ケモミミだらけの異世界で顔の良い人に拾われた件について   作:疾風怒号

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ずっと前から書きたいという気持ちだけはあった章に突入するので初投稿です。プロローグもどきなので短め。







三章:この腐敗っぷりで宗教国家は無理でしょ
14:火種、或いは新たなプロローグ


 

 

 

「……選定の儀、ですか。それの護衛を俺に?」

「そうだ。私の言いたい事は分かるな、エンシレント」

 

 

言いたい事は分かるな、じゃないんだよ氷属性福●雅治。いきなり過ぎるわ!選定の儀って来月だろ!俺ずっとヤーカがやると思ってたぞ! しかも参加するのってエンヤお嬢様ですよね?良いの?未だにちょっと苦手意識持たれてるよ!?

 

 

「ええと……エンヤお嬢様には」

「勿論伝えてある。心配するな」

 

 

根回し済みだったよ畜生。儀式の会場行った事あるけどさ……寒いんだよなあの馬鹿でかい洞穴、もう滅茶苦茶に寒いの、だから行きたくない。 多分濡れタオル振り回したら一瞬で凍るよ、絶対やらないけど。あんな場所で雪解け水が誰かの頭に落ちてくるまで女の子達が待機するってマジですか、その上凍死しても何の補償も無いとか……。

 

そういう事を大真面目に出来るくらいには、イェラグに於いて宗教の力は絶大だ。『カランドの巫女』を選び出す儀式はその中でも最たるもの、貴族であろうと例外無く強制参加のクソ運ゲーである。

 

具体的な話をすればそれこそ抽選と変わらない。ただ、常に死の危険が付き纏うだけ。雪解け水をその身に受けた女は、その足でカランドを登らなければならない、『数歩毎に礼を山々に捧げる』という馬鹿みたいなルール付きで登山具の類は一切無し、ゴールまで辿り着けずに死んだら、もう一度選定をやり直す……と言った具合。余所者の俺が言う事じゃ無いけど、やっぱりクソゲーだよこれ。

 

でもその代わり、宗教のトップとなるカランドの巫女ってのは実質的に凄く偉いんだそう。なんでも、貴族でも礼節を欠かしてはいけないんだとか。

 

正直な事を言えば今から胃が痛い、何か知らんぷ不備があれば俺が責任をおっ被らされる事も十分有り得る。……まぁ、それだけ信頼されているんだと思えば…………良いか?

 

 

「……分かりました、お受け致します」

「あぁ、頼む。お前なら()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

どちらにせよエンシオディス直々の頼みを断る事なんて出来ないんだけどね! ラテラーノで散々ドンパチンコしたってのに、何でか信頼されてるな……、何でだ?

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

閑話休題。どうしてエンシオディスが態々指名したのかって話なんだが、まぁ十中八九俺のアーツがお目当てだな。俺以外で俺のアーツをほぼ完全に把握してるの、エンシオディス様しかいないし。

 

発言も含めて推察すると……、要するに……そういう事です、エンヤお嬢様を絶対に巫女にするなって事です。無茶言うんじゃないよ!と叫びたい所だけど、今のままだとほぼ確実に彼女の脳天に雪解け水が落下するから仕方ない。何でかって? 国外からの物流をガンガン取り入れたいエンシオディスと、旧来の在り方を否が応でも維持しなければならないカランドの巫女は如何あっても対立してしまうからですね。

 

つまり、旧来のイェラグの運営システムで甘い汁吸いたい残り二つの貴族は、エンヤお嬢様を巫女にするだけでシルバーアッシュ家の勢いを削げる訳だ。況して彼女は政治のせの字も知らないようなおっとり系女子、シルバーアッシュ家そのものと距離を取らせてしまえば幾らでも取り入れる……って考えてるんだろうな、あの人達。

 

