元勇者提督   作:無し

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潜入

重巡洋艦 青葉

 

「っ……」

 

「本当に…なにをやってるんですか!」

 

「…ごめんなさい…」

 

翔鶴さんが吹き飛ばされた時、思わず私は庇いに入ってしまった

ナイフは私の左腕に突き立てられたが、明石さんを蹴り飛ばすことで

武器を取り上げて逃げることまでは成功した

助けたはずの翔鶴さんに怒鳴られ、腕からは絶えず血が流れてる点を除けば上々だ

 

「…でも…明石さんがAIDAに感染してるなんて…」

 

「…AIDAの感染に気づかなかった…と言うより、今の今まで気配がなかったことも不可思議です」

 

「霞ちゃんは?」

 

「先に助けを求めに…きっと全体に周知されてるはず…」

 

「…明石さんはいつ感染したんでしょう…?」

 

「そのくらい治した後でいつでも調べられます、アオボノさんを早く探しましょう!」

 

 

 

 

「なんでこんなに見つからないんでしょうか…」

 

「執務室に行きましょう、あそこなら全体放送をかけられます」

 

『明石です』

 

「全体放送!?というか…!」

 

「正気に戻ったんでしょうか…」

 

『敵が侵入しました、警戒を厳にしてください』

 

「敵が侵入…?」

 

「…待ってください、多分…まともに現状を認識できてないんじゃないですか?」

 

「…まさかその敵って私達を指してる……?」

 

「どうにかなってからは遅いです、急ぎアオボノさんか摩耶さんを見つけないと」

 

ガッシャーン

 

「なんですか今の音…」

 

「執務室の方から?…気は進みませんが別れましょうか、アオボノさんを見つける必要もありますが現状を把握する必要もあります」

 

「…では私が執務室に」

 

「その腕じゃいざと言う時自分を守ることもできません、私が行きます」

 

「……急ぎますので………あと、念のためナイフを…」

 

「…使いたくはないですけど、一応受け取っておきます」

 

 

 

 

 

正規空母 翔鶴

 

執務室前の廊下、ここまで何もなかった

窓から見えるところにも誰もいない

 

みんなどこに行ったの?

 

「翔鶴?」

 

「っ!?……加賀先輩…」

 

「どうしたの、そんなに怯えて…」

 

よかった、普段通りの先輩だ

 

「明石さんがAIDAに感染してます、さっきの放送の真偽はわかりませんけ…ど……待ってください、加賀先輩、さっきの全体放送聞いてましたよね?」

 

「全体放送…?」

 

「………え?」

 

なんであの放送を加賀先輩は知らないの?

私と青葉さんは聞いた…あの位置だけ放送が流れた?

だとしたら位置を知られてる事になる…おかしい、なんで?

 

「…あれ?」

 

私、なんでナイフを握って…

ナイフを離せない…手が、勝手に動く…

目の前が暗くなってきた…

 

「翔鶴…?何、それは」

 

「…違う、ダメ…」

 

ああ、明石さんはこれを見てたのか…

 

どっちが正しイの…?

 

 

 

 

 

重巡洋艦 青葉

 

「居た…よかった…!」

 

「何言ってんの?」

 

「アオボノさん、大変なんです、明石さんがAIDAに感染して、多分正気を失ってて!」

 

「はぁ…?それ本気で言ってんの?」

 

「この腕見てください…私も刺されたんです…!」

 

「…え?…じゃあさっきの明石は………行かなきゃ…!」

 

「行くってどこに!?」

 

「さっき明石が来て私以外の駆逐艦集めてたのよ!何する気か知らないけど…止めないと…!」

 

「そ、そんな…!」

 

 

 

 

 

「居た!暁!響!」

 

「何?アオボノさん」

 

「そんなに慌ててどうしたんだい?」

 

「明石は!?」

 

「…さあ?」

 

「私たちは特に知らないね」

 

「知らないって…あんた達さっきまで一緒にいたじゃない!」

 

「…はぁ…はぁ…アオボノさん…まって…」

 

「アンタは怪我してるんだから大人しくしてなさいよ!」

 

「だ、だって…私だけ何もしないなんて…」

 

「あーもう!じゃあこいつらから明石の居場所聞き出しなさいよ!」

 

「えーと…明石さんどこに行ったのかな…?」

 

「それより青葉さんは医務室に行くべきだと思うよ」

 

