……前書きで言うことが思いつかないなぁ
ちなみに、今回の主人公はXM8になります!
という訳で、今回もごゆっくり、見ていってください!
2062年の某日、僕―――秋月 カヤはかの有名なグリフィン&クルーガー、通称グリフィンの戦術指揮官の採用試験を受け、見事合格した。
僕は試験結果が良くも悪くも普通だったので、配備されたのは前線と言えば前線、後方と言えば後方という微妙な基地に配属されることになった。
まあここでも鉄血との戦闘は日常茶飯事で、稀に、噂程度だが鉄血のエリート戦術人形の目撃報告も来ることがある。
それ以外はごく普通のグリフィン支部だ。
そんなごく普通な戦術指揮官生活を送っているある日、僕はいつものように毎日のIOPとの人形製造契約を行っていた。
いつも通り最初の2回は快速製造契約を使い、持っていて間に合っている人形達をそのままIOPに頼み、民間に放出する措置を取ってもらい、いつも通りしっかりとした再雇用先、もしくは保有者の元に行けるようにこちらからも働きかけようとしていた。
しかし、何度も製造をしていればいずれは持っていない子がIOPから送られてくる。
今日は、その『新しい子』が、IOPから到着する日だった。
「カゲロウさん、今日来る子の資料貰えるかな」
そう着任用資料を作成しながら、棚に資料をなおしていっている、後方幕僚の女の子―――桜木 かげろうさんに声をかける。
カゲロウさんは、その黒い長髪をたなびかせながら、こちらに資料を持って歩いてきた。
「今日来る子、どんな子なんでしょうね〜、いい子だといいですね!あ、そうだ指揮官、昨日この辺で美味しいスイーツの店を見つけてですね、そこのケーキが美味しいんですよ!今度副官の子でも連れて行ってみたらどうですか?きっと喜びますよ!」
そう元気よく、いつ息継ぎをしているのかもわからないペースでマシンガンのように言われ、思わず気圧されてしまう。
「そうなんだ…でも僕、副官日替わり制やってるからなぁ…すごいお金かかりそう…」
「あー、なら今度の作戦が終わった時に全小隊に差し入れって感じでどうですか?」
「あ、それいいね、そうしようか」
そんな会話をしていると、唐突に部屋のドアがノックされ、それに「どうぞ」と返事をすると、銀のロングヘアの女の子が入ってきた。
「新規着任したXM8だ、ここには面白いやつがたくさんいるって聞いたけど…あんたはどう見ても普通だよね。私をガッカリさせないでよ?」
「確かに言う通り、僕は特に面白いやつでもないよ、まあよろしくね、XM8」
「ふーん、よろしく、指揮官。あ!そうだ、指揮官ってチェスやる?」
「チェスか…将棋ならしたことあるけどチェスはないなぁ」
「ちぇー、面白くないなぁ…まあせいぜい無能なりに頑張っときなよ」
そんな会話を交わした後、カゲロウさんにXM8の自室に案内してもらい、僕は書類仕事をこなしていた。
その日から数日経ったある日…僕の司令部では、人形達でその日の副官を話し合って事前に決めているのだが、たまたまその日はXM8が副官になる日だった。
僕はその日、午後から行う作戦のために、事前に地図などを使い、どのように戦闘を運んでいくかのシュミレーションを行っていた。
「うーん…こんな所かなぁ」
そんな事を言いながら、地図と駒を片付けて、今回の作戦に参加するメンバーの選定を始めようとしていると、XM8がお茶を持ってきてくれた。
「はいどーぞ、指揮官」
「ありがとう、頂くよ」
そう言い、お盆に乗った湯のみを受け取り、お茶をすする。
すると、いいお茶の風味がやって来る…訳でもなく…
「かっら!?」
とてつもなく辛い味が口の中いっぱいになり、思わず湯のみに戻してしまう。
