元勇者提督 作:無し
この度このような場を設けましたのは、このお話の半分が終わり、残り半分に進む前に、皆々様に御礼申し上げ、並びにお詫びしておきたいと思いましたが故で御座います。
楽しく読んでいただいております皆様
日頃より誤字の御指摘をいただいております皆様
誠に有難うございます。
私の書き方などから読み難い思いなどをさせてしまったり、説明が不十分なせいで不愉快な思いをさせてしまっていることかと存じます。
その点につきましては誠に申し訳ありません。
このお話は、私がプレイしたゲームの作品の知識のみを元にしております
至らぬ点なども今後より出てくると思います、出てこないキャラも多数います
我が鎮守府にいない艦娘は一切出てきません、深海棲鬼もあまり出てきません
その所どうぞご容赦くださいませ。
それでは後半戦に参ります、どうぞ御愛読のほど…
幕間
東京 某所喫茶店
九竜トキオ
「…それって本当なんですか?」
「ああ、俺は間違いないかなって思ってる」
「……もしその話が本当なら、世界が終わります」
「だから、手を貸してくれない?おっさんにゃ厳しくてさ」
「敵は?」
「……下手すりゃ、世界かもな」
呉鎮守府
提督 三崎亮
「それ本当か?」
『碑文使いが現実に出てこれるって点は間違いないと思う』
「…なんで拓海は出てこれない…というか、拓海の碑文はなぜ失われた?」
『そこが境界だよ、思ってるより、ネットとリアルが同じものになりつつあるんだ』
「…だから、アレをやる気か?」
『まだ言い切れない』
「迷ってくれてて嬉しい限りだ」
『………君に話すこと自体、僕は迷ってた、だけど話してよかった、選択肢に入れられたから』
「…勇者の取る選択肢じゃねぇな」
『僕は勇者じゃない、自分でも勘違いしてたけど、一番の間違いはそこだ』
「…どうした?」
『……僕は決して誰かに誇れる何かじゃない、ただ、友達のことを助けるため、仇を打つための復讐者だった、結果として勇者と呼ばれたり、世界を救ったかもしれない、だけど…僕は勇者じゃないんだ』
「………あんたが何者かは興味がねぇけどな…でも、人のために戦う奴は勇者なんじゃないのか?」
『僕は…勇者であるために戦ってた、気付いたら1番それに固執していた……でも、もうやめることにしたよ…僕は勇者じゃない、ただ、みんなと共に戦いたいだけなんだ』
「その選択が、そのみんなを殺してもか?」
『…そうだよ』
「………」
『僕の作戦は憶測の域を出ない、これからより激しくなる戦いの中で、取れる選択肢じゃないかもしれないけど』
「俺はあんたの作戦に、最後まで賛成しない」
『うん、だから…その手段を使わないために、力を借りたい』
受話器を置く
「………苦しいな…」
頭が痛くなる
「お疲れ様だクマ」
「…悪い、聞いてたか?」
「なぁんにも、聞いてないクマ、それより、こっちの方が問題だクマ」
「………朝潮、荒潮の転属願い、か……まあ、受理する」
「……その方が本人達は幸せだクマ、まさかあそこに戻ることを望む奴が出てくるなんてクマ」
「お前らは、良いのか?北上は…」
「………アイツが寂しくないのに、球磨達が寂しがるわけないクマ」
「……俺は…寂しいかもしれねぇな」
「会いたい奴がいるのかクマ?」
「…まあな…」
「………球磨達は代わりになってやれなぁクマ」
「そうだ、誰も代わりにはなれない………だからお前らも会いに行ってこい」
「…寂しいのはそっちじゃなかったのかクマ?」
「お互い様だろ?」
「…ごもっともだクマ…お言葉に甘えるのも良いかも知れんクマ」
「お互いにな」
「………ちなみに提督は誰に会うんだクマ」
「…誰に会えば良いんだろうな…俺」
「………昔の友達とかいないのかクマ」
「3人は今意識不明、1人は横須賀、2人はどっかで仕事してて忙しいし…1人は帰って来ない、1人は……遠くに行った……」
「…つまり今はぼっちかクマ、実家はどうだクマ」
「……親に会うにも、気分じゃねぇしな」
「…よし、球磨型で遊びに行くから付き合えクマ!」
扉が音を立てて開く
「いいですね、用意しましょう」
「大井っ…いつから居やがった?」
「つい先程です」
「……ぜってーうそだクマ」
「で、どこに行きましょうか?」
「提督は行きたいとこあるのかクマ」
「…あんまねぇ」
「よし、木曾に遊び場所聞いておけクマ」
「多摩姉さんに食事場所の確保をしてもらいますね、2日ほど休みを取りましょう」