「そうよ、なんでそんな大怪我してるのに医務室に行かないの?」

 

「えーと…あの、先に明石さんの居場所を…」

 

「ねぇ青葉さん?早く行きましょう?」

 

「そうだ、早く医務室に行くべきだ」

 

「……アンタら…やっぱり変…よね…青葉離れて…」

 

「は、はぃぃ!?は、離して!」

 

「だめよ、青葉さんは医務室に行くの」

 

「そうだ、くるんだ」

 

「い、痛い…!腕が…折れ、る…!」

 

「…なんなのよ、何があったのよアンタら!!そんな馬鹿力なわけ無いわよね…さっさと青葉を離さないと撃つわよ!」

 

「あら?本当にそんなことできるのかしら、当たっちゃうわよ?青葉さんにも」

 

「こんのっ…後でごねんじゃ無いわよ!!この馬鹿!」

 

「きゃあ!痛いじゃ無い!叩くなんてひどいわ!ぷんすか!」

 

「よく聞きなさい!今大変な状況なのよ!さっさと明石の居所を吐きなさい!」

 

「意味がわからないな、邪魔をするなら、私たちは撃つよ」

 

「…アオボノさん…明石さんを!」

 

「………しかない、みたいね…アンタら正気に戻ったらただじゃおかないから!」

 

「あ!待ちなさい!」

 

「やめておこう、暁、こっちまで頭がおかしくなりそうだ」

 

「2人とも…まさか、AIDAに…?」

 

「なんの話だい?まあ、青葉さんも今から壊れるわけだが」

 

「気にするなんて変よね!」

 

「………私にはいい報いですね…」

 

 

 

 

駆逐艦 曙(青)

 

「っ…!なによこれ…!」

 

「…あハッ…アハはは?」

 

「加賀!アンタ何したのよ!」

 

「翔鶴に襲われました、受け入れ難いですが、制圧した、それだけです」

 

「…アンタまでおかしくなったわけ!?」

 

「……まさか、他にもこんな事になってる子が…?流石に厳しいですね」

 

「……アンタ、ほんとにまともなの?アンタが翔鶴をこんな風にするなんて信じられないわ」

 

翔鶴は顔にアザ、腕はだらりと垂れ、虚空を見つめながら笑っている

明らかに異常だった

 

「最初は普通だったんですけどね、刺されたので」

 

そう言って腕を見せられる、籠手には確かに切り傷の跡がある

 

「だからってやりすぎよ!」

 

「……ここまでやらなければ、私が殺されました」

 

「…どうすんのよ、私以外の、駆逐艦もおかしくなってたわ、暁と響に青葉が捕まってる…!早く助けないと」

 

「…明後日は悪い方向に転ぶでしょう、青葉が捕まるほど、となると…やはり、身体能力が異様に上がっていると見ていいですね……AIDA…か」

 

「青葉は明石が感染してるって言ってたわ、それに明石は朧や漣達を集めてどこかにいる」

 

「………状況は深刻です、外部に助けを求めましょう」

 

「どこに…と言うかクソ提督は!?」

 

「姿が見えません、なんにせよ急がないと」

 

 

 

 

「これで少しはマシになります」

 

「そうだと良いけど…あ…青葉、医務室に連れて行かれたと思うんだけど…様子だけでも探れたりしない?艦載機でさ」

 

「……居場所がバレれば多勢に無勢の可能性がある以上、賢い選択では無いですね、気になるなら直接行きましょう」

 

「……わかったわ、絶対助ける」

 

「…翔鶴も一応連れていきましょうか…ついでに入渠ドッグにでも放り込みたいのですが…」

 

「…確かに可哀想よね、行けそうならよりましょ」

 

 

「……これ、死んでるの…?」

 

「…………よかった、まだ脈はあります…気絶してるだけみたいですね…ですが弱っていってますね…背後から一突き…出血がひどいです、急いでドッグに……違う、提督は人間だから医務室に…!」

 

「落ち着きなさい…夕張は?」

 

「……あの人もまともだと言う保証はありません」

 

「………明石の病室、か…今朝倒れたんだっけ…状況的に、刺した最有力は明石ね…加賀、おぶれる?」

 

「……よし、鎧袖一触です」

 

「…よく2人も背負えるわね、私が先行するからついてきて」

 

「任せます」

 

