俺は教室に戻ると自分の席についた。廊下に一番近い列だ。しばらくぼーっとしていた。さっきの痛がり方が頭から離れない。本当に危ないやつの息子なのか?耐えられない。しかし私はここで挫けるわけにはいかなかった。嫌なことを忘れようと自分のスマホをいじる。LINEでもしよう。しばらくすると担任が入ってきた。明るい男の教師だ。眼鏡のレンズが厚い。
「ホームルーム始めるぞー!」
眼鏡のレンズが厚い教師が呼びかけを始める。席につくクラスメイト達。友達は1人もいない。
「担任の竹井 猛です。よろしくお願いします。」
真面目な教師だ。そこから質問タイム。
彼女がいますか? とか、
どこ住み? とか、
LINEやってる? とか。
全くどうかと思う質問ばかりだった。先生のふざけた回答にゲラゲラ笑う生徒たち。友達は出来そうにない。
何度も言うが俺は同じ中学の人間が1人もいない。しかも田舎、クラスも3クラスしかないし人クラスあたり36名。生徒の情報は取得しやすいが悪い噂も広まりやすい、といったところだ。自己紹介が始まったし自分の番が回ってくるまでぼーっとしておくか。
「じゃあ、次、16番。竹崎君。は保健室か。」
ハッ!その瞬間俺の身体が少しだけ跳ねた。
クラスメイトが少しだけ俺に反応する。何もなかったかのように振る舞う俺。冷や汗が止まらない。しばらく怯えていると自分の番が回ってきた。
「三地下中学から来ました。望月光です。中学の時はモッチーって呼ばれてました。よろしくお願いします。好きなポケモンはレアコイルです。」
こんな感じか。
「青椅子中学から来ました。吉永月です。」
なんだこの女。適当な自己紹介だ。マジできめぇ。
ホームルームが終わると休み時間。俺は携帯で音楽を聴くことにした。最近ハマっている曲をイヤホンつけて再生。流れ出すハムスターの声。ノリノリなんやけど。
「おい!」
誰だよこいつは。
「お前レアコイルなんで好きなの?」
「名前教えてくれよ」
大人しそうなのロン毛の少年だった。
「俺?俺は佐村守。自己紹介聞いてなかったのか?」
知らないな。当たり前だ。
「やぁよろしく。えぇっと 何と言ってもまずは高い素早さだよな。」
「そんならジバコイルにした方がいいよね」
「正直言ってお前の質問は愚問だ。家に帰って直ちにポケモンの基礎について学びなさい。」
「なんの歌聴いてるの?」
「いやぁなんでもないでちゅよ」
「なんだその喋り方。お前曲を聴くのが好きなのか?俺作曲してるんだけど興味ある?なぁ新垣!」
「ごめんな。興味ないんだ。すまん、トイレ行ってくるわ」
こうして俺の高校生活が始まったのである。