元勇者提督 作:無し
重巡洋艦 鳥海
「あの、北上さん」
「んー、どしたの?」
「…たまに北上さんが言ってる、長門さんって…どんな方なんですか…?」
「………えっとねー…」
困ったように笑う、目を細めて、何かを考えている様だった
「…あんまり期待しないでね、ノロマで臆病で、強くはなかったんだ」
「えっ…」
「あの人移籍組だから…そう、問題ありだったわけ」
「そうなんですか…」
「うん、だけど優しいからみんな好きだった、勇気もあった、臆病だけど自分を鼓舞して、前の提督とか憲兵から私達を庇ってた…筋金入りの人間嫌いで…歌が好きだったな」
「歌?」
「そう、出撃中はずっと鼻歌歌ってて、砲撃戦始まったら大声出して喉が枯れるまで歌うの…なんだっけなぁ…ああ、こんな感じ『さぁ、突き破れ未来の扉〜、パワーとセンスの一撃見せろ』って」
「なんや?野球か?」
「うわっ、龍驤さん」
「うわってなんやねん…」
「おっすー」
「おう、北上も野球好きなんか?」
「え?いや、何の話?」
「今応援歌歌っとらんかったか?」
「…あれ野球の応援歌なの?」
「西田哲朗やな、まあ詳しくないけど」
「…名前出るのは詳しいんじゃないんですか…?」
「そうでもないよ、で?北上は野球好きなんか?」
「……地雷踏んだかな…いや、いいや、私は見たことないよ、長門がこんな歌歌ってたよなーって思って」
「へー、長門かぁ…他にはなんか歌ってたんか?」
「えーと、狙い撃ちーとかっていってたかな」
「狙い撃ち!?うわぁ、ええやんええやん!」
「…めっちゃテンション上がってますね…」
「…ああ、そう言えば移籍する前にテレビで野球が良く流れてて、勇気が出そうだからって口ずさんでるみたいなことを言ってるの聞いたよ」
「……強い人なんですね」
「実戦はからきしだったけどね…」
「…まあ、ええ奴やったことはようわかるわ」
「うん、良い人だったよー」
「他には特徴ないんか?」
「……夜声をかけたら甲高い声で鳴いて腰が抜ける、とか?」
「ぷっ…ははは!なんやそれ!戦艦が!?」
「…笑い過ぎですよ」
「んー、笑って良いと思うよ?私悪戯しまくったし…と言うかそれも演技だったのかなぁ…」
「演技?」
「今思うと、みんなのストレスのはけ口にわざとなってたのかもって」
「…やとしたらとんだ阿呆や、自分犠牲にして救われるような話なんてあるわけ無いやろ」
「そだねー、でもその努力を否定するのは良くないと思うよ」
「…口がすぎたわ、悪い」
「ん、鳥海は聞きたいことそれだけ?」
「あ、はい、ありがとうございました」
「…帰ってくるとええな」
「連れ戻すよ、私が」
「………」