元勇者提督 作:無し
工作艦 明石
「ねぇ、なんでいうことを聞いてくれないの?」
「お断りって言ってるでしょ!?返してよ!姉さん達を返して!」
「……なんで貴女は…ああ、もういいです!処分しましょう、解体です解体…ああ、でも解体してもただの女の子になるだけなんで、怖がることないですよ?ただ、海に放り出しますけど」
「なんでそんなことになってんのよ!正気に戻ってよ!」
「私は正気ですよ?貴女がおかしいんです」
だって私は1番偉いのに、なんでいうことを聞いてくれないの?
あれ?違う、私は代理で、提督が必要で……あれ?提督は今何してたっけ…
私のお見舞いに来てくれて、部屋から出たら急に倒れて…あれ?
「なんで提督が倒れてるの……?」
「ちょっと…急に何言って…」
「血が…あれ?なんで私の手に…乾いた血が…あれ?あはっ…あれれ?」
「…ねぇ、落ち着きなさい!明石!お願いだから落ち着いて!」
「そう、提督は敵に刺された…敵に刺されたんです…」
「……まさか自分で刺したの…?」
「…ああ、私が敵なのか…」
「ちょっと何言ってんのよ…待って!何するつもり!?」
五月蝿いなぁ…敵は死ななきゃいけないのに…
この子は敵じゃないんだっけ?
まあ良いか…
「ギリギリでしたね、このくらいなら深い跡は残りません」
「…なんで止めるの…やめて、敵は死ななきゃいけないのに…!」
「貴女は敵なんですか?」
「私は…提督を刺した…敵になってしまった……!」
「……冷静ではないですが言ってること自体はなんとなくはわかりますね、力も異常なほど強いわけじゃない…AIDAの特徴が無いです……」
「霞ちゃん、大丈夫かしらぁ?」
「…荒潮…姉さん…?」
「そうよぉ?他のみんなはどこ?」
「……わからないわ…」
「仕方ないわねぇ…」
「明石さん、此処の提督はご無事ですよ、今医務室にいます、一緒にいきませんか?」
「無事?…そっか、無事……」
あれ?なんで…目の前が…
「……成る程、貴女は此処の提督を殺したかったんですね」
違う………のに…あれ…?
「…霞ちゃん、逃げましょう」
「わかってる!!」
軽巡 神通
「大元が明石さんというのは間違いなさそうですね」
「……ナンデ…?」
「……」
「ナンデ…ナンデワタシヲ見テクレナイノ!?」
「嫉妬、と言ったところですか…そんな悪感情ばかり向けていては、何も良い方向には向きませんよ……」
「黙レ!私ハ頑張ッテル…!ナノニ…ナンデ変ナ方向ニバカリ進ムノ!?ナンデ評価サレルノハ…アノ人バカリ…!」
「…報われない頑張りはありません、あと少しだけ頑張れば、きっと救われます」
「ソンナノ幻想!私ハ永遠ニ…同ジ時間ニ取リ残サレル…!キット皆ンナニ置イテ行カレル…!」
同じ時間に取り残される…
この人にとって今は一体…なんなのでしょうか
なんにせよ、私が少しでも動きを止めなくては
「…貴方の事情はわかりません、ですが、私も仕事です、拘束させてもらいます」
「…ソウダ…データハ…アル」
「っ!?」
今何が…光線…?
頬が焼けて…
「…アイツガデキテ…私ニデキナイ訳ガナイ…!!」
他にできる人がいる…?
それより、光線が早すぎて…見えない
「くっ…!」
わざと外してる…距離を詰めたら確実に当てにくるはず…
此処での戦闘は避けたい…
今はまず逃げる…!
「………ドコニイクノ…?」
「貴方達…逃げて!此処は危険…!」
「捕まえました〜!」
「アンタも皆んなとおんなじにしてあげるから」
満潮ちゃんと大潮ちゃん…
なんでここに…
「ぐっ…!?ぁっ…!なんて力…!」
「逃しませんよ〜?」
「はな…して…!」
「お断りよ!皆んな一緒になるんだから!」
「………居タ」
「…来ましたか…!」
でも、動けないこと以外は…予定通り
「…マトメテ…死ンデ」
「ヤーッ!」
「グッ…!」
「那珂ちゃん!明石さんを抑えて!」
「今!」
「待ってたわよ明石!!データドレイン!」
明石さんに向けて光の矢が飛ぶ
あれがAIDAや異常な敵を倒すための手段…
「…ジャマヲスルナ!」
「チッ…やっぱりまだ効かない!こうなったら殴り倒すしかないわ!2人とも!
