がっこうぐらし! Megatenist No Faith.√   作:グレンフォード

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 なんとなくの流れは描かれど、それを形にするために七転八倒四苦八苦、挙句大幅にお待たせしてしまったため初投稿です。


はじまりのあしおと

 はい、今日これから地獄の蓋が開かれる学園サバイバルRTAはぁーじまぁーるよー。

 

 というわけで、登校中になぜか恵体さんからダブルデートのお誘いを受けたところから再開です。

 

 ……本当になんでですかね? これまでも試走はしてきましたが、こんな展開になったのは初めてですよ。なのでちゃーんと作ったチャート(激うまギャグ)ですが、早くも修正が必要なようです。

 

 まぁ、これでみーくんとKちゃんを引き止めておく手間が省かれたため、結果的にはうまあじなのですが。でもせっかくのチャート……(小声)

 

 ま、まあそれは置いとくとして進行してイきましょう。と言っても選択肢もなく了承しているようで、“どこで待つかの質問を送った”とのモノローグとともに、そのまま場面が暗転していきます。

 

 で、少しの間ロードが入りまして……はい、放課後になりました。どうやら代理ちゃんは席に座っているようですね。

 

 >授業は終わり。今日は特に掃除とかもないし、これからどうしようか。

 

 はい、このテキストが流れたら行動可能になります。ついでにモノローグ中にざっと室内を確認したのですが、どうやら二人とはクラスが違うようですね。

 

 これは少しロスですが、必ずしもロスではないですので(一行矛盾)、まずはつべこべ言わず行動しましょう。

 

 では説明もそこそこに、一先ずここで早速、Part1からずっとできていなかったスキル振りをしていきます。

 

 とはいえまだ初期レベルなので、通常なら最初のスキルポイントを振るだけですし、なんなら今回はMODのおかげ(せい)でポイントを振ることができないんですが。

 

 その代わり、と言っては何ですが、今回のMODの特徴として、成長に大まかの方針を設けることができるんですね。……本当に大まかですけれども。

 

 で、今回のMODでは、最初の日にメールを開くと、その時点で最初のポイントが自動的に“コンピュータ操作”に振られるんですが、それと同時に“スタイル”と言う項目が開放されます。(逆にメールを開かなければ開放されないので、スタイルをキメる必要は)ないです。

 

 で、そのスタイルは“Battle”と“Luck”と分かれており、最初のレベルアップまでにこの項目から設定しない限り、初期ステータスにより自動的に割り振られたスタイルで固定されてしまいます。

 

 しかもこの場面から、パンデミックが本格的に表面化するまで――即ち原作において、めぐねえが神山先生から電話を受ける場面までの間に設定しておかない限り(よっぽど前に出られないようなステータスでもなければ)、たいていの場合そこで“戦闘→レベルアップ→スタイルの自動固定”となって、その後は再設定ができなくなってしまいます。(3敗)

 

 なので、あえてここで設定する必要が、あるんですね。(メガトン構文)

 

 一応移動しながら、話しながらでも設定はできますが、その間はキャラクターが若干上の空になるようで、うまくタイミングを計らないと、誰かとぶつかったりしますし、そうでなくとももし会話があった場合、話を聞いていたかを確認してくることもあるためロスです。

 

 それにもし誰かにぶつかってしまった場合では、相手か自身を保健室に連れて行く必要がでてきたりします(2敗)。

 

 また、最悪の乱数を引いてしまった場合、教師に指導室まで拉致られてSEKKYOUが始まり、結果パンデミックに間に合わない――、なんて事もあります(5敗)。

 

 だからステ振りをするときは――よっぽど必要に迫られでもしない限りは――誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあ駄目なんですね(メガトンingsrgru)。

 

 では戻りまして、早速スタイルを設定しなおしましょう。と言うのも、代理ちゃんのステータスから考えると、十中八九“Battle”になっているはずで……はい、やっぱりなってました。

 

 で、今回は対かれら一辺倒ではなく、くるみちゃん(美少女ゴリラ)を援護しつつりーさん(豆腐メンタル)の正気度を管理/操縦していくチャートで組んでいましたし、少しの修正だけで流用が利くので流用します。そしてそのためには後方スキル、というか料理以外のりーさんの仕事の大体の部分が代わりに行える方が何かと便利なんです。

 

 なので、ここでサクッとスタイルを“Luck”に切り替えてしまいましょう。

 

 あ、ここで“おい、まてい(江戸っ子)、りーさんの仕事を減らすのか?”と思った方は落ち着いて。

 

 いま“りーさんの代わりができる”と言いましたが、あくまで一部を除き、りーさんから積極的に仕事を奪うなんて馬鹿な真似はしませんし、できません。

 

 というか、そんなことしてりーさんを自由になんかさせようものなら、皆様もお分かりのとおり、めぐねえばりに勝手にSAN値を削り始めてしまいます。

 

 なので、あくまで代わりが“できる”状態に持っていく予定でチャートを組んでいました。(ある程度まではりーさんに仕事を詰め込むのは)当たり前だよなぁ?(キャパシティ限界まで仕事を詰め込もうとする人間の屑にしてブラック上司の鑑)

 

 ではなぜ代わりができる必要が? と思うかもしれませんが、あくまで万が一のためと、咥えてこの仕様で開放されるコンピュータ操作と、MODで追加された一部スキルがかかわってきます。

 

 というのもまずはこのコンピュータ操作のスキルですね。

 

