神斬り武蔵   作:もやしもん

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運対の嵐で草


怪物祭 前編

 俺は祭りというものが大好きだ。わちゃわちゃしててうるさくて、でもそう言う雰囲気が大好きだ。今日は俺がいつも楽しみにしている行事の一つ、怪物祭が行われていた。

 俺は今日ばかりはと袴を脱ぎ、着流し姿に祭りを十分楽しめそうなだけの小銭を巾着に入れた。基本ただの買い物でも刀は身につけているが今日は刀も置いた。

 そんな俺を見てベルとヘスティアは首を傾げる。

 

「今日は祭りじゃそ!!」

 

 笑って準備をする武蔵を見てベルとヘスティアは微笑む。

 

「三人で行こうかじゃないか!」

 

「はい!神様!」

 

「うむ!」

 

今日もヘスティア・ファミリアは平和だ。

 

 

 

 

 

 外に出てメインストリートに出ると人だかりが出来ていてガヤガヤと賑わっていた。武蔵は前方から漂う露店の良い匂いにもうソワソワし始めているとベルと俺を呼ぶ声が隣から聞こえた。

 

「おい!そこの白髪頭と着物!」

 

そう呼ばれて俺らは隣を見た。 隣には豊饒の女主人がありその入り口から猫人の少女が俺らに手を振っていた。

 

「アーニャか。こないだぶりじゃの。どうした?」

 

「これをおっちょこちょいシルに届けてほしいニャ!」

 

そう言われてガマ口の財布を渡された。物を伝達するにおいて大切な部分がかなり欠落した言葉だが何をしてほしいのかは理解することができた。それはベルも同じようで二人で顔を合わせて苦笑いしていると店の奥からエルフの少女が出てきた。

 

「おはようございます。武蔵さん、クラネルさん。アーニャ、それでは説明不足ですよ」

 

「おう、おはよう」

「おはようございます」

 

リューは珍しく豊饒の女主人の制服ではなく普通に私服を着ていた。

 

「全く、リューはアホニャ!怪物祭を見に行ったのに財布を忘れたシルに財布を届けて欲しいくらいだれでもわかるニャ!」

 

俺とベルは辛うじて分かったが多分多くの人は分からないと思う。

 

「分かりました!」

「うむ」

 

ベルが元気に返事をした。

 

「リューは今日は休みか?」

 

「はい。急に休みをいただいて…何をすればいいのか…」

 

「リューは祭りは嫌いか?」

 

「いえ。そんなことはないですよ。ただ一人では行く勇気が…」

 

「では行くぞ!」

 

俺はリューの手を引いた。

 

「えっ!?でもお金…」

 

「全部俺が奢ろう!」

 

こうしてリューが強制参加することになった。

 

 

 

 

 

 ヘスティアと合流し、ベルがシルを探しつつヘスティアと回るというから分かれることにして、俺はリューと二人で祭りを回ることになった。

 

「すごい人だかりじゃの!ほれ、掴んどけ!」

 

そう言って俺はリューに手を差し出した。勿論他のエルフにはそう易々とこんなことは出来ないがリューになら出来た。リューは差し出された手を掴み、強いて言えばちょっと赤くなりながら掴んで武蔵の逞しい背中を見ながら歩いた。

 

「リュー、何か食いたいもんはないか?今日はなんでもおごってやるぞ!」

 

「りんご飴…とか」

 

 確かに真横から流れてくる甘い匂いは気になっていた。俺は小銭を払って二本りんご飴を買って一本リューに渡した。そして通路から外れて人のあまり居ない芝生の上に二人並んで腰を下ろした。

 

「こうして武蔵と過ごすのは武蔵が帰ってきてから初めてでしたね」

 

「確かにそうじゃのう。酒場では会っていたがいつも忙しそうじゃから声もかけれなかったしのう」

 

「……あの日のことを今でもよく思い出します。あなたに任せないで私がやって「やめい」」

 

「今まで俺と目が合うとすーぐ逸らしてたのはそんなことを考えてたからか?」

 

「…はい」

 

「別に俺は後悔なんてしてはおらぬぞ?むしろ嬉しかったくらいじゃ。俺が大好きな人達を守れたんじゃもの」

 

肩に重みを感じた。見てみるとリューが俺の肩に頭を乗せていた。

 

「だからこれで良かったんじゃ」

 

 リューは俺の肩に頭を乗せてままコクと頷いた。

 