「もう飛ばしています」
「見切りつけんの早すぎや!絶対殺すんちゃうぞ!?」
「朝潮は何処!?アイツのオバケを呼び出して!」
「オバケじゃありません、私の騎士です…やってください!」
『………』
ツギハギのオバケ…アレが騎士…
「対AIDAに関しては1番優秀です…お願いします」
『ア"ア"ァ"ァ"!』
「…アルゴン…レーザー…!」
さっきまでの比にならない巨大なレーザー砲…!
「熱っ…!」
「…なんやねんアレ!?」
「巻き込まれたら命はありませんね…!」
「…ぅ…」
「…ぁれ…?」
拘束が弱まった…?
「今!」
もしかして、アレはAIDAそのものを飛ばしてる?もしくは制御に強い力を使うのか…それとも何か電波のようなモノを乱してる?
なんにせよ大潮ちゃんと満潮ちゃんの拘束からは抜け出せた…なら次は大元を叩く!
「……」
「え、青葉さ…んっ!?」
腹部に重い一撃…
油断した……膝をついてしまった…
「青葉…!」
「いつの間に…!」
「………!」
「…あなたの相手はこっち…イヤーッ!」
『ア"ア"ア"ァ"ァ"』
どうすれば良いんでしょうか?
どうすれば明石さんを倒せる?違う、助けなきゃいけない?
あの技は効かなかった、じゃあ…
あのオバケ、鋭い剣戟でAIDAを削っていますが…
「………クラエッ!」
『ア"ア"ァ"ァ"…!』
「うわっ!?弾くな!」
レーザーを弾いて拡散されて逆に危険です
急いで倒さなくては…!
お腹に力が入らない…動きが遅い
良い的にされそうですが…そうすればみんなが攻撃できる
「チッ!」
腕を振り上げた…今…!
「この程度ですか…?…ふふ…捕まえた…!」
体がへし折れそう、ただ腕を振るうだけでこんな威力…でも、私は生きてる
そして片腕を取った…これなら逃がさない
『ア"ア"ァ"!!』
「グッ…!?グガッ…!」
「よし!今よ!とことん叩いて!」
「ヤメテ…!イヤダ…コレは…私の…!」
まだこんなものに縋るなんて…
余程、コンプレックスだったのか
「どうせこの程度です、あなたは弱かった…」
「やだ…イヤだ…!コレがナクナッタら…マタ…オイテ行かレる…!…アァァァァァ!!」
「不味い!メチャクチャに撃っとる!」
「大潮と満潮を!」
『ア"ァ"!』
「ワタシの邪マをスルナらみンナ死ネ!!」
「あぁぁっ!!」
「青葉!…メチャクチャすぎ…!」
意識がこっちに向いてない…今なら
「朝潮さん!鎮静剤を!」
「はい!」
鎮静剤をキャッチして突き立てる
「ゔっ…ァ………」
「…大人しくなり始めたわね…もう大丈夫…かしら」
「……多分」
「どうする?ワクチン効くのかな?」
「………試さないよりはマシです…投与して回りましょう、倒れてる大潮さんと満潮さんにも」
「…なんともお粗末な結果ですね…何故こんなことに……」
「ナントカはナントカ屋って言うやろ、こういうのは専門家頼ろか」
「……いや、わからない」
「明石にAIDAがおることも?」
「うん…」
「なぁ、キミ、ほんまに隠し事はなしやで?」
「わかってる、こんな状況で嘘をつく事はしない」
「………頼むねん、なんかないんか?」
「……翔鶴と青葉については…知ってたよ」
「…なんで言わんかった」
「北上に止められてた」
「………なんやと?」
「……北上は、AIDAをコントロールできる…多分感染者もある程度ね」
「…それがあの強さの理由?」
「違う、それは純粋な努力の結果だよ、北上は……誰よりも努力し続けた」
「そらそうか、そんで?」
「…北上なら何かを知ってるかもしれない」
『………そんな事になってるとは思わなかったけど…』
「それで、北上、キミは何か知ってる?」
『…前に、一度、AIDAで暴走しかけてたとこに出くわした事がある…』
