今回の主人公はThunderちゃんです!
絵師さんがドルフロの中でも上位にくい込む真っ黒な設定があるThunderちゃんを幸せにしたくて書いてみました!
正直難産で書くのに時間がとてつもなくかかったのは秘密…()
では今回もごゆっくり、見ていってください!
カタカタとキーボード打ちながら、僕…ソユーズは新しく着任する戦術人形の受け入れ作業を進めていた。
書類を制作し終え、エンターキーを勢いよく叩く。
入力し終わった時の癖となっているが、実際エンターキーを叩く音は心地よいし、なにより終わった感があって好きなのだ。
ふと時計を見てみると、新しく着任する子が来るとされていた時間を10分ほど過ぎていた。
そろそろ来てもいい頃のはずだが、一体どうしたのだろう、そう思いながら、僕は執務室から出て、その子を探すことにした。
もしかしたらその子が基地の中で迷子になっている可能性があるからだ。
そう思い、僕は置き手紙を軽く書き、基地を見てまわることにした。
「おかしいなぁ…どこにもいなかった」
そう頭を掻きながら執務室に戻ると、そこには見覚えの無い、少し青みがかった銀髪の女の子が、執務室の窓から外を眺めていた。
「知らない顔ですね。新入りですか?……いえ、すみません、そちらのセリフですよね」
女の子は僕に気づくとそう言った。
僕はいきなりの事なので少しポカンとしてしまったが、今回着任する戦術人形の子の写真を思い出す。
「ああ、君が今回着任してくれる子か、よろしく、僕はここの指揮官のソユーズって言うんだ、気軽になんでも聞いてよ」
「私はThunderと言います、よろしくお願いします、指揮官」
これが、僕とThunderの出会いだった。
出会いから数日後、僕はThunderに作戦報告書を渡して練度を向上させるため、うちに所属する人形たちの宿舎へと来ていた。
しかし、Thunderの部屋へ行ってもThunderはおらず、どこかへと行っているようだった。
仕方なく帰ってくるまで保護した動物たちと遊ぼうと思い、動物たちのいる救護室に行くと、そこには猫に威嚇されている、Thunderの姿があった。
「こ、怖くないよー…おいでー……」
そう言いながらThunderは猫に手を差し伸べる。
しかし、猫はそのまま爪をむき出しにしてThunderに猫パンチを繰り出し、Thunderを引っ掻き、傷を負わせてしまった。
「Thunder!大丈夫か?」
そうボーッと血が出てきている傷口を見つめているThunderに駆け寄りながら尋ねると、Thunderは、さもその怪我が当然かのような表情で、
「大丈夫です、怪我や嫌われることは慣れてますから」
と言って、立ち上がってこちらへと向いてきた。
「ところで、何か私に用事があったんじゃないですか?」
「ああ、この作戦報告書をインストールして練度を上げといて欲しくてね、頼めるかい?」
「わかりました、では部屋でインストールしてきます」
そうThunderは言うと、作戦報告書を受け取って、自室へと帰っていった。
その数日後、僕はThunderを出撃メンバーに組み込み、前線の哨戒任務へと送っていた。
Thunderの撃ち出す銃弾は.50BMG、つまりあのM2ブローニング重機関銃にも使用されている、12.7mm弾だ。
その分反動は凄まじいはずだが、Thunderは現れた鉄血に向かい、淡々と、その銃弾を正確に撃ち込んでいた。
周りのみんなの反応はよかったが、僕にはどうしても、Thunderの銃声だけは、どことなく悲しそうな、辛い叫びに聞こえてしまっていた。
他のみんなはどこか楽しそうだったり、緊迫感などの、戦場によくある軽快なサウンドに聞こえるのにも関わらず、Thunderの銃声は、1発1発が、心の叫びのように聞こえたのだ。
