元勇者提督   作:無し

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ウイルスバグ

工作艦明石

 

「…よし、ベースはそのままにいいのをつけたし、後は起動チェックして…」

 

電源ボタンを押すとブォォと排気音がする

 

「うん、とりあえず動く、OSは…アルティメットの…一番古い奴だ、こりゃ年代物だなぁ…」

 

アルティメットOS、何年か前に起きた世界中が一斉にネットワークを失う大規模なハッキング事件で、唯一このOSだけは無傷だった

今現代においてはこれがどこに行っても主流である

 

「えーと、起動設定はよし、それで?…ふふっ、勝手に見ちゃお…うわっ古いなぁ…めっちゃメールとかあるけど…流石にこれはまずいよね…」

 

とりあえず色々触る、データの破損はないらしい

まあバックアップは最初に取ったので問題ないのだが

 

「あ、これだけすごい容量とってる…『The・World』…あぁ、ネットゲームね、やり込んでたのかな…ん…?いや、ネットゲームってこんなに容量使わない…120GBって…え?見間違いじゃない…うわぁ…気になるけど流石に触れないなぁ…」

 

 

 

執務室

 

「提督、パソコン修理しておきました」

 

「え?あれを?…うーん、あんなの修理するより買っちゃったほうが早くなかった?」

 

「そもそも私たちは買いにいけませんから」

 

「そう言えばそうだね…じゃあこれを移しておいてくれるかな、大本営が着任時にくれたデータなんだけど、パソコンがなくてどうにも見れなかったんだ」

 

「はー…支給のPCもなかったんですよね、なのにUSBってふざけてるんですかね…」

 

「本当だよね、ははは」

 

「後、一つだけ、ちょっとデータ破損などがないかのチェックの際色々触りましたけど、メールがすごく溜まってましたよ、それから容量がおかしいものがあったので、確認の方お願いします」

 

「容量…もしかしてThe・Worldの事?」

 

「あ、心当たりがおありでしたか、なら大丈夫です、特に触ってないので…修理の際にデータが破損して膨れ上がったのかと…」

 

「大丈夫、それがデフォルトだから」

 

「ならいいんですけど…」

 

「笑っちゃうくらい容量とってるよね」

 

「いえ、というか私の知ってる限りあのゲームってディスクタイプじゃ無かったですか?」

 

「うん、でもサーバーに繋いで保存しておく部分もあるから」

 

「…それにあんなに容量使うんですか…えー…おっそろしいなぁ…」

 

「普通はもっと少ないんだけどね」

 

「普通じゃないんですか?」

 

「うん、まぁ、いろいろあるんだよ、そう言えばメールの差出人は見てくれた?」

 

「あー、見ちゃったのはありますけど、文字化けしてて…」

 

「…わかった、直接見てみようかな、今から工廠に行ってもいい?」

 

「作業してましたので、散らかってますがどうぞ…」

 

片付けとけばよかった…

 

 

 

 

工廠

 

「うん…やっぱり…」

 

メールを開いては文字化けした文章を読みあさって次

これを繰り返している

しかし何か納得したような様子で頷いて見せたり、悩んでみたり

 

「…まずいかも知れない、さっきのUSB貸してくれる?」

 

「え、あ、はい」

 

USBの中には2018〜2021年までの深海棲艦との交戦履歴や出没地域などのデータが入っていた

 

そしてある日を境に、それは激化し、こちらが敗北していくデータ

 

「…この日について調べられる?」

 

2020年のある日

この時起こったことは一部の人間が語っている

変な世界に送り込まれた と

だけどすぐにかき消され、その程度しかデータはない

 

「…なるほど、やっぱりこの日なのか…」

 

何かに納得したそぶりを見せ、さらにメールを遡り始める

 

「ここのアンテナって本土からなら十分に連絡が取れるよね?」

 

「え、はい、届きます、何か送るんですか?」

 

「いや、多分…来た」

 

新着メール

 