「にししし、引っかかってやーんの!」
そう言い、とても嬉しそうなXM8を見るからに、一杯食わされたようだ。
「なんだよこれ…辛すぎるでしょ…」
「へへっ、適当に辛いもの混ぜてみたんだ」
「飲み物で遊んじゃダメでしょ…全くもう」
「そんな固いこと言うなって、毎日オフィスにいるやつには戦法を考えるなんて無理なんだからさ」
そんな会話をしつつ、現在僕の司令部にいる戦術人形達のリストをパソコンに表示しつつ、第4小隊まで編成を行う。
そしてエンターキーを叩き、編成を完了し、今回の参加人形達の持つ端末に今回の作戦内容、所属小隊の書かれたメールを送信した。
「ん?メール?指揮官から?全く、その場で言えばいいのに…」
そう言いながら、XM8は端末からメールを確認すると、ニヤリとした笑みを浮かべて、
「私の価値、あんたもよくわかってんじゃん」
と言って、司令室から出て、自室へと戻って行った。
「第3小隊長に任命してみたけど…揉め事がなければいいなぁ」
そう言いながら、僕は椅子へともたれ掛かり、作戦に対して、気持ちを切り替えていた。
しばらくして作戦時の臨時司令部に着き、各小隊を送り届けた後、しばらくしてから各小隊から無線が届き始めた。
『こちら第1小隊長RFB!展開完了したよー!』
『こちら第2小隊長M200、展開完了しました』
『こちら第3小隊長XM8、さあ、自分の駒を上手く使いたまえ!』
『こちら第4小隊長100式!配置完了しました!』
「了解、第1、第2小隊はそのまままっすぐ前進、第3小隊は左、第4小隊は右から進軍を開始せよ」
そう作戦司令部のスクリーンに映し出された自部隊の光点と敵の潜伏予測位置とを照らし合わせ、小隊に指示を出す。
しばらくしてから、第1小隊と第2小隊から、敵を見つけ交戦開始したと連絡が入った。
『第1小隊、敵の殲滅を確認!ふふーん、私の記録、破れるかな?』
「お疲れ様、今回のMVPは…うん、文句なしにRFBだな、よく頑張ってくれたね」
『やった!今回の任務もEASYモードだから、もっと期待しててね!』
「そうか、期待してるよ、そのまま進軍を続けてくれ」
『了解!いざ!しゅっぱーつ!』
そう第1小隊からの戦果報告が届いたと思うと、矢継ぎ早に今度は第2小隊からの戦果データが届き始めた。
『ふう、こちら第2小隊、敵の殲滅を確認、TACの楓月の索敵からも敵影は見当たりません』
「お疲れ様、この戦闘のMVPは…TACか、良くやってくれたね」
『え!私ですか!?ありがとうございます、楓月がいてくれたからの戦果だと思います』
「TAC本人の実力もあるよ、ドローンを操作しながら即座にデータリンクして狙撃なんて僕にはできないよ」
『えへへ、ありがとうございます』
「次も頼むよ、さてM200、第2小隊もそのまま前進してくれ、しばらく行くと廃ビルがあると思うから、そこで狙撃位置について待機してくれ」
『了解しました、第2小隊前進します』
そう言い、無線が終わり、あとは第3、第4小隊からの連絡を待つのみとなった。
しばらくして、第3小隊の進軍が止まり、そこから動いていないことに気づいた。
「こちら"ゲームメイカー"、第3小隊、応答せよ」
そう司令部のコールサインであるゲームメイカーから、第3小隊にコンタクトを取る。
するとすぐに、
『こちら第3小隊97式!鉄血のイェーガーとガードに奇襲されちゃった!』
『こちら95式です、被害状況はXM8さんが重症、ヴィーフリさんが残りダミー2、79式さんもダミーが1つ損失しました!』
「了解、97式と95式はダミーを囮に使いつつみんなの撤退援護を頼む、至急第1小隊に向かわせるからそれまで耐えてくれ!」
『了解しました!行くわよ97式!』
『了解!お姉ちゃん!』
