第一話:伝説の戦士再び!
1、新たなる敵!?
ジャアクキングとの戦いを終え、無事にベローネ学園女子高等部に進学した、美墨なぎさと雪城ほのか、中等部二年に進級した九条ひかり、新たなる出会いに胸躍らせる少女達の前に、新たなる敵が動き出そうとしていた・・・
なぎさとほのかは、藤田アカネの店TAKO CAFEで、たこ焼きを頬張りながら、高等部の話で盛り上がっていた。
「いやぁ、高等部でも同じクラスで良かったよね!志穂や莉奈、ユリコ達も一緒だったし、まあ、何か高等部に進学したって気はイマイチ薄れるけどね」
そう言うと、なぎさはたこ焼きを口の中に入れ、モグモグ食べる。ほのかもなぎさの言葉に頷き、
「うん!嬉しい反面、新鮮さには欠けるよね」
ほのかも、たこ焼きをフウフウ冷ましながら、口の中に入れモグモグ食べる。二人の側には、光の園の住人メップル、ミップルもイチャイチャしながら居た。
「あんた達も相変わらず仲が良いわねぇ・・・平和になった証拠かな!?」
「そうかも知れないわね」
なぎさとほのかは、二人を見て微笑んだ。手元のジュースをカラカラ振り、ストローで喉の渇きを潤したなぎさは、
「ところでさ、ほのかは部活どうするの?やっぱり私は、ラクロス部に入ろうと思ってるんだ!弓子先輩も居るしね・・・ほのかはやっぱり科学部?」
「そうね・・・私は実験とか大好きだし、科学部に入ろうと思ってるの!でも、これじゃ二人共、ますます中等部の頃と変わらないわね」
ほのかの言葉に、笑い合う二人だった。
「お二人共、高等部はどうですか?お二人が卒業しちゃって、私はちょっと寂しいですけど・・・」
休憩時間になり、エプロン姿のひかりがなぎさとほのかの会話に加わった。なぎさとほのかが中等部を卒業し、寂しい思いでは居るが、ひかりにも沢山の友達が出来ていた。
「まあ、こうして、TAKO CAFEでは会えるんだし、ひかりも何だかんだで、最近楽しそうに学校の事教えてくれるじゃない」
「そ、そうですか?」
少しはにかむひかりの姿に、なぎさとほのかは顔を見合わせ微笑んだ。
その時・・・
「なぎさ、ほのか、嫌な気配がするメポ」
「二人共、用心するミポ」
「ひかり・・・嫌な気配を感じるポポ」
「怖いルル」
光の園の妖精達が、何かの気配を感じたのか、一斉に騒ぎ始めた。予期せぬ出来事に、なぎさ、ほのか、ひかりに緊張感が走った・・・
ジャアクキングを倒し、平和を勝ち取った筈なのに・・・
ジャアクキングは生きていたのか?
なぎさと、ほのか、ひかりの心は不安に駆られた・・・
辺りを見回す一同の視線が、腰を激しく振りながら、こちらにやって来る、妙な出で立ちをした人物を見付け、一同は眉根を曇らせる。
「な、何!?あの変な人?」
なぎさの言葉を聞き、慌てて隠れるメップル達妖精陣の姿を見て、腰を振りながら近づく妙な男の口元が、ニヤリと微笑んだ事に、なぎさ達は気付かなかった。
まるで躍るように腰を振り振りしながら、チャッチャと発しながら近づく人物、出来れば関わりたくない一同ではあったが、男はまっしぐらになぎさ達の方に近づいて来る。
「チャチャチャ!ヘイ!!俺の名は、モエルンバ!セニョリータ!ちょっと聞きたい事があるんだが?お前達・・・太陽の泉の在処を知ってるかい?」
踊りながらポーズを決めた男は、モエルンバと名乗った。
モエルンバは、なぎさ達に太陽の泉の在処を知っているか聞いてくるも、当然ながらなぎさ達も、メップル達妖精達も知る訳は無く、
「何!?その何とかって泉って?私達が知る訳無いでしょう!」
放課後の楽しいティータイムを邪魔されて、少し不機嫌そうにするなぎさを無視するように、再び踊り始めるモエルンバ、
「そうか・・・だったら、そこに隠れている、泉の精霊共に聞くとするか・・・お前達、正直に答えろ!返答次第じゃ・・・俺の炎でチャッチャって燃えちまうぜ!!」
隠れているのがバレて居るのを知り、妖精達が姿を現わすも、モエルンバから発せられる邪悪な気配に表情は険しかった。生意気なとばかり、モエルンバは指に炎を点し、メップル達を威嚇するように睨み付ける。
「太陽の泉何て知らないミポ」
「大体、知ってたって、お前みたいな邪悪な気配がする奴には、絶対に教えないメポ」
メップルとミップルは、モエルンバが二人を泉の精霊と言った言葉を聞き逃していた。メップルとミップルに白(しら)を切られたモエルンバは、益々顔付きが険しくなり、
「おいおい、人が優しく言ってる間に、素直に白状するものだぜ?」
身の危険を感じた一同、なぎさはメップルを、ほのかはミップルを、ひかりがポルンとルルンを抱き上げると、その場から逃げるように走り出す。この場所では、アカネに迷惑が掛かる配慮からだった。
「何なのよ、あいつは?」
「なぎさ、ほのか、ひかり、変身するメポ」
走りながら逃げるなぎさのボヤキに、メップルはプリキュアになれと進言すると、
メップルとミップルがハートフルコミューンに変身し、なぎさはメップルを、ほのかはミップルを手に取った。三人は走るのを止めると、モエルンバに向き直り、
「わかってる!いくよ、ほのか!ひかり!」
「うん!!」
「はい!ポルン!!」
ひかりの言葉に頷いたポルンが、タッチコミューンに変化する。
なぎさとほのかは互いを見つめ頷きあうと、ハートフルコミューンに手をかざし、互いの手を取り合って同時に叫ぶ!
