ふたりはプリキュアMax☆Star   作:鳳凰009

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第三話:謎の転校生、満と薫

            第三話:謎の転校生、満と薫

 

1、フィーリア王女

 

 カレハーン、モエルンバを倒し、木の泉、火の泉の奇跡の雫を、全て手に入れたなぎさ達と咲達は、キャラフェに導かれ、荒れ果てた地に送られた。

 

 だが、枯れ果てた木々、生命を感じさせない不気味な雰囲気に、一同は眉根を曇らせた・・・

 

 此処が、フラッピやチョッピ達が暮らしていた世界なのか?・・・

 

 この現状に、涙を流すフラッピとチョッピを見た一同は、ダークフォールから、必ず泉を取り戻す事を、心の中で誓うのだった・・・

 

 

「ここが木の泉ラピ」

 

「咲、舞、キャラフェに入っている奇跡の雫を、この場所で使うチョピ」

 

 フラッピとチョッピに促(うなが)された咲と舞が、奇跡の雫を言われるまま大地に注ぐと、奇跡の雫が地面に溶け込み、少しすると、ゴォォと地下から物凄い音が響き渡り、地下から溢れ出す泉の水が、噴水のように沸き上がり、一同がパニック状態になった。

 

「みんな、急いで此処から離れるラピ」

 

「木の泉が甦るチョピ」

 

「そ、そう言う事は先に言ってよねぇ!」

 

 咲はフラッピに文句を言うも、泉の勢いを見て、一同は大慌てで安全地帯まで避難した。

 

 何とか逃れた一同は、ハァハァ呼吸し、息を整えた。木の泉が甦ると、枯れ果てた地に草木が蘇り、木の精霊が集まってきた。一同は、その素晴らしい光景に見とれていると、泉から舞い上がったかのように、光の柱が現われると、泉の上にうっすらと人影が見える。それを見たフラッピ、チョッピの目に涙が溜まった。

 

「あれは・・・フィーリア王女ラピ!」

 

「フィーリア王女!チョッピチョピ!!」

 

 二人の声が聞こえないのか、フィーリア王女は微笑みを浮かべ、その姿は徐々に消えていった。フラッピとチョッピの悲しそうな顔を見た一同は、顔を見合わせると頷き合い、なぎさとほのかが二人に近付くと、なぎさは二人を励ますように声を掛けた。

 

「まだ火の泉が残ってるよ!二人共、元気出して!!」

 

 なぎさが、ほのかが、ひかりが、持っている火の泉の奇跡の雫を、フラッピとチョッピに見せて元気づけると、

 

「そうだったラピ!なぎさ、ほのか、ひかり、キャラフェに奇跡の雫を入れるラピ」

 

 フラッピに促され、なぎさ達がキャラフェに奇跡の雫を入れると、再び一同は亀裂に吸い込まれ、悲鳴を上げた・・・

 

 

「着いたラピ!此処が火の泉ラピ!」

 

 フラッピの言葉を受け、辺りを見回した一同は、先程の木の泉同様、枯れ果てた火の泉を見て心を痛めた。

 

「早く奇跡の雫を使ってチョピ」

 

 チョッピの言葉に頷き、今度はなぎさ達が、雫を泉があった場所に零すと、溶け込んだ雫が広がり、再び地下からゴォォと轟音が聞こえ、その場を離れる一同、木の泉と同じように、火の泉も元に戻り、フラッピとチョッピは嬉しそうに舞い踊った。

 

 泉の上にフィーリア王女が再び姿を見せると、彼女の言葉が聞こえてきた・・・

 

「フラッピ、チョッピ、ありがとう!そして、伝説の戦士達よ!ありがとう・・・あなた達のお陰で、奪われていた木の泉、火の泉を、取り戻す事が出来ました!!でも、用心して下さい。敵は新たなる力を差し向ける事でしょう・・・あなた達なら必ず・・・」

 

 力が足りなかったのか、途中でフィーリア王女の姿が消えた。

 

「フィーリア王女・・・もっと、もっとお声を聞きたかったチョピ」

 

 しょげ返るフラッピとチョッピに近づいたメップル、ミップルが二人を励ます。二人も嘗て、ドツクゾーンによって、平和に暮らしていた光の園の半分を、闇に浸食された事を思い出すも、なぎさ達なら、きっと泉を全て取り返してくれると笑顔を向けた・・・

 

「メップル達の言う通りだよ!私達もこうして咲や舞、フラッピ、チョッピと知り合えたのも何かの縁だし、力を貸すよ!!」

 

「なぎさの言う通りよ、だから泣かないで、フラッピ、チョッピ」

 

 なぎさとほのかも、フラッピとチョッピに声を掛け、協力すると約束をする。ひかりは、二人の頭を優しく撫でながら頷いた。

 

 再び亀裂に吸い込まれた一同は、大空の樹を介し、元の場所に戻って来たのだが、まるで大空の樹から放り出されるように、元の世界に戻って来た。

 

「イタタタ・・・もうちょっと優しく戻して欲しいよねぇ!!」

 

「本当だよね・・・取り敢えずみんな無事に戻れて良かった!」

 

 咲となぎさは、顔を見合わせ微笑んだものの、なぎさは食べ損ねていたチョココロネの事を思い出し、

 

「アァァ!PANPAKAパンに戻って、チョココロネ食べなきゃ!」

 

「エッ!?なぎささん達PANPAKAパンに居たの?家の店ですよ!!」

 

「そうなの?咲の家のパン美味しいよね!私達が此処に来たのも、チョココロネが目当てでさぁ!」

 

「それはなぎさでしょう!ねぇ、ひかりさん」

 

「アハハ、そうですね!」

 

 すっかり打ち解けた一同は、共にPANPAKAパンへと戻って行った・・・

 

 

 

 翌日・・・

 

 ダークフォールでは、アクダイカーンが、木の泉、火の泉を奪われた事に怒り狂っていた。滅びの力が敗れた事が信じられないように、ゴーヤーンを詰問するアクダイカーンであった。

 

「ゴーヤーン!一体どうなっておるのだぁぁ!!」

 

 ゴーヤーンは、アクダイカーンの怒りに身を竦めながら、

 

「お~怖い、怖い・・・全くカレハーン殿も、モエルンバ殿も、だらしがないですなぁ・・・ですが、ご安心下さい!既に土の泉を守護する、ドロドロン殿がもうお見えになられている筈・・・ドロドロン殿!」

 

 辺りを見回すも、それらしき人物が見当たらず、更にドロドロンの名前を呼ぶゴーヤーンに対し、

 

「僕ならさっきから此処に居るよ!」

 

 地中から顔を出した男、ボソボソ喋り、中々言葉が聞き取りにくかったのか、ゴーヤーンは耳に手を当てると、

 

「はい?何ですって!?」

 

「だからぁ・・・僕なら、さっきから此処に居たってば!」

 

「居るなら声を掛けて頂かなければ、私も分かりませんよ?」

 

「さっきから喋り掛けてたのになぁ・・・」

 

 不満そうにしながらも、地中から飛び出した、覆面レスラーのような体格をしたドロドロンが、全身を露わにした。ゴーヤーンは、心の中で不気味な奴だと思いながらも、

 

「早速ですが、泉の精と共に居るプリキュアの方を倒して頂きたい!あわよくば、太陽の泉の在処もお願い致しますよ!」

 

「分かってるよ!僕が行けば、チョチョイさ!」

 

「ご油断致しませぬよう・・・もう一組の三人のプリキュアが、援護に現われるとも限らない・・・二組のプリキュアの凄まじい力によって、カレハーン殿、モエルンバ殿は倒されたのですからな」

 

「僕はカレッチ達とは違うよ」

 

 ゴーヤーンは再び耳に手を当てると、

 

「はい?何か仰いました!?」

 

「言ってませぇぇん!!」

 

 ムッとしたように、ドロドロンは地中の中にその姿を消した・・・

 

 

2、謎の転校生

 

 その日の放課後、ソフト部の練習をする咲の姿を、スケッチブックに描く舞の背後から、一人の少女が覗き込むも、舞は、それに気付かないように、熱心に咲の姿を描き続けていた。

 

「上手いのねぇ・・・確か、美翔さんだったわよね?」

 

 舞は少女の言葉に気付かないのか、絵を描き続ける。少女が舞の耳元で、ワッと声を出すと、キャッと悲鳴を上げた舞が、ようやく少女に気付いた。

 

「脅かしてごめんなさい!私は、美術部の竹内綾乃!あなた、絵が上手いのね・・・もし良かったら、美術部に入らない?」

 

「エッ!?そうねぇ・・・でも私、好きな絵を描くのが楽しくて描いているだけで、テーマを決められて描くのは、あまり好きでは無いの・・・ごめんなさい」

 

「そう・・・無理にとは言わないわ!良ければ考えておいて!何時でも歓迎するから!!」

 

「あ、ありがとう!!」

 

 少女はそう言い残すと、その場を去っていた。舞も絵は好きだが、美術部に入ってまで描こうと考えた事は無かった。

 

(美術部か・・・確かに此処で咲の練習を終わるのを待っているよりは、有意義かも知れないけど・・・)

 

 舞の心に、どうするべきか迷いが生じていた。

 

 練習を終えた咲が、舞の下に来ると、舞はその悩みを咲に相談した。

 

「う~ん、そうだねぇ・・・私は、ソフト部でみんなと一緒に居ると楽しいんだ!キツイ練習で何度もヘコタレそうになったけど、その都度仲間達が励ましてくれた!一人ではそうはいかなかった・・・もちろん、プリキュアの時もそう!舞が居てくれるから、私は戦える!!」

 

 咲の言葉に、ハッとしたように舞は何かに思い当たった。

 

(咲の言う通りだわ!絵を描いているのは楽しい・・・でも、それを見て褒められるのは、もっと嬉しい!それが絵を描く励みになる・・・プリキュアもそう、咲が居てくれるから!!)

