元勇者提督 作:無し
筆者が今春より新生活をはじめるため、近日中に更新を一度停止します
余裕ができましたら不定期ながら再開しようと思っています。
何卒ご理解ください。
それと、常日頃のご愛顧、この場を借りて感謝申し上げます。
失礼致します。
The・World
Δサーバー 終末の 果ての 迷宮
トキオ
トキオ「…まただ」
???『………ぃぃ………しぃぃよぉぉぉ……』
那珂「……近づいてきてない?」
AIKA「振り向いてはダメですの!…絶対に、振り向くことだけはしてはいけませんの」
那珂「…わかってるよ」
電「でも、何かが急速に近づいてきてるのです」
那珂「…さっきの奴と…私の意識を失ってる時間……かなり足止めされてたもんね…」
トキオ「気にしないでよ、それに振り向かなきゃなにもされないんでしょ?」
AIKA「はい、振り向かない限り干渉することはできないですの」
トキオ「これなら、なんとかなりそうだな」
那珂「油断大敵、だけどね…」
???『……のにぃ……』
電「…すぐ後ろに居るのです…!」
トキオ「追いつかれてる!?」
那珂「走るよ!」
トキオ「わかった!」
???『……庇ってやった…のに……僕がキミを……庇って…やった…』
トキオ「っ…庇って…?」
走ろうと差し出した足の先に何かが当たる
トキオ「…これ…この帽子は…!」
…足に当たったのは、カイトの帽子…
AIKA「いけない!振り向いては…それは罠です!」
AIKAちゃんの声より、一瞬早く…見てしまった
後方から迫る影を
カイトの姿を真似た、化け物を
トキオ「っ!…うわあぁぁぁぁっ!?」
???
トキオ「っ……どこだ、ここ…」
…寒い、冷たい…辛い…
何もかもに拒絶されてるみたいで…苦しい…
トキオ(オレ、死んだのか…?…オレ…)
…ゲームの中なら、勇者になれると思っていたのに
苦しみだけが、何度も何度もオレの心をなぞる
シックザールの奴らの声が、オレの中に響く
クラリネッテ『弱い貴方には興味がない』
…手も足も出なかった舞姫…
オルゲル『これで…テメェを完全にぶっ壊してやれるぜ!』
オルゲルにだって、勝ったとは言えない…
フリューゲル『チェックメイト』
…そうだ、この時だ
オレがこの時、カイトに庇われた事で…
カイト『キミには、不思議な力が…あるみたいだ……お願いだ、アカシャ盤に……僕の仲間と、The・Worldを…救って…』
…オレには、無理なんだ…カイト…
AIKA『トキオ…トキオ…!…聞こえますか…!』
…もう、オレじゃ無理だ…
嫌と言うほどわかった
AIKA『…お願いですトキオ…目を覚まして…!』
…オレは、勇者にはなれなかった…
だから…もう…
???『…待ってます』
トキオ(っ…!?)
今の、声は…誰だ?
オレの聞いたことのない声…
???『青葉、キミだけが負担を強いられる理由なんか…』
トキオ(2人いる…?それに、片方は、青葉…?)
青葉『大丈夫です、私がやります』
ぼんやりと、おぼろげに場面が移り変わり続ける
どれも激しい戦いの瞬間を切り取ったかのような…
トキオ(司令官って…誰の事だ…?フリューゲル…とか…?)
青葉『…良いですよ、リコリスさんが行きたい方へ…』
トキオ(これは…青葉の、記憶…?……どうして…)
???『今、自分たちにできることは何か?とにかく…良いと思えることをやっていこう…そうすることでしか、前に進めないから』
トキオ(この声は…カイトだ…!)
そうだ、カイトだ
でも、なんだか、全部がぐちゃぐちゃで、つぎはぎな…
トキオ(…色んな過去を、つぎはぎの過去を…見たんだ…)
カイトがやられるのはもう二回も見た
…ふっと…あたりが明るく…いや、白くなる
那珂『……知ってるよ…わかってる、だって私は強くなるから…姉さんよりもずっと……』
…これは…
司『トキオ!青葉!』
ベア『目的は達成した!司!ログアウトできるか!?』
司『うん…!』
これは…さっきまでとは違う
アルビレオ『もう…消さなくてもいい…!』
トキオ(…色んな、色んな
ああ…そうか…
オレ1人じゃ、なにもできなかったけど…
オレの知らないところでも、歯車は回ってたんだ
だから…オレも…
集まった記憶が、一つ一つの歯車となり…世界を、未来を回していく
トキオ(…オレも…この歯車みたいに…!)