「しみじみした雰囲気はおわりじゃー!!まだ回り足らないぞ!!」

 

 そう声を上げた時、そう遠くもない所で轟音が起きた。俺は警戒する。とりあえずリューを守らねば。すると群衆の一人が大声で言った。

 

「モンスターが逃げ出したぞー!!」

 

 俺はリューに目を合わせて話しかける。

 

「聞こえたじゃろ。リュー、嫌じゃったら嫌と言ってくれ」

 

そう告げてから俺はリューをお姫様だっこしてそのまま走りだした。

 

「跳ぶぞ」

 

宣告してから大きく飛び上がって連立する建物の屋根の上に着地した。とりあえずはギルドを目指さなくてはいけなかった。屋根の上を駆けて白亜の塔へと爆走した。

 ギルドに着いた俺はギルド職員のハーフエルフの女性に話掛けた。

 

「すまんがモンスターが逃げ出したと聞いてのう。なにが何体逃げ出したんじゃ?」

 

「あなたは…!?私ベル君の専属アドバイザーをさせていただいておりますエイナ・チュールと申します!いつもベル君がお世話になっております!!」

 

「おぉそうかそうか。お主がベルのあどばいざあか。頭を上げてくれ。それに頭を下げねばいけぬのは俺のほうじゃ。これからも宜しくたのむぞ。して、逃げ出したモンスターは?」

 

「あっ!はい!えっと…」

 

エイナが挙げていくモンスターの名前を暗記する。全体的にはそこまでの脅威ではなくてその場に冒険者が一人でもいればなんとかなるだろうがシルバーバックやトロールなど初心者には危なそうな敵もちらほらいた。気休め程度だがギルドから支給品の刀が渡されたがこれでは俺の振り方斬り方に耐えられずに壊れるだろう。この刀で2体殺せれば上出来だと考えながら鞘ごと腰に差した。そして近くにいるリューに話しかける。

 

「リューともっと祭りを見たかったが仕方がない。ここからなら豊饒の女主人に無事に帰れるじゃろう。次に会うときは笑顔を見せてくれよ」

 

リューの頭をくしゃくしゃと撫でて出ようと思ったときに聞きなれた声が俺を呼び止めた。

 

「よう武蔵ー!」

 

声の方向にはロキとアイズヒリュテ姉妹レフィーヤの仲良し四人組がいた。

 

「主らも怪物退治か?」

 

「せやでー!」

 

この四人がいればもう俺は必要ないんじゃないだろうかと思いかけるがだからと言って見捨てて逃げるわけにもいかない。

 

「まぁ先にいっておるぞ」 

 

 俺は再びオラリオを縦横無尽に駆けていた。悲鳴の聞こえる方へ走ってモンスターを見つけたら殴り殺す。予測通りだがトロールを2体倒した時に刀は折れた。まぁしょうがないか。と思い、また悲鳴を探ろうと屋根の上に飛び上がるとそこには俺がよく知っている女神と人間がいた。

 俺は女神に向かって声を掛ける。

 

「今回はおいたがすぎたようじゃのう。フレイヤ殿」

 

「あら、なんで私ときめつけれるのかしら」

 

「こういう面倒ごとは大体お主の仕業じゃろうに。気に入った男でも出来たのか?」

 

「経験者なら分かるってことね。ええ。とっても魅力的な子よ。貴方のよく知る子」

 

「……ベルか」

 

「…さあ、ね。私貴方もまだ諦めてないのよ?」

 

「そりゃありがたいのう」

 

フレイヤは今回の様子を悪びれる様子は無かった。いつも通りだが。ベルが狙われてるというのはかなり危険だが、フレイヤは一応の分別は持っている。危険なようなら俺が守れば良いだけの話でもある。そう考えつつフレイヤの隣にいる男に話しかけた。

 

「久しぶりじゃのう。オッタル」

 

「…ああ」

 

「レベル7にまでなったらしいようじゃの」

 

「……ああ。お前もはやく高みへこい。お前ならすぐに来れる筈だ」

 

「ハハハハハハ!!俺が目指すのはそれのまたさらに上じゃ!そんなところ直ぐに通り越してやるわ!」

 

「フッ」

 

その時近くでまた轟音がした。俺はフレイヤ達に背を向けて音へと向かった。

 

 

 

 




武蔵がベルに師匠らしいことをしている描写がないけどしています…一応。 
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