「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」
二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・
「光の使者・キュアブラック!」
「光の使者・キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「闇の力の僕達よ!」
「とっととお家に帰りなさい!!!」
キュアブラック、キュアホワイトがモエルンバに名乗りを上げる。それに続くように、
「ルミナス、シャイニングストリーム!!」
ひかりの掛け声と共に、ひかりの身体を光が包み込んでいく。神々しい光と共に、シャイニールミナスがその姿を現わす。
「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」
ブラック、ホワイト、ルミナスの出現は、モエルンバの予想外の出来事で、口をアングリ開けたモエルンバは呆然とするも、首をブルブル振って正気に返ると、
「プリキュアだとぉ!?お前達は一体?泉の郷の精霊に、こんな力があったのか?ゴーヤーンの奴、そんな事一言も言ってなかったぞ?まあいい、お前達の実力、試させて貰うぜぇ・・・ウザイナー!!」
モエルンバが両腕を高々と上げると、嘗てのザケンナーのような生物が現われる。公園のベンチを、怪物化したような姿をしたウザイナーの出現は、一同を驚かせる。
「あれは、ザケンナー?」
「チッチッチ!ザケンナーじゃない、ウザイナーだ!!」
ブラックの言葉に、モエルンバは右手の人差し指を左右に振り否定するも、ブラックは少し頬を膨らまし、
「似たようなもんでしょう・・・行くよ、ホワイト!ルミナス!」
「だから違うって言って・・・エッ!?エェェェ??」
ブラック、ホワイトの怒濤のパンチ、キックの連続攻撃を受け、ウザイナーが劣勢になる姿に、モエルンバの表情が驚愕する。
「こ、此奴ら、戦い慣れてる・・・ウザイナー!もっと、チャッチャと張り切れ!!」
ウザイナーに更に檄を飛ばすモエルンバだったが、ブラック、ホワイトの攻撃の前に、一方的な展開になると、イライラしたモエルンバが指に炎を点し、ブラック、ホワイトに攻撃を加えるも、
「お二人に手出しはさせません!」
ルミナスがバリアーを張り、モエルンバの炎を完全に防ぐと、モエルンバの額からタラリと汗が滴り落ちる。
(俺の攻撃を防いだだと・・・何なんだ、此奴らは!?)
動揺したモエルンバの隙を付き、ルミナスに礼を言ったブラック、ホワイトが、両手を握り合い、ブラックは右手を、ホワイトは左手を高々と上に上げると、
「ブラック、サンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」
ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す
「「マックス~~!!」」
二人から放たれた強烈な一撃に、側に居たモエルンバが大きくジャンプして躱すも、ウザイナーは、マーブルスクリュー・マックスを受け倒される。倒されたウザイナーからオレンジ色をした無数のおたまじゃくしのような物体が現われ、何処かに消え去った。
「な、何なの、あれ?」
思わずポツリと上空を見て呟くブラック、呆然と見つめるホワイトとルミナスだった。
(あれは、もしかしたら精霊ミポ?)
確信は持てなかったが、ミップルは、あれが精霊ではないかと思うのだった。
「な、中々やるじゃないか・・・プリキュアと言ったな、これはほんの挨拶代わりだ!次こそは太陽の泉の在処を、チャッチャと聞き出してやるからな・・・アディオス!!」
驚愕する一同の隙を付き、モエルンバは一同に捨て台詞を吐くと撤退する。
「だから、太陽の泉何て知らないって言うの・・・あいつ・・・何だったんだろう?」
「さあ?・・・新たなる敵・・・そう考えるのが妥当見たいね!あら?・・・見て、ブラック!」
ホワイトに促されたブラックが上空を見上げると、オレンジ色のビー玉程の球体が、ゆっくり降ってくる。思わず手に取ったブラックは、色々弄くり回すも、何の事か分からず首を捻りながらホワイトに渡すと、ホワイトも小首を傾げた。
「でも、綺麗ね・・・」
ホワイトから渡されたルミナスも覗いてみると、何か不思議な力を感じるのだった。
「この球体から、不思議な力を感じます・・・何かまでは分かりませんが、暫く手元に置いておいた方が良さそうですね」
ルミナスから再び渡されたブラックが、興味深げに再び見るも、
「何か飴玉にも似てるよね・・・食べれるのかな?」
「や、止めて置いた方が良いわよ」
「わ、私もそう思います」
呆れながら忠告するホワイト、引き攣った笑みを浮かべながらホワイトに同意するルミナスの二人だったが、
「エッ!?そうかな・・・美味しそうだけど」
名残惜しそうなブラックの言葉に、目を点にしながら無言になる一同だった・・・
2、誕生!新たなるプリキュア!!