そう2人からの声が終わる前に、急いで第1小隊に無線を繋げる。
そして軽く説明し、第1小隊に救援に向かわせた。
しばらくして、95式から無線で安全圏まで撤退できたと無線が入り、その後すぐに第1小隊から殲滅完了の無線が届いた。
なんとか死者がでなくて済んだことに安堵しながら、僕は急いで近くの飛行場にオスプレイを向かわせ、第3小隊をピックアップし、基地へと帰還させた。
「作戦計画変更、第1小隊はそのまま作戦エリアの左側の鉄血を第2小隊の所まで誘導してくれ」
『了解!まっかせて!』
その後、第4小隊からも無線が入り、鉄血に奇襲をかけて2小隊分の鉄血を殲滅したと無線が入った。
「お疲れ様、それにしてもすごいね、2小隊一気に倒しちゃうなんて」
『それほどでもないです!小隊員あっての事だと思っております!』
『また100式はそう言って…今回も貴女の活躍は大きかったよ』
『いいえ、64式さん、100式はまだまだです!今回だって数発の至近弾による切り傷が…』
『あの…それは当たってないだけ凄いかと…』
「スオミの言う通りだよ、当たってないのは凄いことさ」
そう言い、そのまま第4小隊にも第2小隊の所へと鉄血の追い込みを頼み、その後しばらくしてから追い込まれた鉄血の人形達を待機していた第2小隊が狙撃して仕留めて行き、無事に作戦を終えることができた。
作戦を終えたのと同タイミングで、司令部に第3小隊の乗ったオスプレイが到着し、僕は急いでヘリバッドへと走って行った。
オスプレイが着陸し、至る所に包帯が巻かれた、XM8が後部ドアからベッドに乗せられて降りてきた。
「XM8、大丈夫か!?」
「ああ、指揮官か…出発前にイタズラをしたから怒って捨て駒にしてきたのかと思ったよ…」
「あんな程度でそんなことするわけないだろう!僕は誰も見捨てたりするもんか!」
「よかった…私、また捨て駒にされたのかと思った…」
そうXM8は声を震わせながら言い、そのまま気絶してしまった。
その後、すぐにXM8を修復へと送り、しばらくしてから、修復の終わったXM8を迎えに行った。
「XM8、大丈夫かい?今日はもうこのまま医務室で安静にしていてくれよ、修復が終わったとはいえ重症明けなんだから」
「うん…ありがと、指揮官」
そう短く会話し、僕達は医務室へと向かい、XM8をベッドに寝かせて僕はその隣の椅子に座り、軽く会話していた。
「…ごめんよ、鉄血の大まかな情報があったにもかかわらず、奇襲に気づけなくて…」
「本当に、指揮官がしっかりしてくれてたら、私もみんなも怪我しなくて済んだもんね」
そう言われ、何も言えず縮こまってしまう。
確かに、敵の編成と大まかな現在地を見れば潜伏している事にも気づけたかもしれない。
気づけていれば、XM8を始め、ヴィーフリや79式に被害が出ることもなかったのだ。
そう思い始めると、反省点がいくつも出てきて、僕は自分でもわかるほどに凹んでしまっていた。
「だから言ったでしょ?毎日オフィスにいるやつには戦法を考えるなんて無理なんだって」
「うっ…確かに、その通りだな…」
そう凹んでガラスのハート以下になっていた心に、XM8からの追撃が入り、完全に凹んでしまう。
そして、XM8はその姿を見てふふっと笑い、
「だからってさ、全部が全部、指揮官が悪いって訳じゃないよ、敵の編成や大まかな位置データは送ってきてくれてたんだから、気づかなかった私達にも悪いとこはあるよ」
と、少しだがフォローを入れてくれた。
「でも…さ、僕は指揮官なんだから、みんなの安全を考えたルート構築とかしないといけないのにできてないから…さ、今回は僕が悪いよ」
「う〜!ああもうめんどくさいなぁ!指揮官は悪くないって言ってるでしょ!今回は私のせいだから、気にしないでいいのに!」