フッと目が開く
カイトの形をした、黒い影がじわりじわりとオレの方へ迫ってくる
カイト『…トォォキィィオォォォォ…!』
トキオ「もう、そんなまやかしは通用しない!!」
両手に握られた剣を振り抜く
…内側から力が湧いてくるみたいに…
体が熱くなって…勇気が滾って…!
トキオ「行くぞ!!」
もう怖くなんかない
オレは後悔も、何もかも…
トキオ「
放たれた斬撃が地面を削りながら飛んでいく
カイトの影を切り裂き、吹き飛ばす
カイト『…痛いぃ…痛いよぉぉ…!』
トキオ「…ごめん、カイト、オレのせいだ…でも、オレは先に進まなきゃいけない…カイトを助ける為に…!」
今までとは、まるで比較にならないほどの力を感じる
トキオ「
カイト『いいぃぃぃ…!』
ポーン…と、頭の中に音が響く
トキオ「!……そうか!わかった!」
両手の剣を振り下ろす
剣が空間を…時間を切り裂いた…
そして、その時空の狭間から
トキオ「来てくれ!司!」
司「トキオ!」
トキオ「力を貸してくれ!!」
司「わかってる!」
司の呪紋に合わせ、絶え間のない攻撃を繰り出し…
トキオ「トドメだ…!」
カイトの影を吹き飛ばす
司「バクドーン!」
司の呪紋でダメージを与えたところに追撃…!
トキオ「ゴートゥ・ヘヴン!!」
カイトの影を、完全に斬り割いた
トキオ「……カイト、オレ、強くなったよ…あの時よりも、ずっと……だから、もう少しだけ待ってて欲しいんだ、必ず助けに行くよ」
影が消えると共に、司も転送されて消えていった
トキオ「……目を、覚まさなきゃな…みんなが心配しちゃう」
Δサーバー 終末の 果ての 迷宮
デュアルエッジ トキオ
トキオ「……っ…!」
那珂「目を覚ました…!」
電「良かったのです…起きたのですね…」
トキオ「…戻って、来られたのか…」
AIKA「おめでとうございます、トキオ」
トキオ「え?」
AIKA「終末の果ての迷宮…その最大の敵…終末を司る者を貴方は倒しました…試練は、達成されたですの」
トキオ「…じゃあ、オレは……っ?」
…いつの間にか、あたりの霧は晴れていた
電「…それにしても、なかなか奇抜な服装になったのです」
トキオ「え?」
自分の姿を見直す
トキオ「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁっ!?」
オレは、リアルデジタライズした時は学生服のままこの世界に放り込まれた…なのに…
トキオ「お、オレの学生服が…ポップなファンタジールックになってる…」
那珂「言うほどポップかな…あと、頭」
那珂が額部分を指す
トキオ「え?おでこ?…オレ、どう……げ、ゲェーッ!?つ、ツノだ…雄々しいまでのツノがニョッキリと…!」
額を突き破って生えているわけではなく、ツノの生えた額当てのようなものが装着されているだけ…なのは救いか
AIKA「……イヤ、ですの?」
トキオ「え?……あー……」
黒と白のインナーに、銀色の防具
所々に時計のモチーフをあしらった装飾
剣も鍔が歯車になった、一対の大きな双剣
トキオ「……まあ……これで学校に行くわけじゃないし…?……それに、割とかっこいいかも!ねぇ!?」
電「悪くはないのです」
那珂「私は好きだよ、勇者らしくてさー!」
AIKA「ほっ……気に入ってもらえたみたいで良かったですの……貴方は終末の果ての迷宮をクリアしました…その証として、新たな力に覚醒したですの」
トキオ「覚醒?」
AIKA「その力はあなたの内に眠っていたものですの…あなた自身の力…さ、さあ!出口はすぐそこですの!」
データ潜航艦 グラン・ホエール
トキオ「……っ…?寝てた?オレ寝てた…?なんだよ…夢オチか…」
那珂「…じゃないね」
電「なのです」
トキオ「え!?これどうなってるんだよ!」
彩花『ふぁぁ…何よ…うるさいわね…』
トキオ「うわっ!?彩花ちゃん!?」
那珂「…ほんとにリアルの服装も取り込んだホログラムなんだね、ネグリジェ一枚は流石にどうかと思うけど」
彩花『それより、何かあったの?』
彩花『……ふーん、じゃあAIKAってPCがアンタらを案内してくれたよね、それでその力を…』
トキオ「…いや、彩花ちゃんが言い出したんじゃないか」
彩花『え?…えーと……………』
那珂(なんか、変?)
彩花『……そうよっ!アタシのおかげよ!か、感謝しなさいよねっ!』
電「…ロールしてた時の方が喋り方は変でも好印象だったのです」
那珂「だね」
彩花(全く……あの子ったら……)
トキオ(なんか変だな……)
トキオ「…でも、これで…オレも戦えるんだ…!」