「俺たちは、『仮面ライダー』だろ?」
そう言い放った最後の決戦の後、私…いや俺は●●の復活を望まなかった。
直前までは思っていたし実際行動にも移していたのだ。
ただ、こうも思ってしまったのだ。
「俺がゼロから立ち上げてまたイチからスタートさせたとして、それは同じ事を繰り返す事になるんじゃないの?」
と、魔が差すというのは正にこんな感じなのだろうと今は思う。
それが段々心の中で大きくなり、『彼女』の新しい素体を前に俺は●●のプログライズキーをかざせなくなっていた。
【退任の言葉】
結局、俺は一人でやり抜く事にした。
社員を引き連れる重責、膨大な書類、株主への説明、抜け目ない取り引き相手(ZAIA)との交渉、膨大な書類、書類、書類、書類!!
全部こなした。
俺が折れそうになったのなんか足の指を足しても足りないくらいにめちゃくちゃ後悔した。
けど、良い事もあった。
後輩ができたのだ。
いや社長のではなく、『仮面ライダー』の。
本を力に変え、剣にそれを纏う剣士を始め、様々な仮面ライダーが誕生し、令和を、その先の年号を駆け抜けていった。
世界なんてそろそろ3桁は滅びかけた気もするがそれはそれ。
後輩がギリギリで何とかしたし俺も潤沢に支援をした。
ゼロワンシステムも俺が出番がある度少しずつアップデートされ、ゼロエイティファイブ辺りから数えるのをやめた。
なんなら大先輩と時を遡ってこのシステムで海外のヒーローとも行動した。
あの時は世界が半分消えたのでまぁ焦った。
それも良い思い出だ。
書類に圧殺されたのもこの為なのかなとはちょっと思ったものだ。
ごめん、それやっぱ無し。
あとで消しといて
えっこれそういうの付いてないの?
えぇ〜
まぁいっか イカ食べて忘れよう
はいっアルトじゃぁー、ナイト!
ふふん
やっぱり、最後にギャグを挟まないとな。
俺らしくないよ
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けど、それも終わりだ。
今日、俺は社長を退任する。
後任の社長も指名したし引き継ぎも終わった。
何故か引継ぎ時にドン引きしていたのが記憶に新しい。
それはともかく、退職祝いに一つだけお願いをした。
身の回りの世話をする秘書型ヒューマギアだ。
………実はあの時、大先輩に頼んで少しだけ寄り道をしたのだ。
技術の進歩というのはすごいよね、ヒューマギアのデータを丸ごとコピーできるようになるなんて。
そんなこんなで、起動の時だ。
この時の為に改良されたプログライズキーVer.13を使い、何十年も前に封印した彼女を起動させる。
『セクレタリー ●●』
徐に、彼女は目を開く。
「おはようございます或人社長……ここは、そもそも私はあの時滅を止めようとしていたはずでは?」
「あぁ、そうだよ『イズ』。君はその後に滅に攻撃された後、自壊した。」
「でしたら」「でも、今ここにいる。それだけで良いじゃないか。俺も社長を退任したし、時間は沢山あると思うよ。或人だけに!ハイ!アルトじゃぁ〜ナイト!」
「今のは、時間が『あると』と『或人』社長の名前を組み合わせた高度なギャグで「いやギャグを解説しないで〜!!!」」
あぁ、このやり取りだ。
この奇跡を実現できたのは今までの軌跡が結んでくれたのだ。
今はこの時を噛み締めようとただ思う。
何なんすかねこれ。