「……なんで報告しなかったの?」
『…AIDAの感染者なんて…会えると思う?私でも殆どのメンバーには言ってない、翔鶴や青葉みたいに自覚がないパターンもある…多分大潮や霰みたいに、復帰したら全員そう…摩耶はわかんないけど……ずっと考えてたんだ、どうしたらAIDA感染者から完全に消せるのかって……違う、なんで報告しなかったのか、だよね……うん、こっちもずっと悩んでるんだけど…裏切り者がいるんじゃないかなって』
「……そんな訳ないよ」
『提督、なんとなく気づいてたんだね』
「…違う」
『…じゃあ、明石の優しさにも気づいてたよね、ずっと言い出せない孤独、そして周りが強くなっていく、焦燥…』
「………」
『明石は…ゴメン、私が提督を責めちゃダメなんだ…すぐ帰れるように手配するから』
「うん…ごめん、待ってるよ」
『待たなくて良いよ…明石の方にいてあげて、今、1番孤独なのは明石だから』
「…ありがとう」
「………やっぱり、居たんだ…誰が…」
「どうやったんや?」
「…龍驤…いつから居たの?」
「最初からおったわ…なんや、壁と勘違いしたか?張り倒すぞ」
「………大体聞こえてたよね」
「静かやから北上の声もな…さて、ウチは裏切り者…それからもう一つあると思うで」
「…もう一つって?」
「同じやつかは知らんけど、こっちは誰か知っとる…大本営に話流しとるスパイもおる…実力のない島風を引き摺り出そうとしたり、翔鶴の情報を持ってたりしたのも納得いくやろ?」
「………嘘だ…」
「現実や、しっかりせぇよ」
「…違う、そんなわけない…」
「ええ加減にせぇよ!?お前自分が白言うたらなんでも白になるんわかっとんのか!?発言に責任持てや!」
「……なんでそんなことを…」
「…知らんわ、スパイの方は少なくとも…金目当てではない、そんな奴ちゃうからな…」
「…龍驤と仲がいい子なの…?」
「……まあな」
「…曙…?」
「違う……アイツやったら張り倒して…やめさせた」
「………まさか…赤城」
「そうや」
「…なんで…」
「……なあ、なんで今も滞らず補給物資が来とると思う?この前舞鶴の偵察を阻止したって話はこっそり立ち聞きしたわ、でも場所まで割れてたんやろ?もう確定してんのと変わらんやんけ」
「………」
「その気になれば強制的に踏み切れる、相手は大本営、こっちはちっさい鎮守府、どうやってもこっちのが弱いんやから…最後の壁になっとんのが赤城や、それがわかるか?」
「…………」
「…1人で気丈なフリしとる、明石もそうやけど…お前人の事見る目ないわ」
「…そうだね…少し、行ってくるよ」
「…動ける訳ないやろ、結局拒否反応出てんねんから、その熱で何処いくんや?明石に謝るか?赤城にやめろと頼み込むか?」
「…明石には、謝れない、今行けば余計に傷つけるから…赤城にはやめてくれなんて言えない…本当にここが滅ぶことになるから」
「じゃあ2人揃って犠牲になり続けろ言うんか」
「………もし、そうする必要があるなら、僕が犠牲になる」
「お前舐めとんのか?」
「いいや…だから、誰も犠牲にならない手段を探す」
「せめて考えありきで言って欲しいもんやな?」
「………ごめん、まだ思いつかないんだ、でも、寝てるわけにはいかない」
提督 倉持海斗
誰かが敵に手を貸している
一番あってはならない事だけど、間違えようも無い事実
AIDAを持ち込んだのは誰なんだろう
熱で頭が回らない、だけどこの程度なら辛く無い
「提督、すげぇ顔してんな…どした?」
「…摩耶…」
「お、おい!熱あるだろコレ!?休めよ!」
「………」
ああ…もう受け入れなきゃいけないのかな
赤城、加賀、北上、高雄、鳥海のような…2020年以前からここにいた記録のある艦以外は全てが容疑者だったことも…
あの作戦も…