 Part1に於いて、MOD機能解禁時にも軽く触れてますが、プレイヤーキャラが使う個人端末にはなぜか回線が通じているため、これを介することでいろいろな電子ロックにアクセスできるんですね。

 

 ついでに言うとこのスキル、実は場合によっては軽いハック&クラックまで行いながら操作しているそうです。なんだこれは、たまげたなぁ……(トオイメ

 

 とはいえしかし、それを行うためには、自キャラの知力が高いか、他のスキルを同時にかませて、知力系の判定を底上げしてやる必要があります。ですがそんなスキル、本来ならそう簡単に持てるわけではありません。

 

 バニラ環境でいうなれば、精々がみーくんの“ロジカル思考”程度だと思って問題は無いでしょう。

 

 とまあ、バニラ環境ならこれだけレアな知力系判定の補正スキルではありますが、今回導入したこのMODを適用していると、一部ではありますが、通常のスキルと同じように、ポインヨを消費しての取得が可能になります。

 

 そんな追加されたものの中には、取得条件があったり、使用に際しゲーム内時間で一日一回まで等の回数制限や、或いはゲーム内時間で一日を超えるようなかなり長いクールタイムがある、という強い制限がつくことも多くありますが、それを補ってかなり強力な効果を受けることが出来るものも。

 

 さらにはその中のこれまた一部に、習得だけではなく使用にも何らかの条件が必要なものもあり……まあそう、その条件が、社会の崩壊とともに満たせなくなってしまうものもありますが……、それはさておき。

 

 そんなふざけを通り越したような厳しい各種条件を満たす必要がある代わり、かなり効果がヤバいものまで、ありますねぇ!

 

 というわけで、そんなスキルの使用条件を満たすため、及びそんなスキルで“生えてきた”物資や情報の整理が必要になるため、通常のプレイスタイルと同じように仕事を割り振っていると、振られたりーさんはおろか、補佐に入ったはずのめぐねえのキャパシティさえも簡単にオーバーしてしまいます。

 

 するとどうなるか、と言いますと……まず言ってしまうと、忙しさのため二人の正気度はさほど下がりません。そのため、正気度管理は逆に楽になります。そう、正気度“は”。

 

 ですがその正気度と引き換えに、二人のストレス値や体力値はゴリゴリと減少・悪化し、終いには“またキミ(過労)か、(恵体JKと淫ピ教師の身体が)壊れるなぁ”となり……後は、お判りですね?

 

 ですので、それを避けるためにも、状況次第では代理ちゃんもそちらに回ることも念頭に入れる必要があるため、及びそれらのスキルをより効果的に使うためのスキルを取るためにも、どうしてもLuckスタイルのスキル習得が必要になってしまいます。

 

 ついでに言えば、PCである代理ちゃんのレベルもあげる必要があるため、自身でも“かれら”と戦える必要こそあるものの、MOD製作者の『悪魔は直接は出さない』宣言もあるため、いくら強くても“特殊個体かれら”を超えるような危険な存在とはかち合いません。少なくとも、試走段階ではそうでした。

 

 なので、戦闘系のスキルに関しては、バニラ環境で取れるスキルだけでも、まあまあ何とかなります。

 

 というわけで、それらを踏まえると、今回の代理ちゃんの立ち位置は“前にも立てる事務員モドキ”とでもいえるのかもしれませんね。

 

 まあ勿論、そんな万能情報スキルも、使い所さんっ!? を間違うと、最悪黒幕判定を受けて排除されかねないため(2敗)、使用には注意が必要なのですが。

 

 あとは余談にはなりますが、マニュアルを自力で入手・確認するか、或いはめぐねえから見せてもらうと、それ以降“スキルでのランダルコーポレーション系列の調査”が解禁されたりもするのですが……(難易度は)ナオキです。

 

 まあそら(流出は職員の手洗いガバだったとは言え、仮にも一流企業なんだし、情報セキュリティだって)そう(堅くも)なるな。(圧縮言語どん師匠感)

 

 それはさておき、そろそろそんな説明も飽きたんだが、というせっかちなホモやノンケの皆々様も多いでしょうし、長い説明の裏で行っていた教室内の物色……もとい用具チェックも終わりましたので、さっさと教室を出ます。

 

 あとまず忘れはしないでしょうが、この時鞄をしっかりと持っていきます。持ってかないと? なくなります(1敗)。

 

 さて、教室からで、出でますy「あやねは……あ、いたいた」おっと、オムカ=エデ・ゴンス(1810-1893)……じゃない、お迎えのみーくんですね。私もこんな可愛い幼馴染にお迎えされたいだけの人生だった(ノンケ)。

 

 >教室を出ようとしたとき、ちょうど迎えにきたのだろう美紀に声をかけられた。

 >それに軽く手を上げて応えながら、美紀と、その隣にいる圭の前へと移動し、そのまま三人で向かうことに。

 >楽しそうに話す美紀と圭。そしてその間に身を置きながら、話を聞き、話し、イジり。そしてツッコミを入れられ、入れられ、入れて、そして入れられる私。

 >そんないつもの帰り道……なのだがふと思う。――あれ、なんか比率おかしくない?