・・・ダークフォール・・・
鍾乳洞の中のような薄暗い場所の中、池とも湖とも取れるような水面の正面の岩場には、緑色をした炎が揺らめいていた・・・
何処か不気味さを漂わせるその場所で、二つの声が聞こえてくる・・・
「それは興味深いお話ですなぁ、モエルンバ殿・・・プリキュアですか?泉の郷に伝わりし、伝説の戦士と聞きます。古来より、泉の郷を手に入れようとする者現われる時、必ずや現われると言われる二人組の戦士!精霊の力を借り、立ち向かうそのパワーは、侮りが足しと言います。その者共がこの時代に甦っていたとは・・・」
「知っていたのか、ゴーヤーン!だったら、始めから俺に知らせればこんな不覚は取らず、チャチャチャと倒したものを・・・」
踊りながら会話をするモエルンバと、丁寧な物腰のゴーヤーンと呼ばれた背の低い、緑色の身体をした人物が立って居た。
「おやぁ、言ってませんでしたかぁ?それはスイマセンでしたねぇ・・・モエルンバ殿、是非その報告をアクダイカーン様に仰せられては如何ですか?」
何処かモエルンバを小馬鹿にしたように、ゴーヤーンは、ダークフォールの支配者、アクダイカーンに今回の事を報告するようにモエルンバに進言すると、
「お前に言われる迄も無い!アクダイカーン様!!」
ゴーヤーンの言葉に少しムッとしながらも、モエルンバがアクダイカーンに呼びかけると、目の前の巨大な物体から声が響き渡る。
「モエルンバよ、その報告確かだろうな!?伝説の戦士だと・・・我の邪魔をする者は、排除しろ!滅びの力の前に、敵など居らん!!そして、太陽の泉を探し出すのだ!!」
「ハハァ!アクダイカーン様!!」
モエルンバが畏まって一礼すると、ゴーヤーンはニヤニヤ含み笑いを浮かべ、
「あっ、そうそう、あなた様が手こずって居られるようなので、木の泉を管理する、カレハーン殿にも救援をお願いしておきましたよ!」
「カレッチに!?余計な真似を・・・」
「もう、緑の郷に出向いてらっしゃる頃だと思いますがねぇ」
ゴーヤーンが不敵な笑みでモエルンバを見つめた・・・
・・・海原市夕凪・・・
山には深い森が生い茂り、海に浮かぶ瓢箪(ひょうたん)のような岩、街中を走る路面電車が特徴の自然に囲まれた街・・・
一人の少女が、自転車を思いっきり漕ぎながら、街中を疾走していく。目的の場所は、トネリコの森の奥に生い茂る、大空の樹と呼ばれる古い大樹である。
大空の樹に付いた少女は、袋から棒アイスを取りだし、美味しそうに食べ始めた。
「う~ん、やっぱり目標を遂げた後のアイスは、最高なりィ~!!」
少女の名前は日向咲!
夕凪中学校2年生で、ソフトボール部のエースとして鳴らすも、夕凪中学ソフト部は県下ではイマイチの知名度であったが、今年は去年の雪辱を果たす為、猛練習に明け暮れていた。この日咲は絶好調で、10人連続三振を達成し、仲間からアイスを奢って貰い、ご機嫌だった。
「アイスも美味しいけど・・・此処に来るとやっぱり落ち着くなぁ」
咲は目を瞑り、風の匂い、草の匂いを味わう、不意に草を踏む誰かの足音が聞こえ、思わず上体を起こした咲を見て、
「ゴ、ゴメンなさい!人が居るとは思わなくて・・・」
「ううん、気にしないで!見掛けない娘だけど・・・この街の人なの?」
「ええ、今日この街に引っ越してきたの!もっとも、5年前迄はこの街に住んで居たから、戻って来たって言う方が正解かしら?」
少女がクスリと微笑む、少女の名は美翔舞!
舞の言うように、元々この街に住んでいた舞だったが、両親の都合で再びこの街に戻って来たのだった。
互いに見つめ合った咲と舞は、不思議な感覚を共に持つに至った。
(何だろう・・・この娘と会うの、初めてじゃないような?)
(不思議だわ・・・初めて会った筈なのに、初めてじゃない気がするわ?)