 

 舞は咲に笑顔を向けると、

 

「ありがとう、咲!あなたのお陰で、迷いが吹っ切れそうだわ!!」

 

「どう致しまして!よく分からないけど、役に立ったようで良かった・・・絶好調なりィ~」

 

 咲も舞に笑顔を向けるも、何かボソボソ声が聞こえ始め、咲と舞は首を傾げた。

 

「僕は道に迷って、到着するのが遅くなっちゃったけどね」

 

「舞、今何か言った?」

 

「エッ!?言わないけど・・・」

 

 変ねぇと、互いに首を傾げる咲と舞に、フラッピとチョッピが、ダークフォールの気配がすると注意を促した。辺りを見渡す咲と舞だが、一向に姿が見えず、顔を見合わせ、二人はまた首を傾げた。

 

 突然花壇の土の中から現われたドロドロン、それを見た咲と舞は、妙な出で立ちの大男を見て状態を仰け反らせる。ドロドロンは、二人に無視されてると感じたのか怒っていた。

 

「お前達、僕をさっきから無視するなぁぁ!さっきから話し掛けてるのにぃぃ!!」

 

 行き成り現われ、行き成り怒られた咲と舞はポカンとするも、

 

「知らないわよ!あんた誰?」

 

「ムフフ!僕は、ドロドロンで~す!カレッチやモエルンバのようには行きませぇぇん!!」

 

「はい?」

 

「よく聞き取れなかったんだけど・・・」

 

 咲と舞に、何を言ってるのか分からないと言われ、その場でドロドロンは地団駄を踏んで悔しがると、

 

「カッチィィン!もう、怒っちゃったからなぁぁ・・・ウザイナー!!」

 

 花壇に取り憑いたウザイナーが現われ、それを見た咲と舞は見つめ合うと、

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 プリキュアの姿を初めて見るドロドロンは、

 

「あれが、プリキュアかぁ・・・何かムカツクな・・・ウザイナー、泥まみれにしてやって!」

 

 ドロドロンの指示通り、口から泥を連射して吐き出すウザイナーに、二人は躱しながらパンチ、キックを繰り出すも、触手が二人の手と足を捕らえ、振り回し放り投げる。空中でクルクル回転して、体勢を整えた二人が地上に着地する。

 

 二人の一瞬の油断を見逃さず、ドロドロンは蜘蛛の糸のようなネットで、ブルーム、イーグレットを捕らえ勝ち誇った。

 

「フフフン!どんなもんだい!!さあ、太陽の泉の在処、教えなさぁぁい!!」

 

 鼻歌交じりに、太陽の泉の在処を聞くドロドロンに、舌を出すブルーム、更に締め上がるドロドロンに、ブルームとイーグレットは手を握り合い、力を込めると、ネットを弾き切った。

 

「うっそ~~!?」

 

 動揺するドロドロンの隙を付き、今度はブルームのパンチが、イーグレットの蹴りがドロドロンを吹き飛ばす。二人はウザイナーに向き直ると、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦がウザイナーを飲み込む。ウザイナーは砕け、茶色の無数の精霊が泳ぎ始めて戻っていく。

 

「今日は・・・撤退です!!」

 

 地面に潜ると、ドロドロンはその姿を消した。

 

「また新手が出たね!」

 

「ええ、なぎささん達にも、知らせた方が良いかも知れないわね」

 

「そうだね・・・じゃあ、帰ったら連絡入れてみるよ!」

 

 変身を解いた咲と舞は、新たなる敵の出現に身を引き締めるのだった・・・

 

 

 

・・・ダークフォール・・・

 

 まるで、ゴーヤーンの顔のような巨大な石像の中に、茶室のような部屋で茶をすするゴーヤーンが居た。ドロドロンがしくじったのを知り、やはり一人では無理だったかと思ったゴーヤーンは、自分の部屋で、今後の事を思案していた。

 

「やれやれ、ドロドロン殿お一人では、無理なようですねぇ・・・」

 

 ゴーヤーンは、目の前の水晶を、手で何度も行き来させると、

 

「ミズ・シタターレ殿!ミズ・シタターレ殿!!」

 

 水晶が輝くと、徐々に水晶に人の姿が浮かび上がってくる。水晶に映ったのは、見た目は貴婦人風の女性だった。ゴーヤーンが再び名を呼ぶと、

 

「オ~ホホホホ!あら、ゴーちゃんじゃない!?このあたくしにご用?」

 

「ゴーちゃんって・・・私はゴーヤーンです!それより、ミズ・シタターレ殿、あなたのお力を是非お借りしたいのですが?」

 

 ゴーヤーンが呼び出したのは、水の泉を守護するミズ・シタターレ、その強さは、ダークフォールの戦士の中でも1、2を争うと言われている手練れだった。

 

「オ~ホホホホ!このあたくしの力を借りたい何て・・・ゴーちゃんたら正直者ねぇ」

 

「はい、あなた様程のお力をお借りする程でも無いと思ったのですが、ドロドロン殿だけでは心許なく・・・お力をお貸し頂けますか?」

 

「嫌よ!」

 

「ハッ!?」

 

「嫌って言ったの!他の奴らなら兎も角、あたくし、あいつ嫌い何ですの!!」

 

 そう言い残すと、一方的にゴーヤーンとのコンタクトを止めるミズ・シタターレ、ゴーヤーンは溜息を付くと、再び水晶に手を翳しはじめ、

 

「キントレスキー殿、キントレスキー殿!」

 

 次に水晶が浮かび上がらせた人物、全身金色に輝くモヒカン刈りの男が、片手腕立て伏せを、汗まみれになりながら行っていた。

 

「9887、9888、9889・・・」

 

「キントレスキー殿!呼んでるのが聞こえませんか?」

 

「9900・・・何だ、ゴーヤーン!私は忙しいのだ!!・・・あっ、数が分からなくなったでは無いか・・・全く・・・1、2、3・・・」

 

 次にゴーヤーンが呼び出したのは、金の泉を守護するキントレスキー、ミズ・シタターレと1、2を争い合う、ダークフォールの戦士である。だがこの男、自らの鍛錬が何より大好きで、トレーニングの邪魔をされるのを、極度に嫌がる戦士だった。

 

 ゴーヤーンは溜息を付き、手を広げて駄目だコリャとジェスチャーする。

 

「やれやれ、困りましたねぇ・・・出来ればあの方達に頼むのは気が引けますが、仕方がありませんねぇ・・・気まぐれな二人故、扱いに苦労するんですよねぇ・・・」

 

 ゴーヤーンはそう愚痴ると、何処かへ姿を消した・・・

 

 

・・・翌日・・・

 

 一緒に登校する咲と舞、咲は、昨日の新たなる敵の事をなぎさに報告すると、なぎさは、もっと詳しい事を聞きたいから、ほのか、ひかりと一緒に、咲達の街に来ると言ってくれていた。咲は、なぎさ達との待ち合わせ場所を、大空の樹と決めた事を舞に知らせる。

 

「私達に仲間が居てくれるって、心強いよね!」

 

「そうね!咲が居てくれて、なぎささん、ほのかさん、ひかりさんが居てくれて、こんなに心強い事はないわ!ところで・・・ねぇ咲、私、美術部に入ることにしたの!決心が付いたのも、咲のお陰よ!ありがとう!!」

 

「エッ!?私、何かしたっけ?・・・でも、舞の絵の上手さが、益々みんなに知れ渡って、私もちょっと鼻高々!!」

 

「もう、咲ったら・・・ウフフフ」

 

 笑い合いながら登校する咲と舞の姿を、丘の上から眺める二人組の少女達が居た。

 

「満、あの二人が日向咲、美翔舞、プリキュアなのね?」

 

「ゴーヤーンの話ではそう・・・どうする薫?もう一組のプリキュア、美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかりも見に行く?」

 

「どうでも良いわ・・・でももう少し、彼女達の様子を見てみましょう・・・ドロドロンが、今日も攻撃しようと張り切っていたし・・・」

 

「そうね・・・プリキュアのお手並み、拝見するとしましょう!」

 

