ふたりはプリキュアMax☆Star   作:鳳凰009

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第四話:強敵登場!?

               第四話:強敵登場!?

 

1、悲しみの中の希望

 

 満と薫は、咲と舞を救う為、ダークフォールで自分達の力の全てを解放し、咲と舞をこの世界に戻した。救う事が出来なかった咲と舞、そして、なぎさ達、妖精達は、やるせない思いを抱きながら悲しみ暮れていた・・・

 

 大空の樹の下、泣き疲れた咲と舞が落ち着いたのを受け、フラッピとチョッピが話し出す。

 

「満と薫は・・・空の泉の奇跡の雫を、全て咲と舞に託してくれたラピ」

 

「舞、咲、彼女達の思いに応える為にも・・・空の泉を解放して欲しいチョピ」

 

 フラッピにも、チョッピにも、今こんな事を咲と舞に頼むのは酷な事だとは分かっていたのだが・・・

 

「咲、舞、何なら私とほのか、ひかりで空の泉を解放してくるけど?」

 

 咲と舞、二人の心の傷を労り、自分達が代わりに空の泉を解放して来ようか聞くなぎさに、

 

「なぎささん・・・ううん、大丈夫!満も薫も、私達に託してくれたんだもん」

 

「私達が、空の泉が解放される姿を、見届ける義務があると思うの」

 

 ゆっくり立ち上がった咲と舞が、涙を拭いそう言うと、なぎさ達も、フラッピ達も頷くのだった。

 

 キャラフェに奇跡の雫を入れた咲と舞、キャラフェが輝き、一同は大空の樹から、空の泉へと送られて行った。

 

 

 空の泉も、今まで解放してきた泉のように、枯れ果てていた・・・

 

 そんな中、ポルンは枯れ果てた木々の中に、蠢く物体を見た気がして、後を追いかけ始める。走り出したポルンを見たルルンが、その後をチョコチョコ追う。

 

「ポルン、ルルン、何処に行くの?」

 

「全く、あの子達ったら・・・ひかりは二人を追って!こっちは私達が解放するから」

 

 ひかりはなぎさの言葉に頷くと、ポルン、ルルンの後を追い走り出した。

 

「咲、舞、奇跡の雫を此処に零すラピ」

 

 フラッピの言葉に頷いた咲と舞は、互いに手を持ち、二人で雫を零していく。嘗てのように泉は復活を果たし、木々が甦り始めた。

 

「満、薫、あなた達が託してくれた奇跡の雫が・・・空の泉を、こんなに素晴らしい姿に甦らせてくれたよ!」

 

「満さん、薫さん・・・一緒に、一緒に見せて上げたかった・・・」

 

「咲・・・舞・・・」

 

 満と薫にも見せて上げたかったと言う咲と舞に、なぎさもほのかも言葉を失う・・・

 

「待つポポ!一緒に遊ぶポポ!!」

 

「風船ルル?」

 

 再び戻って来たポルンとルルン、その直ぐ後にひかりが戻って来ると、

 

「なぎささん、ほのかさん、咲さん、舞さん、この泉に・・・何か居ます!!」

 

「エェェ!?」

 

「まさか、ダークフォールの新手?」

 

 ひかりの言葉に顔色を変える一同、なぎさとほのかは、ダークフォールの新たなる刺客かと顔色を変える。今の咲と舞を戦わせるのは酷だと、自分達が、彼女達の分も戦おうと心に秘めるも、

 

「でも、邪悪な気配はしないメポ」

 

「何だか、知ってる気配ラピ?」

 

 メップル、フラッピが、敵では無い気がすると言うと、なぎさとほのかはホッと安堵した。

 

 その時、泉が輝き、フィーリア王女が姿を現わした!

 

「咲、舞、なぎさ、ほのか、ひかり、メップル、ミップル、ポルン、ルルン、そして、フラッピ、チョッピ、空の泉を解放してくれてありがとう!満、薫の事は・・・辛い困難でしたね・・・」

 

 フィーリア王女が、満と薫の事を知っている事に驚く一同、フィーリア王女は尚も言葉を続け、

 

「ですが、諦めないで下さい!希望を失わず、その強い気持ちを持ち続ければ・・・満と薫、二人にもきっと届く筈です!!」

 

 フィーリア王女の言葉を聞き、ハッとする一同、

 

「フィーリア王女、満と薫を知ってるんですか?」

 

「満さんと、薫さんは・・・生きているんですか!?」

 

 取り乱しながらも、フィーリア王女に問う咲と舞に、

 

「私は、この地に居ても、あなた方を見守っています!二人の命は・・・まだ完全に失われた訳ではありません!!」

 

 満と薫、二人の命はまだ失われてはいない・・・

 

 フィーリア王女は、そう断言した・・・

 

 フィーリア王女の言葉を受け、表情が明るくなる一同、その時、甦った木々の中で、一同の様子を伺っていた二体の生き物が、満と薫と言う言葉に敏感に反応する。

 

「今、満と薫って言ってたムプ」

 

「満と薫は、フープとムープを助けてくれたププ」

 

 二体の生き物は、もっと詳しい事を聞きたいのか、フワフワ浮かびながら一同の周りに近づいて来る。二体共似たような姿をしていて、その姿は、オバケ屋敷にあるような火の玉に見えなくも無い、前に小さな手があり、尾には尻尾のような物が生えていた。黄緑色をした者がムープ、薄いピンク色をした者がフープ、二体は警戒しながらも、一同の前にやって来た。

 

「な、何、あの子達!?」

 

「さ、さあ?」

 

 なぎさと咲が、二人を見て驚きの声を上げる中、フラッピとチョッピは懐かしそうに二人を見ると、

 