 

 

「……不気味なほど何も無いわね」

 

「…早く、治療してしまいましょう」

 

「…肝心の夕張もいない…よし、ほら、消毒液とガーゼ」

 

「……これどのくらいかければいいんでしょうか」

 

「…さぁ…使う事ないし…」

 

「……消毒、とありますし、とりあえずたくさんかけましょう、かけすぎても毒にはならないはずです」

 

「はねてる!なんかはねてるけど本当に大丈夫!?」

 

「…体内に毒があるのでは…!」

 

「…まさか…刺した動画に毒が…!?もっとかけなさい!」

 

「や、やめて…消毒液は…そう使うものじゃないから…」

 

「クソ提督!起きたのね」

 

「提督、何があったのですか」

 

「…明石に、刺されたんだと思う……正直訳がわからない」

 

「……よし、これでいい?」

 

「…多少キツイけど大丈夫…うっ…」

 

「まだ無理をしないでください、かなり出血しています、何か薬などは…」

 

「お!よかった!司令官!どないなっとんねん!!」

 

「龍驤か…」

 

「………」

 

「…ねぇ、どっちなの」

 

「……よかったわ、そんだけ警戒してくれるなら状況わかっとるみたいやな?」

 

「…はぁ…よかった…」

 

「姉さんまであんな事になってたら正直辛かったわ」

 

「…で?司令官は服染めたんか?」

 

「自分の血でね…」

 

「……流石にヤバそうやな、輸血とかは?」

 

「無いと思うなぁ…」

 

「ある、こっちや…これ、この棚の…ほら、これや……よし、血液型は?」

 

「…Aだけど、大丈夫なの?勝手にやって」

 

「まさかあなたに医学の心得があるとは」

 

「齧っただけや…役に立つ日はこんといて欲しかったけどな……拒否反応がないとええけど…とりあえず横になってくれへん?……で?どうなっとるんや」

 

「…AIDAに感染したみたいです、明石が、そして翔鶴や、暁、響も」

 

「…つまり、ぶっ飛ばして、アオボノのデータドレインってわけか?」

 

「…うまく行くのならそれでいいのですが…」

 

「とりあえず、助けは呼んでいます、暫くここに立てこもっても問題はないかと」

 

「助け?」

 

「…鬼を呼んでおきました」

 

 

 

 

 

 

 

軽巡洋艦 神通

 

「再度確認します、本作戦は極秘裏に行います、良いですね?」

 

「はい、ですが私たち4人だけで大丈夫でしょうか…」

 

「一応、姉さんは提督代理ですし、那珂ちゃんもいます…それに、朝潮さんには騎士がいるのでしょう…?」

 

「………そうですね、やりましょう」

 

「とりあえず、出会った全員にワクチンを注射してください、人数は必ずこちらが多い状況でのみ戦います、いいですね」

 

「了解」

 

「わかったわぁ…」

 

「わかりました」

 

 

 

「……いました、駆逐艦3」

 

「暁、響、雷…那珂ちゃん、私が暁ちゃんを」

 

「私が響ちゃんと雷ちゃんをやるよ」

 

「私たちはどうすれば…?」

 

「とりあえず待機です、回り込みます」

 

 

 

 

 

「鮮やかな手腕でしたね」

 

「…怖いわぁ…」

 

「本当にAIDAに感染してるようですね、ワクチンを打ったら気を失いました…」

 

「……大潮…満潮…霞……」

 

「…心配ねぇ…」

 

「……このAIDAは…どこから出てきたのでしょうか」

 

「…わかりません、私達が万が一にも感染しないよう出所は潰したいですね」

 

「…まるでゾンビホラーねぇ…」

 

「………神通ちゃん…」

 

「荒潮さん、那珂ちゃんはそっち系の話は…」

 

「あ、ごめんなさぁい…でも意外ねぇ…」

 

「くだらない話は後回しにしよっ、早くここを片付けなきゃ」

 

「そうですね」

 

「朝潮さんは那珂ちゃんと、私は荒潮さんと動きます」

 

「わかりました」

 

「…私で大丈夫かしらぁ…」

 

「…頑張りましょう」

 

「はぁい……」

 

 

 

 

 

「居ました、摩耶さんですね」

 

「感染してるのかなぁ…」

 

「…私が行きます」

 

 

 