僕はその事が頭から離れず、みんなが帰投を開始してから、なにか通信が来てもいいようにインカムをつけ、基地の中の射撃場へと向かった。
そこで50発ほど新たに弾を取り出し、僕は足のホルスターに取り付けられた、スプリングフィールドXDMを構えた。
パン、パンと乾いた音が響き渡り、的に穴を開けていく。
その過程は僕にとっては楽しいし、なによりストレスの発散にもなる。
…まあ、もしかするとそれは僕だけで、他の人形たちは銃を撃つことが嫌いな子も中にはいるだろう。
ワンマガジンを撃ち終えた頃、射撃場の隣に、珍しい人が来た。
「おおっ!ボスじゃねぇか!ボスも射撃か?」
「ああ、トンプソンか、ここに来るのは珍しいね、何かあった?」
そうその来客…トンプソンに聞くと、はははっと苦笑いを浮かべ、
「博打で負けちまってな…気晴らしに来たんだ」
と言いながら、トンプソンは自分の銃にマガジンをセットする。
程なくしてトンプソンのレーンにターゲットが現れ、トンプソンはその的を文字通り"ハチの巣"に変えた。
「そう、この快感がたまんねぇんだよ!よっしゃ次ィ!」
そうマガジンを手馴れた動きでチェンジすると、再度現れたターゲットも、ノンストップでハチの巣へと豹変させた。
「ふぅ…やっぱりストレスは銃弾に乗せるに限る!」
「流石の反動制御に連射速度だね、見てるこっちも楽しかったよ」
「だろう?!あたしにかかれば鉄血もあのターゲットのように即座にハチの巣さ!」
そう誇らしげにトンプソンは言うと、マガジンを取り替え、3回目のパーティーを始める。
「ふぅ…しっかしただの動かないターゲットだとストレス発散の効率が悪いな、なんと言うかこう…アドレナリンが足りない」
そうブツブツ言いながらもトンプソンはマガジンをチェンジすると、ずっとじっと見続けている僕を見て首を傾げた。
「どうした?ボス?撃たねぇのか?」
「ああ…ついついトンプソンの射撃に見とれちゃっててね、楽しそうに撃つなぁって」
「あったりまえだろう?銃撃戦は楽しまなきゃ損ってもんだよ」
そうトンプソンは言うと、ターゲットに向かってトミーガンを構えた。
「トンプソン、待って」
そう僕が制止すると、トンプソンは不可思議そうに首を傾げ、
「あ?どうした?ボス?」
と、少し不機嫌そうに答えてきた。
「あー…ごめん、止めちゃって、トンプソンが良ければなんだけどさ、ちょっとソレ、貸してくんないかな?」
「ソレって……コイツか?」
「うん、僕も、タイプライターを撃ってみたくなってね」
そう言うと、トンプソンは少し恥ずかしそうにしながらも、セーフティをかけて僕にトンプソン・サブマシンガンを手渡してきた。
後で知ったことだが、戦術人形にスティグマされている銃を貸すという事は、本人たちにとっては自分の身体を貸すことに等しい行為だそうだ。
確かに、スティグマしている銃は戦術人形の半身のようなものなのでそれもそうかと思い、後々トンプソンには申し訳なくなった。
さて話を戻そう。
僕はトンプソンに得物を借り受けると、そのセーフティを外し、ターゲットに向かって銃弾を1発1発撃ち当てて行った。
.45ACPとだけあって1発1発が力強く、よくこんなものをフルオートで目標に当て続けられるなと関心していると、後ろのチェアに座って自販機で買ったビールを呑んでいるトンプソンに声をかけられた。
「ん?どうしたのトンプソン?」
「ボス、ソイツはサブ"マシンガン"だぜ?」
その言葉が最初はわからず首を傾げたが、すぐに言葉の意味を理解し、OKとサムズアップを返す。
そして構えて呼吸を整えると、ターゲットに向かって鉛玉と軽快な銃声のロックミュージックをトンプソンをフルオートで歌い始めた。
「おっ、いいねぇボス!最高にロックだ!」