「あれは、フープとムープラピ」

 

「二人共、無事だったチョピ!」

 

「ムプ?・・・フラッピムプ」

 

「ププ?・・・チョッピププ」

 

 フラッピとチョッピ、そしてムープ、フープが、再会を喜び合うように踊りあった。

 

 フィーリア王女は、微かに口元に笑みを浮かべるも、直ぐに表情を引き締め、先程の会話の続きを話し出した。

 

「ですが、彼女達は深い闇の底で眠りに付いています・・・でも、あなた方が希望を失わず信じ続ければ・・・その思いはきっと、彼女達に届く事でしょう!!そして、みんなが力を合わせた時、あなた方に新たな力が生まれる事でしょう・・・」

 

 フィーリア王女はそう言い残し姿を消した。

 

 再び狭間に吸い込まれた一同は、大空の樹を通して、自分達の世界へと戻って来る。転げながら外に出た一同、逆さまのままなぎさは、

 

「何時も戻って来る度に思うけどさ・・・もっとまともに戻る方法無いの?」

 

「本当・・・もうちょっと何とかして欲しいね?」

 

 苦笑を浮かべ合うなぎさとほのか、咲と舞の表情は行く時とは違っていた。

 

「フィーリア王女は、希望を持ち続ければ、満と薫にまた会えるって言ってた!」

 

「ええ、私達は信じるわ!満さんと薫さんに、また必ず会えるって!」

 

「そうだね・・・ところで、あの子達も一緒に来ちゃったみたいだけど?」

 

 なぎさが指さす方向を見ると、ムープとフープが、目を回しながら横たわっていた。フラッピ、チョッピが直ぐに駆け寄り介抱すると、ムープ、フープは気付くものの、一同を見付けるや、慌てて木の間に隠れた。

 

「ムープ、フープ、大丈夫ラピ!」

 

「みんなはプリキュアチョピ!みんなの力で、泉は元の姿を取り戻してるチョピ」

 

 フラッピとチョッピの言葉を聞いた二人は、顔を見合わせると、

 

「プリキュアムプ?満と薫を知ってるムプ?」

 

「満と薫は、フープ達を助けてくれたププ」

 

「満と薫が?どういう事!?」

 

 咲の問いに対し、話し始めるムープとフープ、空の泉は、ダークフォールの襲撃を受け枯れ果てた。何とか逃げ延びたムープとフープは、隠れるように空の泉で暮らし続けていた。

 

 そんなある日、何時ものように、荒れ果てた木々の中を彷徨っていた時、枯れた大木が倒れ出し、二人に直撃しようとした瞬間、満と薫が大木をへし折り、二人は助かった。怯えるムープとフープをチラリと見るも、二人は興味無さそうにその場を後にした。ムープとフープは、それからというもの、満と薫を、隠れるようにしながらも慕っていたと告白した。でも怖くて、中々お礼を言いに行けず、今に至っている事を話した。直に会って、二人にお礼が言いたいと・・・

 

「そんな事があったんだ・・・大丈夫!フィーリア王女が言った言葉を信じて、希望を持ち続ければ、また会えるよ!」

 

「うん、咲の言う通りよ!!」

 

 咲と舞の言葉を受け、笑顔を見せるムープとフープだった。

 

「ねぇ、あそこに転がってるのって・・・私達と一緒に、空の泉から現われたのかなぁ?行く前には無かったと思ったけど!?」

 

「そうね、確かにあんな物は置いてなかったと思うわ」

 

 なぎさの言葉にほのかも頷く、近付いた一同がじっくりと見てみると、ピンク色をした小型のパソコンのような形をしていた。

 

「ゲッ、パソコン!?私、分からないや!」

 

「私も・・・」

 

 なぎさと咲が苦笑を浮かべながら言うと、

 

「う~ん、確かに似てるけど・・・パソコンとは少し違うようね」

 

 少し触っていたほのかが、パソコンとは違うと話した。

 

 今後の事を話し合う一同、ムープとフープ、パソコンのような物は、咲が一先ず預かる事になった。

 

「じゃあ、私達は帰るけど・・・咲、舞、何か遭った時は知らせて!」

 

「私達も、あなた達の力になるから!」

 

「咲さん、舞さん、それじゃ、また!」

 

「うん、みんな、ありがとう!」

 

「さようなら!」

 

 なぎさ達は自分達の街へと帰って行った。

 

 咲と舞に取って、永い、永い一日はこうして終わった・・・

 

 

2、水の魔術師とキントレ紳士

 

 ダークフォール・・・

 

 アクダイカーンの前に、ゴーヤーンと共に二つの人影があった。胸元の開いた水色の衣装を着たミズ・シタターレ、上半身金色のモヒカン姿のキントレスキー、ダークフォール最強を争う二人が、遂に召喚された。

 

「ミズ・シタターレ殿、キントレスキー殿、お二方をお呼びになった理由は、既にお分かりですよね?」

 

「オ~ホホホホ!もちろん分かってるわよ、ゴーちゃん!」

 

「ウム、プリキュアを倒し、太陽の泉の在処を調べろと言うのであろう?」

 

「仰る通りでございます!まあ、お二方に掛かれば造作も無い事は、私も重々承知しておりますが、既にカレハーン殿、モエルンバ殿、ドロドロン殿が倒されました。まあ、裏切り者の満殿と薫殿はさておき、プリキュアの力、中々侮れないようです!!」

 

 ゴーヤーンの言葉に同意するように、アクダイカーンが二人に更に命令する。

 

「ミズ・シタターレ、キントレスキーよ!木の泉、火の泉、土の泉に続き、空の泉まで取り戻された。これ以上の失態は許されん・・・」

 