互いに同じような感想を持った二人が、言葉を発しようとしたその時、鳥がざわめきながら飛び立ち、木々が震えるように揺れた。上空から何かが振ってきたのを見た咲と舞が目で追うと、水色のような物体は地面に激突した。
「着地に、失敗したラピ」
続いて振ってきた白っぽい球体が激突すると、
「チョッピも・・・失敗したチョピ」
水色の生物の上に落ちた白っぽい生物が、申し訳なさそうに呟く、二つの物体がピョンと地上に飛び上がり、咲と舞の目の前に立つ姿に、咲と舞は目を点にしながら呆然とする。
「ね、ねえ、あれ見えてるの・・・私だけじゃないよね?」
「だ、大丈夫よ、私にも見えているから」
「「一体、あれは、何なのぉぉ!?」」
二人は顔を見合わせると、ハモッたように思わず絶叫した。二人を見た二つの物体は、嬉しそうに顔を見合わせると、
「君達は・・・間違いないラピ!これもフィーリア王女のお導きラピ・・・泉の郷の花の精フラッピラピ!」
身体は水色で、耳は細長い渦巻状になっている生物が自己紹介すると、身体は白っぽい色で、耳は横にたれてカールしている生物が、
「チョッピは、鳥の精チョピ」
二人はフラッピとチョッピと名乗り、咲と舞に微笑み掛ける。
「あっ、ご丁寧に、私は日向咲!」
「私は美翔舞って言うの!」
「「って言うか、あなた達、何者なのぉぉ?」」
再び驚きハモる咲と舞に、フラッピは今自己紹介したと言うも、二人は目を点にしながら、訳が分からないと首を振る。
「僕達は、前に会った事があるラピ」
「二人共、思い出して欲しいチョピ」
咲と舞に会った事があると語ると、再び光の球体になって浮遊し始める。その姿を見ながら、精霊達の言葉を繰り返した二人は、共に5年前の事を思い出した。夏祭りのあの日、不思議な光の球体に誘われた咲と舞は、光の球体の後を追いかけ、この大空の樹に来た事があった。その時咲と舞は、互いに一人の少女と出会っていた・・・
「じゃあ、あの時の球体は、あなた達だったの?って事は、あの時大空の樹で会ったのは」
「あなただったの?」
咲と舞は互いに指差し、驚愕の表情を浮かべると、やっと思い出してくれたと、二人の精霊は互いを見て微笑むのだった。
だが・・・
「これは・・・あいつらが来たラピ」
上空を見上げた精霊達に釣られ、上を見上げた二人は、上空に佇む怪しげな人物を見付け驚愕する。
「な、何あれ?人が、人が空に浮かんでる!?」
「あれは人じゃないラピ!あいつらこそ、フラッピ達の故郷、泉の郷を滅茶滅茶にした、ダークフォールの奴らラピ」
「二人共、お願いチョピ!プリキュアダイアを使って、プリキュアに変身して欲しいチョピ」
精霊達の尋常じゃない様子に戸惑う咲と舞、上空からゆっくり下に降りてくる異様な姿をした男が腕組みしたまま、
「ようやく追いついたぞ!我が名はカレハーン!偉大なるアクダイカーン様が忠実なる下僕(しもべ)だ!さあ、太陽の泉の場所を答えて貰おうか!」
「誰がお前達何かに」
「絶対教えないチョピ」
必死の形相で言い返すフラッピとチョッピ、咲と舞は、どうしたら良いのか分からず戸惑うも、咲は確認するように、
「ね、ねぇ?あの人が、あなた達の故郷を・・・」
「そうラピ!あいつらが泉の郷を滅茶苦茶にしたラピ」
「泉を、泉を元に戻してチョピ」
「二人共逃げるラピ」
咲と舞を庇うようにカレハーンに立ち向かうフラッピとチョッピだったが、一方的に痛めつけられる。その凄惨な場面に、顔を背ける咲と舞、二人の心に沸々と怒りが沸き上がり、拳を握った。
「「もう、止めて!!」」
二人の言葉に、咲と舞を見たカレハーンの口元に笑みが溢れる。
「お前達が教えてくれぬようなら、あいつらに聞いてもいいんだぞ?ウザイナー!!」
カレハーンが両腕を上げ、ウザイナーを召喚すると、木の姿をしたウザイナーが現われた。その姿に思わず後退る咲と舞だったが、痛々しいフラッピとチョッピの姿を見るや、勇気を振り絞り、
「その子達に手出ししないで!」
「今度は、私達がその子達を」
「「絶対に守ってみせる!!」」
咲と舞の言葉に、涙を流しながら感動したフラッピとチョッピが、球体に変化し、二人の下にフラフラ飛び続ける。
「あぁ、貴様ら、逃げやがって・・・ウザイナー、そいつらを捕まえろ!!」
カレハーンの命令に、一同に近づいて来るウザイナー、フラッピとチョッピは二人の側に来ると、携帯電話のような容姿になり、咲の手にフラッピが、舞の手にチョッピが握られる。驚く二人にフラッピは、
「今の僕達の姿は、ミックス・コミューンと言って、プリキュアに変身する為のアイテムラピ」
「ミックス・コミューンに、二つのプリキュアダイアを差し込んで、ミックススピンしてプリキュアに変身するチョピ」
大体の説明を聞いた咲と舞は、半信半疑ながら、言われた通りにミックス・コミューンに二つのプリキュアダイアをセットし、ミックススピンすると、二人は手を握り合い、
「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」
「花ひらけ大地に!!」
「はばたけ空に!!」
咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、気合いを込めた二人が着地すると、
「輝く金の花!キュアブルーム!!」