 赤色のショートカットが満、青い髪のロングが薫、共にお揃いのねずみ色の上着と、黒っぽいスカート、紫色のズボンを履いていたが、違うのは、満は赤い水晶のペンダントを、薫は青い水晶のペンダントをしていた。彼女達は、咲達の姿が見えなくなると姿を消した・・・

 

 

 

・・・放課後・・・

 

 咲と舞は、部活を終えた後、待ち合わせ場所の大空の樹に向かっていた。新たなる敵との戦いに備え、今は部活をしていないなぎさ、ほのか、ザケンナーコンビのお陰で、前よりTAKO CAFEを手伝わずにすむひかりは、既に大空の樹の前で談笑していた。

 

「なぎささん、ほのかさん、ひかりちゃん、遅くなってスイマセン!」

 

「気にしないで、私達もさっき着いた所だから!」

 

 謝る咲と舞に、なぎさ達は笑顔を向け、今着いたばかりだと返事を返すも、

 

「で、新たなる敵が現われたって事だけど?」

 

 ほのかの問いに、頷く咲と舞が何かを言おうとした時、

 

「そう、それは僕で~す!」

 

 地中からひょっこり顔を出し、自分だと名乗ったドロドロンだったのだが、一同には聞こえておらず、スルーされる。

 

「いいんだ、いいんだ、僕何てさ・・・」

 

 大きな身体を縮め、大空の樹の角で、体育座りをしながらイジケルドロドロンの姿に、ようやく気付いたひかりが指を指しながら、

 

「ひょっとして、咲さんや舞さんが言ってたのは、あの人じゃ?」

 

 ひかりの指さす方を見た四人は、ようやくドロドロンを見付ける。

 

「あっ、そうそう・・・って、何で体育座りしてるんだろう?」

 

「さあ?この前もいきなり怒ってたわね」

 

 咲と舞が首を捻ると、なぎさは、うんうん頷き、

 

「今回の敵は、変わった奴らが多いよね!何時も踊りまくってる奴も居たし・・・」

 

「あだ名で呼んでくれって、言ってたのも居ました」

 

 なぎさと咲が互いに戦ったカレハーン、モエルンバの事を思い出し笑い合った。

 

「なぎさ・・・咲さん・・・一応、目の前に敵が居るんだけど?」

 

 笑い合うなぎさと咲に呆れ、目を点にしたほのかが二人を注意する。

 

「あなたもそこで体育座りしてないで、用があるなら、何か言いなさい!」

 

 ほのかに注意されたドロドロンが、ほのかの方に振り向くと、

 

「僕は話し掛けてました!無視してたのは、君達で~す!!」

 

「エッ!?そうなの・・・聞こえなかったわ?」

 

「お前ら~、僕をバカにしてるだろう?もう、怒ったからな・・・ウザイナー!!」

 

 バカにされてるように感じたドロドロンは怒り出し、ウザイナーを呼び出す、

 

「これだけの人数相手じゃ・・・出し惜しみはしません!!」

 

「はい?何か言った!?」

 

 耳に手を当てて聞き返すなぎさと咲に、地団駄踏んで悔しがるドロドロンは、足下に倒れる大きな石、地上を歩く蟻をウザイナーに変えた。

 

「行くよ、ほのか、ひかり、咲、舞」

 

 なぎさの言葉に頷いた一同は、変身アイテムを手に取り、

 

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」

 

 二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力の僕達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

「ルミナス、シャイニングストリーム!!」

 

 ひかりの掛け声と共にひかりの身体を光が包み込んでいく。神々しい光と共にルミナスがその姿を現わす。

 

「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 ドロドロンの前に勢揃いする五人のプリキュア達、ブルーム、イーグレットも、幾多の戦いを経験し、戦士の風格を醸し出し始めていた。

 

「何人居ても・・・僕には勝てませぇん!」

 

「だから、はっきり言ってくれなきゃ、聞こえないでしょう?」

 

 ドロドロンの小声にイライラしたのか、ブラックがドロドロンを指差し、シャキッとしろと文句を言うと、

 

「うるさ~い!僕をバカにするなぁぁ!ウザイナー、ギタギタにしてやっちゃえ!」

 

 ドロドロンの合図を受け、攻撃を開始する二体のウザイナー、ブラックとブルームが突っ込み、石のウザイナーに右パンチを浴びせるも、

 

「「い、痛ぁぁい!」」

 

 硬い石のウザイナーには、パンチも効果が無く、二人の右拳がジンジン響き、二人は右手に息を吹きかけ、右手を振って痛みを和らげる。

 

「僕をバカにするからで~す!」

 

 フフフンと勝ち誇ったように笑むドロドロンを見て、悔しそうな表情を見せるブラックとブルーム、

 

「ブラック、ブルーム、大丈夫?どうやら石だけあって、あのウザイナーは硬いらしいわね」

 

 一方、イーグレットは上空に舞うと、加速を付けて急降下し、蟻のウザイナーにかかと落としを繰り出すも、ウザイナーは両手をクロスして耐えると、イーグレットの右足を掴み振り回す。

 

「キャァァァ!」

 

「イーグレット!このぉぉ!!」

 

 ブルームが渾身の左ストレートでウザイナーを吹き飛ばし、イーグレットを救い出す。

 

「どうやら、今度の敵は接近戦を得意としているようね・・・みんな、距離を取って戦いましょう!ブラック!!」

 

 ホワイトの合図を受け、近寄ったブラックがホワイトとアイコンタクトを取ると、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す

 

「「マックス~~!!」」

 

 ブラック、ホワイトの必殺技、マーブルスクリューマックスが、石のウザイナーに炸裂し、見事に打ち倒せば、ドロドロンの不意打ちを、ルミナスに救われたブルーム、イーグレットが、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦が蟻のウザイナーを飲み込む。

 

 解放された土の精霊達が嬉しそうに泳ぎ回っていた・・・

 

「ウゥゥ・・・今回も、負けちゃいました・・・トゥ!!」

 

 地中に潜ったドロドロンは、ゴーヤーンにどう言い訳しようか考えながら撤退する。変身を解いた少女達が、大空の樹の前で今後の事を話し合う・・・

 

 

「フィーリア王女が言っていたように、新たなる力・・・油断できないわね!」

 

「そうですね・・・私達には、敵の情報を知る術がありません・・・」

 

 ほのか、ひかりの言葉に舞も頷くが、なぎさも同意するものの、何処か楽観視しているようで、

 

「そうだね・・・でも、頭は悪そうだしさ!何とかなるんじゃない?」

 

「ダークフォールの奴らも、なぎさには言われたく無いと思うメポ」

 

「んだとぉ!こら、メップル!!」

 

 忽ち和やかな雰囲気になる一同、咲と舞は、大空の樹の言い伝えを思い出すと、

 

「この街には、言い伝えがあるんですよ!大空の樹は守り神!!」

 

「この樹の前で出会った人達は、強い絆で結ばれているんですって・・・」

 

 咲と舞の言葉を受け、なぎさ、ほのか、ひかりも二人に笑顔を向けながら、

 

「そうだね・・・こうやってプリキュアの絆で結ばれた私達が出会ったのも、偶然だけとは思いたくないね!」

 

「ええ、科学的じゃ無いけど・・・神秘的な何かを感じるわね」

 

「はい、なぎささんやほのかさんに出会えたように、咲さんや、舞さんと出会えたのも、運命的な何かを感じます」

 

 なぎさ、ほのか、ひかりの言葉を聞き、咲は、

 

「運命の出会い・・・本当に有るのかも知れないね・・・」

 

 その時、一同の会話に加わる者が現われた。

 

「それは面白い話ね!」

 

「そう?私は言い伝え何て、馬鹿馬鹿しいと思うけど・・・」

 

 赤い髪の少女は興味深そうに、青い髪の少女は関心無さそうに会話に加わってくる。少女達の冷めたような視線に、一同は見とれていたが、なぎさとほのかは、何処かでこんな感じがあったようなと思うのだった・・・

 

「私は結構好きよ・・・運命の出会い何て、素敵よね!私達が此処で出会ったのも・・・運命の出会いかも知れないわね?」

 

 赤い髪の少女の言葉に呆然とする一同、少女達がフッと笑んだその時、強風が大空の樹の周りに吹き、一同が目を瞑った間に、二人の少女は消え去っていた。

 

「い、居なくなっちゃった!?」

 

「何か不思議な人達・・・でも、何か気になるよね?」

 

 一同は二人の少女が消え去った後も、呆然と少女達が居た場所を見つめていた・・・

 

 

 

 翌日・・・

 

 登校した咲と舞は、このクラスに転入生が来ると聞き驚いていた。

 

「4月に舞が来たばかりなのにね?」

 

「だよな?」

 

 ざわめくクラスに、篠原先生が入ってくると、

 

「席に着け!これからホームルームを始める!その前に、二人の転入生を紹介する!霧生、入ってこい!!」

 

 篠原先生に呼ばれ教室に入ってきた人物を見て、咲は立ち上がり二人を指さすと、二人は微かに口元に笑みを浮かべた。

 

「何だ日向、またお前の知り合いか?」

 

「いやぁ、知り合いって言うか、昨日見掛けただけと言うか・・・」

 

「まあいい、霧生、黒板に名前を書いて自己紹介しろ!!」

 

 篠原先生に促され、名前を書き始める二人、赤髪の少女は霧生満と書き、青い髪の少女は霧生薫と書いた。クラスメート達が、小声で色々話し合う。二人共美人ねとか、二人は双子の姉妹なのか?などなど・・・

 

「二人は、昨日この街に越してきたばかりだから、みんな、色々教えてあげるように!」

 

 篠原先生の言葉を受け、席に座る満と薫、席順はドア側の一番後ろに薫、その前に満が座る。

 

 咲の脳裏に、昨日の満の言葉が浮かんでくる。私達が此処で出会ったのも、運命の出会いという言葉が・・・

 

(うん、そうだよ!なぎささん達と出会えたように、霧生さん達との出会いも、運命の出会いだったんだよ!!)