 

「? うーん、特におかしいところはなかったと思うけど……」

 

 >ね、圭? と圭に尋ねる幼馴染み(みき)に、うんうん、と少しばかり大げさに頷く悪友(けい)。なんだろう、なんか泣きたくなってきたんだけど。

 >謂れのない風評に軽く――とはいえいつものことなのでポーズに近いのだが――肩を落とす貴方を余所に、貴方たちは連れ立って歩いていく。

 >指定された場所は屋上。いつもなら、教師からの立ち入り許可がある、もしくは授業の一環でもない限り、業者を除けば園芸部の面々だけしか入れない(ことになっている)其処は、じっくりと見たことは未だない、貴方にとっての未開の地。

 >いつもは入れない場所に大手を振って入れるという事実に、貴方は胸が少しだけ高鳴ったように感じて。すぐにそれが自覚され、まるで子供みたいだなぁ、と一人苦笑する。

 >とはいえそれはほとんど一瞬だったはずなのだが……両隣の二人に目をやれば、どうやらそんな気持ちはバッチリ見透かされていたようで。

 

「まあ、あやねだし」

「あやねって、こういうトコあるからねぇ」

 

 >とほほえましげな、あるいはかわいそうなモノを見るような生暖かい視線を二人から向けられていた。別にいいじゃん、子供っぽいところがあるくらい。わたしも自覚はしてるんだし。

 

 ロジカル(偽)とはいったい。あるいはこんな感じだから(偽)なのか?

 

 ともあれ、そんなこんなで三人そろって屋上に向かうところで暗転、短いですがロードを挟みます。ではその間“むくれた代理ちゃんをなぜか慈愛の表情で見ているみーくん”のスクショを表示しながら(ああ^~たまらねぇぜ)、これからについて軽く触れておきましょう。

 

 とはいえここからしばらくは先駆者ニキ達に習います。具体的には喧騒の質に変化が生じてから、種火パイセンとクルミ=クルミ(シャベルゴリラ)が来るまで待機。二人が入ってきたところでドアをしっかりと押さえましょう。ドアを押さえないと簡単に破られてしまいます(無敗)。

 

 さて、ロードがあけてここは……

 

「あっ! おねーさん、こんにちはーっ!」

「あ、こらるーちゃん、大声出しちゃだめよ? と、いらっしゃい、理音さん、直樹さん、祠堂さん。ごめんなさい、うるさくて」

 

 >屋上に着き、ドアを開けてすぐに聞こえた声。なぜあの娘がここにいるのか、と一瞬思ったものの、続けてその娘、瑠璃ちゃんをたしなめる若狭先輩の声を聞き得心する。

 >自惚れでないならだが、どうやらお礼をしたいというのは先輩だけじゃなく、その娘も同じだったようだ。

 

 !?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?(スパロボAI)

 えっ? は? なに? ナニコレ? いったいどういうこと?

 

 はい、ここでなぜかメニューを出したり消したりしているのが見えるかと思いますが、ご覧のとおりかなり混乱していましたね、えぇ。……だってしゃーないやんもぉー! これしゃーないって! こんなん予測できひんやん普通、こんなんできる? (チャートに)書いとってや、できるんだったら……。

 

 失礼、取り乱しました。ついつい口をついて出てきた半端ない愚痴はほっといて、進めます(確固たる意思)。ちょうど当時の走者も何とか気を取り直したようですね。

 

 さて、ここで大事なのは、発生までここにいることです。幸いここで作業の間待っているように言われましたので、ついでに周囲を確認しておきましょう。……とはいえ、あまり派手に動こうとすると隣の後輩系大盾ガーター先輩(同級生)に肩を掴まれそうなのであまり動けませんが。

 

 いえ、正確には動けはしますが、その後の紐√カウンターが加算されてしまうため、あまり動かないほうがいい、でしょうかね。

 

 >とはいえ、現状何かすることはあるか、といえば特にはない。一応先輩たちの手伝いでも、と思ったものの、“もうすぐ終わるし、お礼のために呼んだのに、手伝わせちゃったら意味がないわ”とやんわり断られてしまったので手持ち無沙汰なのだ。

 

 >とはいえ、あまり長い付き合いではないが、この先輩にいくら申し出ても同じように流されるばかりで変わりはしないだろう、位の予測は容易い。……むしろ下手に食い下がると変なことになるのではないか、とあまり鋭いとは言われない自分の直感でもひしひしと伝わってくるくらいだ。

 

 >故に観念した貴方は、案内された椅子に腰掛けたまま、大きく伸びをしつつ深呼吸をした後、改めて周囲を見渡す。

 

 というわけで待機時間ができてしまいました。きれそう。こんなことなら、さっきの割り振りをこっちに回してもよかったかもしれません。まあ結果論ですが。

 

 ……とりあえず、この好感度関係はアレですし、今回が終わったら検証で何回か回してみる必要がありそうです。ぅゎーぃ(虚ろな目)

 

 >屋上に来るのは初めてではないが、かといって何回も来ているというわけではないが故、どうしても視線は右に左に。とはいえ、先輩たちもそろそろ終わりそうだし、というか隣の美紀の視線が痛いので動くに動けない。

 

 みーくんの監視がつよい(確信)のであまり動けない……とはいえ少なくとも、ロッカーや今後必要になるブルーシート(種火の聖骸布)の場所と状態くらいは確認しておきたいですが……ん?