「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」
変身を終えた二人が、カレハーン、ウザイナーに対して啖呵を切った。
「って、私達、何言ってるの!?」
「何でこんな姿になってるの?」
互いを見つめ、身に付けた姿を見て、驚愕するブルームとイーグレット、
「その姿こそが、泉の郷に伝わる伝説の戦士プリキュアラピ」
「プリキュアの力で、あいつらから泉を取り返して欲しいチョピ」
まだ理解出来ない二人ではあったが、目の前に居る怪しげな男と、怪物をこのままにしておくことも出来ず、二人は敵の攻撃に備え身構える。変身を終えた二人を見て驚くカレハーンだったが、
「成る程、これがゴーヤーンが言っていたプリキュアと言う奴らか・・・モエルンバを苦戦させたという実力・・・見せて貰おうか!ウザイナー!!」
ウザイナーはプリキュア目掛け突進すると、触手を繰り出し二人に攻撃を加えると、思わずジャンプして躱した二人は、大空高くジャンプし、大空の樹どころか、海原市夕凪さえも上空から見下ろせる程ジャンプしてしまう。
「す、凄いよ?私達、こんなに高くジャンプしてる・・・」
「ええ、でも、こんなに高く飛んで、私達・・・大丈夫なのぉぉ!?」
頂点に達したブルームとイーグレットが、悲鳴を上げながら落下してくる。
「な、何てジャンプ力だ?確かに侮れん力のようだが、それにしてはあいつら、まるで素人のようで、モエルンバの言っていたように、戦い慣れているようにはとても思えんが・・・」
カレハーンは、思わず不思議そうに小首を傾げる。その目の前に勢いよく落下したプリキュア達が、コホコホ咳き込みながら姿を現わすも、隙が出来た二人に、ウザイナーの触手が攻撃して来るも、二人は咄嗟にバリアーを出し、攻撃を防いだ。
「す、凄い!私達、バリアーまで出せるんだ・・・」
「でも、防御しているだけじゃ・・・」
イーグレットの不安に答えるように、
「両手を前に突き出すラピ」
「二人の心を合わせるチョピ」
「プリキュア!ツイン・ストリームをスプラッシュするラピ」
フラッピとチョッピの言葉に戸惑いながらも、ブルームとイーグレットは互いを見つめると、頷きあい目を瞑った。
(何だろう・・・分かる、私分かるよ!)
(ブルームの心が、私にも伝わってくる!)
目を開けた二人は、
「大地の精霊よ!」
「大空の精霊よ!」
「今、プリキュアと共に」
「奇跡の力を、解き放て」
「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」
腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦がウザイナーを飲み込む。ウザイナーは砕け、緑色の無数の精霊が、泳ぎ始めて戻っていく。
「捕らわれていた木の精霊達が、元に戻ったラピ」
フラッピとチョッピは、嬉しそうに精霊達を見て微笑んだ。
「これがプリキュアの力か・・・だが、プリキュア恐れるに足りず!」
不適な笑みを浮かべたカレハーンが撤退すると、上空からなぎさ達が手に入れたような、ビー玉のような球体が落ちてきて、ブルームがキャッチする。
「これ・・・何だろう?」
「さあ?」
覗き込んだイーグレットも訳が分からず小首を傾げるも、妖精姿に戻ったフラッピとチョッピは、嬉しそうに球体を見つめながら、
「これは、奇跡の雫ラピ」
「泉の郷を元に戻す為に、必ず必要チョピ」
「これを7つ集めれば、奪われた泉の一つを取り返せるラピ」
大喜びで踊り合うフラッピとチョッピを見て、自分の事のように喜ぶ咲と舞であった。
3、深まる絆
・・・ダークフォール・・・
戻って来たカレハーンに対し、ゴーヤーンは成果がどうだったか聞くと、カレハーンの顔に汗が滲みだす。それを見たモエルンバはニヤリとするも、
「フン、今回は様子を見た迄だ!モエルンバ、貴様がゴーヤーンに言っていた通りとはとても思えんがなぁ・・・プリキュアと言ったか?確かに侮れん力を持っては居たが、あいつらの戦い方・・・あれは、まるで素人だ!!」
カレハーンの言葉に、モエルンバは右手の人差し指を左右に振りながら、
「チッチッチ!アミーゴ、それはお前の見方が悪いのさ!あいつらの戦い方を見てピンと来た!あいつらを侮ったら、痛い目を見るぜ!!」
モエルンバの言葉に、カレハーンは「何だとぉぉ」と、顔を近づけ食って掛かると、モエルンバは、
「カレッチ、そう怖い顔をするなよ!」
「誰がカレッチだ!!大体、俺は前から貴様が気に入らなかった!!」
「そう言うなよ・・・アミーゴ!仲良くしようぜ!!」
カレハーンに抱きつくモエルンバ、カレハーンの身体が、モエルンバの炎の所為で焦げ始めると、慌ててモエルンバを突き飛ばし、
「抱きつくな!身体が燃えるだろうが!!」
「お止めなさい!!全く、あなた方は仲が良いのか悪いのか・・・」
再びモエルンバに文句を言うカレハーン、ゴーヤーンは、呆れ返りながら二人を宥めるも、
(しかし、プリキュアの評価が、二人の間でこうも違うのは気になりますね・・・)
ゴーヤーンは、顎を撫でながら何かを思案していた。
・・・翌日・・・
「お姉ちゃん・・・そろそろ起きないと遅刻しちゃうよ!今日から学校始まるんでしょう!!」
まだ小学校低学年ぐらいの、妹みのりに起こされた咲は、起き上がると昨日の事を思い出す。
(あれは・・・夢だったのかなぁ?)