まさかPCを監視されている?いや、というかここが監視されているのではないかと思わず周りを探る

 

「…ちょっと本格的に不味そうだね、緊急で集合をかけておいて欲しい、できるだけ早く」

 

「え、あ、はい!」

 

メールの差出人だけがチラリと見えた

大本営とかなのかと思ったけど「ヘルバ」って何かの暗号なのかな…

 

 

 

 

 

「わざわざみんなに集まってもらったのは、今後の出撃、および海域内の行動について注意を促すためです、確かな情報筋から、今後恐ろしい事態が起きるという警告がありました」

 

どうやらさっきのメールの話みたいだけど…

 

「今後の戦闘においては、より、注意し、新型の敵を見た場合まずは即撤退、のちに十分な再編成の上で対処に当たること、これを徹底してください」

 

「ねぇ、提督、それって本当に必要なの?交戦してからでも良くない?」

 

北上さん、この鎮守府において一番強い…あの人からすれば今出てくる深海棲艦は、数の不利さえなければ相手にならないと聞いている

 

「そう思うのも無理はないけど、ちょっと敵がまともじゃないんだ」

 

「あれがまともじゃないのは普段通りじゃない?」

 

「…そうなんだけど…うーん…犠牲を出したくないんだ、とりあえず納得できないと思うけど従って欲しい」

 

「何を持ってして犠牲が出るのかの説明が欲しいのですが」

 

真面目な方の曙ちゃん、あの子も着実に練度を上げ、さらには演習では変わった指揮をする

深海棲艦との相性は悪いけど、演習では戦果を着実にあげる事で信頼されてきた

 

「うーん…僕もまだ現状の詳しい理解には至ってない、詳しい説明は難しいんだ」

 

「では普段旗艦となるメンバーにだけでも通達することを進言します」

 

「…そうしようか、じゃあ、北上、曙、赤城、加賀…それから明石も、以上6名はこれから執務室に来て欲しい、それでは解散」

 

旗艦どころか出撃しない私まで呼ばれるなんて、正直訳がわからない

まあ、役に立てることがあるなら行ってみましょう

 

 

 

執務室

 

 

「これから話すことは正直馬鹿な、突拍子もないと取られることは理解している、その上で話すので、どうか最後まで聞いて欲しい」

 

困ったように前置きをしてから話し始める

 

「まず、今回の注意喚起に至る理由は二つ、2020年某日の一部の人間が混乱、妄言を吐いたなどとされた記事が一つ、そして2009年の大きなネットワーク障害がもう一つの理由だ」

 

さっき調べた事件と、そしてネット関連?

 

「これから話すことは大真面目だから、笑わず聞いて欲しいんだけど、まず2009年のことから、この時期にあるネットゲームで事件が起きたんだ、特定のモブにキルされると、リアルでも意識不明の重体に陥る事件」

 

「え?ゲームでよね?何で現実でそんなことになるのよ」

 

「その辺は解明されてない、だから今も起こりうる危険な事件とも言えるんだけど、取りあえず、まあその時の犠牲者は全員無事に意識が復帰したんだ、この危ないモブのことを、ウイルスバグ、と言うんだけど、とりあえずこれにやられたら危険なんだ」

 

「ゲームの話しがしたくて呼んだんじゃないのよね?早く本題を話しなさいよクソ提督」

 

「いや、話したかったのはこのウイルスバグの話だよ、資料はどこにもないけどね…そして次に2020年、これは多数の人間がネットゲームに現実の身体ごと、取り込まれたんだ」

 

「…帰っていいですか?」

 

「まあまあ、曙ちゃん、ちょっと待って」

 

「理由とかはおいておいて、これは現実にあったことで、僕も巻き込まれた、僕もその世界に取り込まれたんだ…あの姿で……いや、とりあえず、これをリアルデジタライズという、最近流行のデジタライズ学だね、そのくらいは聞いたことある人いない?」

 

「…内地のニュースでならあるけど、ここじゃ誰もわかんないでしょ」

 