 

「ぁー、あやね? そんなそわそわしてるくらいなら見てみたら?」

 

 >見るに見かねたのだろうか。そわそわしてる、と自分でもわかっている中、隣からそんな声をかけられた。

 >いいのか、と聞くと、どうも自覚していた以上に落ち着きがなかったらしく。

 

「長い付き合いだからね、わからいでかって。……といいたいけど、さすがに落ちつかなすぎだよ」

 

 >むしろこちらまで落ち着かなくなりそうだ、とまさかの逆隣の友人からも苦笑交じりで告げられる。

 >思わず空を仰いでしまうあなたの目には、よく晴れた綺麗な青空が広がっていた。

 >そしてそんな様子を視界の隅に入れていたのだろうか。二人だけではなく、自分たちのいるところより少し奥側の方からも――

 

「あ、手持ち無沙汰だったかしら? ごめんなさいね」

 

 >と柔らかな笑みとともにされた謝罪に続いて、栽培中の植物に許可なく触らない限りなら屋上を見て回ってもいい、とのお言葉が。

 >その言葉に甘えたあなたは、散々な扱いをしてきやがった両隣の二人の手を取りながら立ち上がる。

 

「ちょっ、あやねっ!?」

「ひゃぁっ!? き、急に引っ張らないでってばっ!」

 

 >その際何かの言葉が聞かれた気がしたが、あえて無視しつつそのまま屋上探索としゃれ込むのだった。

 

 >……………………。

 

 >……後が若干怖いような気がしたが、まあ気のせいだとしておこう。

 

 はい、というわけで屋上の確認タイムが発生しましたので便乗して確認しておきましょう。ついでにみーくんのお説教はパンデミック後の代理ちゃんに任せときます。……はいそこ、全部未来に丸投げしたとか言わない。

 

 >散々いわれた腹いせも込みで、二人の手を掴んだまま屋上見学ツアーとしゃれ込んだあなた。引っ張る手の先から聞かれる圭の困惑や美紀の抗議もあえて聞き流し、なんとなく気になっていた所をいろいろと見て回る。

 

 >途中、わずかなため息や呟きが聞こえたのを境に、美紀の手から抵抗がなくなったのは後が怖いがさておき。

 

 >前々から見てみたかった場所の一つ。ここ巡ヶ丘学園の売りの一つにして、緊急災害対策設備の一つでもある“屋上の自家発電”のパネルや風車、及びそれらに繋がっているという蓄電設備の一部をじっくりと……と、いうには些か短時間だったと思うけれど、しっかりと目にすることができたことで満足したあなた。

 

 >だったのだが、流石に甘えすぎたということか。堪忍袋の緒が切れたらしき、目が笑っていない“無表情の笑顔”を湛えていた我が幼馴染様からの……。

 

「こンのダやねのおばかさっさと戻ってそこに直れ正座しろっ!!」

 

 >という一喝と、正座の指示(強制)により緊急停止と相成ったわけだが。……ぅぅ、平坦で無感情な片言での指示は怖かった。

 

 いや草。じゃなくてこれ紐カウンター……いやよそう、ここでの勝手な想像で再走をしたくない(走者の屑)。

 

 >そんな幼馴染の愛の叱責――と思いたい――ではあったが、正座からまもなくして、いつの間にやら作業を終えていた先輩……の妹さんの瑠璃ちゃんの呼び声で放免と相成ったのは、素直に助かったと思う。

 

 >――尤もその後の。

 

「おねーさん、まるでクラスの男の子たちみたい」

 

 >という瑠璃ちゃんの一言と、その隣で瑠璃ちゃんを軽く嗜めながらも柔らかく微笑む先輩の温かな視線の方が、圭にバシバシと叩かれていた肩への衝撃や、後に待ち受けているであろう美紀からのお小言よりも、強く、深く、あなたの心を抉り抜いたのだった。

 

 >まさか、わたしは小学生男子並みの落ち着きのなさだったのか……。

 

「さもありなん、かな、みき?」

「……そう、かもね。ふふ、じゃああやね……“後で”、ね?」

 

 >追伸。隣の二人の言葉も偶には手加減してほしい……あと美紀さん、どうかお慈悲……

 

「ふふふ、それはあやねなら判るんじゃない?」

 

 >……は、無いですよね、やっぱり。美紀、恐ろしい娘……ガクリ。

 

 >・――あなたのストレス値が僅かに上がった。

 

 るーちゃん の 歯に衣着せぬ ひとこと!

 こうかは ばつぐんだ!

 

 Kちゃん の てだすけ!

 みーくん は はりきっている!

 

 みーくん の おいうち! きゅうしょに あたった!

 もう やめて! 代理ちゃん の ライフ は ゼロ よ!

 

 はい、ごめんなさい。なんとなくいってみたかったんです、出来心だったんです。――などと供述しており、ガバ警察では余罪があるものと断定して尋問を継続している模様です。

 

 とまあ、茶番はさておき、どうやらりーさんたちの方も終わったようです。というか、むしろさっきまでとは逆に待たせてしまっていたみたいですね。これがGABA.ちゃんですか。いえ、誓ってオネエではありませんので。

 

 というか代理ちゃん、機械系を好んでいるのでしょうか? 代理ちゃんは巡ヶ丘のブラウニーだった……? その先は地獄だぞ(パンデミック後感)。

 

 それはともかく、そんなガバ未遂(未遂とは言ってない)はスルーしつつ進めましょう。どうやらりーさんの作業とは収穫のことだったようですね。それと一部作物の間引き、と。ということは、お礼はそれらを使った何かでしょうか?

