原作前の話をダラダラ続けるとエタりそうなのであと1、2話で原作に入りたいところ。
「頼む、エルザ!俺を弟子にしてくれ!」
俺は恥も外聞も投げ捨て、エルザに向かって頭を下げる。
この行動に至るまでに色々考えがあってのことなのだが、とりあえず順に話していこう。
俺がフェアリーテイルに加入してから約三ヶ月が経った。それだけの時間が過ぎれば流石にギルドの仕組みも理解したし、この世界についても分かってきた。
現在一番の悩みを挙げるとすればそれは────
「弱い。弱過ぎる」
これに尽きる。
生活の地盤を整え、本格的にギルドでの活動を始める前に、自分の実力を把握する為にも、早速トレーニングを開始した。
サイヤ人の身体能力は流石のもので、明らかに幼い子供の体だというのに前世の俺を完全に上回っているだろう。
肉体の強度も高く、多少の衝撃なら全然へっちゃらだし、筋トレだっていつまででも続けていられる。前世では運動不足で、激しい運動の後は筋肉痛に悩まされたものだが、この体ではそれも苦にならない。
だが、その程度だ。俺が前世の自分よりも明らかに優れていると理解できる。それは逆に言えば、その程度で収まってしまっているということ。
まだ幼いからか、それともこの世界に合わせて何らかの補正のようなものでも働いているのか、サイヤ人の最下級戦士としてですら全く通用しそうにない身体能力。
ドラゴンボール原作開始時点の悟空と比べても劣っているのではなかろうか。少なくとも今の俺が銃弾を受けてピンピンしていられるとは思えない。
まあ、サイヤ人なのだから戦いの経験を積めばいずれ強くなれると思いたい。
自分の体のスペックを確認した俺は、とりあえずどれだけ戦えるかを確かめる必要があると考え、エルザに手合わせを申し込んだ。
別にエルザを選んだことに特別な理由は無い。強いて言えば、比較的普段からよく話すことと、同年代ということもあって頼みやすかっただけだ。
で、実際に手合わせした結果だが。
ボコボコにされた。
いや、別にエルザが俺を必要以上に痛めつけたとかでは無くて、単に俺とエルザでは実力に差があり過ぎて勝負にならなかった。
最初から勝てるとは思っていなかったが、想像以上に俺が弱かった。前世ではろくに喧嘩もしたことが無いし、何か武道を習っていた訳でもない。そんな奴がいきなり戦おうとしたのが間違いだった。つまるところ、いくら体のスペックが高くとも、それを動かす頭がついていけないのだ。
相手の動きも、攻撃も見えている。なのに、それに反応しきれない。体の大きさ、手足の長さが変わったことも相まって、相手との間合いが掴めきれず攻撃は当たらない。効率の良い体の動かし方も何も知らないから、一つ一つの動作が大袈裟になり空回って勝手に消耗する。
戦うとか言う以前の問題なのだ。
この間、ギルドのメンバーに付き添ってもらって依頼を受けたのだが、その途中で野良の魔導士との戦闘になった。俺は早々にやられて、足を引っ張っただけだった。
気にするなと慰められた。マスターからは初めてなのだから危険の少ない依頼を回すべきだったと謝られた。
でも、そうじゃない。
俺がもっと強ければ、自分が弱いことを本当に理解できていれば、足を引っ張ることなんてなかった。
それからは必死にトレーニングを重ねた。その甲斐あって多少は身体能力は高くなった……ような気がする。だけど、一人でいくら特訓しても限界がある。結局、戦いの勘なんてものは実戦でしか培えないものだ。
実はナツやグレイには喧嘩して勝っているのだが、あれは泥臭く殴り合って体のスペックのゴリ押しで勝っただけだ。あいつらがこのまま成長していけばすぐに勝てなくなるだろう。
一人では駄目なら誰かに頼るしかない。ならどうするかと考えた末に冒頭のシーンへと至る。
精神的には年下である少女に教えを乞うことに抵抗が無い訳ではなかったが、肉体年齢ではそう変わらないだろうし、何よりエルザは強い。
ギルドの同年代ではエルザ、ミラの二人は俺が知る限り頭一つ抜けている。後はラクサスも強いらしいが、あまり話したことがないし頼みにくい。ミラは初日に絡まれたのもあって少し苦手である。口調が攻撃的で怖いんだよな……。