そう言われて僕は調子に乗って2マガジン目に突入し、それを撃ち終えると、トンプソンがヒュゥと口笛を吹きながらこちらへと来て、拳を突き出してきた。
僕もそれに応えてフィストバンプで返すと、トンプソンは嬉しそうな顔をし、
「どうだ?サブマシンガンの良さはわかったか?ボス?」
「うん、いいものだね」
そう言ってトンプソンへと得物を返す。
そこで、僕は1つ、いい事を思いついた。
「ねぇトンプソン、弾幕を貼ってる時に音楽を流したらどうなるかな?」
「ほう?面白そうじゃねぇか…ボス、なんかかけてみてくれよ」
そう言われ、僕は携帯端末でロックミュージックを流し始める。
「いいねぇ…Rock'n Rollだ!」
そうトンプソンは言い、タイプライターを撃ち鳴らし始めた。
数マガジン連射し、ふぅとトンプソンは一息着くと、
「いいねぇ、音楽を流しながら撃つのもいいもんだ、いい具合にストレスの解消になった」
と言って、プレッツェルをタバコのように咥えた。
「それは良かった」
そう言って僕もターゲットに向かって数発、マガジンに残っていた弾を全て撃ち終える。
確かに、銃声と音楽はだいぶ合っているかもしれない。
そう思っていると、もう1つ、いい事を思いついた。
「トンプソン、いい博打を思いついたんだけど……どうかな?」
「ほう…ボスから博打のお誘いか、珍しいもんもあるもんだ…よっしゃ、今回付き合ってもらったお礼だ、付き合おう、どんな博打なんだ?」
「それはね……」
そう言ってトンプソンに耳打ちすると、トンプソンはあははっ!と笑い、
「全く、ボスも人が良すぎる、よし!その賭け乗った!」
「よかった、じゃあ2日後の休暇の時に決行しようか」
「押忍!」
そう言ってまたフィストバンプして別れ、僕はまた執務室へと戻っていった。
それから約束通り2日後、僕たちは野外射撃場へとやって来ていた。
メンバーは僕とトンプソン、そしてThunderだ。
「あの…指揮官、なぜ私まで連れてこられたのですか?」
「まあまあ、そこで待ってて」
そう言い、僕は大量のアモ缶をハンヴィーから下ろす。
ぽかんとした顔でそれを見るThunderをよそに、僕とトンプソンは着々と準備を進めて行った。
「これでよし、Thunder、どうぞ」
「どうぞと言われましても……これはなんですか?」
「M2HBのダミー用として取り寄せてたM2ブローニングだよ、ちゃんと弾薬は沢山あるから安心して」
「いや…ちゃんと説明してください。それともいっその事頭に穴でも開けて頭を冷やしますか?」
そう言われ、僕はあはは…と笑いながら、
「Thunderさ、あまり戦場で銃を撃ってる時、楽しそうじゃなくて、なんか辛そうだったからさ、今日はその憂さ晴らしをして気分を変えてもらおうと思って」
「辛そう?私が…ですか?」
「うん、顔は真剣その物だったけど、どことなく銃声が辛そうだったからさ、辛いのかな…って」
そう言うと、Thunderは、はぁ…とため息をついて、
「確かに、銃声で感情を表すことは、どんな喜怒哀楽よりも相応しいですからね…つまり、これで私の本心を叫べばいいんですか?」
「まあ、そんな感じ?」
そう言うと、Thunderは諦めたのか、はぁ…とため息をついてから、M2の近くへと歩み寄り、M2の三脚の置かれたブルーシートの上へと寝転んだ。
「コッキングレバーはどれですか?」
「その銃本体の右横についてる出っ張り、んで撃つ時は後ろのハンドルを握って、トリガーはその真ん中の逆Y字のやつね」
「わかりました」
そう言ってThunderは1発づつ撃ち始めた。
そこで僕は、あの時トンプソンに言われた事を、言ってみることにした。
「Thunder、それは"マシンガン"だよ」
「……わかりました」
そうThunderは言うと、目の前に置かれた沢山のターゲットに向かい、弾幕を貼り始めた。
