神斬り武蔵 作:もやしもん
とりあえず今は話数増やしたいので出し惜しみせずに出します。
豊饒の女主人を出た俺はほろ酔い気分のままダンジョンへと足を運ばせた。稼がなければいけないのだ。俺は現在無所属ということになっているがダンジョンの入場管理は結構杜撰で明らかな子供では無いかぎりは武器を持って装備をしていれば簡単に入れたりする。もっとも俺は今二本の愛刀だけを腰にさして装備の類は一切着けていないのだが。暫く夜道を歩き、暗闇にそびえ立つバベルの中へと俺は消えた。
今日の昼間ぶりにダンジョンにきたが何故か極端に上層の敵が少ない。僅かに残っていたゴブリン等の雑魚を蹴り殺しながら三階層、四階層と足を進めていくがここまで大した稼ぎに成っていなかった。そして六階層に足を踏み入れた辺りから通路に魔石が一定間隔ずつで並んでいるのを見つけた。まるで罠のように誰かを誘き寄せているように見え、好奇心をくすぐられた俺はそれを拾いながら辿っていくと段々戦闘音が聞こえてきた。
―カン、カン、カン!!―
「はっ!えい!せっ!!」
パーティーではなくソロのようだ。こんな時間に精が出るなと思いながら魔石を辿っていくと戦闘音はかなり近くなり、やがて目の前で戦闘が行われていた。
白髪の装備も着けていない少年がナイフ一本を武器に初心者殺しと名高いウォーシャドウを相手取っていた。がむしゃらで必死な動き。動きに無駄は多いけれど生命力のある動きに俺は暫く目を奪われていた。そのとき、少年の姿が酒場での食い逃げに重なった。酒場から出るなりダンジョンに来たみたいな格好と必死そうなその顔で俺の中で全てが繋がった。
やがて少年が戦闘を終えたことを確認すると声を掛けた。
「お主、酒場での食い逃げじゃなぁ?」
そういうと彼はお代を払っていないことに気づいたのか慌てた顔をした。
「焦る必要はない。あそこの店主はあれでも冒険者に理解はあるほうじゃ。話せば分かってくれるじゃろ。俺が建て替えてもよかったんじゃがなにせ一文なしでのぅ」
そういうと彼はクスリと笑った。
「そう言えば、この間ミノタウロスから守ってくれたお方…ですよね?」
「いかにも。あのときは急いでいたから振り返ってやれなかったし返り血ぶっかけちまったしすまねぇのう」
「いやいや!もとはといえば弱い僕が悪いんです」
俺は少年を一瞥した。華奢な身体で武器は短刀一本。しかもギルドからの支給品のものだ。装備はなし。傷は所々あるもののよくここまで来た。
「お主を嘲ったあのワンコロは俺の身内でよ、あのあとしっかり躾といたからそれで治めてくんねぇか?」
ベルは躾の単語に苦笑いした。そうしている間に後ろから斬りかかってきたウォーシャドウの腕を掴んで一本背負いの要領で投げて胸にある魔石を直接抜き取った。
「まぁこれで煙草一箱はギリ買えるわな」
今までの雑魚と今のウォーシャドウの分を合わせてもそれだけしかなかった。辿ってきた魔石は恐らくベルのものだからとベルに返した。
「お強いんですね…」
ウォーシャドウを素手で殺した俺を見てベルはそう言った。
「あんまじゃぞ」
するとベルは急に俺に頭を下げた。
「お願いです!僕に戦い方を教えてくれませんか!?」
弟子を取ったことは前世で数度あったがこの世界に来ては無く、アイズには何度か戦い方を教えていたがそれくらいのものだった。少年の眼差しは真っ直ぐで覚悟はありそうだ。この世界に俺の技を残すのも悪くはない。
「んん、いいじゃろう」
ベルの不安そうな顔がパッと晴れた。敵も段々集まってきた。俺は一番最初に気を付けなければいけないものをかいつまんで話してベルに戦わせた。
ボロボロのベルを背負ってダンジョンを出ると既に眩しい太陽が半分顔を出していた。
「…すみません」
「別にいいぞこのくらい」
「そう言えば師匠ってどこのファミリアなんですか?」
「無所属じゃ」
そう言ったらベルは驚いた。
「ダンジョンに入っていたのは秘密じゃぞ」
「はい!もしよければウチのファミリアに来ませんか?」
「ベルのファミリアは何ファミリアじゃ?」
「ヘスティア・ファミリアです!団員が僕しかいなくって困ってるんですよ…」
俺は暫く考えた。なにせ刑は終わったといえ罪人だ。ファミリアに入りたいのはやまやまだが迷惑を掛けてしまうかもしれないし俺の顔を見てベルの主神は拒絶しないだろうか。
「来てみるだけでいいですから!入団はゆっくり考えて下さい!とりあえずヘスティア様に会って欲しいんですよ!」
俺はベルの熱量に押された。背負ってるベルを届けなければいけないからどのみち会うことにはなりそうだが。