「めんどくさいってなんだ!僕だってみんなの安全とかいっぱい考えてるって言うのに!」
「指揮官が頑張っても私達がしっかりできてないと無駄でしょ!今回は現場の、隊長やってた私のせいだって何度言えばわかるのさ!バカ指揮官!」
「上司に向かってバカってなんだこのバカ!せっかく心配してやってるのに!なんだその態度は!」
そこまで言うと、なんの前触れもなくXM8の頬を涙が伝い、そのまま何も言い返さずに泣き始めてしまった。
「…席を外すよ」
そう言い、罪悪感から席を立ち、去ろうと歩き始めた時だった。
「ごめんなさい、指揮官…ごめんなさい…私を、捨てないで…おねがい…!」
そう言って、XM8は僕の制服の裾を掴み、そのまま涙は大粒へと変わってしまった。
まさかの事態に少し戸惑ってしまうが、すぐにそのまま踵を返し、XM8を抱き寄せて安心させてやる。
しばらく泣き続けていたが、しばらくして落ち着いてくれたのか、自分から離れて行き、泣きすぎて赤く腫れた目をこすっていた。
「…ごめんね、少し言いすぎたよ」
「私も…ごめんなさい…、私を、捨てないで貰える…?」
「ああ、もちろんさ、もう大切な家族なんだからな」
「よかった…よかったよぉ…」
そうXM8は言い、また泣き出してしまった。
その事に少し戸惑いつつも、また抱き寄せてやり、また落ち着くまで待つ。
そして、何故そこまで捨てられる捨てられないの話にこだわるのか、聞いてみることにした。
「私…1度、IOPに返却されてるんだ、前のとこでも私こんなだからさ、そこの指揮官怒り買っちゃって、捨て駒にされたと思えばIOP送りだったから…当たり前だよね、生意気な口きいたりイタズラしたりさ…ほんと、自業自得だよ…」
と、過去のことを話してくれた。
「…そうだったのか」
そう言い、悲しそうな顔を浮かべているXM8の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。
すると、照れくさそうにしながらも、素直に撫でられていた。
「…さて、僕はそろそろ執務に戻るよ、何かあったら呼んでくれ」
そう言いながら席を立ち、手を振って部屋から出ていく。
後には、嬉しそうに眠りにつく、いたずら娘の姿があった。
その日から数週間経ったある日、後方支援にXM8たち第3小隊も送ることになり、僕はそのお見送りに来ていた。
「じゃ、行ってくるよ指揮官」
「うん、行ってらっしゃい、気をつけてね」
「うん。あ、そうだ指揮官……」
そうXM8が言い、僕に駆け寄ってくる。
そして耳を貸してくれと言われたので耳を向けると、
「えへへ、道中であんたの事を想うからさ、指揮官も私の事想っててよ」
「へ?えーっと、それってつまり……」
「へへっ、じゃあ行ってくるよ!」
そうXM8はイタズラっぽい笑顔を向けてくると、部隊のみんなと一緒に後方支援へと向かった。
「指揮官、好かれましたね、アレはキスしたら舌まで入れられるやつですよ」
そうカゲロウさんにからかわれ、僕は苦笑いを浮かべ、みんなが見えなくなるまで立って見送っていた。
しばらくして、僕が書類仕事を今日の副官の62式軽機関銃と一緒にしていると、62式が話しかけてきた。
「そうだ指揮官、最近なんかXM8が指揮官の話ばっかりするんだけどなんか心当たりある?」
「え?いや無いけど…でも今日後方支援に送る時道中で僕のことを想うって言ってから行ったな……」
「ふーん……それでかぁ…ふーん………」
そう62式はニヤニヤしながら僕の方をじとーっとした目で見つめてきた。
「……どうしたのさ」
「いや別にー?似た展開、映画で見たなぁって思ってさ」
「へー…どんなの?」