それと同時に、僕は持ってきたスピーカーで、大音量のノれる音楽を流し始める。
そして僕たちも持ってきたM2ブローニングを連射し始め、音楽と共に銃口がそれに合わせて歌い始めた。
しばらくして1ベルト使い切り、またアモ缶から1ベルト分給弾し、また歌い始める。
ふとThunderの方を見てみると、表情はまだ固かったが、その歌はどこか少し楽しげだった。
そこからしばらく撃ち続け、僕たちは一旦休憩を撮ることになった。
「……指揮官、いいんですか?こんなに弾薬を消費して」
「うん、最近余りがちだったからね、処分も兼ねてるのさ」
「……そうですか、でも、沢山余ってるのは私も使う12.7mmではなく5.56mmや7.62mmでは?12.7は使う人形も少ないですし、あまり支給してくれないと聞きましたが」
「うぐっ…そうだけどさ……Thunderが喜ぶかなって」
「私が…ですか?」
そうThunderが言うと、トンプソンがプレッツェルを咥えながら、
「ああ、ボスは今回のために12.7mm弾を至る所からかき集めて、アンタのために今回この射撃場を貸切にしたんだ、全てはアンタが喜ぶ顔が見たくて、な」
「ちょ!トンプソンなんで全部言うの!」
「言わなきゃコイツは納得しないだろう、ボス?だから言ったのさ」
「確かにそうだけどさぁ!」
そんなやり取りをしていると、Thunderはやっと、ふふっと、少し笑顔を見せてくれた。
それを見てトンプソンとフィストバンプを交した後、僕たちはその日、弾が尽きるまで撃ち続けた。
そんなサプライズから数週間経ったある日、僕はいつも通り、部隊を指揮していた。
今回はいつもより比較的前線から遠い所の残党処理なので、いつもよりは気が楽だ。
「残党の反応があったのはその辺だ、みんな、注意してね」
そう無線で伝えつつ、僕は狙撃班のTAC-50の飛ばした楓月からのデータを見て、鉄血が潜伏していそうなところへとマークをつけていく。
そしてそのポイントへと部隊を移動させ、着実に敵の数を減らしていく。
今回も楽に終われそうだと少し安心していると、無線から銃声が聞こえてきた。
交戦が始まったか、そう思い、僕は小隊員全員のバイタルデータをモニタリングし始めた。
鉄血兵のキル報告が次々と上がる中、唐突に悲鳴にも似た叫び声が聞こえてきた。
『グレネード!!!』
そう誰かが叫んだのもつかの間、大きな炸裂音が聞こえ、沢山の人形たちに被害が出てしまっていた。
その中でもThunderのダメージが大きく、全てのダミーを吹き飛ばされ、本人も満身創痍となってしまっていたのだ。
それでもThunderは敵に銃弾を放ち続け、己の本音をぶつけ続けていた。
「MP5、サブリナ、Thunderの援護を頼めるかい?」
『了解しました!』
『護りならわたしにお任せあれ!』
そうMP5とサブリナ…SPAS-12にThunderの援護をしてもらう事にし、僕は急いで近くの飛行場に撤退用のヘリを回した。
『ターゲットダウン!周囲に敵影なし!』
「よし!第1小隊は今すぐに近くの飛行場へ撤退、基地へ帰還して!第2、第3小隊は残存勢力が居ないか再度チェック、第4は飛行場の防衛をお願い!」
『『『『了解!』』』』
そう各小隊のリーダーからの返事が帰ってきたので一安心しつつ、僕は急いで修復ポッドをすぐに使えるように手配した。
やがて基地のヘリポートにThunderの所属する第1小隊が帰還して来たので、僕は急いでヘリまで駆け寄った。
「Thunder!大丈夫かい?」
「……はい、今回も、生き残ってしまいました」
そういうThunderを見てみると、破れた服から覗く身体の至る所に、無数の傷跡があった。
「Thunder、その傷跡は一体……?」