「……このご時世にそれは無理だろ、取れて日帰りだ」
「大丈夫です、2日なら取れます、というか取れないとおかしいでしょう?提督、最後にお休みを取ったのはいつですか?」
「…さあな」
「そういうことだクマ、ちなみに入院はカウントしないクマ」
「………」
「よし、遊びに行く用意しますよ」
「…じゃあ、仕事を先に終わらせとくか…川内と由良を呼んでくれ」
「由良さんはわかりますが…川内さんですか」
「夜恐怖症の川内を呼ぶのはお勧めしないクマ、あいつ最近悪化してるクマ」
「呼べば神通辺りも来るだろ?3人いれば何とかなる」
「提督さん、由良に何か用?」
「ああ、悪いんだが、2日ほど外すことになったからちょっと仕事を頼みたい」
「別に良いけど、どこに行くの?」
「…知らねぇ、球磨型に引き摺り回されるらしい」
「せっかくだしゆっくりしてきてね、私も頑張るから、ね?」
「悪いな」
「失礼します、川内です」
「ああ、入ってくれ、神通も来てるな」
「はい、少々気になりましたので…」
「悪いな、お前も来ると思って川内を呼んだ、由良には話したんだが、2日ほど外すから少しの間ここを頼みたい」
「…夜間消灯を無くしてくれるなら良いよ」
「お前らの部屋は常時電気がついてるだろ」
「…廊下とか、全館…」
「姉さん、流石にそれは…」
「……必要な時だけなら良いぞ…」
「ありがと…」
「神通、悪いけど見ててやってくれ」
「…勿論です」
「ある程度は片付けておくから、頼めるか?」
「わかりました、提督さん、楽しんできてね、ね?」
「うん、夜じゃなきゃ頑張るから」
元勇者提督
vol.3 侵食汚染
離島鎮守府
「……本部は何を言ってるんですか?」
「…島風の異動に時間をくれるだけマシだよ、まだ怪我が治ってないし…」
「…舞鶴鎮守府…偵察部隊なら…」
「危険な任務が多いけど、島風なら活躍できると思うよ」
「……みんな…早く元気になって欲しいけど…」
「…提督、先日のお話はよくわかってるつもりです、でも…あの力無しでこの戦いは乗り切れません」
「……わかってる、先日、これが届いた」
「…弾薬…?…いや、違う…これ、もしかして…」
「そう、例のデータ兵器だ、本部には知られたくないからまだ誰にも話していない」
「……安全の検証もしなくてはなりませんね」
「うん…これで…どうにかなってくれれば良いんだけど」
「…きっと、戦いは新しいステージに進みます」
「それは良くないことなんだ」
「……それでも、止めることはできません」
「大丈夫、事が終われば、それは全て…いや…どうにもできないのかもしれない…」
佐世保鎮守府
「全員敬礼!」
「休め、全員おはよう、先ず、先日までに報告された敵だが、撃破が確認された、しかし同時に新種の出現も報告されている、依然危険なことは変わらない、こんな状況下の中出撃をさせる事申し訳なく思うが、今日も務めてくれ」
「質問よろしいでしょうか」
「不知火、なんだ」
「撃破したのは離島鎮守府だと聞いています、前回の敵も含めて、果たして…彼処の艦隊で倒せる敵なのですか?我々は一度その敵にやられましたが…戦闘データを見ただけでも明らかに対処不可能な敵だとわかるほどです、撃破した、となると…何か特別な装備などがあるのではないですか?私達にも必要です」
「あそこは実験的装備を試す場でもある、結果を出しても被害が大きく、入渠で治せない傷を負うものが多いせいでこちらに配備できない、と聞いている」
「そのような武装を使い続けてると?」
「さあな、他に質問は」
「いえ、ありません」
「それでは第三艦隊、近海の哨戒だ、他の者はそれぞれの仕事に励め」
「今日は槍術は?」
「希望者のみとする、必要なら呼べ、解散」
「提督さん、もうちょっと緩くできないの?」
「これが俺のやり方だ、せめて朝礼だけでもしっかりしないと落ち着かない」
「それに、槍なんて私たちには必要ないと思うんだけど…」
「いつ地上戦が始まるかわからん、覚えておいて損はない」
「いや、わかるんだけどさぁ…砲を捨てる意味はないでしょ…」
「弾薬は有限だが槍は壊れるまで使える」
「……まあいいや、今日はリコちゃん来るのかなぁ」
「…来ない、多分な」
「我が艦隊に癒しをー!!」
「……うるさいぞ瑞鶴」
「良いじゃん、提督さんも嬉しいでしょ?」
「…娘をよく言われて喜ばない父親はいない」
「そりゃそっか!さ、頑張ろっか、おとーさん!」
「…お前の親になった覚えはない」
「もっと優しくしない?不貞腐れるぞぉ?」