「明石は知ってるのかしら」

 

「いえ…私はスマホとか持ってませんし…実は結構アナログなんですよね」

 

「というか、提督はここにいらっしゃるのですから、その話に矛盾がないとすると帰ってきたんですよね?」

 

「そう、そこなんだ、リアルをデジタライズした、じゃあ逆にデジタルをリアライズしたら?なんというか、まあ僕は帰ってこれたんだ、生身の肉体あってこそなんだろうけど…」

 

「じゃあ何が問題なんですか?」

 

「例え話を始めるよ、さっき言ったウイルスバグ、これは2020年の問題があったネットゲームで確認されてる、過去の模造品らしいけど、例えばこれにやられたら?」

 

「意識不明になる…?」

 

「そうかもしれない、さて、そしてデジタルがリアライズしたとき、本当にゲームに取り込まれたものだけが帰ったのか、なんの間違いもなく、ゲームからリアルに帰っただけなのか…」

 

「まさかそのウイルスバグってのが出てきたって話?」

 

「確認はされてないけどね、2020年のその日を境に深海棲艦の動きが活発化してる、僕はこう感じた、まるで何かに追われて、こちらへの侵攻が激化したんじゃないかって」

 

「…そんな話ある訳…」

 

「いや、あるんだ、まだ可能性の段階だけど、今全国の鎮守府にこのデータとさっき話した内容、一部ネットの記事などを添付して送った、何か動きがあればすぐに伝わる、僕はそれくらい警戒してる」  

 

「で?結局どういう話なのよ」

 

「君たちの戦闘におけるリスクが格段に上がってるんだ…ちょっと待って、メールだ」

 

「会議中にメールなんて感心できませんね」

 

「…いや、そうでもなさそうだよ」

 

「ちょっとこれを見てもらえるかな」

 

「…佐世保の鎮守府にて、新種の敵深海棲艦と交戦、意識不明の艦娘多数、支給応援を寄越されたし」

 

「どうやら思ってる以上に事態は深刻みたいだ…全体により厳しく通達、のち遠征にも通常旗艦となる者を配置、より厳重に注意して、あとこの話をするかしないかは任せるから、必ず徹底して欲しい」

 

「うちは応援を出さないんですか?」

 

「大本営宛のメールを回してもらってるだけだからうちに直接連絡が来ないなら動かなくてもいい、それでは解散!」

 

 

 

 

 

「…提督思ったよりヤバめな人だったのかぁ…大本営の情報って首まずいんじゃない?」

 

「それよりも問題は新種です、早く知らせないと」

 

「今日の出撃予定は?」

 

「ほとんどキャンセルしましたが午後から遠征が」

 

「私がついていくわ、あんたらがあったら消費の方が多いじゃない」

 

「私も出ます、溜め込めるだけため込みましょう、明石さんは?」

 

「出撃したことないので…それより、遠征海域変更の具申をしたいんですけど…近海を何度もまわる形式にして、安全性を高めませんか?それなら上も練度上げで誤魔化せますし…」

 

「じゃあ私たちで少しずつ索敵して、安全を確保した範囲で遠征していこっかな」

 

「明石さん、ついでに大型電探を開発しておいてください、積める人に渡してより索敵を強化します」

 

「はい、すぐに取り掛かります!」

 

「じゃあ方針は決まりましたね、それではまた後で!」

 

 

 

 

 

「ねぇ、拓海、これはまずいんじゃないの?」

 

『心配するな、いざとなったら君が責任を取るんだろう?』

 

「…まあいいんだけど、とりあえずこの件は任せるよ」

 

『しかし、あのハッカーもなかなかなことをしてくれる』

 

「心配性なんだよ」

 

『相変わらず毒気が抜かれるな、それよりも…』

 

「わかってる、空母型だね、こっちでも…」

 

『違う、腕輪だ』

 

「…腕輪?」

 

『ヘルバから、君にはまだ腕輪の残り香があると』

 

「…そんな、まさか」

 