「えー?それは言わない方が面白そうじゃん?…まあ、近々わかると思うよ?」
「そっかー…ならいいけど」
そんな会話をしながら書類仕事を終えようとしていた時、ふとXM8のことを思い出した。
思い出すのはなぜか満面の笑みを向けて来ていた時や、戦闘任務が終わって嬉しそうにしてきている時、そして恥ずかしそうにしながら自分のキャラじゃないと言いつつも甘えてくる時。
そして退屈な時にちょっかいをかけてきては嬉しそうにしている、可愛らしい姿だった。
「はぁ……」
「指揮官どうしたの?なんか顔赤いけど…」
「…なんでもないよ」
そう言いながら、僕は時計を見た。
後方支援部隊が帰ってくるまであと1時間だ。
「……そうだ、62式、ケーキでも買いに行かない?」
「ケーキ?いいね!買いに行こう!」
そう2人でケーキを買いに行くことになり、僕らはカゲロウさんにケーキ屋の場所を聞いて、小隊分のケーキを買うことにした。
そして62式と共に人数分のケーキを買い、62式と楽しく会話しながら基地へと帰っていると、ちょうど後方支援に送っていた小隊が帰ってき始めていた。
それぞれの小隊長にケーキの入った箱を渡し、後は第3小隊が帰ってくるだけとなった。
しかし、なかなか帰って来ず、仕方なく執務室へと先に帰ることになった。
「でね!その時の四式の顔がもう凄くて!人形でも徹夜続きになるとああなるんだなぁ…って、ちょっと感心したよ」
「へぇ…そういやこの前の休暇の時に楽しそうにキャリーバッグを引く四式を見たけどいい戦果だったんだろうね、苦労が報われたようでよかったよ」
そんな会話をして帰っていると、後ろからドタバタと誰かが走ってくる音が聞こえてきた。
誰かと思って振り向いてみると、嬉しそうに物資を持って走ってくる、XM8の姿があった。
「指揮官!帰ってき…た…」
そう言いながら、XM8は僕らを見て徐々に顔から笑顔が消えていき、やがてXM8の頬を涙がつたい始め、手から物資が落ちていった。。
「……やっぱり、指揮官は私のことなんとも思ってなかったんだ」
そうXM8は言い、後ろを向いてから力のない声で、
「……それだけあれば、指揮官もすぐ使えるだろ。………じゃ、私は疲れたから帰る」
そう言って、XM8は走っていってしまった。
「……行ってあげなよ、指揮官、ケーキはあたしが執務室の冷蔵庫に入れておくから」
「うん、ありがとう。行ってくるよ」
そう言い、僕はケーキの箱を62式に渡し、XM8の後を追いかけて行った。
何人かの人形に場所を聞いて周り、基地の屋上で、やっとXM8に追いつくことができた。
「…なにさ、指揮官」
そう言いながら、XM8は涙を拭き、僕の顔を見てきた。
「XM8、僕は君のことをなんとも思ってなかった訳じゃないんだ、さっきのは小隊のみんなにケーキを配ってただけで…」
「そう言うのは簡単だよね、私には本当の事なんてわかんないんだからさ!」
そうXM8は言うと、また大粒の涙を流し始めてしまった。
僕はそんなXM8に傍に行ってやり、そっと抱きしめる。
すると、XM8は力強く抱き返して来ると、先程までの涙が嘘のような笑顔を見せてきた。
「にししっ、指揮官、騙された?」
そうイタズラっぽい笑顔を向けてXM8はそっと離れて行ったと思うと、今度は嬉しそうな笑顔を浮かべてきた。
「えへへ、後方支援中にヴィーフリと97式がこういうイタズラはどうだ、って言ってきてさ、楽しそうだからやってみたんだ……でも、本当に追いかけてきてくれて、嬉しかった」
そうXM8は言うと、フェンスにもたれ掛かり、沈んでいく夕焼けを見つめ始めた。
僕もその隣に行き、一緒に夕焼けを見ていると、XM8が身体をもたれさせてきた。