 

 まあなにはともあれ、丁度良いので野菜繋がりに託けて、今は何を育てているのか訊いてしまいましょう。

 

 ヘイ先輩! えっちな野菜はあるかい?(あってたまるか)

 

「あら、理音ちゃんって見かけによらず好奇心強いのね? ……なーんて、冗談よ」

 

 >今はどんな野菜や草花が育っているのか。なんとなく気になって尋ねてみると、ころころと笑いながらからかわれてしまった。

 >と同時、隣から思わずといった風に噴出す声が聞こえ……まあ、いつものようにそちらを軽く睨んでおく。圭、美紀、後でおぼえてろ。

 

「ふふ、やっぱり貴女達って仲がいいのね。で、今はそうね……」

 

 やっぱり代理ちゃんの周りの百合の波動が濃い……濃くない? まあいずれ癌にも効くようになるのでいいぞ、もっとやれ。(いえ、遅延になるのでそこまで濃くはなってほしく)ないです(てのひらギガドリルブレイク)。

 

 では手首の関節がガバガバになったところで真面目に回答しますと、ここで出てほしいのはキャベツやトマトなどの生で食べられる野菜と、芋や南瓜といった、火を通す必要はあれど腹にたまるもの、ですね。もしくは西瓜などの甘味になるのもまた当たりでしょう。

 

 ですがこれはそれらがそろっていた場合で、もしどれか一つだけに偏るなら、まだ穀類系がそろっている方がマシだと思います。

 

 もし前者だけ、だと正気度がメガトンコインしかねませんし(3敗)、逆に後者の甘味系だけでは、今度は正気度やストレス値の管理こそ楽になるものの、腹にたまらないため、最初の頃はともかく、時間経過での空腹によるデバフが強くなり、購買制圧する前に満足に動けなくなってしまいます(3敗)。

 

 ですがまだ穀類だけなら、初日さえ何とか凌ぎきった後、二日目に三階を速やかにに制圧することで調理ができるようになりますし、種類によっては甘いもの判定も入りますので、まだ食料としての価値は高いと思っています。

 

 なのでここはしっかりとこのガチャにお祈りしましょう。みったせ~みっ~たせみったしってみたせ~(runsk)

 

「たしかちょっと早いのもあるけれど、南瓜がいくつかできてきてるわね。あとは」

「おいもさん~! ね、りーねぇ?」

「ええ、そうね。ジャガイモあたりはもう収穫できそうかしら」

 

 >なるほど。聞いたのは興味本位だったのだが、それならもう少し経ってから来てみてもいいかもしれないな、と頭の片隅にしっかりと記憶しておく。

 >サツマイモがないのは残念だが、ジャガイモはあるんだ。茹でても焼いても蒸かしても、煮ても油で揚げても美味しく頂けるスーパースター。

 >――あれは、いいものだ。

 

「あ、あやねってば久しぶりにメシの顔になってる」

「なってるねぇ。あやねっておいも大好きだから。料理だって妙に芋系のレパートリー広いし」

 

 >思い出しただけで食べたくなって――って、こら。人を芋狂いみたいに言うんじゃない。美味しいものをいっぱい食べたい、と思って何が悪いんだ。

 >それと料理ができるんだからいいだろ文句言うなおいも美味しいじゃないか。

 

 >・――スキル「料理」が変化しました。

 >・――スキル「料理(芋)」を取得しました。

 >・――スキル「料理(芋)」のレベルが上がりました。

 

 ンンンンンンンンンン!?!?!?!?

 ま、ままま、ままままままエアエアエアエアロロロロロ(大混乱)。うん、はい、うん、うん。ま、まあポインヨなしでスキルが手に入ったと思いましょう。……いやなんでさ(困惑)。なんでさ(白目)。というか(芋)て。流石に限定的過ぎるだろJK。

 

「ふふ、じゃあ今度、おいもを採るときにはお手伝いをお願いしようかしら? B級品になった物でもよけr「是非に!」え、えぇじゃあ宜しくね?」

 

 >先輩からの提案に後日のお手伝いを即決。やや食い気味になってしまい、先輩が若干引いていたような気もするが……まあ、結果よければ全て良し、ということで。

 

「ぜんぜんちょっとじゃなかったと思うけど」

「……あやね? 後で追加……ね?」

 

「りーねぇ、どうしたの?」

「ふふ、なんでもないのよ? じゃあいきましょ? でもちょっとお耳を触らせててね?」

 

 >……け、結果よければ全て良し、ということでッッッ!!

 

 うーん、これは……(みーくんからの)教育やろなあ(直喩)。しかもりーさん、両手が籠で塞がっているにも関わらず、どうやってるかはよく見えないですけど、どうやらちゃっかりるーちゃんの耳塞いで先行してるみたいだし。

 

 >結局その後、どうにか教育だけは免除してもらえるように美紀と話をつけてから、先に行った先輩を追いかける。ぅぅ、まさか見捨てられるとは。

 

「あら、思ったよりも……ううん、なんでもないわ。じゃあ、あら?」

 

 >先輩が瑠璃ちゃんを伴ってドアに向き直ったとほぼ同時、校舎の中からドアをノックする音が聞こえてきた。

 

 ぁー、はい。これはタイムアップですね。で、このノックにりーさんが応じると。

 

 >はい、と返事を返しつつ、器用に野菜を入れた籠を抱えながらドアを開く。

 

 >するとそこには、ピンクブロンドの髪を、校舎に吹き込んだ風に遊ばせている若い女性――名物教師と噂の佐倉先生だ――と、ネコミミのような珍妙な帽子をかぶった小柄な、同級生か、ともすれば年下にも見えるような少女の二人の姿。

 

 ほらこのように、童顔教師と、実は痩身麗人なケモミミ帽子が顔を出してきました。そして原作(地獄の入り口)開始さ(開か)れます。

 