ボーとする咲に、下から母沙織の、早く支度して朝食食べちゃいなさいと呼ぶ声が、咲の耳に聞こえてくる。
「咲、フラッピもお腹減ったラピ!お世話して欲しいラピ」
「ウワァァ!じゃあ、あれは・・・本当の事だったんだ・・・」
あれは夢だったんじゃと思った咲の考えは、一瞬に崩れ去った。咲は、フラッピに言われるままお世話して、ふりかけご飯を与えると、フラッピは美味しそうにガツガツ食べ始めた。そんな姿を見ても、咲の心に不安が沸き上がる。昨日の事が本当なら、自分はこれから、あんな化け物と戦わなければならないのかと・・・
「アァァ!いけない・・・私、あの娘の住んでる場所とか知らないや!ど、どうしよう!?」
咲は、昨日出会い、共にプリキュアとして戦った舞に付いて、詳しい事を聞くのを忘れていた。
「あの娘・・・この街に引っ越して来たばかりって言ってたよね?何とかまた出会えますように・・・」
咲は、再び舞と出会えるようにとお祈りをするのだった。
「じゃあ、行ってきます!」
転校初日で、舞が緊張していると思っていた舞の家族、父、美翔弘一郎、母、美翔可奈子、兄、美翔和也の三人は、顔を見合わせ微笑んだ。
「舞の奴、楽しそうだな・・・何か良い事でもあったのかな?」
妹、舞の様子に安堵すると、和也も高校へと登校していった。
「ドヒャァァ!何とか間に合ってぇぇ!!」
ボーとしながら朝食を食べた咲は、支度にすっかり手間取り、慌てて家を飛び出たものの、丘の上にある、自分達が通う夕凪中学校に向かい、変顔になりながらも、必死に走り続けた。校庭に入るとチャイムが鳴り始め、益々慌てた咲は、猛ダッシュで教室に直走り、咲が教室に入ると、クラスメート達が笑いながら、セーフとジェスチャー混じりに咲に声を掛けると、咲はどうも、とペコペコ頭を下げながら自分の席に着く。
「日向!全くお前は、新学期早々・・・今度からもっと余裕をもって家を出ろ!じゃあみんな、ホームルームを始める!その前に・・・今日からみんなの仲間になる、転校生を紹介する」
咲のクラスの担任で、ソフト部の顧問でもある篠原先生は、見掛けは体育教師のようだが、担当科目は英語だった。咲は、厳しさもあるが、篠原先生が大好きだった。
篠原先生に呼ばれ、中に入ってきた生徒を見て、思わず咲は立ち上がると、
「美翔さん!?ヤッホ~!!昨日はどうも!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべながら、咲が舞に両手を振る。篠原先生も、クラスメート達も呆気に取られる中、舞も咲に気付き、
「あなたは・・・この学校の人だったのね?知っている人が居て良かったわ」
舞も嬉しそうに咲に微笑むと、呆気に取られた篠原先生が二人の顔を交互に見比べ、
「何だ!?お前達知り合いだったのか?でも、日向!授業中だぞ・・・それと、美翔!再会の話は後にして、黒板に名前を書いて、みんなに自己紹介して!!」
「は、はい、すいません!」
慌てて黒板に名前を書き始める舞に、クラスメートからクスリと笑い声が漏れると、書き終わった舞は正面を向くも、恥ずかしそうに俯く、
「美翔さん、ファイト!」
咲が大声で舞を励ます声に、再びクラスから笑い声が起こる。
(もう、日向さんったら・・・でも、何だか勇気が湧いてきた気がする・・・)
咲の声援を受け、勇気を貰ったかのように、舞がクラスメートに自己紹介を始める。聞いていて好感を持てる自己紹介に、クラスメート達は、心から舞を受け入れた・・・
放課後、咲は舞を誘うと、再び大空の樹の前に向かった。ここなら滅多に人が来ないので、フラッピ、チョッピ、そしてプリキュアに付いての話題を話せると思ったからだった。
「では、改めてフラッピとチョッピに聞くけど・・・訳分らないよ!襲ってきた奴らは何者なの?」
咲の質問に、フラッピは、またかといった表情になり、溜息を付くと、
「昨日も教えたラピ!あいつは、ダークフォールの支配者、アクダイカーンの下僕、カレハーンラピ!」
「7つの泉を手に入れ、世界樹を枯れさせ、泉の郷を滅ぼして、永遠の滅びの世界を手に入れようとするのが、ダークフォールの目的チョピ」
「それだけじゃ無いラピ!既に6つの泉を手に入れて居るダークフォールの奴らが、もし太陽の泉を手に入れる事があれば、この緑の郷も滅びるラピ」
フラッピ、チョッピの話を聞いていた咲と舞だったが、
「ねえ、ひょっとして、緑の郷と言うのは・・・私達が住むこの世界の事何じゃ?」
「エエッ!?」
「舞は賢いラピ・・・その通りラピ!だから、これは二人に取っても、大変な事何だラピ」
「これを救うには、プリキュアの力が絶対に必要チョピ!一緒に泉を取り返して欲しいチョピ」
不安そうにしながら、二人を見るフラッピとチョッピを、優しく抱き上げた咲と舞は、
「私達に何処まで出来るか分からないけど、出来る限りの事はするわ!」
「任せて!!でも私達、二人揃わなければプリキュアになれないんだよね?」
「そうラピ!プリキュアは、二人揃わないと駄目ラピ」
顔を見合わせた咲と舞は、互いになるべく単独行動は控えなければ駄目かと思うのだった。
「そうだ!ねえ、美翔さん・・・これから家に来ない?家、パン屋何だ!ケーキもあるし、良かったら親睦を深める為にも、ささやかな持て成しでもしたいなぁと思って・・・」