 

 咲は嬉しそうな表情で、満と薫を眺めていた・・・

 

 

3、戸惑い

 

 嘗ての舞のように、クラスメート達から満と薫に、質問攻めが浴びせられる。二人は興味無さそうに、薫は小声でうっとうしいと思わず漏らすも、満が薫をフォローする。だが、満も本心では薫と同じように思っているようで、

 

「私達、あまり指図されるの、嫌いなの!」

 

 満の言葉を聞き、静まりかえるクラス、咲が咄嗟に機転を利かせて、

 

「ほら、みんなが質問攻めするから・・・霧生さん達、困ってるじゃない!」

 

「ええ、みんな、程々にしましょう!」

 

 舞も咲の気持ちに気付いたのか、満と薫をフォローする。クラス委員の二人、宮迫学と安藤加代も、咲と舞の言葉に同意して、その場を取り繕った。満と薫は、咲と舞を見ると口元に笑みを浮かべ、

 

「ねえ、私達この学校の事詳しく知らないの!案内してくれないかしら?」

 

「うん!喜んで!!私は日向咲、私の事は咲って呼んでね!その代り、私もあなた達の事、満と薫って呼んで良いかな!?名字が同じだとややこしいからさ」

 

 満から学校を案内して欲しいと言われた咲と舞、咲は快諾し、満と薫の事を名前で呼んで良いか問うと、満は頷きながら、

 

「ええ、構わないよ!ねえ、薫?」

 

「どうでも良いわ!あなた達の好きなように呼べば良い」

 

「薫!・・・ゴメンなさいね!」

 

「ううん、私は美翔舞です!よろしくね、満さん、薫さん」

 

「じゃあ、お昼休みにでも案内するね!」

 

 咲と舞が、笑顔を二人に向け自分の席に戻って行った。

 

 授業が始まる・・・

 

 数学の教科書を読み始めた二人は、速読で読み終えると、教師の出す問題を楽々答え、クラスメート達を呆然とさせ、体育の授業のバレーボールでは、最初こそルールが分からず呆然としていたが、ルールを覚えるや否や、満と薫は、咲も顔負けする程の運動神経を見せ、これまたクラスメート達を驚かせた。

 

 昼休みになり、咲と舞は、満と薫を連れ学校を案内していた。

 

「満、薫、二人共凄いよねぇ!勉強は出来るし、運動神経も抜群、みんなも凄いって驚いてたよ」

 

「そう!?あれが凄い事なの?」

 

「別に、どうでも良いわ」

 

 満と薫が、勉強も運動も出来るのを知った咲と舞が、二人を賞賛するも、満はあれが凄い事なのか、逆に不思議そうに咲と舞に問い掛け、薫は、全く興味無さそうに歩み続ける。少し困った顔をして、互いに顔を見合わせた咲と舞は、話題を変えるように、

 

「ところで、今度の日曜に、家で二人の歓迎会をしたいんだけど・・・どうかな?」

 

「歓迎会?私達の!?何故?」

 

 不思議そうに顔を見合わせ、首を傾げる満と薫だったが、咲の誘いを承諾する。

 

 

 夜になり、満と薫は、ひょうたん岩と呼ばれる、ひょうたんの形をした岩の上で、背中合わせに座っていた。

 

「人間って不思議ね・・・」

 

 満は、学校での出来事を思い出し、人間の不思議さを考え込むと、薫はそんな満をチラリと見て、

 

「不思議?くだらないだけよ!くだらない話に喜び、くだらない遊びを楽しむ!そして、群れていないと不安がる・・・アクダイカーン様の言う通り、滅びて当然の生き物よ!!」

 

「そうね・・・でも、少し人間って生き物に、興味が出来たわ」

 

「そう?私は、興味が無いわ!私が興味有るのは、プリキュアの強さの源が何なのか知りたいだけ」

 

「そうね・・・日向咲、美翔舞、二人の強さの原因・・・じっくり見させて貰うわ」

 

 満と薫は、空に浮かぶ月を見上げ、口元に笑みを浮かべていた。

 

 

 日曜になり、咲の家で満と薫の歓迎会が開かれていた。前回の舞の歓迎会の時と同じメンバーが集まっていたのだが、主役の筈の満と薫は、終始興味が無さそうにしていて、一同をヤキモキさせていた。

 

 そこに、咲の妹みのりが、ヨロヨロしながらも差し入れのケーキを持ってくるも、よろけた拍子に、薫の服にケーキを零してしまった。満と薫を除く一同から驚愕の声が漏れる。

 

「みのり!何やってるの!!薫、ゴメンね・・・今布巾持ってくるから」

 

 慌てて店に行く咲、みのりは大粒の涙を流し、号泣しながら薫に詫びるも、

 

「何を泣いているの?あなたは別に、私に謝る程の事はしてないわ」

 

「でも、お姉ちゃんのお洋服汚しちゃったもん・・・」

 

「そう?外を歩けば汚れるものよ」

 

 一同は思わず、薫の懐の深さに感嘆の声を上げるも、薫には何故みんなが自分を称えるのか意味が分からず、首を捻った。戻った咲が、慌てながら布巾で薫の服を拭こうとするも、薫はこのままで構わないと言い、みのりは、自分を庇ってくれた薫の存在に、親近感を抱くのだった・・・

 

 ひょんな事からクラスメート達と親睦を深めることになった満と薫、公園のベンチに座り、歓迎会の事を思い起こしていた。

 

「人間って、やっぱり不思議・・・」

 

「そうね、飲んで食べて、くだらない遊びを楽しみ・・・何がそんなに面白いのか理解出来ない」

 

「でも、不思議と嫌な気分にならなかった」

 

「そう・・・ね」

 

 咲と舞と共に行動する満と薫の中で、何かが生まれようとしていた・・・

 

 

 PANPAKAパンでは、歓迎会の後片付けをする咲と舞、さっきの失敗を取り返そうと手伝うみのりが居た。

 

「薫には悪い事しちゃったなぁ・・・みのり、ちゃんと謝ったんでしょうね?」

 

「大丈夫よ、咲!みのりちゃんもちゃんと謝ってたし、薫さんも、全然気にしないで居てくれたから・・・ね、みのりちゃん」

 

「うん・・・あのお姉ちゃん、みのり、大好き!!」

 

「もう、みのりは単純何だからぁ・・・でも、満と薫、あんまり楽しそうじゃ無かったね?」

 

「まだ、この街になれないのもあると思うわ」

 

「僕も、全然楽しくないでぇす」

 

 咲、舞、みのりの会話に、ボソボソ何か聞こえた気がした咲と舞の脳裏に、ドロドロンが浮かび上がる。

 

「みのり、ここはもういいから、家に入ってなさい!」

 

「ブー、またお姉ちゃん、みのりをお子様扱いするぅ・・・」

 

「いいから!舞、場所を変えよう!」

 

「そうね!急ぎましょう!!」

 

 駄々を捏ねて、家に入るのを嫌がるみのりをその場に残し、咲と舞は場所を移動する。なるべく人通りのなさそうな所を選んだ咲と舞は、偶然にも満と薫が居る公園にやって来た。

 

「あれは、咲と舞!」

 

「慌てているようね・・・」

 

 満と薫は身を潜め、咲と舞の様子を伺うと、芝生からドロドロンが現われ、咲と舞の前に立ち塞がる。咲と舞は、やっぱりあんたかと思いながらも、ミックス・コミューンを手に取り変身を始める。

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 ドロドロンに対し、啖呵を切るブルームとイーグレットに、ドロドロンは街灯(がいとう)をウザイナーに変えて攻撃し始める。ウザイナーの口から、光の粒子が吐き出され、二人はバリアーを張り攻撃を耐え凌ぐと、一気に上空に飛翔し、ウザイナーに対しパンチ、キックの連携技で、ウザイナーに攻撃を当てていく。

 

「僕も居るのを、忘れない事だねぇ!」

 

 ドロドロンが放つネットが、イーグレットを捕らえ振り回し始めると、イーグレットは悲鳴を上げる。

 

「イーグレット!このぉ、イーグレットを離してよ!!」

 