 そしてこれから先、ゲーム内で数分もしない内に阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれるでしょう……といったところで、これまでの本ファイルとは別に、検証用で別ファイルに幾つかチキンセーーーブ! したところで、今回はここまでとします。

 

 ではまた次回、宜しくお願いします。

 

 

////////////////////

 

 

 その日は、今日と同じような晴れの日だった、と記憶している。

 

 その日は特にそうしよう、と決めていたわけではなかったけれど、その日は偶々家の手伝いとかもなく、宿題とかも量はなくって、すぐに終わってしまってて。

 

 それじゃあ、と本でも読むにしても、既に目ぼしいの本は全部読みきっていて。他に家にあるのは新聞や、大人向けの――今の私にすれば丁度いいくらいではあるけれど、当時の私には――難しいような本ばかりだったことも、外に出ることを決めた理由だった。

 

 出かけてから数時間。家を出たときにはまだそこまで高くなかったはずの太陽は、既に中天をかなり過ぎていて。

 

 結局図書館で本を幾冊か借り、その中身へと期待をしながら家路についていた私に声をかけたのは、今では大切だと胸を張って言える、けれど当時はよく遊んでいたけれど、自分から積極的に話しかけよう、と思うほどの関係ではなかった幼馴染だった。

 

「やっほ、みき。お買いもの?」

 

 そんな風にやわらかく、それでいて踏み込んでくるように話しかけてくる幼馴染に対し。

 

「――う、うん、そんなとこ、かな」

 

 と、そのときはそう軽く返した。というのもそのときは、持っていた本に半ば意識を持っていかれていたこともあり、そのまま軽く流してしまおう、としていたから。

 

 ……まあ、とはいえ結果からいえば、特に隠してもいなかったとはいえ。

 

「そっか。じゃああまり遊んでもいられな――あれ、なになに? わぁ、本がいっぱい?」

 

 と、持っていた本を目ざとく見つけられたのだ。

 

「ぁ……、こ、これは、その」

 

 持っていた本は、当時の私たちにとっては少し難しい……かもしれなかったとはいえ、内容自体は小学生向けと言えるものばかり。

 それくらい自分でもわかっていたが故、それがお使いだ、と言い張ることも思いつかず。

 

 お使いじゃなかった。嘘をついた、と。そんな糾弾があると思った当時の私は、きっと罪悪感や恐怖に襲われたのだろう。

 

 それで一度噤んでしまった口は、それでも何かを言い募ろうとするも、結局何を言うのか/言いたいのかもわからずただ言い澱むばかりで、意味のある言葉を話せずにいた。

 

 そのままどれだけ過ぎたのか。私の持っていた本を眺める幼馴染み(あやね)に、ただ立ち竦むばかりの私の鼻の奥がツン、としてきた頃。

 

「やっぱり、みきってあたまがいいんだぁ。いいなぁ~」

 

 わたしじゃさっぱりわかんないや、と屈託なく笑い、そしてすぐに“なら教えてもらえばいいんだよね”と何回も頷いたあやねは、そのまま私の空いていた手を両手で包み。

 

「じゃあ、みきのおつかいがおわったらいっしょに読もう?」

 

 “だから、わたしがわかんないところ、おしえてね?”と。

 

 そう言ったその笑顔が、私にとっては凄く眩しく見えたのを、今になっても覚えているし、今ではこうも思う。

 

 ――きっとそれが、私とあやねが本当の意味で“友達”になった瞬間なのだ、と。

 

 ……とはいえ。

 

「へぇ、ここはこう繋がって……いや、それだけじゃなくてここからも? にしてはこっちのこれは……いやいや(ブツブツ)――」

 

 とはいえ、だ。流石にあの娘が“コレ”に進化するなんて、いったいどんな変態思考で予測すれば見抜けるというのだろうか?

 

「……みき、どうしよっか、コレ」

「…………」

 

 ――巡ヶ丘学園屋上菜園。或いは、同校非常災害対策設備敷設エリア。

 

 先輩からの“お礼がしたい”との申し出に、最初こそ断ったものの、意外と押しが強くて次第に押し切られた結果、こうして三人揃って出向いたわけだけれど。

 

「えっと、じゃあこれが……なるほどそういうことね……ん? じゃあ、ああだからこう……(ブツブツ)――」

 

「みき? ねぇ、みきってば。……聞いてる?」

「……………………」

 

 そわそわしていたあやねを見かねたのか、作物などに触らないなら、という条件で屋上を見て回っている私たち――というか主にあやね。

 

 その表情はとても真剣で、いっそ惚れ惚れするくらいキリッとしているし、一週回ってかっこいいとすら思える。……もしあやねが男の子だったら、何かの間違いで惚れてしまうかも、とさえ思いかけるくらいには。

 

 ……けれどそれも数分もあれば、たいていは勘違いだと結論付くのだけれど。

 

 まあ、あやねがこういった設備、というかそれらを構築する技術を見て、学ぶことが彼女のライフワークとなっていることは、一度でも同じクラスになったことがあればすぐに判ること。というか、同じ学年では有名なことでもある。

 

 だけどもともとのあやねは、確かに学びに対しては素直で意欲的だとはいえても、そこまで一途に“何か”に固執する性質ではなかった。

 

 けれどいつかのときを境に、というかとある出来事があって以来、こうして“技術を得る”ことに対して、変態といっても過言ではなくなってしまったのだ。

 

 ……なのだ、けれど。けれどこれは、流石に度が過ぎている気がする。それも些か、などではなく盛大に。

 

「みきー? おーい、みきー、みきってばー? おーい」

「…………………………――んの」

 