『まだ君は、世界に愛されているんじゃないのかな』

 

「…わからない、でも、もしそうなら僕は戦うよ」

 

『その時は私も手を貸す、微力ながらな』

 

「アレが味方なんて正直、何度見ても信じられないよ」

 

『私には君の夢物語冒険譚の方が信じられないがね』

 

「それじゃあ、今回は助かったよ」

 

『ああ、それじゃあな』

 

 

「…まさか、まだここにいたんだね、アウラ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府近海

 

「左舷敵!駆逐イ級2!」

 

「撃ち方始めー!」

 

「着弾…片方は健在ね…もう一発かましてやりなさい!」

 

「…何か変な感じがする…漣!観測用の双眼鏡持ってない!?」

 

「え、えぇー!そんなのないよ!」

 

「あるわよ、ほら」

 

「さすが朧ちゃん」

 

「…全然攻撃してこないわね…」

 

「もう一発よ、沈むまで!てー!」

 

「…熱くなりすぎよ曙」

 

「あんたが冷静すぎんのよ曙!」

 

「…すごい光景だよね」

 

「……よし、全員撤退開始、朧は提督に連絡、イ級に異変ありと伝えて」

 

「ちょっと!何を…」

 

「あいつおかしいのよ、見てみなさい、あの真緑のとこ」

 

「何かに守られてる…?」

 

「曙!撤退許可出たよ!」

 

「了解、全速で撤退!」

 

「曙ちゃん!イ級こっちに向かってきたよ!」

 

「不味い…資源は放棄!早く投げて!」

 

「…大丈夫!こっちのが速力は上!」

 

「漣!遅れないで!」

 

「わーん!これでも急いでるのに!!」

 

「…曙…」

 

「…まずいわね、どうする?」

 

「前方に敵飛行機遠回しに飛翔物!蛇行しながら進むわよ…!」

 

「後ろ追いつかれるよー!」

 

「…っ…ねぇ、あんたいける?」

 

「何が…」

 

「あたしの姉妹預けられんのかってきいてんの!どうなの!?」

 

「…任せなさい」

 

「朧、潮はそっちの曙について!全速!漣!東にそれて岩陰のルートを通るわよ!」

 

「え、ちょぼのたっあっ待ってぇ!」

 

 

 

 

 

「…無茶してないでしょうね…」

 

「大丈夫かな…」

 

「敵機から攻撃がなかったのが幸いだったわね」

 

「鎮守府見えたね…」

 

「…よし、前方から支援部隊……曙、こっちは無事…曙?…まさか…イ級は!?」

 

「もう見えないよ…?」

 

「…まずい!漣を追ってる!2人は先に鎮守府に戻って!早く!」

 

「曙ちゃんは!?」

 

「いいから戻って!早く!」

 

 

 

 

 

 

駆逐艦漣

 

「まずいまずいまずいまずい!」

 

気を失った仲間を背負い、必死に逃げる

 

「お願いだから…ぼのさま死んじゃやだぁぁぁぁぁ!」

 

絶対にやらせるものか…だが速度が足りていない

 

「っ…もうそこまできてる…やるしかないのね…」

 

背後から砲撃音がする度に冷や汗がブワッと出る

至近弾でも食らえば吹き飛ばされ、私は、姉妹を、背中に乗せた命を捨てるのだろうか…

 

「死んでも…離すもんかぁぁぁ!」

 

半身をひねり主砲を向け、がむしゃらに放つ

 

やはり直撃しても、あのバリアが防いでしまう

 

「なんで…当たれ!当たれ!もうさっさと沈みなさい!」

 

打ち尽くして気付く、今私はどこにいるの…?