 飛び込んだブルームが、ドロドロンにパンチを浴びせて体勢を崩すと、その間にイーグレットに近づき手を握り合った瞬間、ネットを切り裂き、二人は雄叫びを上げる。

 

 近づいて来るウザイナーを見た二人は、頷き合うと、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦がウザイナーを飲み込む、解放された土の精霊達が嬉しそうに泳ぎ回っていた・・・

 

「何であいつら、僕を助けに来ないんだよぉぉ!!ん?」

 

 向こうに満と薫が居るのを見付けたドロドロンは、地下に潜り二人に近づいて行くと、地中から顔を出し、満と薫を恨めしそうに見つめた。

 

「満、薫、何で僕を手助けしないんだよぉぉ!?酷いぞぉぉ、僕を手助けする為に、緑の郷に来たんだろう?」

 

 満と薫は、グダグダ文句を言うドロドロンをキッと睨み付けると、

 

「私達は、アクダイカーン様以外、誰の指図も受けない!」

 

「さっさと報告に行けば?プリキュアには勝てませんでしたってね」

 

「ウゥゥ・・・ゴーヤーンに言いつけてやるからなぁぁ!」

 

 半べそかきながら、地下に潜ったドロドロンが撤退すると、戦いを終え、立ち去ろうとする咲と舞を見つめる二人、

 

「薫、ドロドロンでは、プリキュアには勝てそうも無いわね!」

 

「そうね、でもそうすると次は・・・」

 

 満と薫は、そう言うと沈黙したまま、その場を離れて行った・・・

 

 

 満と薫が現われてから、一ヶ月が経とうとしていた・・・

 

 失敗続きのドロドロンも、中々姿を見せなくなり、時が過ぎていく・・・

 

 梅雨の季節が始まった・・・

 

 この間にも、咲、舞、満、薫の四人は、親睦を深めていった。咲の提案で、夏の花、ひまわりを四人で植えたり、満は、咲の店の手伝いを舞と一緒にしたり、薫は、咲の妹みのりの相手をしたり、だが、このような日常の何気ない出来事が、満と薫には新鮮に映っていた。

 

 満と薫の二人は、次第に緑の郷を好きになっていった・・・

 

 

 

 ・・・ダークフォール・・・

 

 不気味な鍾乳洞のような場所で、ゴーヤーンの隣に居るドロドロンは、大きな身体を縮みこんで居た。

 

「おやおや?どう致しました、ドロドロン殿!?・・・それはそうですよねぇ、プリキュアには勝てず、太陽の泉の在処も聞き出せない・・・アクダイカーン様が、お怒りになるのもご尤もですよねぇ?」

 

「だって・・・満と薫、僕の手助けしないんだもん・・・」

 

「黙れ、ドロドロン!!」

 

 アクダイカーンの一喝を受け、思わず尻餅を付き驚くドロドロンに、アクダイカーンは、

 

「これが最後のチャンスだ!これにしくじれば、お前には帰る場所が無いと思え!!」

 

「は、はい・・・」

 

 大慌てで、逃げるように後にするドロドロンを見たゴーヤーンは、心の中で次の手を考え始めて居た・・・

 

 

 

 そんなある日、満と薫は咲と舞に誘われ、なぎさ達が居る街に遊びに来ていた。朝方降った雨も止み、咲と舞は、雨が止んで良かったと嬉しそうにTAKO CAFEにやって来る。

 

「咲、舞、久しぶり!霧生さんだっけ?あの時以来だね!」

 

「まさか、咲さんと舞さんのクラスメイトだったとわねぇ」

 

 なぎさ、ほのかが、笑顔で咲と舞、そして満と薫を迎え入れた。ひかりは、満と薫から不思議な感じを受け、戸惑いを覚えていた。彼女達が、昔の自分のように、何かに目覚め始めているように・・・

 

(何だろう・・・あの人達から、何か不思議な感じが伝わってくるみたい?)

 

 それは、ザケンナーコンビも感じていた。

 

「おい、あの二人から、何か不思議な感じがしないかザケンナー?」

 

「確かに、何かありそうな気がするザケンナー」

 

 チビとノッポのザケンナーが首を捻る中、咲と舞は、噂に聞くザケンナーコンビを見て驚いていた。なぎさに顔を近づけ、小声で話し合う咲となぎさ、

 

「あの人達がザケンナーですか!?随分大胆に行動してますね?」

 

「でしょう?不思議と他の人が見ても、人間同様に見えるみたい」

 

 満と薫に聞こえないように、小声で会話をする二人だったが、満と薫には筒抜けであった。

 

(ザケンナーと言えば、ドツクゾーンの!?)

 

(何故プリキュアと仲良くしているの?)

 

 満と薫の思考が混乱したその時、メップル達、フラッピ達が騒ぎ始め、

 

「ダァァ・・・満、薫、ちょっと待ってて!」

 

「直ぐ戻って来るわ!!」

 

 満と薫に直ぐ戻って来ると告げた咲と舞は、なぎさ、ほのか、ひかりと共に邪悪な気配がする方に駆けていくと、珍しく最初から姿を現わしたドロドロンが待っていた。

 

「ムフフフ!お久しぶりでぇす!!今日の僕は・・・無敵です!!」

 

 自信満々なのか、何時ものボソボソ声は何処へやら、はっきりした口調で、今日の自分は無敵だとプリキュアに宣言するドロドロン、

 

「みんな、用心して!何か罠が有るかも知れない!!」

 

 ほのかの忠告に頷いた一同が、変身アイテムを手に取ると、

 

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」

 

 二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力の僕達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

「ルミナス、シャイニングストリーム!!」

 

 ひかりの掛け声と共にひかりの身体を光が包み込んでいく。神々しい光と共にルミナスがその姿を現わす。

 

「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 変身を終えた戦士達が、ドロドロンに臨戦態勢を整えると、ドロドロンは、濡れた地面から泥を吸い上げ、自分と同化させていく。見る見る巨大になっていくドロドロンに、一同は困惑した。

 

「何?泥を吸収してるの!?」

 

「気をつけて!何をして来るか油断出来ない!!」

 

 ブラックが驚き、ホワイトが一同に注意を促すと、頷く一同だった・・・

 

 

「ドロドロンが現われたようね・・・」

 

「ええ、こんな日のドロドロンは要注意・・・プリキュア達は勝てるかしら?」

 

「分からない・・・」

 

 一瞬苦悩の表情を浮かべる満と薫が立ち上がると、一同の戦う場所へと駆け出していた。満にも、薫にも、何故自分達がそんな行動を取るのか分からなかった・・・

 

 

 五人は劣勢だった・・・

 

 ルミナスのバリアーが、一同を守り続けるも、ドロドロンの猛攻は凄まじかった。巨大な泥の波が、一同を飲み込もうとするも、プリキュア達は避けようとせず、ルミナスに加勢するように、ブラックとホワイトが手を握り合い、ブルームとイーグレットが手を握り合い五人から発せられる巨大なバリアーで泥の波を耐えていた。到着した満と薫は、瞬時に身を隠し、この戦いを見守る。

 

「プリキュアは・・・何故避けずに、ドロドロンの攻撃を耐えているのかしら?」

 

 満の問い掛けに、薫も訳が分からないと言うも、五人の口から、彼女達を驚愕させる言葉が次々発せられる。

 

「あそこには、アカネさんの店が、TAKO CAFEがある!」

 

「私達に取って大切な場所・・・失わせはしない!」

 

「あそこにはアカネさん、ザケンナー達」

 

「そして、満が居る」

 

「薫さんが居る」

 

「「「「「みんなを、私達は守って見せるぅぅ!!」」」」」

 

 巨大なバリアーは益々大きくなり、泥の波を押し返していった事に、驚愕するドロドロンだが、

 

「今日の僕は、一味違うんです!!」

 

 そう言ったドロドロンは、ネットを二本出し、ブルームとイーグレットを網漁のように捕らえ、引き吊り寄せる。

 

「二体のプリキュア・・・捕まえた!大量だぁぁ!!」

 

「「キャァァ!」」

 

「ブルーム!イーグレット!」

 

「待ってて、今助けに行くわ!!」

 

 網に捕まったブルームとイーグレットを、助けに向かおうとするブラックとホワイトに対し、ドロドロンは泥にウザイナーを召喚し、ブラックとホワイトを足止めする。

 

「邪魔はさせないよ!さあ、解放されたかったら、太陽の泉の在処・・・教えなさぁい!!」

 

「イ~だ!誰があんた何かに教えるもんですか!」

 

「あなた何かに、私達は負けないわ!!」

 

 ブルームが、イーグレットが、ドロドロンに負けないと言うと、ドロドロンはお仕置きとばかりに、網を一本づつ片手で持つと振り回し、二人の目を回させる。ウザイナーから発せられる、マシンガンのような泥の連射から、辛くも避けまくるブラックとホワイト、ルミナスの援護を受け、体勢を立て直すと、振り回されるブルームとイーグレットを見て、

 

「ブルーム、イーグレット・・・ホワイト!」

 

「ええ!」

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す

 

「「マックス~~!!」」

 