「指揮官ってさ、好きな人とかはいるの?…やっぱりカゲロウさんとか?あの人綺麗だもんねぇ」
「いや…別の人かな、カゲロウさんは確かに綺麗だしノリはいいけど、あの人にはもう彼氏いるからね」
「ええっ!?そうなの!?」
「いや、冗談だよ。でも片思いしてる人はいるって言ってたな、確か補給部の人だっけ」
「へぇ……で、指揮官に好きな人はいるの?」
そうイタズラっぽい笑顔を見せながら聞いてくるXM8に少し微笑み返し、僕はこう言った。
「いるよ。って言っても今日自覚したんだけど…その人はね、イタズラが好きで、思ったことをすぐ言っちゃうタイプで、チェスが好きで。それが原因で1度見放されちゃったけど、実は頑張り屋で、責任感も強くて、笑顔も可愛くて、心を許した人には恥ずかしがりながらも甘えてきたりしてさ」
「し、指揮官…それって……まさか……」
「…そう、君だよ、XM8」
そう言うと、XM8は夕焼けに負けないほど顔を赤くし、恥ずかしそうに両手で顔を隠した。
そして、指の間から僕の方を覗き見ると、消え入りそうな声で、
「嘘じゃ…ないよね?」
と、聞いてきた。
「ああ、嘘なんかじゃない」
「指揮官…まさかあんたも人に意地悪するのが好きだとは思わなかった……」
そうXM8は言うと、そのまま涙を流し始めた。
それを見て僕はXM8を抱き寄せ、落ち着くように背中をさすってやる。
すると、XM8は僕を抱き返し、
「私のような性格の奴と合うなんて…涙が出るほど感動してるんだ。私のすべてを受け入れてくれる人は…たぶん、この世界には指揮官しかいないだろう……」
と、言って、号泣し始めた。
しばらくXM8は泣き続け、辺りに夜の帳がおりた頃、やっと泣き終わり、赤く腫らした目で僕を見つめてきた。
「本当に、私でいいの?」
そうXM8は普段の強気とは違う、恥ずかしがる乙女のように聞いてきた。
僕は頷き返し、もう一度抱きしめてやると、お互い無意識のうちに、キスが始まった。
それはやがて深いものになり、終わる頃には、2人とも幸せそうに微笑みあっていた。
「親愛なる指揮官さま、お疲れ様でした~♡これでもどうぞ♪」
「お疲れ様、頂くよ」
そう書類仕事を終え、僕はXM8からお茶を受け取る。
いつぞやの時とは違い、1口飲むと、いいお茶の味が広がり、仕事終わりに一息つくことができた。
「えへへ、指揮官、こういう歯の浮くようなセリフを聞いて、今どんな感じ?感想は?」
そうイタズラっぽい笑顔を見せて嬉しそうに聞いてくるXM8に微笑み返しながら、僕は、
「可愛かったよ、でも普段の君の方が可愛いかな」
と返した。
するとXM8の顔がみるみるうちに赤く染まり、
「……もう、指揮官のいじわる」
と言って、嬉しそうな笑顔を見せてきた。
そんな姿を見てこちらも嬉しくなりながら、
「…そろそろ、君との出会いから1年、かぁ」
僕はそうカレンダーを見ながら呟き、僕はこれまでの事を思い出していた。
するとXM8がニヤニヤしながら、左手の薬指につけた指輪を見せてきながら、
「"結婚"してからはまだ半年だけどね、指揮官さま♪」
「……そうだね」
そう笑顔を返しながら、僕はXM8の頭を撫でてやり、幸せを噛み締めていた。
…これから先、何が起こるかはわからない。
もしかしたら、この司令部が襲撃されて、僕も死んでしまうかもしれない。
でも、今はそんな事はどうだっていい。
僕の好きないたずら好きな少女が傍にいる限り、僕は1人の平凡な指揮官として、幸せな時を過ごせるだろう。
そんな時が未来永劫続くと信じて、僕たちは今日も、戦場に赴くのだ。
約9000文字はヤバすぎて笑うしかないんよ…()
そんなに書いてたんだ……()
後書きも特に思いつかないので、ではまた次回、お会いしましょう!