「…何してんだ?お前ら、呉の那珂と朝潮じゃねぇか」

 

「どうも、遊びに来ました」

 

「………へぇ?」

 

「あなたもAIDAに感染してるなんて意外でした」

 

「…なんだ?自分らは犯人じゃねぇってか?」

 

「……大丈夫そうですね、そうです、私たちは加賀さんから救援依頼を受けてきました」

 

「………成る程?話はわかったが、どうやって助けるんだよ」

 

「これです」

 

「…注射器?」

 

「お一つ差し上げます」

 

「おっと…なんだこれ?」

 

「ワクチンです、治したい相手にプスッとお願いします」

 

「へぇ…で、どんだけ持ってるんだ?」

 

「…えーと…ここの在籍人数分しかありませんね、貴重なので手に入れるのには苦労しました」

 

「………じゃあ壊れたら大変だなぁ?」

 

「……まさか」

 

「そのまさかだ!全部よこせ!」

 

「くっ…!なんて力…!」

 

「もらった…ぐっ!?」

 

「朝潮ちゃん、危ない橋渡るのはやめようか…」

 

「…そうですね、侮ってました、大人しく後ろから刺しましょう」

 

 

 

 

 

「あらあらぁ…」

 

「はほ…あはは…」

 

「すごい顔ですね…翔鶴さんですか?」

 

「…はひ…」

 

「何があったんですかぁ?」

 

「……えへ……へへへ…」

 

「頭を強く打ったみたいですね、ドッグへ連れていきましょうか」

 

「そうですねぇ…念のため、プスッと」

 

「あは……」

 

「気を失いました、どうやら感染者だったようですね」

 

「……感染者って爆発的に力が強くなるらしいのに…それをこんなにボコボコに…?」

 

「…戦艦くらいの腕っ節があれば可能かと…」

 

「扶桑さんあたりかしらぁ…」

 

「私じゃないです…」

 

「ひっ!?あ、居たんですか!?」

 

「ずっとここに…」

 

「なんで翔鶴さんを助けなかったんですか…」

 

「加賀さんに此処で見張っていろと言われたので…迂闊に動いてみたかったらどうなるかわかりませんし……」

 

「よく襲われませんでしたね」

 

「…その…誰も通らなかったので…」

 

「一応、失礼しますねぇ」

 

「いたっ…うぅ…」

 

「あ、非感染者ですねぇ」

 

「満足していただけましたか?」

 

「はい、よければ一緒に行きませんか…?」

 

「そうですね…というか…うぅ…」

 

「やっぱり怖いんですね…」

 

「はい…加賀さんが…」

 

「そっちですか…」

 

「遠くからたまたま見てたのですけど…翔鶴さんの頭をゲンコツで挟んで、そのまま顔を自身の膝に叩きつけたり…両腕を引っ張って脱臼させて振り回したりしてました……」

 

「……やりすぎじゃないかしらぁ…」

 

「さすがは元々戦艦になる予定だっただけはありますね……」

 

 

 

 

 

 

重巡洋艦 青葉

 

「…あれ?ここは…」

 

「あ、目が覚めましたか」

 

「………明石さん…」

 

「どうも、青葉さん、そんなに身構えないでください」

 

「……傷の処置をしてくれたんですか…?」

 

「はい、夕張がやってくれました、それより私に力を貸してください、この鎮守府から敵を追い出しましょう」

 

何を言ってるんだろう…

訳がわからない、明石さんは正気なの…?

 

「それよりも、先に司令官を治療しないと…」

 

「提督ですか…」

 

顔が曇った?……刺したことを覚えてる…?

 

「提督は敵の凶刃に斃れました…とても悲しいことですが、私たちが頑張らないといけません」

 

違う、狂ってるんだ、でも…違和感が

 

「明石さん、司令官はまだ助かります、急いで処置をすれば…」

 

「………言うことを聞きなさい」

 

「…あ…れ……?」

 

体が動かない…

何も考えられなく…なって…

 

「北上さんはこれをいつでもできるそうですね、正直羨ましかったんですよ」

 

「な……に…を」

 

「何が支配する側ですか、私の方がもう上なんです、私が、トップで、全部私の思うままに……」

 

 

 

 

「………っ!?」

 

「目が覚めたみたいですね」

 

「…貴女は…神通さん…?」

 

「はい、AIDAのワクチンを持ってきました」

 