勿論そんな事は此方だって分かり切っている訳で。だからこそエンシオディス様は俺を半ば無理矢理にでもあの洞穴に俺を護衛として捻じ込んだんだろう。指令書貰ったけど凄いぞこれ、粘りに粘りまくって交渉してやっと俺一人の同行が許されてる。最近よくどっかに電話掛けてると思ったらそういう事だったのかエンシオディス、凄いぞエンシオディス。

 

という訳で俺の仕事は『エンヤお嬢様を護衛しつつ、他の貴族の手先を探しつつ、エンヤお嬢様に雪解け水が落下しないように祈る』って事になる。最後がただの運任せなのどうにかしてくれ。

 

 

「ま、此処までされたら頑張るしかないよな……」

「何を頑張るの?」

「うぉぁッ!!??」

 

 

エンシアお嬢様、何度でも言いますが俺の背後に現れるのは勘弁して下さい。 心臓が口から出そうになった俺を他所に這い寄る雪豹エンシアホテプはニコニコしている。君今日はいつもより機嫌良いな、何で?

 

 

「…………エンシアお嬢様、一応聞きますがいつから俺の部屋に?」

「エンシレントが帰ってくる前から居たよ?」

「どうして……」

 

 

最早項垂れるしかない、本当に何で?

 

 

「どうしてって……エンシレント、もしかして忘れてる?」

「え、何をです?」

「む……、来月カランドに一緒に行くから、今日は登山具を買いに行くって約束したでしょ?」

「……あ〜…………お嬢様、非常に言い難い事なんですけど…………、来月は仕事が入りまして」

 

 

彼女の顔が固まった。嗚呼エンシアお嬢様、頼むからそんな世界の終わりみたいな顔しないでくれ。うん、忘れてたよ?忘れてたけど覚えてたとしてもこれは対処不可能だから、俺にはどうしようも出来ないの、だからさ……頼むからそんな泣きそうな顔しないでくれ…………。

 

 

「そ、そっか、そっか…………仕事、入ったんだ」

「……暫くは、エンヤお嬢様の護衛に付きます、それが終わったら休暇でも何でも取れると思うんですけど…………」

「うん……大丈夫、(あたし)待ってるから……」

 

 

顔が良い女は落ち込んでても可愛い。冗談はさておきエンシア自身は来月を割と楽しみにしてくれてたらしい、結構真面目に登頂ルートとか話してたし、ラテラーノから帰ってからというものの結構な頻度で山登りも行ったし、何なら一部の用具はお嬢様からの頂き物(お下がり)だし。

 

流石にこのまま放置するのは可哀想、というよりキャンセル不可能な仕事をぶん投げられたのは貴族共が悪いとしても、買い物の約束を忘れてたのは俺の落ち度、反省点、……いや、覚えてたとしても無理だったんだけど、それはそれ、女の子を悲しませてから進んで放置するのは気分が悪い、それが恩人の妹なら尚更だ。

 

 

「……じゃあ、買い物、行きます?」

「うん…………!」

 

 

あ、ちょっと笑った。飲みに行く予定だったレガトとオルニットには悪いが、これはこれで役得だと思っておこう。 所で、登山用具って俺が自腹切るんですかね?

 

 

 

 

 







エンシレントのタスク

・エンヤお嬢様の護衛
・貴族連中の手先の排除
・お祈り()
・エンシアお嬢様と登山


お祈り要素のある仕事で100%を求められたエンシレントくんの明日はどっちだ! 疾風怒号です。

いつも以上に捏造増し増しでお送りするカランドの巫女編始動。という訳でラテラーノ編と同じくちょっと長めに話数をとる予定です、宗教国家のドロドロした部分を覗く事になりますねクォレハ…………。シルバーアッシュ三兄妹をアプリで雇用していらっしゃるドクター諸氏には大体何が起こるのかバレてそうで怖かったり。というかバレるよなこれ(冷静)

それでは次回でお会いしましょう、疾風怒号でした!


追記

『個人プロファイル・ヤークト編』をごく一部ですが更新しました。また、感想を送って下さった読者の皆様には感謝を申し上げます。やる気がムンムン湧いてくる!



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