ベルに案内されるがまま道を進み、やがて廃教会に着いた。
「ベルはここにすんでおるのか?」
天井は崩れ、教会の中に朝日が注ぎ込んでいて、雨なんて降った日にはこの朝日みたいに大量に注ぎ込むことが容易に想像できた。
「ここ、隠し部屋があるんですよ」
その言葉に若干の安堵を浮かべて隠し部屋の前に行くと扉が勝手に開いた。
俺の足音が聞こえたのか中からはツインテールで少女のような神様が出てきた。
ベルがガミガミと説教されている横で俺は出された茶を飲んだ。入団希望者だと言う旨を伝えたら部屋の中に通されたのだがどうしていいのか分からない。しばらく待っていると説教が終わったのかヘスティアが俺の方に来た。
「それで君は入団希望者って本当かい?」
うむ。と短く答えて俺は笠を取った。
「宮本武蔵と申す」
「えええええええええええええええ!?」
ヘスティアの絶叫が響いた。
「宮本武蔵ってロキファミリアだった!?なんでこんなとこに来たんだい!?」
俺は内心驚いていた。
「いかにも。武蔵じゃ。しかし驚いたのう。罪については触れないのか?酒場の冒険者は全員俺の顔をみたら真っ先にそれに触れたが」
「それは神同士の間でもタブーになってる話だよ!ボクはあの事件で悪いのは君じゃないと思ってるんだ。ボクだけじゃない。ほとんどの神もそう思っていた。だから君を牢屋送りにするのだって反対だった。そんなことよりほんとのほんとにウチに入りたいのかい!?」
神とは慈愛に溢れた生き物のようだ。生き物かは分からないが。
「まことじゃて」
「嘘じゃなーい!ベル君ナイスー!とんだ化け物を連れてきたね!!」
ベルとヘスティアが手を合わせて喜ぶ。俺はその光景を笑顔で見つめていた。ロキにはかなり申し訳なかった。しかし俺の目的はロキファミリアにいては果たせなかったのだ。
「早速恩恵刻もう!」
「そうじゃな」
そう言って俺は羽織を脱いで袴下に着ている羽織と同系色の半着の袖を脱ぎ、腰まで下ろした。傷の刻まれた筋肉質な肉体が露になる。
「強そう…」
ベルのそんな呟きが聞こえた。俺はヘスティアに指示されたソファの上でうつ伏せになった。
「予想していたけどランクアップ出来るよ。どうする?」
「むぅ。ステイタスみて決めるかの」
そして数分後に終わったことを知らせるヘスティアの声が聞こえた。和服を気直しつつ羊皮紙に写された自分のステイタスに目を通す。
ミヤモト・武蔵
Lv.5
力 A:850
俊敏 A:880
器用 SSS:1299
耐久 B:795
魔力 C:603
神秘 C
剣豪 C
兵法 D
技巧 G
《魔法》
【】
【】
【】
《スキル》
【五輪書】
【カグツチ】カグツチの炎
【神斬り】生命力激減少、ステイタス激上昇。斬った神のアルカナムの一部を使用できる。神に対する攻撃力上昇。
やはり神殺しほどのことをすればステイタスにも影響は現れるのか。魔法が無いのは相変わらずだった。いつも魔力も気づけば上がっているし魔法の部分に欄が無いわけではなく3つ有るのに魔法が顕現しない。グリモアでも使ってみるかと考えてみたが金欠の俺はそんな贅沢品を買えるわけがなかった。
「ランクアップはまだにしとこうかのう。魔力以外が全部Sにいってからにしとこう」
とんでもないことを普通に言う武蔵にヘスティアは驚く。
「このごりんしょ?っていうスキルはなんだい?カグツチについては説明が雑すぎないかい!?予測できなくもないけど」
「五輪書は俺が最初に恩恵を刻んだ日からある。説明もなんもかかれていないのは相変わらずじゃの。カグツチと神斬りは今日初めてじゃ」
五輪書は生前俺が記した書だ。しかしここに出てくるとは予測していなかった。効果も分からずぶっちゃけ意味あるのかも分からないが出てくるということは何かがあるんだろう。
「まぁステイタスは特に問題ない。強いて言えば上々じゃ」
武蔵はステイタス更新の為に置いた刀を腰に差した。先程からベルの目は置いてある刀に集中し興味津々と言った様子だから少し申し訳なかった。
「その刀って名前有るんですか?」
「おお、でけぇのが了戒、ちっせぇのが金重。金重は名前じゃなくて打ったやつの名じゃがの」
「なんか職人が作った武器って感じでカッコいいです」
「お前も強くなったら買えるぞ」
「はい!がんばります」
そういって俺は本拠を後にした。とりあえずまとまった金が欲しい。30階層くらいまでならギリ1日で行ってこれるだろう。
ヒロイン誰にしようか。アイズ予定だったけどもっと考えてみてもいいかもしれない。ハーレム面白そうだけど書けるかなぁー。