神斬り武蔵   作:もやしもん

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ハーレムの方向でいくことに決定いたしました!今日もヒロイン登場です!
皆さん感想ありがとうございました!!


双頭竜

 走ってダンジョンを駆け降り、休みを取らず縦穴があれば飛び降りて、グレートフォールまで来たら祈りを捧げてまた飛び降りるという馬鹿みたいな離れ業で死ぬ思いをしながら25~27階層をすっ飛ばしてやっとの思いでついた30階層。息を切らしながら少し足を止めて深呼吸をすると、すぐに刃を抜いて目の前のブラッド・サウルスの群れに突っ込む。心掛けるは一体一閃。太い首を落としてまた次、また次へと斬りかかる。異常発生かブラッド・サウルスの数は驚くほど多いが、金のない武蔵にはブラッド・サウルスの群れが金の山にしか見えていなかった。逃げようとする奴は優先して殺す。十分もしないうちに五十はいたブラッド・サウルスが一匹も居なくなっていた。また深呼吸をして息を取り戻すと魔石とドロップアイテムを仕舞い込む。そして一服。これだけあれば一週間分の食費にはなりそうだった。行きはグレートフォールで襲ってきた水棲系のモンスターと道を塞いでいて邪魔くさかったインファントドラゴンくらいしか殺らずに来たわけだから帰りは稼ぎながらゆっくり帰ろうと思い、腰を上げて帰路に着いて三階層程上がって歩いているときだった。その爆音を聞いたのは。何かが近付いてくる。デカくて強いなにかが近づいてくる。刀を抜いて警戒する。額に嫌な汗がにじみ出たその時だった。視界が突如真っ暗になった。

 俺は瞬時に状況を理解して足元に刃を突き立てそれにしがみついた。とにかく暗くて生暖かい。そして悪臭がする。足からこの空間の奥へととてつもない力で引き込まれるのを突き立てた刀を全力で掴むことで抵抗した。そして俺を引きずり込もうという空間の先に俺は全力で叫んだ。

 

「カグツチ!!!」

 

巨大な業火の弾が俺の手から発せられて空間を焦がしていった。そのとき暗闇に光が差す。奥へ奥へと引き込む力は無くなった代わりに俺は重力に従った。

 暗闇からでると俺は今頭を下にして落ちているんだと気づいた。そして客観的に見れば下、俺の体感だと上のほうからゴウゴウという爆音が聞こえる。この音は今日もう聞いている。安心すべきかその後を考えて落胆すべきか。下らなくてどうにもならないことを考えているうちに全身に痛みと冷たさを感じた。

 

 

 

 綺麗な光景。青の世界。その世界を堪能する間もなく自分の上に大きな口を開いた巨体が落ちる。

 ここは水中だから下敷きになってもダメージはなかった。初めて俺は自分を飲み込んだヤツと対面した。デカイ蛇。

かつて俺はこいつに歯が立たなくて死に物狂いで逃げたのを覚えている。名前はアンフィス・バエナ。

 俺は直ぐに態勢を取り直して水中で刀を構えた。しかし水中のソイツは地上の数倍も速かった。口を開けて突進してくるのをギリギリでかわす。時には左右にずれたり身を引いたり。それでも掠り傷は増えていった。水中だから大きな動きは逆に隙になる。寄ってくる水棲系モンスター達も邪魔くさい。反撃出来ずに防御を強いられていて尚且水中だから長居は出来ない。苦しい戦いだった。けれどやがて時はくる。ヤツが大きく口を開けて大きく噛みついて来たのを少し後ろに引いてかわした。近くの水棲系モンスターは全て既に魔石になっていて、向かい合う俺とヤツ。そして隙を晒したヤツの目を突いた。鮮血が流れて、ヤツが暴れる。俺はもう片方の目も刃で突いた。そして右目と左目の傷を繋ぐように刃を動かして深い一文字をヤツの顔に刻むと傷口の上側と下側に手を掛けて大きく開くように力掛けた。コイツはケツにも頭がある。だから厄介なのだがこうでもしてしまえばただの大蛇になんら変わりない。そう思ったその時、足元を激痛が襲った。

 立派な牙が俺の足の甲を下から上に貫通していた。そしてその隙を見計らってヤツは反対側の頭を先頭にして逃げようとするが俺は俺を刺した牙にしがみついた。

 

 

 

 水の中を恐ろしい勢いで移動するヤツ。少し気を抜けば手を離してしまいそうだったが俺は必死に掴んだ。段々と息が苦しくなる。限界が近づいているようで手の力も弱まっている。水面はあと数メートル。俺が手を離すのが先かコイツが抜け出るのが先か。