そう僕が尋ねると、Thunderはそんな事を思い出したくもないというような表情を浮かべた後、はぁ…とため息をついてから、
「……前職の時のものです」
とだけ教えてくれた。
「……そうか、とりあえず今回の傷はしっかりと癒して来るといい、もう修復ポッドは取ってあるから」
「わかりました……そうだ、指揮官?」
「ん?どうしたんだい?」
「…人類の涙は血から作ったものだそうです………では、人形の方はどうでしょうか?何から私たちの涙は作られているのでしょう?」
そうThunderは言うと、「では、修復に行ってきます」と言って、そのまま去っていってしまった。
「人形の涙…か」
そう僕は呟き、その場を後にした。
それから数ヶ月後、僕は連日に渡る戦闘指揮任務を終え、久々の休暇となっていた。
と言っても、やることも無いので制服のまま執務室でまったりとしていると、M950Aから電話が来た。
「もしもし?どうしたんだい?」
『もしもし指揮官?今から私とバルソクとThunderでカラオケ行くんだけど来ない?指揮官どうせ今暇でしょ?』
「いいね、行こうか、どこで落ち合えばいい?」
『いつも私たちで行ってるカラオケボックスでどう?あそこなら落ち合ってすぐに歌えるわよ』
「了解、じゃあまた後で」
そう言って電話を切り、グリフィンの赤い制服から私服に着替え、いつものカラオケボックスへと向かう。
到着して周りを見てみると、私服の3人が僕を出迎えてくれた。
「お待たせ、待った?」
「ちょうど私たちも今来た所よ、じゃあ行きましょうか」
そう会話し、僕たちは受付でフリータイムで部屋を取り、ドリンクバーで飲み物を入れて、割り当てられた部屋へと向かう。
「……にしても、Thunderがカラオケに来るなんてねぇ、3人は知り合いだったのかい?」
「最近ちょっとね、私たちが廊下で歌ってる時に話しかけられたのよ」
「ふーん…Thunderから…ねぇ」
そんな会話をしつつ、僕たちは部屋に着くと、端末を使って歌いたい曲を探して入れることにした。
「さて…何歌おうかな…M950は何歌うの?」
「私?私はね…どうしよっかな〜」
そう言いながらM950は自分の音楽プレーヤーをいじり、「これにしよう!」と言って、端末を操作して曲を入れると、スピーカーから軽快なメロディが聞こえてきた。
それを確認したM950はマイクを握り、楽しそうに歌い始める。
その間にもバルソクや僕が曲を入れている中、Thunderは曲を選ばず、ただM950の歌をずっと聞き続けていた。
「どうしたのThunder、歌わないの?」
「いえ、なにか歌いたいとは思うのですが、音楽を聴き始めたのは最近で…何を歌えばいいのかわからなくて」
「そっか、まあ自分の知ってる好きな曲を歌ったらいいよ、僕たちの歌う曲で好きなのを見つけてもいいし」
「わかりました」
そうThunderは言うと、知ってる曲を必死に思い出しながら、端末を操作して曲を入れ、その曲を必死に歌っていた。
やがてカラオケで何時間か潰し、全員ヘロヘロになってきたので、明日のことも考えてお開きになった。
その帰り道、僕とThunderが途中で同じ道になったので、色々と雑談しながら帰ることになった。
「……あの、指揮官、お願いがあるんです」
そうThunderに急に言われ、僕は驚きながらも、そのお願いを聞いてみることにした。
「どうしたの?僕にできる事ならやってあげるよ?」
そう僕が言うと、Thunderは嬉しそうにしつつも、少し躊躇ってから、
「私に、携帯式の音楽プレーヤーを買って欲しいんです…お礼ならなんだってします」
と、言ってきた。
「そうだなぁ……もっとThunderの本音を、僕にもぶつけてくれるようになるなら買ってあげるよ」
「…え?それだけでいいんですか?もっと私に色々してきたり……」