「ありがとう!でも、今日はちょっと・・・今度のお休みの日でも構わないかしら?」
舞の言葉に、咲は嬉しそうにニッコリ微笑み、次の休日に親睦会を開く事を決めるのだった。
そして、休日・・・
咲は、舞に内緒で、クラスの何人かを親睦会に招待していた。同じソフト部でもある仲の良い、伊東仁美、太田優子、咲の幼馴染み、星野健太、クラス委員をしている宮迫学と安藤加代、皆、咲の申し出を快く快諾してくれて、舞に内緒で、朝早くからケーキ作りや、料理作りを手伝っていた。
「あらぁ、みんな上手よ!これなら美翔さんの所の舞ちゃんも、きっと喜んでくれるわ!!」
みんなの手際良さを、微笑みながら褒める咲の母沙織、沙織の言葉を聞いて、咲は意外そうな顔で、
「お母さん、美翔さんを知っているの?」
「知ってるわよ!舞ちゃんの所はお得意様だったもの、小さい頃は、お母さんと一緒に舞ちゃんもよく買いに来てくれたものよ」
「そ、そうだったの?」
意外な事で、舞と共通点があった事に驚く咲だったが、ちょうどそこに、舞が店の中に入ってきた。みんなが居る事を内緒にしていた咲は、大慌てで舞に話し掛け、誤魔化そうとする。
「み、美翔さん、早かったね?ちょうど今お母さんに、美翔さんが家の店のお得意様だって聞いた所だったの・・・ねぇ、お母さん!」
咲に突然話を振られた沙織は少し驚くも、舞を見て懐かしそうに目を細める。
「舞ちゃん・・・大きくなったわねぇ!最後に見たのは、9歳の頃かしら!?お父様やお母様はお元気?また何時でもお店の方にも来てね!!」
「はい!!」
「じゃ、じゃあ、美翔さん、テラス席で待ってて!直ぐに準備して行くから!!」
急かすように舞をテラス席に連れて行った咲は、大急ぎで中に戻り、みんなとケーキ作りの仕上げをしていた。一人取り残された舞は、テラス席の近くで、気持ち良さそうに寝ている咲の飼い猫コロネを見付けると、目を細めながらスケッチブックを取り出して、コロネの絵を描き始めた。真剣に集中しだした舞が、熱心にコロネを描き続ける。コロネは、そんな舞に気付いているのか居ないのか、気持ち良さそうに眠り続けた。
「美翔さん、お待たせ!!・・・美翔さん!?」
ケーキを持った咲達一同がテラス席にやってくるも、舞は、一同に気付かぬように、熱心に絵を描き続けていた。覗き込んだ一同は、その絵の上手さに驚きの声を上げ、ようやく気付いた舞がキャッと驚き、一同に気付くと照れ笑いを浮かべ、
「ゴメンなさい!私、絵を描いていると、つい夢中になってしまって、周りが見えなくなってしまうの・・・でも、驚いたわ!日向さんだけかと思ったら、クラスのみんなも・・・」
一同が舞の為に、手分けしてケーキなどを作ってくれたと聞き、舞は嬉しさのあまり目に涙が浮かんだ。
「みんな・・・ありがとう!」
「「「「どう致しまして!!」」」」
「美翔、俺からは特別に、この日の為に練習した、とっておきのギャグを・・・」
「はいはい、健太のギャグ何か聞いたら、美翔さん風邪ひいちゃうでしょう!」
賑やかな雰囲気に、舞も笑顔を浮かべながら、この一時を楽しんでいた。
舞との親睦会は、こうして始まった・・・
親睦会も終わり、クラスメート達は、お土産を貰い先に帰った。舞は、後片付けを手伝いながら、
「日向さん、今日はみんな迄呼んでくれてありがとう!とっても楽しかったわ!!」
「喜んでくれて、私も嬉しいよ!でも、日向さんって堅苦しいからさ、私の事は・・・これから咲って呼んで!クラスのみんなもそう呼んでるし、私も舞って呼んでも良いかな?」
「ええ」
「よろしくね、舞!」
「こちらこそ、ひゅ・・・咲!」
互いを見つめ合い、微笑み合う二人だったが、おとなしく寝ていたコロネが急に飛び起きると、低い声で唸り声を上げる。驚いた咲と舞はコロネを見ると、普段おとなしいコロネの尋常じゃない様子に、
「コ、コロネ、どうかしたの?」
「咲、舞、気をつけるラピ」
「嫌な気配が漂ってるチョピ」
フラッピ、チョッピが騒ぎ始め、咲と舞はコロネが見つめる方向を、緊張した面持ちで見つめると、春なのに枯れ葉が辺りに舞ってくる。
「俺は、カレハーン!カレッチと呼んでくれ!!」
二人の会話を盗み聞きしていたのか、カレハーンが二人を揶揄するように、自分もあだ名で呼んでくれと言うも、
「あんたは、カレーパン!!」
「そう、中辛、辛口、色々取り揃えて・・・って何言わせるか?俺は、カレハーンだ!!今日こそ、太陽の泉の在処を教えて貰おうか?」
「イ~だ!誰があんた何かに教えるもんですか!」
「そうよ、あなた達こそ、チョッピやフラッピに泉を返しなさい!!」
咲と舞がカレハーンに抗議するも、カレハーンは薄ら笑いを浮かべ、
「痛い目を見なきゃ分からんらしいな・・・ウザイナー!!」
カレハーンが両手を高々と上げると、ウザイナーを召喚する。ウザイナーはテラス席のパラソルに取り憑くと、傘のような怪物へと変化する。
「咲、舞、変身するラピ」
「もう、家のお店のパラソルを・・・舞!」
「うん、咲!」
咲と舞がアイコンタクトして頷くと、ミックス・コミューンに二つのプリキュアダイアをセットし、ミックススピンすると、二人は手を握り合い、