「お任せ下さい、アクダイカーン様!」

 

「プリキュアを必ず倒してご覧に見せましょう!」

 

「期待して居るぞ!両名共!!」

 

「「ハハァ!!」」

 

 ミズ・シタターレ、キントレスキーが、アクダイカーンに頭を垂れた。ゴーヤーンは揉み手をしながら、

 

「お二方なら、単体でプリキュア共に当たられても大丈夫でございましょう・・・そこで、ミズ・シタターレ殿には、泉の精の力を持つプリキュアを、キントレスキー殿には、三人のプリキュアの方をお任せしたいのですが・・・よろしいですか?」

 

 二人は顔を見合わせると、互いにライバル心を表情に浮かべながら同意をした。今、ダークフォール最強の戦士達が、なぎさ達、咲達に迫ろうとしていた・・・

 

 

 

 梅雨も明け、夏休みになった・・・

 

 この日もひかりは、アカネの手伝いで、朝早くから店の開店準備をしていた。ザケンナーコンビの内、チビザケンナーは、アカネからたこ焼きの作り方を教わっていた。

 

「あんた、中々センスあるよ!もうちょっと練習すれば、十分お客さんに出せるよ!」

 

「本当ですかザケンナー?」

 

 チビザケンナーは、嬉しそうに自分の作ったたこ焼きを見つめる。ひかりも、そんなやり取りを微笑ましく見ていた。一方のノッポザケンナーはといえば、ひかると共に鬼ごっこをして遊んでいた。アカネは苦笑を浮かべながら、

 

「あっちもあんた見たいに、もうちょっとやる気を見せてくれると、良いんだけどねぇ・・・」

 

「め、面目ないザケンナー・・・おい、お前も遊んでばかり居ないで、ひかり様の手伝いでもしろザケンナー」

 

「今忙しいザケンナー」

 

「何処が忙しいザケンナー!お前はただ、坊ちゃまと遊んでるだけザケンナー!」

 

 相変わらずコミカルなやり取りをするザケンナーコンビに、ひかりもアカネも笑っていたのだが、ノッポザケンナーから逃げ回っていたひかるが、三人組のガラの悪い男達にぶつかり倒れる。一人は黒い帽子を被り、黒いドクロのTシャツに、黒い短パンの背の高い男、もう一人は、体格の良いスキンヘッドの男、三人目は、短い金髪で耳にピアスをした男、

 

「何だ、このガキ!」

 

「おい、ぶつかって挨拶ねぇのかコラァ!」

 

 ひかるを威嚇するドクロシャツとスキンヘッドの男に、慌ててひかりが駆け寄り、

 

「す、すいません・・・私の弟何です!許して上げて下さい!」

 

 ひかるを後ろに庇い、必死に三人組に謝るひかりの姿に、三人組は顔を見合わせニヤニヤすると、

 

「お嬢さん、可愛いねぇ・・・じゃあ、弟の詫びの代わりに、俺達と付き合ってよ!」

 

 ひかりの手をドクロの男が強引に掴み、その場から連れて行こうとする三人組、ひかりは止めて下さいと言うも、男達はお構いなく尚も腕を引っ張る。

 

「ちょっとあんたら!いい加減にしなよ!!」

 

 顔色を変えたアカネが、男達の側に駆け寄り、ひかりを抱きしめるとひかりは震えていた。

 

「おっ、こっちのお姉さんも良いねぇ!」

 

「この街に遊びに来たかいがあったな!二人共、どっか、遊びに行こうぜ!!」

 

 金髪男とドクロ男が、アカネを見て更にニヤニヤする。

 

「あいにくあたしら、店があって暇じゃないの!あんた達と違ってね・・・ひかり、ひかるを連れて向こうに行ってな」

 

 駆け寄ってきたザケンナーコンビが、ひかりとひかるを車の中へと避難させると、二人もアカネの下に駆け寄る。

 

「お前達、いい加減にしろザケンナー」

 

「アァ!?ざけんなぁだと?喧嘩売ってんのかテメェ!」

 

「おい、お前はさっきの女、車から引き摺り出して来い」

 

 チビザケンナーの言葉に切れたドクロ男、スキンヘッドが、金髪男にひかりを車から引き摺り出して来いと命じると、金髪男はニヤニヤしながら車に向かおうとした。

 

 その時、彼は現われた・・・

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ」

 

 ねずみ色のパーカーを着た大男が、ランニングに精を出していた。大男は、TAKO CAFEの側まで来た時、このやり取りと遭遇する。

 

 当初は興味無さそうに、その場を通過しようとした大男だったが、車に向かおうとした金髪男が、自分の行く手を遮るように、突然現われると表情を変え、金髪男の肩をムンズと掴むと、

 

「退け!トレーニングの邪魔だ!!」

 

 大男は、ほんの軽く退かしたつもりだったが、金髪男は、遙か遠くに悲鳴を上げながら飛ばされた。

 

「な、何だ、テメェは!?」

 

「テメェも俺達に喧嘩売ってんのか?アァ!!」

 

 スキンヘッドの男が、大男のボディにパンチを浴びせるも、大男は何事も無かったように立ったままだった。ドクロの男が、持っていたナイフを取りだし、大男に切りつけると、アカネも、車の中から見ていたひかりも思わず悲鳴を上げる。だが、へし折れたのはナイフの方だった。唖然とする男達と、アカネ&ひかり、大男はドクロ男からナイフを奪い、まるで紙を丸めるように、ナイフを丸めてポイすると、スキンヘッドとドクロが思わずたじろいだ。

 