「優秀な奴は評価する、お前も含めてな」
「そういう意味じゃなくってさ、オフの時みたいに接しても良いと思うんだけど?」
「今は職務中だが」
「……オンオフは大事だけどさー、疲れない?」
「お前の絡みがなければな」
「酷くない!?爆撃して良い?!」
「…俺を殺す気か…」
舞鶴鎮守府
「提督さん!これ食べたいっぽい!」
「こっちの方が美味しそうだよ、夕立、こっちにしない?」
「お前ら容赦なく食うなぁ…ここの払いは俺なんだぞ…」
「好きに食べていいって行ったのは提督だからね」
「いっちばーん食べます!」
「……」
「弥生、どうした?」
「……おなか、いっぱい…」
「……半人前も食べてないだろ、ほら、もう少し食え」
「…いい」
「このだし巻きとか美味いぞ?」
「………あ…」
「雛鳥じゃねぇんだから……ほれ」
「…ん……けぷ…」
「ほんとにキツそうだな、仕方ない、お前の分はおっさんが食っちまうからな?」
「いい、お願い…」
「………はぁ…全く、何の因果なんだろうなぁ……」
横須賀鎮守府
「急ぎこれを纏めてくれ」
「はい、それとこちらが新しい資料です」
「………これは真実かね」
「間違いようもなく……」
「……これは…本格的に夜が深くなってきたか」
「…艤装に対するハッキング、軍事機密の漏洩……どうなってるんでしょうか…」
「至急月の樹に回してくれ」
「はい、急ぎます」
「………高度なセキュリティを敷いているはずが…あっさりと、か……ヘルバ、期待を裏切ってくれるなよ…」
月の樹
「システムの被害は?」
「ありません、どうやら諦めたようです」
「……そんなはずが無い…月の樹の存在を突き止めたのなら、そう易々と諦めるわけがない」
「……ヘルバ様?」
「より一層警戒を強化しなさい、ビトに犯人を探させて」
「わかりました」
「………薬は確かに苦いもの…でもそれは毒とて同じ…あれは薬だったのか…それとも…」
離島鎮守府
重巡 摩耶
「はぁー……ダメだ、あの豪快に振り回す感じに体が引っ張られちまう」
「それじゃダメね、でもその体捌きは良いんだから……」
「そうですねぇ…」
「摩耶、もっとゆっくり動かしてみたら?」
「ゆっくり…ゆっくりねぇ……艤装展開する事自体久しぶりなんだよ、こちとら…」
「これじゃ、実質練度は0ね」
「んだとぉ!?」
「事実でしょ、というか、すぐにキレるの禁止」
「もぉー!禁止禁止うるせぇー!」
「…まだ一回目だし……」
「んー、砲を変えてみる?」
「……砲を?戦艦用でも積むのか?」
「今のを、もう少し重くしてみましょう」
「…なるほど、いいかも、さすが愛宕さん」
「となると、頼りになるのは……」
工廠
「…成る程、わかりました!お任せください、とりあえず、どのくらいの重さにするかを決めるために、いまの砲に重りを乗せてみましょう」
「よし、どんなモンでいこうか」
「じゃあー……」
「結局1.25倍か……これ戦艦砲積めるんじゃねぇの?」
「流石に無理だと思いますけど、それにしても、重くなったそれを両手に戦うと言うのはなかなか…」
「だけどこれなら当たる!いやー!助かる!」
「……というか、対空はいいんですか?」
「タイクー?アタシはガンガン敵を薙ぎ倒してなんぼだろ!」
「…最近敵の空母型が増えてるので、良ければこの機銃と高射砲も試しておきませんか?」
「……まあ、いいけどよ…あ、意外と馴染むな」
山陰自動車道
「北上ー!お前また無茶したって聞いたけど、そこんとこどうなんだクマ」
「キリキリ吐けニャ」
「逃げ場はありませんよ?だって車の中ですからね!」
「……すまん、姉さん」
「……呉の提督ぅ……どうなってんのさ、これ、アタシ演習の付き添いに来ただけなんだけど?」
「…いや、俺もしらねぇし…何で俺誘拐したみたいになってんの?」
「うるさいですね、黙って運転してください」
「というか運転してるから共犯ニャ」
「姉妹でも誘拐って成立するのか?」
「……うわっ……するみたいだクマ」
「いや、成立しなきゃおかしいから…というか私の時間を返して…いや、そんな贅沢言わないから私を鎮守府に帰らせて……」
「…俺帰っていいか?」
「駄目ですよ、これは提督の慰安旅行なんですから♪」
「……全然何も休まらねぇんだけど…」
「あ!ヘイ!パトカー!!」
「タクシーみたいなノリで呼ぶんじゃねぇクマ!」
「逃げられると思ってるのかニャ?この無敵の球磨型相手に…!」