 結果は後者だった。まるでイルカのようにコイツは水面から飛び上がり、宙に綺麗な放物線を描いて地面に着地した。俺も空中で手を離して自分で地面に着地した。

 着地をしたヤツは逃げなかった。まだ無傷の方の顔を俺に向けて細長くて先の割れた舌を出して威嚇をした。ヤツに貫かれた俺の足は紫色に変色し、毒が回ったのか全身を倦怠感と痺れが覆っていた。手負いなのはどちらも変わらなかった。

 俺とヤツには50メドル程の距離があった。50メドル、体長の長いヤツからすれば大した距離ではないのだろうがそれでもヤツが加速を終えるには十分な距離だった。ヤツが決着を決めようと言っているようだった。

 俺は二本の刀を抜いた。そして全身の力を抜いた。腕をだらりと垂らして刀を握る手にも力は込めなかった。しばらくの沈黙が流れた。

 

そして時はきた。

超高速、双頭竜は地上で出すことの出来る最高速度で飛びかかった。

武蔵は刮目して双頭竜をみた。そしてだらりと垂らした腕を2つ揃えて下段に持っていき、斜め下から上に上げるようにして刀をアンフィス・バエナの大きく開いた口角に斬り込んだ。勢いを殺さぬアンフィス・バエナは俺の直ぐ真横を通り抜けた。頭から尻へと地面と平行な二本の傷が双頭竜の側面に刻まれ鮮血をばらまいた。アンフィス・バエナは一度ゆっくりと動くとそれ以降はピクリともしなかった。

 

 

 

 

 

 疲れているけど腰は下ろさなかった。腰を下ろせば眠ってしまうのは目に見えていたからだった。とりあえず当初考えていた24時間で帰る作戦はダメに成りそうだ。ポーションの類いは激流のお陰で全部割れていた。毒のお陰で頭が朦朧としていて傷は大して痛くは感じなかった。あと9階層、頑張って上がればリヴィラの町がある。とりあえずそこまで行こうと奮起するとアンフィス・バエナのドロップアイテムと魔石を担いで歩き出した。

 

 

 

 

 

 ダンジョンを出れば太陽がもう昇っていた。時間にして8時くらいだ。ダンジョンに潜っている間は時間感覚が曖昧になるが大体25時間ぶりの地上だ。リヴィラに行って休もうと思ったが道中気持ち悪さに限界をむかえて全て吐き出したら謎に身体が軽くなってそれからはいつも通りだった。ただ足が痛いのには変わりなかった。

 地上に出た俺はもろもろをギルドで換金して金に変えた。アンフィス・バエナのドロップアイテムだけはギルド以上で取引してくれそうな宛てがあった。

 馴染みの道を足を引き摺って歩き、見えてきた馴染みの店の扉を開けた。店内には几帳面にポーション類が並べられ、その奥のカウンターに目当ての人物が座っていた。俺は笠を取って顔を晒すとその人物は目を見開いた。

 

「久しぶりじゃな」

 

 カウンターに座る女性はアミッド。オラリオ最大の医療系ファミリアのディアンケヒト・ファミリアの団員で俺の昔からの顔馴染みだ。彼女は涙を流した。

 

「この間オラリオに戻ったのじゃ。会いに来れなくてすまんのう」

 

 俺はカウンター越しにアミッド頭をくしゃっと撫でた。

 

「あなたが戻ってきてくれただけで嬉しいです。それで今日は何を?」

 

「アイテムの換金を頼みたくてのぅ」

 

 俺は奥のテーブルに通され、アミッドと向かい合うように座った。俺とアミッドの間に挟まれた机の上にドロップアイテムが置かれ、アミッドはあちこちを見て何かを呟いていたが一通り見終えたようで口を開いた。

 

「非常に綺麗な状態です。650万ヴァリスでどうでしょう?」

 

「うむ。お願いしよう」

 

そういうとアミッドに金貨の入った袋を渡される。重さを計って中身を確かめることくらいは出来るだろうがアミッドなら大丈夫だろう。俺は礼をした。

 

「そうじゃハイポーション2つもらえんかの?」

 

「かしこまりました」

 

そう言うとアミッドがハイポーションを二本持ってきてその一本を足の傷に掛けて余った分は呑み込んだ。

 

「ダンジョンにポーションなしで潜るなんてことをしでかしているのは貴方だけです」

 

「持ってたけどーーー」

 

「口答えしない」

 

「うむ。」

 

「貴方には死んでほしくないのです」

 

「分かった」

 

アミッド目を見つめて笑いながら頭をもう一度雑に撫でた。そして立ち上がる。

 

「じゃあまた来るぞ」

 

 俺は店をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒロインはアイズ、リュー、アミッドが確定しててレフィーヤ、シャクティが候補になってます
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