 だから、これはしかたがないこと。だから、そう。

 

「え? みきどうs「こンのダやねのおばかさっさと戻ってそこに直れ正座しろっ!!」ひゃわわぁっ!?」

「―――――ッッッ!?」

 

 つい口から怒号に近い悪態が出てしまうのもまた、仕方のないことなのだと言おう。それほど、今のあやねの暴走は常軌を逸していたのだから。

 

 ……とはいえまあ――私も言外に許可したとはいえ――いつも何らかの事柄で人を引っ張りまわすだけ引っ張った挙句、引っ張られてた私達をほっぽりだして、勝手に自分の世界に入り込んでいったあやね(あのお馬鹿)にお説教を、となるのもまた、私たちにはよくある、謂わば恒例行事の一つであり。

 

「――ぁぅ、ご、ごめんみk「あやね。せいざ。」その、なんていいますk「せいざ。ここ。」はぅ、ご、ごめんなさい「ここにせいざ。はなしよりさき。」ぁぅぁぅ……」

「うわあ、みきってば容赦な~」

 

 決してそんな、私の言葉で青ざめて震える暴走馬鹿(最愛の幼馴染)の姿を見たくて怒っている、というわけではないのだと、そこははっきりと真実を告げておこう。

 

 ……うん。少し、ほんの少しだけ、えも言われぬ感覚(背徳のざわめき)が私の背を駆け抜けたことから目をそむけた気はするけれど、それはきっと気のせいだ。

 

「ぅゎ~。みきのドS「んー? けいー。けいもここ、正座しとくー?」いやごめんなさいなんでもないですみきさんすみませんみきこあいみきこあい……」

 

 まったく。けいも人を女王呼ばわりなんて、失礼しちゃう。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 暴走するあやね(おバカ)座らせ(お説教す)ることしばし。

 

 正直まだ足りないとは思うが、それでもそろそろ先輩の作業もほとんどが終わって、移動の準備まで済んでいるのだ。まさかそこから待たせるような時間までは引っ張れないだろう。

 

 幸い互いの家も近いし、時間もいっぱいある。この続きは後ほど、帰ってから改めてすればいい。そっちのほうが時間だって取れるし、しっかりと(いくらでも)言い聞かせられ(OHANASHIでき)る、というものだ。

 

「――ねぇ、あやね。わかった?」

「ぅん、もうわたし、かってにはしゃぎまわったりしないよ」

「ん、よろしい。じゃあ“今は”これで」

「アイ、マム! ……“今は”?」

「……あやね、ご愁傷様。ナムナム」

「ちょ、けい!? 見捨てないでぇっ!?」

 

 それに、そんなに求めるように“学び”へと没頭するようになった“出来事(オリジン)”も、それに強く責任を感じていることも、痛いほど解ってる。

 

 ――でもね、あやね。

 

「まぁ、さもありなん、かな」

「ふふ、じゃああやね、“後で”……ね?」

「…………ぁぃ、まむ(泣)」

 

 自分のせいだと思っているのかもしれないけど。自分でやらないと、とか思っているんだろうけど。

 

 でもたまには、頼っていいんだよ? 私にも、圭にも。

 

 それに。今の私じゃ、私たちじゃちょっと頼りないかもしれないけど。

 

 それでももう少し、頼って欲しいんだよ? 私も、けいも。

 

「――ね、けい?」

 

 そう、親友に軽くアイコンタクトを飛ばしてみると。

 

「んー? ぁ――うん。骨くらいは拾ってあげる」

 

 一瞬惚けたけれど、すぐにこちらの意図を察したのか軽く頷いたのだった。……まあ、そうしてからすぐにあやねにウインクしながら軽口をたたいたのは、たぶん圭なりの照れ隠しで、それはあやねにとっての追い討ちなんだろうけど。

 

 ……でもそれは、あやねがわるいんだよ。

 

 私を、私たちを――周りを、頼ってくれないあやねが……さ。

 

――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 

 それは、私にとっていつものことだった。いつもの、居心地のいい時間だった。その日は、いつもの一日――のはず、だった。

 

 私、丈槍(たけや) 由紀(ゆき)が、学園の国語教師の佐倉(さくら) (めぐみ)、もといめぐねえとともに屋上(ここ)を訪れたのは、いつものようにめぐねえが行ってくれる補習の終わり、ふと外を見ためぐねえの一言だった。

 

 よく晴れた初夏の一日。特に何か特別なことがあるというわけではなかったけれど。それでもめぐねえにつられて向いた窓の外には、なんとなくそのまま終わるのがもったいないような、そんなきれいな青空が広がっていて。

 

 そんなことを考えていたのが伝わっていたのか、ふわっとやわらかく微笑んだめぐねえの提案で、私達は屋上で活動している園芸部、というか屋上菜園の見学に行ったのだった。

 

 めぐねえのノックですぐに開かれた扉。その先にいたのは、四人の女生徒……と一人の幼い少女? とまあ、少しだけ首を傾げたけれど、すぐにそこまで考えることでもないか、と思考を打ち切った。その少女が、ほかの四人と親しそうだったから、まあ問題ないや、って。

 

 そんなことを私が考えているうちに、めぐねえが話をつけたのか、屋上の見学をしようという流れになっていた。

 

 いつの間に……という感じではあるけれど、この天気の屋上、という環境を前にすればそれも些細なことに思えてくるから不思議なもの。

 

 既に私の頭の中は、屋上の風はきっと気持ちいいんだろうな、なんて思っていたりするのだった。

 

