ダンガンロンパ 狛枝 作:雪哉
それから私は日常へと戻っていった。
翌年に高校生になった私は、希望ヶ峰学園からの入学通知が来るのを首を伸ばして待っていたが、結局私の下に『幸運』枠が巡ってくることはなかった。
一度だけ、私宛ての入学通知を届けに来たバイクが炎上する夢を見たが、あれは何だったのだろうか……。
そして二年の月日が流れる。
◇◆
私は、大きなモニターが設置された部屋でそれを見ていた。
一年前の『人類史上最大最悪の絶望的事件』で世界は終わってしまった。
そして、残された『希望』に完全に止めを刺すことを目的に始まった『コロシアイ学園生活』の様子が世界中へと放送されている。
これまでにも何回か彼らへの救助が試されたが、いずれも失敗に終わっている。この放送をただ指を咥えて見せつけられる日々が続いているのが現状だった。
『モノクマ』に『コロシアイ』を強要された十五人の『超高校級』の生徒たち。
一人、また一人と数を減らし、六人にまで減ってしまった。
そして今、最後の『学級裁判』に終止符が打たれようとしている。
『希望は前に進むんだ!』
私と同じ『幸運』の少年が、この世界を終わらせた『絶望』に勝利した瞬間だった。
実際私はこの結果をどこかで予想していたのかもしれない。誰よりも『幸運』の力を信じている私だからこそなのかもしれないが、そんなことは些細な話だ。
私にとって一番重要だったのは、この時ようやく『答え』を出せた事だった。
(やはり『希望』にこそ、その答えはあったんだわ……)
確かに才能ある人間は『希望』かもしれないが、それを正しく導き、光を与えることができるのは、天才を取り巻く『平凡』なのかもしれない。私の口元には自然と笑みがこぼれた。
きっと、彼もどこかでこれを見ているだろう。消息は不明だが、私は彼が死んだなどとは微塵も思っていない。
『幸運』がそんな簡単に負けるはずがない。
それは、この『コロシアイ学園生活』を見て来たならば、誰にでも伝わるはずだ。きっと、彼も自分が出した答えに疑問を感じているのではなかろうか。まあ、いいだろう。今度は彼が存分に頭を悩ませる番だ。
私は振り返ると、スーツのジャケットを羽織り、声を上げた。
「未来機関 第四支部 支部長『琴江木麻奈』。これより、希望ヶ峰学園の生き残り六名の保護に向かいます!」
世界は一度『絶望』に覆われてしまったが、反撃はこれからだ。
『幸運』が再び世界に『希望』をもたらすだろう。
私はそう信じている。
(了)
以上で完結です
ご一読ありがとうございました。
楽しんでいただけたのなら、何よりです。