「何だ、今のがパンチか?おまけに武器に頼るとは・・・成っておらん!成っておらんぞぉぉ!!パンチとは・・・こうするものだぁぁ!!」

 

 側に合った大木を、右ストレートでへし折り、ギロリと男達を一睨みすると、男達は恐怖の余り失禁し、そのまま腰も抜けんばかりに、慌ててその場を逃げ出した。

 

「フン、軟弱な奴らめ!練習台にもならん!!」

 

 再びランニングしようとする大男を、我に返ったアカネが慌てて呼び止めた。

 

「あ、ありがとうございます!お陰で助かりました!!良かったら、お礼をしたいので、そこに座ってお待ち下さいませんか?」

 

「礼になど及ばん!トレーニングの邪魔者を、懲らしめただけだからなぁ・・・だが、折角の行為を無にするのも失礼だな・・・待たせて貰おう!!」

 

 大男がテーブル席にドカっと座ると、アカネはワゴンの中に引っ込み、たこ焼きを作り始め、代わりにひかりとひかるが外に出て、大男の側にやってくると、

 

「あのぅ・・・ありがとうございました!あなたが居られなければ、私達、どんな目に遭わされていたか・・・」

 

「おじちゃん、ありがとう!」

 

 ひかりが、ひかるが大男に深々と頭を下げる。大男は二人を見渡し、

 

「フム、そう畏まるな!私はトレーニングの邪魔をされるのが、大嫌いでな・・・礼には及ばん!だが、少年!お前も男なら、トレーニングを怠っては行かんぞ!!」

 

 ひかるの頭を撫で回し、トレーニングするように促すと、

 

「うん、僕もおじちゃん見たいに、お姉ちゃん達を守れるように強くなるよ!」

 

「オオ!その息だ!!見上げた心掛けだぞ!!!」

 

 ひかるの返事に、何度も頷きながら、嬉しそうな表情を見せる大男だった。

 

 たこ焼きが出来上がり、アカネがたこ焼きを持って大男の下にやって来ると、

 

「はぁい、お待たせ!たこ焼きどうぞ!!」

 

 大男は、目の前のたこ焼きに首を傾げながらも、

 

「フム、たこ焼きと言うのか?中々食欲を誘う匂いだな・・・どれ、頂くとするか」

 

 爪楊枝をたこ焼きに刺し、一口で口の中に放り込んだ大男が、モグモグ食べると、

 

「ンマァイ!何だこれは・・・このような美味い物があるのか!?」

 

 たこ焼きの美味しさに、パクパク食べて、一分持たず完食した大男は、

 

「実に美味い!このような美味い物は、初めて食べた・・・ご主人、悪いが後10箱程頂けるか?」

 

「嬉しいねぇ・・・あいよ、今大急ぎで焼いてくるから、ちょっと待っててねぇ!!」

 

 アカネがワゴンに戻り、汗だくになりながらもたこ焼きを焼き続ける。ひかりとチビザケンナーも手伝い、ようやく10箱出来上がり、大男の下に持ってくると、

 

「ご主人、いくらだ?」

 

「エッ!?いえいえ、お代は結構ですよ!先程のお礼もあるし・・・」

 

「嫌々、先程のお礼なら頂いた!これは私が勝手に注文した物、お代はちゃんと払わせて頂く!!」

 

 体格と違い、紳士的な振る舞いをする大男に、好感を持つ一同であった。大男はアカネにたこ焼き代を払うと、

 

「馳走になった!また伺わせて貰おう!!」

 

 軽く手で合図し、また来ると告げると、大男は、再びランニングをしながら去って行った。

 

「イヤァ、あんなに家のたこ焼きを喜んでくれる何てねぇ・・・また来るって言ってたし、常連さんになってくれると有り難いんだけどねぇ!」

 

 アカネは嬉しそうに、大男の後ろ姿を見送ると、ワゴンに戻っていった。ひかりは大男の後ろ姿を見送りながらも、大男が発する、妙な違和感に戸惑うのだった・・・

 

 

 

 海原市夕凪・・・

 

 この日は、夕凪でフェスティバルが開かれていた。色々な出し物が有り、賑わっていった。そこには、みのりを連れて、浮かない表情をした浴衣姿の咲と舞の姿もあった・・・

 

「お姉ちゃん!みのり、金魚すくいがしたい!」

 

「はいはい、どうぞ!」

 

 咲がOKしてくれて、みのりは嬉しそうに金魚すくいを始めて居た。

 

 咲と舞が、浮かない表情なのには訳があった・・・

 

 フィーリア王女から、満と薫は生きていると教えられ、元気を取り戻した咲と舞だったが、次の日、教室には満と薫が座っていた席は空いていたのだが、クラスメートも、担任の篠原先生も、誰一人、満と薫の存在を知っている者が居なかったのだ。家に帰った咲と舞が、家族に満と薫の事を話して見るも、誰一人覚えている者は居なかった。

 

 一体どうして覚えていないのか?まさか、なぎさ達も覚えて居ないのでは、そう危惧した二人は、なぎさ達に連絡すると、なぎさ達はちゃんと覚えて居て、二人はホッと安堵するのだった。

 

 ほのかの話しによると、嘗てひかりが居なくなった時も、今回と同じような事があったと告げる。恐らくは、満と薫の何らかの力が働いていたものが、二人が居なくなった事で、効果が無くなったのでは?という事だった。

 

 折角二人が生きていると知った喜びも、自分達となぎさ達以外覚えて居ないという現実に、二人の心に悲しみが広まっていた。

 

「うわぁ、おばちゃん凄い上手!みのりにも教えてぇ!!」

 