「そんな酷いことはしないよ、僕はThunderが今まで関わってきた人とは違うからね」
「え?何故それを……?」
「……さて、帰って晩御飯でも食べようか!」
そう僕はわざと無視して歩き出し、僕は追いかけてくるThunderへと笑顔を送った。
数週間後、僕たちは休暇になり、Thunderと一緒に音楽プレーヤーを買いに来ていた。
音楽プレーヤーのコーナーへと到着し、いくつもある種類の中から、Thunderは、薄い紫色のプレーヤーを選んだ。
そして流れるようにイヤホンのコーナーへと行くと、プレーヤーと同じ色の、薄い紫をした、コードの長いイヤホンを手に取った。
「あの…イヤホンもいいですか?」
「もちろん、好きなのを買ってあげるよ」
そう僕が言うと、Thunderは嬉しそうに微笑んでお礼を言ってきた。
そして僕は手に取っていたイヤホンとプレーヤーを受け取り、レジへ向かって支払いをした。
「あ、そうだ。Thunder、ちょっといいかな?」
「はい、いいですよ、プレーヤーもイヤホンも買ってもらいましたし、指揮官の行きたいところならついて行きます」
「ありがとう、行きたいところは大したところでもないんだけどね」
そう言い、僕はThunderを連れて、CDショップへと向かった。
店内を見て回っている間に、僕はThunderの好きな曲を聞いてみることにした。
「好きな曲…ですか?そうですね…『Only for you』とかでしょうか…それならよくネットで聞いてますね……指揮官は何を聞いてるんですか?」
「僕?僕はそうだね…ヘビメタとかロックミュージックとかの激しい系かな、テンションが上がっていいんだ」
「ふふっ…意外ですね」
「そうかな?前に射撃しまくった時に流してた曲みたいなのはよく聞くよ」
そう言いながら、僕はとあるCDを探していた。
どうせならプレーヤーとイヤホンだけでなく、CDも買ってあげたい、そう思い、今は僕の記憶を頼りに、さっきThunderが言った『Only for you』の入ったCDを探す。
そしてやっとの思いで見つけると、それを手に取った。
「…そのCD、買うんですか?」
「その予定だよ、Thunderの好きな曲が入ってるからThunderへのプレゼントとして…ね?」
「私に…ですか?」
「うん、プレーヤーだけだと音楽聴けないからね」
「それはそうですけど…流石にCDは自分で買いますよ」
「いいのいいの、今回くらいは甘えてよ」
そう言って僕はレジへと向かい、そのCDを買うと、そのままThunderへとプレゼントとして渡す。
「ありがとう……ございます」
そうThunderは言って笑顔を見せてそれを受け取り、大事そうにそれを抱きしめた。
「じゃ、帰ろっか」
そう言って僕たちは帰路につく。
帰ってからM950やバルソクに「デートはどうだった?」と冷やかされたが、どこかThunderは嬉しそうだった。
それから半年が経った日、僕はいつぞやと同じように、新しく配属される人形の書類を作り、着任を待っていた。
「Thunder、今日着任する子、どんな子だろうね」
「さぁ……?少なくとも私よりは1発の火力が少ないと思いますよ」
そう言い、Thunderが誇らしげに笑う。
「ははっ、そりゃそうだ」
そんな会話をしていると、執務室のドアがノックされ、1人の人形が入ってきた。
「お世話になります。Ⅿ200です。ボクの知識がお役に立てれば嬉しいです……あぁ、いいえ。だといいなぁって……」
「よろしく、僕は指揮官のソユーズだ、わからないことがあったら、なんでも聞いてよ」
そう僕が言うと、M200は少し考えてから、
「えーと……ここって、防音室とかありますか?」
「防音室?一応あるよ、たまに色んな人形が楽器を演奏してるからね。何か君も楽器を?」
「はい、一応ギターを習ったことがありますので。」