 マーブルスクリューがウザイナーを飲み込み、辛くも勝利した二人は、ブルームとイーグレットの援護に向かおうとするも、網は更に萎まれ、二人から絶望的な声が響き渡る。

 

「太陽の泉の在処を教えないからいけないんだよ・・・ミンチになっちゃいなさい!!」

 

「止めてぇぇ!!」

 

「駄目、間に合わない!ブルーム!!イーグレット!!」

 

 ブラックの、ホワイトの声が空しく辺りに響いた。ネットがブルーム、イーグレットの五体をバラバラにしようとしたその時、突如ネットが切り裂かれ、ブルームとイーグレットが解放された。

 

 

 満と薫は、プリキュアを助けた自分達の行動に、呆然としてその手を見つめた。

 

「プリキュアは、私達やあの店の人を助ける為に、その身を盾にしていた」

 

「理解出来ない・・・そう思っていた」

 

 顔を見合わせた満と薫は、再び自分達の両手を見つめながら、

 

「私達・・・勝手に身体が動いていた・・・」

 

「咲と舞の悲鳴を聞いた時、心の中で何かが張り裂けそうだった・・・」

 

「「私達、一体!?」」

 

 再び互いの顔を見つめ困惑する満と薫だった・・・

 

 

「ウッソ~~!?何で?どうして?今の僕のネットを破れるなんて・・・」

 

 困惑するドロドロンを、ダブルパンチで吹き飛ばすブラックとホワイト、ルミナスがブルーム、イーグレットに近づき介抱すると、意識を取り戻す二人、

 

「あれ、私達・・・無事なの?」

 

「ルミナス・・・あなたやブラック、ホワイトが助けてくれたの?」

 

 イーグレットの問い掛けにルミナスは首を振ると、

 

「いえ、ブラックもホワイトも間に合わなかったんです・・・でも、その時突然ネットが切れて、お二人は解放されたんです。」

 

 ルミナスの言葉に驚く二人は、切れた網を見つめるも直ぐに立ち直り、ブラック、ホワイトに加わり、ドロドロンを攻撃する。絶対的自信を持っていたドロドロンだったが、動揺したことでペースを乱し、防戦一方になる。

 

「畜生、あいつらが加勢しないからぁぁ」

 

 堪らず愚痴りだすドロドロンに、ブラックとホワイトが、ブルームとイーグレットが、互いに頷き合うと、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す

 

「「マックス~~!!」」

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 マーブルスクリューが、ツインストリームが、ドロドロンを飲み込んでいく。

 

「満と薫さへ協力してくれれば・・・はい、お別れです!!」

 

 奇跡の光に包まれ、ドロドロンは消滅した・・・

 

 変身を解きホッとする一同の中、ほのかは妙な顔を浮かべ、ドロドロンの最期の言葉が引っ掛かっていた。

 

(満と薫さへ協力してくれれば・・・あの敵はそう言ってたような!?まさかね?)

 

 二人に疑惑が浮かんだほのかだったが、この事は胸に締まっておこうと決意するのだった・・・

 

 ドロドロンを倒した事で、ドロドロンが持っていた、残りの土の奇跡の雫を手に入れた一同は、キャラフェに七つの奇跡の雫を入れると、嘗てのように亀裂が現われ飲み込まれて行った。

 

 

 二つの泉を解放した時のように、土の泉を開放した一同に、現われたフィーリア王女が礼を言うも、

 

「ですが、次にあなた方にとって、試練とも呼ぶ出来事が起こるでしょう・・・でも、今までの事を思い出し、決して挫けないで下さい!!」

 

 そう言い残しフィーリア王女はその姿を消した・・・

 

 

 TAKO CAFEに戻った一同は、改めて親睦会を開き、遊びに来た咲、舞、満、薫を歓迎し持てなした。なぎさ、ほのかを見ていると、何処か咲と舞を彷彿させ、次第に心を開いていく満と薫だった・・・

 

 

 ひょうたん岩に背もたれ合いながら月を見た満は、

 

「良い月ね・・・」

 

「ええ、風も悪くないわね」

 

「何時からだろう・・・私達が緑の郷を、悪くないと思えてきたのは?」

 

「もし、もしも、こんな形で咲や舞、なぎさやほのか、ひかりと出会わなければ・・・」

 

「止めて、薫!ドロドロンが倒れた今・・・次は私達の番」

 

「ええ・・・心の何処かで、そんな日が来なければと思うようになってきた」

 

「私もそう・・・咲や舞と植えた、ひまわりが育つのも楽しみになっている」

 

「「でも、私達が存在する理由・・・それはアクダイカーン様の為」」

 

 寂しそうに夜空を見つめる満と薫だった・・・

 

 

4、悲しき戦い!ブラック、ホワイトVS満、薫

 

 ひょうたん岩に背持たれて座る満と薫の下に、ゴーヤーンが姿を現わした。

 

「満殿、薫殿、アクダイカーン様の命を伝えますぞ・・・ドロドロンに変わりプリキュアを討ち、太陽の泉の在処を手に入れろと・・・出来ますかな?」

 

「アクダイカーン様の命は絶対・・・私達はプリキュアを倒し」

 

「太陽の泉の在処を、手に入れて見せる!」

 

「これは、これは、心強いお言葉・・・では、吉報をお待ちしておりますぞ!!」

 

 手揉みをしながら姿を消したゴーヤーンの姿を、満と薫は嫌な者を見たといった顔をする、満と薫は、ゴーヤーンが嫌いだった。

 

 

 その日の放課後、満と薫は咲と舞と共に下校しようとしていた。その日、満と薫は何度も咲と舞を攻撃しようとするも、その都度咲や舞が笑顔で話し掛け、二人は攻撃するのを躊躇してしまっていた。

 

(これはチャンスかも知れない)

 

 そう考えた二人だったが、振り返った咲が笑顔で、満と薫をひまわりの種を埋めた場所に行こうと誘い、満と薫も同意した。ひまわりは大分育ち、花がもうすぐ咲くかもと喜ぶ咲と舞に、

 

「咲きそうだからって、何故そんなに喜ぶの?」

 

「咲けば枯れる・・・それだけ・・・無駄な事じゃないの?」

 

 満と薫の言葉に、舞は少し戸惑うも、咲は笑顔を向けながら、

 

「ううん、どんなお花だって、生まれた事に意味があるんだよ!無駄なお花や葉っぱ何て無いよ・・・ひまわりの芽が出た時、私、本当に嬉しかった!舞や、満と薫と一緒に植えたひまわりが、元気に育っていくのを見て、本当に嬉しかった!ひまわりが咲いた時、私達の絆が、一層深まる気がするんだぁ!!」

 

 満面の笑顔で一同に語る咲、薫は如雨露を持つと、ひまわりに水を上げ始め、それを見た満は驚き、咲と舞は笑顔を向けた。満も釣られるように如雨露を手に持ち、ひまわりに水を上げ始めると、

 

「何時咲くの?本当に咲くの!?」

 

「絶対に!?100%咲くの?」

 

「エッ!?あっ、100%とは・・・そのぉ・・・」

 

 満と薫の突っ込みに、困惑する咲であった・・・

 

 この日、満と薫は結局咲と舞と戦う事が出来なかった・・・

 

 

「咲と舞の顔を見ると・・・戦う事を躊躇してしまう」

 

「でも、アクダイカーン様の命に逆らう何て出来ない・・・」

 

「薫・・・今日こそ・・・良いわね?」

 

「満・・・分かっているわ」

 

 心を鬼にし、遂に咲と舞と戦う事を決意する満と薫、二人は登校中の咲と舞を見付けるや、側に落ちていた野球ボールをウザイナーにして、二人に差し向けた。突然現われたウザイナーに驚愕するも、

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 変身を終えた二人が、ボールのウザイナーと戦いを開始する。高所から転がり、攻撃してくる軌道予測が難しいウザイナーの動きに苦戦する二人、

 

「この動き・・・まるで計算しているように、ブルームとイーグレットを狙ってるラピ」

 

「二人共、気をつけてチョピ」

 

フラッピ、チョッピのアドバイスを受け、瞬時に行動する二人、

 

「私にボールで戦いを挑む何て・・・ドォォリャァァ!!」

 

 激しく回転したブルームは、自分の足をバット代わりに、ウザイナーを弾き返すと、

 

「ブルーム!ナイスバッティング!!」

 

 瞬時にイーグレットが、ブルームに声援を送った。落ちてくるウザイナーに対し、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 螺旋の渦がウザイナーを飲み込み消滅させ、奇跡の雫を手に入れるも、

 

「おかしいラピ・・・ウザイナーが単独で現われる何て・・・」

 

「そうチョピ、こんな事無かったチョピ」

 

 不思議がる妖精達の言葉を受け、辺りを見回したイーグレットは、二つの陰が動いたように見えた。

 

(あれは・・・女の子!?)