「オ~ホホホホ!あたくしに掛かれば、この程度朝飯前よ!でもね・・・おばちゃんじゃないでしょう?」

 

 みのりの隣で、水色の浴衣を着た女性が、大量に金魚をすくい上げ、みのりは目を輝かせ、教えてとせがむ、女性は褒められ高笑いを浮かべるも、おばさんと言う言葉には、敏感に反応していた。みのりが女性に失礼な事を言ったようだと悟り、我に返った咲と舞は、慌てて女性の下に赴き詫び始める。

 

「みのり、何やらかしたの?すいませんでした・・・その娘、私の妹何です!」

 

「ブー!みのり、何も悪い事してないもん!」

 

 咲に注意され、みのりは頬を膨らますと、女性は再び高笑いを始め、

 

「オ~ホホホホ!そうよねぇ、悪い事はしてないわよねぇ・・・ただ、おばさんはね・・・こんなピチピチしたお姉さんを捕まえて・・・おばさんはねぇ?」

 

「ゴ、ゴメンなさい!綺麗なお姉さん・・・みのりちゃんを許して上げて下さい!」

 

 さり気なく、舞が綺麗なお姉さんとフォローすると、女性の機嫌はたちまち直り、

 

「オ~ホホホホ!良いのよ、分かって頂ければ・・・はい、お嬢ちゃん!取り過ぎちゃったんで、お裾分けするわ!」

 

 女性が金魚をみのりにプレゼントすると、みのりが大喜びする。女性は高笑いを浮かべながら、その場を去っていった。

 

「今の人・・・凄い上手かったね!」

 

「ええ、金魚すくいのプロ・・・って言った所かしら!?」

 

 咲と舞は、去っていった女性の後ろ姿を見て、思わずポツリと呟いた。

 

 

「咲、舞、フラッピ達も、お祭りで遊びたいラピ」

 

「お祭りムプ」

 

「楽しいププ」

 

 フラッピ達が騒ぎ出し、慌ててみのりに此処から動かないように伝え、物陰に行った咲と舞は、フラッピ達に、見つかっちゃうから絶対に巾着袋から出ないように釘を刺した。フラッピ達は、不満そうに頬を膨らますが、

 

「絶対に・・・駄目!!!」

 

「ゴメンね・・・これだけ大勢居たら、何時あなたたちが見つかっちゃうか分からないし、今回は我慢してね!」

 

 咲は、怖い顔をして絶対駄目だと釘を刺し、舞は、フラッピ達の気持ちは分かるが、今回は我慢してと申し訳そうな顔をする。

 

 みのりの下に戻り、再びフェスティバル内をブラブラする三人は、三人組の男達に絡まれる健太を見掛け、慌てて駆け寄った。

 

「オラオラ、テメェの詰まらない駄洒落を聞いてやったんだ!」

 

「さっさと聞き賃払いな!」

 

 三人組の男達・・・

 

 ひかりとアカネにチョッカイを掛け、大男に追っ払われた男達である。這々の体(ほうほうのてい)でTAKO CAFEから逃げ出した男達は、そうそうとなぎさ達の街から逃げ出し、この街でフェスティバルが開かれていると知り、憂さ晴らしに来ていた。

 

 コメディアンを目指す、咲の幼馴染みである健太は、人が多いフェスティバルを利用し、自らのギャグを披露していたのだが、相変わらずのつまらなさで、その場に立ち止まる者は居なかった。三人組は、いいカモを見付けたと、ニヤニヤしながら健太に近づき、健太の駄洒落に茶々を入れながら絡み、おまけに金まで集(たか)っていた。

 

「健太、どうしたの?」

 

「大丈夫!?」

 

 突然現われた咲と舞を見た三人組は、ニヤニヤすると、スキンヘッドが健太に腕組みすると、咲と舞に話し掛ける。

 

「何だ、君の知り合いか?紹介しろよ!初めまして!お嬢さん達、可愛いね・・・ちょっと、俺達と付き合ってよ!!」

 

 ひかりにしたように、黒い帽子の男が咲の手を、金髪の男が舞の手を強引に掴むと、みのりは恐怖で泣き出す。

 

「ピィピィ五月蠅ぇぞ、ガキ!」

 

 スキンヘッドがみのりを威嚇し、みのりの手を払いのけると、手に持っていた金魚が飛ばされ、袋が破けたのか水が零れだし、金魚がその場でピチピチ跳ねる。みのりが益々大泣きするのを見た咲と舞は、

 

「みのり!ちょっとあんた、私の妹に何するのよ!」

 

「あんな小さな子に・・・みのりちゃんに謝って!!」

 

 顔色を変えた咲と舞が、男達に文句を言うも、男達は知った事かとせせら笑う。健太も止めるように言うも、五月蠅いとばかりにスキンヘッドに突き飛ばされる。

 

 そんな場面に、再び彼女は現われた・・・

 

 

「あらぁ?さっきのオチビちゃんじゃない!?」

 

 泣いているみのりを見た女性は、側でピチピチ跳ねている金魚を見るや、帯に差していた扇子を取り出し、サッと振りかざすと、再びビニールに水が溜まり、穴も塞がっていた。金魚は何事も無かったように再び泳ぎ始める。まるで魔法のような女性の行為に、泣いていたみのりは、思わず呆気に取られ泣き止んだ。

 

 男達は、新たに現われた女性を見ると口笛を吹き、

 

「ヒュゥ~、こっちにも良い姉ちゃんが居るぜ!おまけに胸の方も・・・たまらねぇな!」

 

 スキンヘッドの男が、女性の胸元を凝視し、涎を垂らすのを見た女性は、不快そうに顔色を変え、

 