「おお、ギターはエレキ?」
「ボクはエレキですね、他のボクと同じ人形はアコギを弾く個体もいるらしいですけど」
「へぇ…すごいね」
そう会話に花が咲いていると、Thunderが少し不満そうにしている事に気がつく。
「あっ……そうだった、一応これがこの基地の地図で、このチェック入れてるところが君の部屋だよ。防音室は僕に申請書を出してくれたらいつでも使えるからね」
「わかりました、では失礼します」
そう言ってM200が部屋から出る。
そして少し間を空けてからThunderを見てみると、どこか不貞腐れたような表情だった。
「……Thunder、もしかしてヤキモチ妬いてる?」
「………そんな事ありません。ただ私の時はあそこまで楽しそうに会話してくれなかったなって思っただけです」
「やっぱりヤキモチじゃんか……あぁ、そうだThunder、渡したい物があるんだ」
「なんですか?作戦報告書ならもうインストールしてもスペック上無駄ですけど」
そうツンとした態度を取るThunderを見て微笑ましくなる。
「そうじゃなくてね…はいこれ」
そう言って僕は四角い小さな箱を出すと、Thunderにそれを渡した。
「……?なんですか?これ?」
「開けてみて」
そう僕が言い、箱を開けたThunderは嬉しそうにふふっと笑い、
「指揮官は、今までもよく私の気持ちを察してくれてましたよね。……なら、今の私の気持ちも、きっとわかってくれてるはずです」
「…ってことは、OKってことでいいのかな?」
そう僕が尋ねると、Thunderは1つ頷き、
「その代わり、この嫌われ者だった私を、ずっとあなたのそばに居させてください。約束ですよ?」
と、優しい笑みを浮かべた。
「うん、約束するよ。……これからもよろしく、Thunder」
「はい、よろしくお願いします、指揮官」
それから、どれくらい経っただろう。
僕は前線指揮官から後方担当へと変わり、昔では考えられないほど退屈で、しかし平和な時間を過ごしていた。
そのおかげで仲間たちと親睦を深めようとする事も容易になったのだが、他の子と仲良くしていると、Thunderがよくヤキモチをやいてくるようになった。
そして、本来の彼女の姿を見せてくれるようになってから、Thunderについて新しいことを発見することができた。
彼女は元はあまり感情を顔に出さなかったが、慣れていくにつれ、感情を見せるようになってくれるようになり、好きになった人にはとことん小動物のように甘えてくるのだ。
その姿はとても愛らしく、可憐なもので、たまにこの子が戦術人形という事を忘れそうになる。
しかし、やはり過去にあったことを無かったことに出来ないのが現実だ。
Thunderの身体や心に刻まれた傷は僕が思っていたよりも深く、心を許してくれた今だからこそ見せてくれる脆弱さは、まるで薄い氷のようだった。
だが、そんなThunderは、昔とは違って戦場に死に場所を求めるのではなく、生きることを目標にし始めてくれたのは、とても嬉しいことだ。
心や身体の傷は今すぐ治さなくてもいい。
ほんの少しづつだっていいのだ。
辛ければ泣いたっていい。
嫌なことに対して怒ったっていい。
僕は彼女の支えになって、共に歩いていく。
後は彼女が、いつか前を向いて歩みを進めてくれるだろう。
きっと、2人で明るい未来にたどり着くと信じて、僕とThunderは生きて行く。
米軍とドイツ軍のマシンガンのくだりが好きで取り入れていくという…
トンプソンならこういうこと言ってくれそうだし適役でした()
これを書く前だったか書いてる時だったかにThunderちゃんのドロップイベントが来たので頑張ってドロップさせました…いやぁ疲れた…
とまあ後書きもここまでにしてまた次回!お会いしましょう!