「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」
「花ひらけ大地に!!」
「はばたけ空に!!」
咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、
「輝く金の花!キュアブルーム!!」
「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」
変身を終えた二人が、カレハーン、ウザイナーに対して啖呵を切った。
「昨日のようにはいかんぞ!ウザイナー、プリキュアを吹き飛ばしてしまえ!!」
カレハーンの指示を受けたウザイナーが、言われるまま身体を回転させると、突風が二人を巻き込み、海岸まで吹き飛ばした。ブルームは顔面から、イーグレットは宙返りして着地するも、直ぐにカレハーンとウザイナーが追ってくる。体勢を整えた二人が、ウザイナーに攻撃を仕掛けるも、まだ何処かぎこちなかった。
「やはり、まだまだ戦いに素人らしさが出ているようだな・・・モエルンバの奴、ビビリやがって・・・」
劣勢になった二人が、精霊の力を借り、バリアーを張って攻撃を耐え凌ぐ、距離を取った二人は、反転してそのままウザイナーにパンチ、キックの連続攻撃で押し、転倒させると、二人はチャンスとばかりに、
「大地の精霊よ!」
「大空の精霊よ!」
「今、プリキュアと共に」
「奇跡の力を、解き放て」
「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」
腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦がウザイナーを飲み込む。ウザイナーは砕け、緑色の無数の精霊が泳ぎ始めて戻っていく。
「チッ!次はこうは行かんぞ!!」
捨て台詞を残し、カレハーンは撤退した。再び咲と舞は、奇跡の滴を手に入れるのだった・・・
ダークフォールに戻ったカレハーンが、しくじったのを知ったゴーヤーンは、カレハーンに嫌みを散々呟く、それを聞いていたモエルンバは、
(カレッチには悪いが・・・今なら油断しているプリキュア共を・・・)
含み笑いを浮かべたモエルンバは、踊りながら何処かに姿を消した。
・・・TAKO CAFE・・・
「ほのか、昨日のあいつ、何だったんだろうね?」
「新たなる敵なのは、間違いないと思うけど、敵の目的がイマイチ理解出来ないわね!?」
昨日の敵に付いて語り合うなぎさとほのかだったが、メップル、ミップルが騒ぎ出し、何かが出たと二人に告げる。辺りを見回した二人は、昨日の敵、躍りながら近づくモエルンバに気付き、溜息を付いた。
「またあいつが来た・・・全く、飽きもせずよく踊ってるよね?」
「見てるだけで、疲れてくるわねぇ・・・・」
うんざりしたような表情を見せるなぎさとほのか、モエルンバはそんな二人の表情に気付かず、
「セニョリータ!油断していただろうが、このチャンス、利用させて貰うチャチャ!ウザイナー!!」
モエルンバがウザイナーを召喚すると、空き缶に取り憑き、缶のウザイナーが姿を現わす。
「別に私達、油断何かしてないけど?」
なぎさとほのかは首を傾げながらも、ハートフルコミューンに手をかざし、互いの手を取り合って同時に叫ぶ。
「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」
二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・
「光の使者・キュアブラック!」
「光の使者・キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「闇の力の僕達よ!」
「とっととお家に帰りなさい!!!」
ブラック、ホワイトに変身した二人が、ウザイナーを連打でTAKO CAFEから遠ざけると、モエルンバの額から汗がタラリと流れる。
(あれ?此奴ら、カレッチと戦って疲れてる筈なのに・・・ピンピンしているような?)
昨日同様ウザイナーを圧倒するブラックとホワイト、転倒させたウザイナーを見ると、
「ブラック、サンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」
ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す
「「マックス~~!!」」
二人から発せられた、マーブルスクリュー・マックスを受け、ウザイナーは倒され、精霊達が解放される。
「な、何だとぉぉ!?カレッチと戦った筈なのにぃぃ!アンビリィィバボォォ!!」
信じられないといった表情で、モエルンバがあっさり撤退すると、変身を解除したなぎさ達も、奇跡の滴を手に入れる。そこにひかりが息せき切って駆け寄って来ると、
「なぎささん、ほのかさん、遅れてすいません!新たなる敵は?」
「ひかり!大丈夫、追い返したから!!」
「でも、敵の目的を知るチャンスを、また失っちゃったね・・・」
三人は、手に入れた奇跡の滴を見つめながら、太陽の泉を捜す敵の目的が分からず、複雑な表情を浮かべていた・・・
第1話:伝説の戦士再び!
完