「あなたはだあれ?」
その言葉を目の前の幼女が言うまでずっとうねうねしていたワカメ事私ですが、ようやく現実逃避うねうねをやめ、目の前の幼女の言葉に返事を返そうとして・・・。
「シャラララン♪」(この箱に住んでるものです!)
あら綺麗な音、って俺の出した音かよ!!
なんだ今のサラサラな砂が落ちる音と鈴の音が混ざったような音・・・。
「とってもかわいいおこえ!もしかして、このおはこのようせいさん?」
いや、どう考えても私ワカメだから、ひいき目に見ても妖精には見えないよ?
まだあくりょうさん?とか言われた方が納得いくわ!!
というような事を考えながらうねうねしていた私に続けて幼女が
「ようせいさんはこのおはこにすんでいるの?ときどきおうたがきこえていたけどもしかしてようせいさんのおうた?」
と質問をしてきた。
歌?正直今まで歌うどころかさっきまで話す事もなかった。それにずっと暗闇の中でも起きている感覚だけはあったからどうして寝言のせんも無いと思うのでここはボディランゲージで目のついてるところをくねくねして何となく違うよ!という感じをだす。
「う~ん、ちがうのー?」
と幼女には何とか伝わったようだ!
よ、よしこのままコミュニケーションをとりながら周りの情報を集めよう!
も、もしかしたらこのまま幼女と仲良くなって親とかに内緒でっ、
「ちょっとまっててねぱぱとままのとこにいってきみがなんなのかきいてみるー。」
あっ、という間に幼女は俺の入った箱を抱えて俺が置いてあったのであろう部屋をかけ出ていく。
あー、終わったな。
多分モンスターである私を親に見せたらそっこう取り上げられてしまうんやろなー。
その後は最悪危険そうだから処分か?やばいやばいやばい
「ふにふにー。」
幼女にワカメの部分を触られながらどうやら俺の体は弾力がある感じらしいと新たな情報を頭に入れてどうにか幼女の手から逃れる出る方法をあたりを見回しながら考える。
そういえばミミックって箱の部分も動かせるのでは?
なんて前世のゲームキャラ達の事を思い出し実行に移すと、なんと!金属?の装飾が施された俺の入っている小箱が少し軟化したのである。
そんな急な箱の変化に驚いた少女は思わず俺から手を放してしまい、柔軟になった俺はカーペットの敷かれた床の上でバウンドした。
今がチャンスだと思い私は出せる全速力を使って柔軟になった小箱の四角を足のようにつかい駆けだす。
今はまだご両親に紹介される訳にはいかないのだ!!いずれ君が学校へ行く時に荷物の中にこっそり忍び込ませてもらうぜ!さらば幼女よ!
と勢いをもって駆けだした私はほんの数秒後には幼女の腕の中へ戻り再度ふにふにされていた。
何故こんな事になってしまったんだ。
まあ足とは勝手が違い過ぎて全然進まんかったんですけどね。
遠巻きに見たら箱がガタガタ揺れてるだけだわ。
しかも
「だいじょうぶ?おとしてしまってごめんなさい。とってもいたかったからゆれていたの?」
と幼女に心配されてしまった。ええ子やん。
正直あれだけ足が遅いとこの状況からうまく逃げられそうにないという事を悟った私はもうどうにでもなれという気持ちになり箱の中に体を丸め込むと蓋を閉めて今更箱に擬態していた。
これはミミックの防衛本能的な行動だろうと思う、急激にたまったストレスに私の心を一旦落ち着かせる為に正直講師から話を聞いてからの展開が早過ぎる。
こっちはミミックになって3年後に自分がミミックだと気付くほどマイペースだったのにこの展開はあまりにも早過ぎて過剰なストレスを受けてしまったのだろう。
幼女が私を心配したのか箱に向かってなにやら
「どこかいたいの?」
と問いかけてくるが、今の私は箱!完全に箱になっているのだ!
あ、やべ幼女がぐずり出した!自分が落としてしまったから俺の元気がなくなったと思ってショックを受けたのか?だ、だが俺は箱だ!幼女がぐずりかけたくらいではびくとも動く訳にはいか
「シャンランラン♪」(びょいーん!!)
幼女には勝てなかったよ。
これもミミックの本能なのか人間だった前世からの物かわからないけど子供がしょぼんとしてしているとどうしてもほおっておけない。
びっくり箱よろしく勢いよく幼女にぶつからないように今出来る最高の変顔で飛び出した私を見て幼女は私を再び空中に投げ飛ばす。
そしてびたーんと地面に落ちたのちバイーンと跳ね回った私を見て幼女は目を見開いてから・・・爆笑した。
「びっくりしたー!!やられたなー。おはこさんのおかおもこんなおかおできゅうにびょいーんってなるからびっくりしてまたおとしちゃったのに、へんなおかおのままびたーんってなるから・・・ぷふふ・・・アハハ、アハハ!。」
といった感じで幼女を泣かせない事に成功した。
そうして落とした私を拾う為に幼女が近づいて来て持ち上げるまでずっと私はいろんな変顔をしていたのだが、私の顔を視線の元まで持ち上げると幼女は下を向いてプルプル震えていた。
もしや私の変顔に恐れをなして目を背けたのか?これはいかん、追撃せねば!と無駄な根性を発揮した私はうつむいている少女の顔の方に自らのワカメボディを変顔のまま伸ばしていく。
これでトドメと言わんばかりに今思いついたワカメなのにヒジキのような細さになって目を見開く変顔をした私は幼女の顔の前に無理やり飛び出た。
だがそれは悪手だったのだ。このうつむきは幼女の策略であり、幼女は敏感に私が変顔攻撃を仕掛けて来るのを察知し、まさかの
「キャハッ♪キャハハハハハハッ♪」
「シャララランラン♪」(ブハハッアハッアハハハハハハハッ!!)
廊下のど真ん中で二人で大爆笑をかましている私たち。
正直この時はなんも考えておらず、気も張っていない無防備な状態であった。
この後も私と幼女は変顔合戦を繰り広げる事となり、途中から笑うのをこらえるにらめっこ対決が始まった。
そしてその勝負は白熱し、目の前のライバルのみに意識を集中していた私達の戦いは第三者の手によって唐突に終わりを迎える事になった。
「アイラ、一体何をしているん、ブハッ!!」
そう、完全に忘れていた幼女もといアイラの両親の存在だ。
私との勝負で極まった変顔で父親を見たらそうなるよな。娘の変顔により噴き出して崩れるように膝をついたアイラの父、まあパパ上でいいや。
そのパパ上殿を変顔のままボーッと見つめていた私であったが、ふと変顔のまま冷静になった。
「シ、シャラ・・・。」(あっ、やば)
「と、所で、アイラ…、お婆さまの…、ふふッ、小物入れからはみ出ている、その子は友達かい?」
種族 : 妖精系 ミミック種
個体小分類 :サプライズ箱
説明
長年大切に保管されてきた小箱にいたずら好きな最下級妖精が憑依したもの。
子供や小動物などがその小箱に近づくとあら大変。
妖精のいたずらで笑顔にされてしまうかも。