 

「…まずい、燃料…まだいける…とりあえず振り切らないと…!」

 

魚雷は積んでいない、どうする、もう抵抗の手段もない

 

「ぬぐぐぐ…」

 

『捉えた、方位75!』

 

「ボーノ!たすけてぇぇぇぇぇ!」

 

『わかってる!待ってて!』

 

 

 

「お願いします!」

 

「…難しいなぁ…当たらないことを祈るよ…!」

 

 

 

「ぎょぎょっ魚雷っ…!北上さんかー…うおっしゃぁぁぁぁ」

 

 

 

「よし!イ級減速!間が空きました!」

 

「早く合流するよー!」

 

「攻撃隊発艦します!」

 

 

 

 

 

離島鎮守府

 

「曙の容態は?」

 

「意識は回復しましたが、片腕がダメです、肩は動くのですが、そこからは自分の意思では動かせないと」

 

「…なるほど、片腕だけ、か…」

 

「…提督?」

 

「…いや…片腕だけ未帰還…か…」

 

「………」

 

「……ダメだな、そんなこと…よし、鳳翔さんに繋いでくれる?」

 

「提督は?」

 

「本土に行く、大本営にも知られたくないから補給船の日程を」

 

「4日後です」

 

「じゃあそれまでに戻ってくるよ、呉に連絡船を出して」

 

「それに乗るんですか?」

 

「うん、片腕が動かせいない曙も連れて行く、無理はさせないから」

 

 

 

 

 

「びぇぇぇぇぇ!!私のせいでぼのたんがぁぁ!ぼのたんがぁぁ!!」

 

「漣、アンタのせいじゃないの、そこに寝てる馬鹿が囮を買って出なければ…」

 

「……悪かったわよ」

 

「曙、そんなに責めないで、漣を連れて行った判断は良かったと思うよ?」

 

「そうだよ、前なら一人で行ってたもん」

 

「そうねぇ、いっちばん信頼してる漣を連れて行ったんだもの、そこは褒めてあげる」

 

「ちがっ!一番遅れてたから仕方なく…!」

 

「ぼのたぁぁぁぁん!あいじでるよぉぉぉぉぉ!」

 

「うるっさいわね!あーもうくっつくな!」

 

「失礼します」

 

「明石さんじゃない、どうしたの?」

 

「曙さんを呼んでくるようにと、一応車椅子も用意しましたが…」

 

「ってことは私ね、心配ないわ、歩けるから」

 

「そうですか、ではいきましょう」

 

「ねぇ、私も行っていい?」

 

「……いいと思います、じゃあ行きましょうか」

 

 

駆逐艦曙

 

「失礼します、曙さんをお連れしました」

 

「どうぞ」

 

鳳翔さんとクソ提督は既に話を終わらせてたみたいで、こっちを向いて待っていたようだった

 

「曙、君の腕がどうしてそうなったのかよく教えて欲しい」

 

「…あれは…」

 

 

 

「漣!先行しなさい!」

 

「ひぇぇん!ぼのたんがこわいっボノエッティィヌ!!」

 

「さっさと沈め!」

 

振り返って全弾撃ち込むつもりで砲撃しまくる

当てても当てても防がれる

 

「くっ…!無理か…えっ」

 

ばくんっ

 

「っ…え……なに…これ…」

 

右腕が…焼ける…?

 

「ぼのたん!?ちょっまずっこれは……!」

 

襟を掴まれ、引きずられた気がするけど、そこからは覚えてない

 

何かに腕を喰われたような、そんな感触

いや、実際イ級に追いつかれていたのかもしれない

なんだったんだろう…

 

 

 

「わかった、とりあえず君には本土についてきてもらうよ」

 

「…なんで?」

 

「治すために、治らなくても何かわかるかもしれないからね」

 

「へぇ、病院なんかに行ってもなにがわかるっていうのよ」

 

「病院じゃないよ、とりあえず、行けばわかる」

 

「…その間ここはどうするの」

 

「出撃は全て取りやめ、鎮守府防衛に専念する、今から出るけど大丈夫かな」

 

「……わかったわ」

 

「行ってらっしゃい、曙」

 

「私が帰ってくるまであいつらのこと任せたわよ!」

 

「任せといて」

 

本土へ向けて

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