「………ダメです、効いてません」

 

「…え?」

 

「……ようやくはっきり知覚できました…AIDAに感染してたんですね、私…だから明石さんに操られて…」

 

「なにを言ってるんですか?」

 

「…その…わからないんですけど、私と青葉さんはAIDAを察知できてたんです…あんまり人には言わないようにしてましたけど…だから、多分私たちは元々感染してました…」

 

「でも暴走は止まってます…よね?」

 

「…またおかしくなるかもしれません…」

 

「…仕方ないですね、詳しい話はあとです、感染元の場所はわかりますか…?それともあなた方でしょうか」

 

「………明石さんだと思います…あの人は多分墓地です、あそこの奥は人目につきにくいですから…きっとあそこにいると思います」

 

「…あぁ…成る程、あそこですか…明石さんがおかしい、と言うのは驚きですが、とりあえず探してみます」

 

「他の方にワクチンが効いてくれればいいのですけど…」

 

「そうですね…わかりました、ありがとうございます」

 

 

 

 

『と言うことで、墓地に向かいます、裏山の方から入りますので、危険だとは思いますが、那珂ちゃんは正面からお願いします』

 

「うーん、了解」

 

『…なにか?』

 

「このAIDA騒ぎ、前に舞鶴で起きてたよね」

 

『…確かに似た報告は聞いています』

 

「今、此処の提督と合流してて、話を聞いたんだけど、まるで原因がわからないんだよねー…本当に何が原因?って感じ」

 

『翔鶴さんは感染元は明石さんじゃないか、と…」

 

「うん、そっちはなんとなく気づいてるみたいだよ、そうじゃなくて、なぜ出撃しない明石さんが感染してるかって話」

 

『………なんででしょう』

 

「とりあえず…このワクチンがダメになるかもしれないこと覚えといてね、AIDAは…成長速度が恐ろしいんだから」

 

『はい、ですから念のために鎮静剤を持っています』

 

 

 

 

 

「あ、青葉さんじゃん」

 

「……那珂さん…なぜ此処に…?」

 

「ちょっとねー、腕怪我したって聞いたけど大丈夫?」

 

「はい、治療してもらって…それを何方から?」

 

「えっとねー、翔鶴さん経由で神通ちゃんから」

 

「翔鶴さんも頭を打ってましたけど、大丈夫でしょうか…」

 

「うん、大丈夫らし……っと…まさか不意打ちが防がれるなんて思わなかったよー」

 

「……敵」

 

「那珂さん、二人掛かりで抑えましょう」

 

「そうだね、でも…この感じは鎮静剤の方がいいかなぁ…」

 

「……黒い泡…AIDAが溢れてる…他の方とは違いますね」

 

「朝潮ちゃん、逃げるなら今だよ、那珂ちゃんもスイッチ入れちゃうから…!」

 

「………死んでください…」

 

 

 

駆逐艦 朝潮

 

「…変ですね…」

 

「そんなことを言ってる場合じゃない、さっさと離れて」

 

「わかりました、とりあえず離れます」

 

 

鎮守府内ということもあり、青葉さんは艤装を装備していない

だから撃ち合いにならないことだけが救いですね…

しかし、肉弾戦だと那珂さんが有利、しかも何度か攻撃を当てているのに、全く倒れる様子がない…

 

「くっ…動きを抑えなくては…」

 

「………」

 

青葉さんはなぜ、あんな顔をしてるんだろう

一見涼しげだけど…無表情というか、顔に掌底をくらっても全く…

というより、AIDAは感情を暴走させるもの

なぜ機械的な雰囲気に…

 

「ぐっ…重い…!」

 

「……」

 

「那珂さん!このままやりあうのは分が悪いです、一度退きましょう!」

 

「…仕方ない…!煙玉!」

 

 

 

 

「負けた…徹底的に負けた気がする…」

 

「AIDAで身体能力が上がってるんです、仕方ありませんよ」

 

「………というか、私的には肉のベストを着た機械と戦ってる気分だったよ…なんで、全然効かないのか…」

 

「それなんですけど…感情がない、みたいでしたよね」

 

「…うん、多分操られてる」

 

「操られてる、ですか」

 

「納得いかない?」

 

「いいえ、むしろ納得しました、腕に打撃を受けても顔を歪めなかった点も含めて」

 

「………大元は墓地なんだろうけど

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