 

 イーグレットは小首を傾げ、消えていった影を見つめ続けた・・・

 

 

 

 翌日、ベローネ学園女子高等部・・・

 

「なぎさ、なぎさ、なぎさ、いい加減ラクロス部に入ろうよ!」

 

「そうだよ、弓子先輩も心配してたよ」

 

「ほのかも・・・何で科学部に入らないの?」

 

 なぎさとほのかは、クラスメートの志穂や莉奈、ユリコから何故部活を未だにやらないのか問い詰められ、困惑する。

 

「いやぁ・・・色々あってさ・・・ねぇ、ほのか?」

 

「うん・・・その内必ず入るから・・・ねぇなぎさ?」

 

「なぎさ、雪城さん、お主達、何か隠してるな?・・・言え、言え、言え」

 

 志穂に突っ込まれ、躙り寄られ苦笑する二人は、何とか誤魔化しその場を乗り切った。

 

 

 放課後、なぎさとほのかは、ひかりと合流し、咲達の街へと向かっていた・・・

 

 夕べに咲からの報告を受けたなぎさが、ほのかとひかりにその事を伝えると、ほのかの表情が曇った。

 

「なぎさ、明日咲さん達の街に行きましょう!咲さんには私から連絡入れるわ・・・私、満さんと薫さんに確かめたい事があるの!」

 

「どういう事?」

 

「あのドロドロンが消える直前、こう言ったのを聞いた気がしたの・・・満と薫さへ協力してくれればって」

 

「それって・・・まさか、満と薫がダークフォールの人間だって事?」

 

「まだ確かにそうだとは言い切れない・・・だからこそ確認したいの!」

 

「確かに私も、満さんと薫さんからは、不思議な感じを感じていましたが」

 

 ひかりも心当たりが微かにあるようだった。

 

「私は、プリキュアの先輩として、咲さんや舞さんには、私達と同じ悲しみを、味わって欲しくないの・・・」

 

 ほのかの脳裏に浮かんでくる人物、それはキリヤだった。闇の人間として生まれ、光の生き方に憧れ、闇と光の間を苦悩した彼は、プリキュアの勇姿に励まされ、自らの意思で闇の呪縛から解放された事を・・・

 

「仮に彼女達がダークフォールの人間だったとしても、私は、あの娘達なら、キリヤくんのように、自分の意思で闇に立ち向かえると、信じてる!!」

 

 ほのかの思いになぎさも頷き、ほのかの考えに同意した。

 

「ひかりさん、悪いけど咲さんと舞さんを引き留めて置いて、彼女達には、辛い事になるとも限らない・・・」

 

「はい、分かりました!」

 

 こうしてなぎさとほのかは、待ち合わせ場所を大空の樹と決め、満と薫を呼び出すのだった・・・

 

 

「私達に用って何?」

 

「下らない用事なら、直ぐ帰るわよ!」

 

「やれやれ、あんた達も相変わらずだねぇ・・・でも、前より活き活きしてるよ」

 

 相変わらずの態度ながら、嘗てのような氷のような印象は消え、人間味を醸し出すように感じるなぎさだった。

 

「担当直入に聞くけど・・・あなた達、何者なの?」

 

 ほのかの言葉に、思わず顔色を変える満と薫の表情が曇るも、

 

「そう、あなたは気付いて居たようね・・・」

 

「薄々とはね・・・やはり、あなた達は・・・」

 

「そうよ、私達は・・・ダークフォールの戦士!!」

 

 風が、光が二人を包み込むと、この場所で最初に会った時の衣装に替わる満と薫、

 

「待って!あなた達は、まだ自分の存在意義に迷っているんじゃない?咲さんや舞さんを悲しませないで!あなた達なら・・・闇の呪縛をはね除けられる!!」

 

 ほのかの問いに戸惑う満と薫だったが、首を振り、

 

「私達だって、この緑の郷が好き・・・でも、私達を産み出してくれたアクダイカーン様に逆らう何て出来ない!!」

 

「アクダイカーン様の意思は、私達の意思でも・・・」

 

 満と薫の言葉に頭を振るなぎさは、

 

「ううん、違うよ!最初はそうだったかも知れない・・・でも、あなた達は、咲と舞と出会い、この世界を好きになった!」

 

「それは・・・でも、無理よ!アクダイカーン様に逆らうなんて・・・私達の使命はプリキュアを倒し、太陽の泉の在処を調べる事・・・あなた達を倒す事も私達の使命」

 

「咲と舞と戦う前に・・・あなた達を此処で倒す!!」

 

 身構える満と薫、苦悩の表情を浮かべるなぎさとほのかは、見つめ合うと、

 

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力の僕達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

 互いに見つめ合うブラック&ホワイトと、満&薫、共に苦悩の表情を見せるも、今激突しようとしていた・・・

 

 

「咲、舞、大空の樹から、妙な気配が漂ってるラピ」

 

「でも、何か何時もと違うチョピ」

 

「大空の樹?なぎささん、ほのかさんが、満と薫と待ち合わせした場所じゃない?」

 

「た、大変だわ!私達も行きましょう!!」

 

 慌てて出掛けようとする咲と舞に、ひかりが待つように促すと、

 

「ひかりちゃん・・・何か知っているの?」

 

「どういう事なの、ひかりさん?」

 

「それは・・・」

 

「お願い、教えて!私達、なぎささん、ほのかさん、満と薫が心配なの!」

 

「ひかりさん・・・」

 

 咲と舞の心が、ひかりにも痛い程伝わってくる。ひかりは、心の中でなぎさとほのかに詫び、咲と舞に、ほのかから聞いた事を話し始めた・・・

 

 

 互角の戦いを繰り広げるブラック&ホワイトと、満&薫、互いに決定打を欠くものの、お互いの強さを実感する。

 

 だが・・・

 

「ブラック、ホワイト、あなた達の力は、こんなものじゃ無い筈でしょう?」

 

「何故戦いに躊躇するの?」

 

「それはお互い様でしょう?」

 

「さっきの攻撃、あなた達、わざと外したでしょう?」

 

 戦い合いながらも、何処か本気では戦う事が出来無い、四人の戦士だった・・・

 

 

「止めて!満、薫、ブラック、ホワイト、駄目だよ、友達同士で・・・」

 

「満さん、薫さん、止めて頂戴!」

 

 息せき切って駆けつけた咲と舞、そしてひかり、四人は二人を見つめ、憂いを帯びた表情を見せる。両者の間に入った咲と舞が、両手を広げこの戦いを止めさせようとする。

 

「満、前に言ってくれたよね・・・運命の出会い何て素敵よね!って、私達が此処で出会ったのも・・・運命の出会いかも知れないわねって・・・私、あの時凄く嬉しかった!!」

 

「あれは・・・あなた達に近付く為の・・・」

 

「薫さん、みのりちゃんも喜んでいたわ・・・薫お姉さんとお話しするのが楽しいって、みのりちゃんと約束したんでしょう?動物園にみんなで行こうって!!」

 

「それは・・・みのりちゃんの笑顔を見ていたらつい・・・」

 

 咲と舞の言葉に、戦意を無くす満と薫を見たホワイトとブラックは、

 

「やっぱり、あなた達なら変えられる!嘗て、あなた達と同じような苦しみを持った闇の少年と、私達は出会った!彼は、あなた達のように、闇の使者としての使命と、人として生きる事の素晴らしさに気付いた。彼は、闇の呪縛には逆らえないと、一度は私達と戦った。でも彼は、自らの意思で闇の呪縛と戦う事を決心した!」

 

「満、薫、あなた達なら、きっと乗り越えられる!あなた達には、咲も、舞も、私達も付いている!!」

 

 ホワイト、ブラックの言葉に続くように、ひかりも二人に話し掛け、

 

「私も嘗て、自分の存在意義が何なのか、分かりませんでした・・・でも、なぎささん、ほのかさん、そして多くの人達に触れ、自分が何なのか知りました!あなた達も、咲さんや舞さんと出会い、変わった筈です!!」

 

 咲の、舞の、ブラック、ホワイト、ひかりの言葉に、呆然とする満と薫、咲は笑顔を浮かべながら二人に近付くと、二人の手を取り一同の側に連れて来る。舞が、変身を解いたなぎさとほのか、ひかりも手を重ねる。

 

「ねぇ、前に私達がドロドロンによって窮地になった時、救ってくれたのは満さんと薫さんだったんじゃない?」

 

「本当、舞?・・・ありがとう、満、薫!」

 

 戸惑いを浮かべながら動揺する満と薫、咲と舞は、動揺したままの満と薫の手を引っ張り、

 

「わ、私達は敵同士でしょう?」

 

「なのに・・・あなた達は何故!?」

 

「違う!そんな風に思えない!!満と薫は・・・私達の大切な仲間だよ!!!」

 

 満面の笑顔で満と薫を見た咲は、そのまま満と薫、舞と共に大空の樹の前に移動すると、戸惑う満と薫を、大空の樹に触れさせた。樹から発せられる暖かな気持ちに、満と薫は安らぎを覚えるのだった。そんな四人を、少し離れた所で笑顔を見せながら見守るなぎさ、ほのか、ひかりだった。

 

 だが・・・

 

「おやおや、満殿、薫殿、何をグズグズしておられるのですかな?」

 