「いや、私も球磨型だし……て言うか球磨姉殴ったね!?とうとう手を出したね!?」
「うるせークマ!うっさいアホが悪いクマ!」
「駄目ですよ姉さん、アホ上さんを叩いていいのは私だけです」
「…こ、殺されるー!!!」
「…頼むからこれ以上暴れないでくれ…!」
「……すまん、提督…諦めてくれ」
離島鎮守府
「……えぇ…と?」
「司令官、その…ごめんなさい」
「私たちも止めたんだけど…」
「うーん……せめて事前連絡くらいくれればいくらでも許可は出したんだけどね…よし、わかったよ、暁、雷、ありがとう」
「提督、でもこれはある意味チャンスでは?」
「え?鳳翔さん、どうしたの?」
「何処か北上さんに頼りきりでは無いか、と前々から感じておりました……どうでしょうか、一度、北上さんに頼れない状況で戦うと言うのも」
「………うーん、あんまり気は乗らないな…それで被害が出たら何も変わらないし……それよりも怖いのは…こっちだよ」
「憲兵ですか」
「僕自身いい思い出はないからね……」
「ですが、ここがある程度力を持ってしまった以上、監視の目はいつか付くものです」
「そうだね、それで考えたんだけど、前より環境もいいんだし、仲間として接することもできるんじゃないのかな?」
「……仲間ですか」
「こんな孤島、何もないんだし、お互い助け合わなきゃね」
「その考えは理解できますが……果たしてそううまくいくかどうか…」
「正直無理な話だと思うよ、でもそれで1番駄目なのは誰かが暴走して、取り返しのつかないことになることだ」
「苦手意識はもうどうにもならないと思いますけれど…」
「何にせよ、受け入れなきゃいけないんだ、ここで拒めば何を言い出すかわからない……それに憲兵の配置なんて、してない方がおかしいんだから」
「そう仰るのでしたら…」
「ただ、こっちとしても何の発言権もないのは困るから、医務官を1人、人間でも艦娘でもいいから欲しいって連絡はしてる、夕張さんも今週までだし……」
「……受け入れてもらえますかね」
「正直、夕張さんが残ってくれるのが1番嬉しいんだけどね……あ、そうだ、明石を呼んでくれる?確かこの前の人型の敵に関する対策会議をするつもりだったんだ」
「他のメンバーは…?」
「時間になれば来ると思うよ、でも明石は偶に時間を忘れるからね」
「わかりました、そのようにします」
「……明石は?」
「まだ来てませんね」
「……仕方ない、先に始めよう、加賀、まず君たちが受けた攻撃だけど」
「はい、私達は意識だけどこかにいるようで…しかし、お互いに触れることも、意思の疎通もできました、濃霧に包まれ、通信ができないと言う状態でしたが」
「高雄、発言して良いでしょうか」
「うん、お願い」
「私達は連合艦隊の救助を行いましたが、全く霧はありませんでした、それどころか、通信も普通に行えて…救助もあっさり成功し、何が何なのか正直なところわからないと言うのが本音です、ですが、少なくとも私たちには異変はなくて……」
「待て、高雄、意味わからんことになっとる、ウチが説明するわ、連合艦隊の奥にな、報告した通り変なヤツがおったんや、人間みたいやのに海の上におって、青い光で包まれてた、まるで……ほら、あのバケモンとここで戦った時に見た呉の提督みたいになっとった」
「……わかった、じゃあ、それも…人間だね、ただし、ゲームの世界から出てきた」
「提督みたいなことしてるって事なん?」
「…ちょっと違うかな、その人たちは多分操られてると思う、だって、現実で倒れてるらしいから…意識を奪われて、操られてるんだ」
「……じゃあ倒したらあかんのか?」
「いや、倒そう、まず自分たちのことだ……どうなるにせよ、倒さなきゃ何も進まないよ」
「…嫌ですね、下手したら人を殺す、ことになるかもしれないなんて」
「……そうはならないよ、きっと」
「………」
「提督、下手な励ましは欲しくありません」
「……いや、そんなつもりじゃない…だけど、君たちには前を向いて欲しい」
「…キミぃ…1人で後ろ見てんのもナシやで?」
「勿論だよ、この戦いは、1人では勝てない戦いだ、みんなで同じ、勝利を目指して戦うんだ」
「そういう事でしたら、構いません」
「誰もそれに意義は唱えませんよ」
執務室の扉が大きな音を立てて開く
「ごめんなさい!!遅刻しました!」
「……明石…もう殆ど話は終わったで?」
「何をしていたんですか?」
「えっと……作業に没頭していて……あはは…」
「……時間厳守」
「ごめんなさぁぁい!!」