同年代の奴に拘る必要もないのだが、明確に実力を知っているメンバーが少ないのもあってエルザに頼むことにした。どうせ後の主要メンバーなのだろうし、接点は持っておいて損はないだろうしな。
「で、弟子に?私がお前を?」
「ああ、頼む。俺はもっと強くなりたいんだ」
「……いいだろう。だが、やるからには厳しくするぞ」
「!!ああ、ありがとうエルザ!」
突然の申し出で戸惑った様子のエルザだったが、俺の熱意が通じたのか、快く引き受けてくれた。
「では早速始めようか」
「へ?」
「お前に足りないのは経験だ。それを補うには実戦あるのみ!」
「ちょ、ちょっと待っ……」
「問答無用!」
「待たんかリセロ!!鍛錬の途中で逃げ出すとは何事だ!!」
「もう勘弁してくれよ!?」
現在俺はエルザから全力で逃げている。実戦でしか身につかないことがあるのは確かだろうが、それだけでは流石に体が持たない。それに実戦と言っても現状では一方的な戦いになるだけだ。あれから三時間程エルザと戦い続けたが、無駄に頑丈な体の所為で終わりが見えない。精神的にキツすぎる。自分から言い出しておいて速攻で逃げ出すとは情けないことこの上ないが、正直人選を間違えたと後悔している。
「はぁ……はぁ……な、何とか撒いたか?」
どうにかエルザから逃げ切った俺は荒くなった息を深呼吸して整える。
申し訳ないがエルザにはこの話はなかったことにしてもらおう。とてもエルザのスパルタ特訓についていける気がしない。
「今日はもう帰るか……」
まだ夕方だが、どっと疲れた。帰って風呂入って寝よう……。
尚、この後待ち伏せていたエルザに捕まり逃げたことに対して説教をされるのだった。
「リセロ、お前エルザの弟子になったんだって?」
「もう広まってんのかよ……」
翌日、ギルドに顔を出した俺にそう声を掛けてきたのはミラ。昨日の今日でもう周知の事実となっていることに辟易しつつ、返答する。
「で、それがどうかしたのか?」
「お前もあんな堅物女が師匠じゃ大変だろ?何なら私が変わりに鍛えてやろうか?弟子にあっさり師匠を鞍替えされて悔しがるエルザの顔が楽しみだ」
「ええ……」
ミラの方からまさかの提案をされて驚いたが、続く台詞に今度は呆れた。エルザに対して嫌がらせがしたいだけじゃねぇかよ……。
「折角だけど遠慮しておくよ。エルザだけで間に合ってる」
今日話し合ってやっぱり無しにしてもらうつもりだがな。とか思ってたらミラに胸ぐらを掴まれ、引き寄せられる。
「エルザはよくて私は無理だってのか、ああ?」
「え、いやそういう訳では……」
しまった。言葉選びを完全に間違った。エルザに対抗心を燃やすミラにあんな断り方をしたらこうなるのは目に見えているだろうに。
「リセロはもう来ているか?」
「エ、エルザ!?」
このタイミングでエルザが来るのは非常に不味い気がするんだが……。
するとニヤリと笑みを浮かべたミラが肩を組んできた。
「丁度いい時に来たな、エルザ。こいつは今から私の弟子だ。あんたはもういいってさ」
「ちょっ!?」
何言い出すんだこいつ!?ミラの言葉を聞いたエルザが顔色を変える。
「リセロ、それは本当か?」
「い、いや………」
ミラの弟子にはならないけど、エルザの弟子を辞めたいのも本音なのでどう言ったものか。
「リセロは私の弟子だ。勝手なことを言うなミラ」
「リセロだってあんたより私の方がいいって思ってるかもよ?」
何かどんどん話の流れが怪しくなって来たぞ……。つうか何で修羅場みたいになってんだ。
「「リセロ!!どっちがいい!?」
どっちも嫌です。とは言えなかった。
結局その後、エルザとミラが喧嘩を始め、俺はそれに巻き込まれ、いつの間にかナツやグレイも混ざった乱闘へと発展した。
俺は途中で意識を失ったのだが、目が覚めた時にはエルザとミラで一日おきに交互で師匠をするということで話が纏まっていた。
もうやっぱり無しで!とは言えない空気になってしまった。
何でこうなるんだ………。
キャラの再現度?適当なので目を瞑れ。