「あたくし、ボソボソ喋る奴と、あんた達のような下品な男は、大嫌いですの!」

 

「そう言うなよ・・・お姉さん、仲良くしようよ!」

 

 スキンヘッドが女性の身体に触れようとした時、女性がパンっと扇子を叩くと、扇子の先端から水が飛び出し、スキンヘッドを水浸しにする。

 

「テメェ、何しやがる!」

 

「オ~ホホホホ、水に濡れれば、少しはマシになるかと思ったら、下品な顔は下品なままだ事」

 

 怒るスキンヘッドを、翻弄して嘲笑う女性は、咲と舞の手を掴んでいる帽子と金髪の二人を見ると、

 

「一人じゃ相手に成らないようね・・・良いでしょう!このあたくしに三人掛かりで触れる事が出来れば、付き合って上げても良くってよ!」

 

 女性が挑発するように男達を見ると、咲、舞の手を掴んでいた男達が、咲と舞の手を離し、スキンヘッドに合流する。

 

「ふざけやがって・・・その浴衣、ひん剥いてやる!」

 

 三人の男達は、女性を取り囲むようにジリジリ女性に近付いて行く。顔色を変え、この事態を見つめる咲と舞は、

 

「あんた達、卑怯よ!」

 

 咲が文句を言うも、女性は扇子を振りながら、

 

「お嬢ちゃん達、心配には及ばない事よ!こんな唐変木(とうへんぼく)共に触られる程、あたくし、柔じゃなくってよ・・・オ~ホホホホ」

 

 女性が笑いながら扇子を撫でると、女性の周辺に靄(もや)が掛かり、視界が見えにくくなる。だが、頭に血が上った男達は、そんな事に気付かず、

 

「嘗めやがって・・・おい、一斉に行くぞ・・・せぇぇの!!」

 

 スキンヘッドの合図に従い、三人の男達が女性に一斉に飛び掛かるも、男達は、頭をゴチンと当て合い、同士打ちをすると、男達の背後で女性の笑い声が響き渡った。

 

「オ~ホホホホ!鬼さんこちらぁ」

 

 嘲笑う女性を、何度も、何度も、捕まえようとするも、男達は一切女性に触れる事が出来なかった。

 

「畜生、どうなってやがる?」

 

「こっちは三人だぜ?」

 

「何てすばしっこいんだ・・・あの女!?」

 

 疲れてきたのか、男達の息が上がってくると、女性は飽きてきたのか、扇子をパンと叩き、

 

「もう、飽きてきたわねぇ・・・さあ、あたくしに挑んだ報いを、受けて頂こうかしらねぇ?」

 

 女性が華麗に扇子を振り回し、扇子から水が飛び出すと、まるで生きているように蠢き、虎、龍、獅子のような姿をした水が、三人の男達を追いかけ回した。

 

「ウワァァ!な、何だこれは!?」

 

「もう嫌だ、もう嫌だぁぁ」

 

「来なきゃ良かったぁぁ」

 

 半べそかいた男達が、這々の体で逃げて行った。それを見ていた人々は、女性が放つイリュージョンに驚き、盛大な拍手が巻き起こった。女性は目立って嬉しかったのか、高笑いを浮かべ続けた。

 

「舞!それに咲ちゃんじゃないか!?一体どうしたの?」

 

「あっ、お兄ちゃん!うん、変な人達に健太くんが絡まれちゃって・・・」

 

「和也さん!あのぅ・・・私達も無理矢理連れて行かれそうだったんですけど、あそこで高笑いしているおば・・・お姉さんに助けられて・・・健太も大丈夫見たいで良かったです」

 

「そう・・・でも、みんな無事で良かった!」

 

 友人と一緒に来ていた舞の兄和也は、人集りが気になり見に来ると、妹である舞や、咲がその中心に居た為、慌てて駆けつけたのだった。和也の顔を見て、和也に気がある咲が、顔を赤くして照れながら説明している姿に、良い所を見せられなかった健太は、複雑そうな表情で咲を見つめた。

 

 

 上機嫌で再びフェスティバルを散策していた女性は、ある店先前で呼び止められ、その店を見ると、まるで商売をする気が垣間見れない、不気味なゴーヤだけぶら下げた店と、その主人を見て思わず仰け反り、

 

「ゲッ!ゴーちゃん!?どうしてゴーちゃんが此処に?」

 

「私はゴーヤーンです!いえね、お二方が中々仕事をしてくれないので、ちょっと様子を見に来たんですが・・・いやいや、驚きました!ミズ・シタターレ殿、プリキュアを倒すどころか、助けてどうするのですか?」

 

「ハァ?このあたくしがプリキュアを助ける!?」

 

「そうです!先程あなたが助けた二人組こそが、日向咲、美翔舞、プリキュアですぞ!!」

 

「ゲッ!?」

 

 ゴーヤーンの言葉に、思わず仰け反り、しまったといった表情を浮かべたミズ・シタターレだったが、

 

「オ~ホホホホ!あれがプリキュアですって!?男に絡まれ泣きそうになっていたあの二人組がねぇ・・・あれじゃ、あたくしの相手など務まりませんわ!」

 

「そうでございましょう・・・では、そろそろプリキュアを片付けて頂きたいものですなぁ!?」

 

「それは何時でも出来る事!折角緑の郷に来てるんだから、滅びる前に堪能しなくちゃ・・・それより、ゴーちゃん・・・あんた、センス無いわねぇ?これじゃあ、お客なんて寄りつきやしないわよ!では、ご機嫌よう!オ~ホホホホ」

 

 高笑いしながら去っていった、ミズ・シタターレの後ろ姿を見つめながら、溜息を付いたゴーヤーンだったが、自分の店を改めて見つめると、

 

