守るんだ!!これ以上誰も辛い思いをしないために!!」
オルゲル「……気に入らねえな…!俄然!ぶっ壊してやりたくなったぜ…!」
リボルバーの銃撃をギリギリでかわしながら休む間のない攻撃
だけど、それはどれもダメージにならない
トキオ(このままじゃダメだ!一方的に攻撃できてる様で誘われてる…このままスタミナが尽きたところをやられる!!)
盾にされていたガトリング砲を足場にして飛び上がる
オルゲル「正面はダメだから上からか…残念だったな、上に逃げ場はねえぞ!!」
トキオ「それでも!!」
一か八か、たとえダメージを受けながらでも…絶対に倒すんだ!
電「トキオさん!」
一瞬電ちゃんの方を見る
大砲が此方を向いて…撃ってきた
…でも、これは攻撃じゃない!
トキオ(そうか!)
オルゲル「終わりだ!」
オルゲルがリボルバーを撃つと同時に、オレに向かって放たれた砲弾を、体勢を変えて足の裏で踏みつける
トキオ「うおおおおッ!」
砲弾を足場にして空中で更に、前に走る
オルゲルの攻撃をかわし、身体を捻り、剣を振る
トキオ「斬烈波!!」
オルゲル「ぐ…!テメェ…!!」
電「こっちにも、居るのです!」
電ちゃんの砲撃がオルゲルに直撃し、吹き飛ばす
オルゲル「かはっ…!……クソッ!!」
トキオ「このまま追撃して…っ!」
攻撃しようとした瞬間、目の前に光の筋が走り、体が止まる
…死んだ…?
そう感じるほどの恐怖、体が動かない
クラリネッテ「……見切られた?」
背後の声に振り返る
バレエダンサーの様な衣装の、眼帯の女性PC…
トキオ(…新手…!?)