 とはいえ、仮に私が見学しようとして、じゃあ先に屋上にいた五人はいいのだろうか? と、そう思ったところで、その中の一人が、まだ小学生と思しき少女を除いたほかの三人に謝っているのが見えた。

 

 忙しかったかな、と私も謝って。そうしたら大丈夫よ、と言って屋上に案内してくれた、野菜の入った籠を持っている女生徒――すぐ後で同級生だと知った――に感謝しつつ、私とめぐねえは屋上へと足を踏み入れた。

 

 屋上の扉をくぐった瞬間感じたのは、降り注ぐ太陽のぬくもりと、吹き抜ける風の心地よさ。それらを感じたまま軽く身体を伸ばしながら大きく息を吸うと、今日一日の疲れまで飛んでいくよう。

 

 ――ああ、ここに来て良かった……と大きく吸った息を吐き出しながら思う。ホント、ここを見てみようといってくれためぐねえのおかげだ、と。

 

 そんな私を余所に、めぐねえは先ほどの女生徒――若狭悠理、というらしい。じゃあ“りーさん”、かな?――と話をしてから、菜園へと足を進めていた。

 

 そんなめぐねえに置いていかれないように、というのが半分。私自身の興味が半分……いや、それよりちょっと多いかもしれない。

 

 なにせ――いくら自分の通っている学校だとは言え――設備関係者か先生たちを除けば、園芸部以外は普段ほとんど入れないような場所だし、早々じっくりと見られるような機会もないと思うから。

 

 という訳で、いつの間にかめぐねえを置いて屋上菜園へと踏み入れた私は、風の吹くまま気の向くまま、屋上の設備や栽培されている野菜や果物をじっくりと見て回っていたのだった。

 

――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 

 そうしてどれくらい経った頃だろう。

 

 いつしか夢中になって屋上を見て回っていたけれど、ふ、と我に返ったとき。甲高い誰かの携帯電話の着信音に混ざり、焦燥の混ざったような喧騒が耳に入ってきた。

 

 なんとはなくめぐねえに視線を向けると、どうやら電話はめぐねえ宛だっただったらしく、懐から電話を取り出そうとしているのが見えた。

 

 ――めぐねえか、と思いつつ視線を外し、そのままこれまた何の気もなしに校庭に目を向ける。

 

 視線の先ではいつの間にやら大騒ぎ。なにかイベントでもあったか、と今日の、あるいは前後数日間の予定や出来事に思いを巡らせ始めた時の事だった。

 

「――ぇ? 神山先生? なに、を――きゃっ」

「助けてくれっ! 先輩がっ!」

 

 めぐねえの電話が途中で途切れたのか? 聞きなおそうとしていためぐねえの背後の方、もっといえば屋上と後者を隔てる扉が強くたたかれたかと思うと、次の瞬間かなり乱暴に扉が開け放たれると同時に、何者かの影が勢いよく駆け込んできたのだった。

 

 その呷りを受けたのか、近くにいためぐねえがよろけそうになり――近くにいた、緑に近い色をした髪をショートボブにそろえていた生徒のとっさの反応で支えられ、転ばずに体勢を立て直していた。

 

「――っ! わ、悪いっ! でもせ、先輩が! 下でっ!!」

 

 その闖入者、確か同じ学年の陸上部員だったはずの女生徒がそういいながら、その背からぐったりと脱力している人物を手早く、けれど乱暴にならないようにその場に寝かせる。

 

 ……きっとその人物は、彼女にとって大切な人だったのだろう、降ろしたときの“先輩……”という呟きの優しさと悲痛さが、なんだか妙に耳に残った気がしたけれど。

 

 ――ガチャンッ!

 

 そんな思いは、屋上に響いたドアの閉まる音でふ、と遠のいたのだった。

 

 なにが、と思いドアのほうに顔を向ければ、そこには先ほどめぐねえを支えてくれた女生徒がドアを抑えている姿と。

 

 ――ガン! ゴン! ドン、ドン!

 

 押さえられたドアの向こうから、あるいは校舎の窓や、壁の内側からこちらに向けて叩き続けているような、そんな強い音。

 

「―――――ゥゥッ!!」

 

 ドアを押さえる女子の顔に浮かぶ苦悶。それを見たとき、フッっと脳裏をナニカがよぎる――。

 

「――っ! みんな、そっちのロッカーをお願い! ドアにッ!」

 

 気づけば私の身体はドアに向けて走り出しながら、口からそんな言葉を叫んでいた。――それからも、私の身体は、思考は、意思とは別に動き続ける。何でかはわからないけれど、そうしないといけないような気がして。

 

 正直なところ、私には何が起こったのか、よく判らなかった。――焦燥の狂騒、狂乱の壊乱。――けれどただひとつ、ここを守らなければいけないと、理性でも知識でもない“直感”で、言葉じゃない“心”で解ったのだった――。




 はい、とても難産でした。……しかもよくよく見ると15000文字越えたとか。道理でねぇ。

 そしてゆきちゃんの ようすが……?

 というわけで、この場を借りて感謝を。

 アイデアの使用を快諾していただいた、“想いの力のその先へ”兄貴、本当にありがとうございました!

 ということで、この作品のノベルパートにおいて、ゆきちゃんは本来ならかなり頭の切れる人になっています。というか、書いてたら勝手に……(汗)

 では、これから遅まきながら世界レ○プ! 卵と化したトウキョウ! を東奔西走してきますので失踪します。

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