「確かに・・・一人もお客さんが寄りつかないですねぇ?」

 

 素通りしていく人々の群れに、首を傾げるゴーヤーンだった・・・

 

 

3、特訓何て・・・ありえなぁ~い

 

「アカネさん、ひかり最近元気無いけど・・・何かあったの?」

 

「私達が聞いても、何も無いですって言って、作り笑いを浮かべてるんですけど・・・」

 

「ひかり、あんた達に言ってなかったんだ?実は・・・」

 

 アカネがこの間の出来事をなぎさとほのかに伝えると、なぎさとほのかは、心配そうにテーブルを拭いているひかりを見る。ひかりの下に向かったなぎさとほのかは、優しくひかりに声を掛け、励まそうとすると、

 

「ゴメンなさい心配掛けて・・・でも、それだけじゃ無いんです・・・」

 

 表情を曇らせ見つめ合い首を傾げるなぎさとほのか、そこに、ねずみ色のパーカーを着た大男が再びやって来た。大男は、チラリとなぎさとほのかを見て笑みを浮かべるも、アカネの下に向かいたこ焼きを5箱買っていた。

 

「あの方が、私とひかる、アカネさんを助けてくれたんです!」

 

「エッ、そうなの?私達からもお礼言った方がいいかなぁ?」

 

「そうねぇ・・・大切な仲間を助けてくれたんだし、一言お礼を言おうか?」

 

 なぎさとほのかは、男が座って食べている席に行くと、

 

「あのう、この間はひかりやひかる、アカネさんを助けてくれたそうで・・・」

 

「ありがとうございました!私達からもお礼申し上げます!!」

 

 なぎさとほのかが、大男に頭を下げると、大男は手を振り、

 

「前にも言ったが、トレーニングの邪魔者を懲らしめただけだ!しかし、まさか助けた相手が・・・プリキュアだったとはなぁ!ハハハハハ」

 

 大男が豪快に笑いだすと、なぎさとほのか、そして聞こえていたひかりの顔色が変わる。

 

「まさか!?」

 

「あなた、ダークフォールの!?」

 

「そうだ、私は・・・キントレスキーだ!此処ではお前達も本気を出せまい?追いて来い!!」

 

 たこ焼きを平らげたキントレスキーが、なぎさとほのかに一緒に来いとその場を後にする。なぎさとほのかは表情を引き締めるも、チラリとひかりを見ると、

 

「ひかり、あなたは此処に居て!」

 

「いくら敵とは言え、恩人相手に戦うのは気が引けるでしょう?此処はなぎさと私に任せて!」

 

 ひかりに笑顔を見せながら、なぎさとほのかは、キントレスキーの後を追った・・・

 

(なぎささん・・・ほのかさん・・・)

 

 二人の後ろ姿を、心配そうに見守るひかりだった・・・

 

 

 なぎさとほのかがちゃんと来た事に、腕組みしたまま満足気に何度も頷いたキントレスキーは、

 

「ウム、見上げた心意気だ!では、お前達の実力・・・試させて貰おう!さあ、プリキュアに変身するがいい!!」

 

「ほのか!」

 

「うん!」

 

 キントレスキーの言葉に、見つめ合ったなぎさとほのかが頷き合うと、

 

「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」

 

 二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力の僕達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

 ブラック、ホワイトがキントレスキーに対し啖呵を切る。キントレスキーは頷くと、腕組みを解き、

 

「では、行くぞ!!ヌゥゥゥン!!」

 

 構えたキントレスキーがブラック、ホワイトに向けて突進すると、二人も迎え撃ち激しい肉弾戦の応酬をする。

 

「フム、中々やるな・・・だが、まだまだ甘い!ヌゥゥオォォ!!」

 

 キントレスキーの強烈な右ストレートを浴び、悲鳴を上げながら吹き飛ばされるブラック、ブラックに気を取られたホワイトには、左ストレートを浴びせ吹き飛ばした。たった一撃食らっただけでも、かなりのダメージを受けた事に二人共驚愕する。

 

「あいつ・・・強いね?」

 

「ええ・・・でも、負けない!」

 

 立ち上がったブラックとホワイトが、再び正面からキントレスキーに挑んで来ると、キントレスキーは益々嬉しそうな表情を浮かべ、

 

「姑息な手段を用いず、この私に正面から戦いを挑むとは・・・お前達、気に入ったぞ!!」

 

 再び激しい肉弾戦を繰り広げる三人、

 

「ダダダダダダダ!!」

 

「タァァァァ!」

 

「ヌゥゥオォォォ!!」

 

 拳と拳が、蹴りと蹴りがぶつかり合う激しい攻防、再びキントレスキーの攻撃を受け、吹き飛ばされたブラックとホワイトが頷き合うと、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す

 

「「マックス~~!!」」

 

 二人の必殺技、マーブルスクリューが発射されると、キントレスキーは両腕を突き出し、マーブルスクリューの威力を受け止める。

 

「いいぞ!中々の力だ!!だが・・・この程度では・・・私は倒せん!!ヌゥゥゥオォォォ・・・ハァァァ!!!」

 

 気合いを更に込めたキントレスキーが、両手で押し返すと、キントレスキーの気合い砲が、マーブルスクリューを掻き消した。

 

「そんなぁ!?」

 

「マーブルスクリューを・・・」

 

「「掻き消すなんてぇぇ!?」」

 

 マーブルスクリューを掻き消され、ブラックとホワイトが激しく動揺すると、

 

「どうした?その程度で呆然とするとは・・・まだまだ鍛えてやらねばならんようだな!ウザイナー!!」

 