「「ゴーヤーン!?」」

 

 突然現われたゴーヤーンに驚く一同、満と薫は特に動揺していた。ゴーヤーンは、攻撃しない満と薫に顔を顰めると、

 

「仕方がありません・・・アクダイカーン様に叱って頂きましょうかねぇ!」

 

 満と薫の手を強引に引っ張り、闇の中に引き吊り込むと、咄嗟に咲と舞が満と薫の身体を掴み、そのまま闇の中に、共に連れ浚われてしまう。

 

「咲、舞、満、薫・・・クソォ、油断してた!」

 

「みんな、無事で居て!!」

 

 追いかける手段が見つからず、途方に暮れるなぎさ、ほのか、ひかりは、何とか四人が無事であるように祈り続けた・・・

 

 

5、救えなかった・・・

 

 悲鳴を上げながら、ゴーヤーンによって吸い込まれた四人、着いた場所を見た時、満と薫は怯えるように思わず身を竦め、咲と舞は、不気味な感じがするこの場所に、眉根を曇らせた。

 

「此処は一体!?」

 

「さっきの敵の姿が見当たらないわ?」

 

 キョロキョロするも、ゴーヤーンの姿が見当たらない事に、得体の知れない不安を覚える咲と舞、

 

「此処は・・・ダークフォール!」

 

「私達が・・・生まれた場所よ!」

 

「此処が、満と薫の・・・」

 

 満と薫の言葉に驚き、もう一度辺りを見ました咲と舞、その時、

 

「アクダイカーン様、満と薫を連れて参りました!もっとも、二人のおまけも一緒のようですがねぇ・・・さあ、満殿、薫殿、ご自分達の口から、アクダイカーン様にご報告なさい!!」

 

「満、薫、これは一体どういう事だ!?」

 

 目の前の泉のような場所に佇む、巨大なアクダイカーンを見て、満と薫は怯え、咲と舞は驚愕し、その圧倒的姿に畏怖を覚えた。

 

 満と薫は、覚悟を決めた表情になると、咲と舞に微笑みを向け、アクダイカーンの前に進み出た。

 

「アクダイカーン様、私達は、アクダイカーン様への忠誠を忘れては居ません!」

 

「ですが、一つお願いがあります・・・」

 

「私達は、緑の郷で多くの事を学びました。世界の美しさ、人々の暖かさを知りました」

 

「私達を産み出してくれた、アクダイカーン様には大変感謝しています!でも、お願いです!!」

 

「「この世界を、咲や舞、なぎさやほのか、ひかり、みんなが居るこの世界を、滅ぼさないで下さい!!」」

 

 満と薫の言葉を聞き、思わず笑みが浮かんでくる咲と舞、満と薫は、自分達の事を大切な存在だと思っていてくれたと、だが・・・

 

「自惚れるなぁぁ!!!」

 

 アクダイカーンの一喝が響き渡り、満と薫に向け、アクダイカーンから強烈な闇の力が浴びせられ、二人が悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。

 

「満!」

 

「薫さん!大丈夫!?」

 

「あんたかぁ!?あんたが満と薫を、苦しめて居るんだね!」

 

「許せない・・・」

 

 拳を振るわせ、満と薫を庇うように前に出た咲と舞、

 

「アクダイカーン様、この者達が伝説の戦士プリキュア!」

 

「プリキュアだとぉぉ!?」

 

 アクダイカーンから再び発せられる闇の力に、一瞬怯む咲と舞だったが、

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 アクダイカーンの目の前で変身を遂げたブルームとイーグレットが、アクダイカーンに啖呵を切ると、

 

「駄目よ、ブルーム」

 

「イーグレット」

 

「お願いです、アクダイカーン様!」

 

「私達の話を聞き入れて・・・」

 

 ブルームとイーグレットを止め、必死にアクダイカーンに訴え掛ける満と薫だったが、

 

「黙れ!お前達は、我が目的を達成する事だけに存在している事を、忘れるなぁぁ!!!」

 

「違う!!満や薫は、あんたの道具じゃない・・・彼女達には、私達と同じ心がある!!!」

 

「二人を恐怖で縛り付け、自分の道具のように操ろうとする何て・・・絶対許せない!!!」

 

 アクダイカーンの言葉を、真っ向から否定したブルームとイーグレットは、キッとアクダイカーンを睨み付けると、

 

「私達の大切な友達を!満と薫を!!」

 

「「絶対に守って見せる!!」

 

「咲・・・」

 

「舞・・・」

 

 ブルームとイーグレットが、自分達の為にアクダイカーンと戦おうとする姿に、呆然とする満と薫、

 

「大切な友達だと!?満と薫は我が下僕、我の為に存在すればいいのだぁぁ!!」

 

 アクダイカーンの右手に持つ水晶が、黒い稲光を発し、力を溜め始めるのを見たブルームとイーグレットは、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 二人から発せられた螺旋の渦と、遅れてアクダイカーンから発せられた黒い禍々しいエネルギーが激突する。必死に力を込めるブルームとイーグレットだったが、ツインストリーム・スプラッシュは掻き消され、二人は、アクダイカーンの攻撃を受け吹き飛ばされる。

 

「ツインストリーム・スプラッシュが効かないラピ!」

 

「もう、もう、駄目チョピ」

 

 フラッピが、チョッピが、絶望の声を上げ始める。

 

「我がダークフォールに足を踏み入れ・・・無事で帰れると思うなぁぁ!!」

 

 アクダイカーンの強大な攻撃が、再びブルームとイーグレットに迫る。その時、雄叫びを上げた満と薫が立ち上がり、バリアーを張ってブルームとイーグレットを守った。

 

「満・・・」

 

「薫さん・・・」

 

「バカね・・・あなた達が、アクダイカーン様に適うわけ無いのに・・・」

 

「無謀にも程があるわ!」

 

「だって、大切な友達が侮辱され、傷付けられる何て・・・」

 

「見ていられる訳ないわ!」

 

「フフフ、私達だってそうよ」

 

「今まで、暗い闇の中を生きてきた私と薫に取って、信頼できるのは、私達だけだった・・・」

 

「でも、そんな私達を本気で励まし、心配してくれる友達に出会った!」

 

「「私達がこんな風に思ったのは・・・大切な友達を信頼したから」

 

 見つめ合った四人が笑みを浮かべ合った・・・

 

「満殿、薫殿、まさしくあなた方は裏切り者です!」

 

「何とでも言えばいい・・・」

 

「私達は、大切な仲間をこれ以上・・・」

 

「「苦しめさせない」」

 

 満と薫の言葉に、ブルームとイーグレットの目に涙を浮かんだ。二人は満と薫に手を差し伸べると、

 

「満、薫、帰ろう!私達の世界に!!」

 

「なぎささん達も、首を長くして待っているわ!」

 

「帰るだとぉぉ!?許さん・・・滅びよ!!!」

 

 怒りに燃えるアクダイカーンが、更に力を加えると、満と薫の顔が益々苦悶に歪んだ。

 

「咲、舞、あなた達に出会えて良かった!」

 

「一緒に、ひまわりの花が咲くの、見れなくて・・・ゴメンね」

 

 見つめ合った満と薫が、手に持っていた6個の奇跡の雫を、ブルームとイーグレットに託すと、

 

「これ、空の泉を甦らせるのに必要何でしょう?」

 

「私達は見れないけれど・・・きっと素晴らしい所何でしょうね・・・」

 

「そうだよ、だから一緒に、一緒に行こう!」

 

「満さん、薫さん!」

 

 満と薫は、最後の力を振り絞ると、ブルームとイーグレットを次元に歪みに逃がす、

 

「嫌だよ、満ぅぅ!」

 

「薫さん!!」

 

「「咲、舞・・・ありがとう!」」

 

 次元に消えていくブルームとイーグレットは、満と薫が残してくれた奇跡の雫を握りしめて涙を流していた。フラッピも、チョッピも、掛ける言葉が見当たらず涙を流していた。

 

 

 

 大空の樹で、咲、舞、満、薫の帰りを、今か今かと待ち続けるなぎさ、ほのか、ひかりの下に、上空から切り裂かれた空間から、咲と舞が降ってきて、思わずホッとするなぎさ達だったが、満と薫の姿が見当たらず、表情を曇らせる。

 

 起き上がれず、座り込んだまま泣き続ける咲と舞の姿に、なぎさ、ほのか、ひかりが近付き、優しく声を掛けると、咲はなぎさに、舞はほのかに縋り付き号泣し続けた。

 

「私達を庇って、満と薫は・・・」

 

「私達、満さんと薫さんを救うどころか、救われて・・・」

 

「咲、舞・・・」

 

「私達が居ながら・・・彼女達に同じ思いをさせる事になる何て・・・」

 

 やりきれない思いを抱きながら、優しく咲と舞の頭を撫でるなぎさとほのか、ひかりも、メップル達、フラッピ達も涙に暮れた。

 

 大空の樹に、少女達の泣き声が響き渡った・・・

 

 

             

               第三話:謎の転校生、満と薫

                     完

 

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