 キントレスキーは、自身が持っていた鉄アレイをウザイナーに変えると、

 

「さあ、プリキュア共をもっと鍛えてやれ!!」

 

 現われたウザイナーに対し、身構えるブラックとホワイト、攻撃を始めた二人は、このウザイナーが、今までより強くなっている事を、その身を持って知らしめられた・・・

 

 

 ひかりは心配そうに、戦いに行った二人の帰りを待っていた。自分も行きたい、でもキントレスキーは、敵とは言え自分やひかる、アカネを救ってくれた恩人でもある。ひかりの胸中は複雑だった。

 

「ひかり、プリキュラが危ないポポ」

 

「ポルン・・・そんな」

 

 ポルンの言葉に動揺したひかりは、一同の下へと走り出した・・・

 

 

 鉄アレイのウザイナーによって、無理矢理手足に拘束具を嵌められた二人、力を加えるも拘束具の所為で動きを制限されていた。

 

「さあ、その拘束具を付けても、自在に動けるように鍛錬するが良い!当然私もハンデを付けよう・・・ウザイナー!!」

 

 ウザイナーに命じ、自分にも拘束具を付けるキントレスキーの行為に、ブラックもホワイトも目を点にする。

 

「こんなのありえなぁ~い!何なのよ、あいつ!?」

 

「鍛えるなら自分だけにして!私達まで巻き込まないで!!」

 

 何処か自分の美学に酔いしれているようなキントレスキーに、ブラックもホワイトも呆気に取られるも、動きを制限されている二人に取って、ウザイナーとの戦いも大苦戦する。

 

 

「ブラック!ホワイト!もう、もう止めて下さい!あなたは悪い人じゃ無い筈です」

 

 駆けつけたひかりは、苦戦するブラック、ホワイトを見て心が痛んだ。自分の所為でブラックとホワイトに迷惑掛けている。そんな気がするひかりだった。

 

 ひかりは、自分を救ってくれたキントレスキーが、悪い人とは思いたく無く、キントレスキーに必死に訴えかけるも、

 

「ようやく現われたか、三人目のプリキュアよ!だが、私が悪い人では無いだとぉ!?甘ったれるなぁぁ!私にとって、戦いこそが生き甲斐!アクダイカーン様の行う滅びの力こそ、我が正義!勝手にこの私を美化するとは笑止!!さあ、変身しろ!!!」

 

 キントレスキーがひかりに詰め寄り、変身しろと促す。ひかりは後退りしながらも嫌々をする。だが、目の前でウザイナーの攻撃を食らい、苦戦するブラック、ホワイトを見て表情を引き締めると、

 

「分かりました・・・ポルン!」

 

「分かったポポ」

 

「ルミナス、シャイニングストリーム!!」

 

 ひかりの掛け声と共にひかりの身体を光が包み込んでいく。神々しい光と共にルミナスがその姿を現わす。

 

「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」

 

 ルミナスが姿を現わすと、キントレスキーは満足気に頷き、三人揃ってこそ倒しがいがあるとニヤリと笑んだ。

 

「ルミナス、大丈夫なの?」

 

「はい、ご迷惑をお掛け致しました。私も一緒に戦います!!」

 

 ブラックの言葉に、ルミナスは共に戦うと言うと、ブラックもホワイトもルミナスに微笑みを向けた。ルミナスにも攻撃を仕掛けようとするウザイナーに対し、咄嗟にルミナスはハーティエルバトンを構え叫ぶ。

 

「光の意思よ、私に勇気を!希望と力を!!」

 

 バトンがクルクル回転すると、弓状に変形する。

 

「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」

 

 ルミナスがハーティエル・アンクションを放つと、虹の力がウザイナーの動きを完全に封じる。その力にキントレスキーは思わず驚きの声を上げた。

 

 その隙を逃さず、ブラックとホワイトが手を握り合うと、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア・マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す

 

「「マックス~~!!」」

 

 動きを止められたウザイナーは、マーブルスクリューを受け倒される。嵌められていた拘束具が取れ、思わず三人は、顔を見合わせ嬉しそうにした。

 

「良いぞ!それでこそプリキュアだ!!次の勝負も楽しみにして居るぞ!!」

 

 キントレスキーは、上空高く飛ぶと撤退した。ひかりは複雑な胸中を浮かべながらも、キントレスキーと戦う事を決意した・・・

 

 

4、浚われたフラッピとチョッピ

 

 8月に入り、秋のリーグ戦に備え、ソフト部は連日の猛練習を繰り広げていた。咲の家PANPAKAパンでは、ソフト部への差し入れにパンを届けようとしたものの、お客が途切れず、大介も、沙織も困惑していた。

 

「あらぁ、この店繁盛しているようねぇ?」

 

 人間姿のミズ・シタターレは、プリキュアなど何時でも倒せると、緑の郷での生活を満喫していた。店から漂う香ばしい匂いに惹かれ、ミズ・シタターレは思わずPANPAKAパンに入り、パンを眺めていると、

 

「アァ、あの時のおばちゃん!あの時はありがとう!!」

 

 突然声を掛けられたミズ・シタターレが、声の主を見ると、それはみのりであった。直ぐにあの時の子供だと思い出したミズ・シタターレは、

 

「あぁ、あの時のお嬢ちゃんじゃない!オ~ホホホホ、いいのよ、お礼何て!でもね、そろそろおばちゃんは止めて、お姉ちゃんって呼ばなきゃ駄目よ」

 

 みのりの頭を撫でながらも、おばさんと呼ばれる事だけは避けようと必死なミズ・シタターレ、みのりの言葉を受け、大介も沙織も、ミズ・シタターレが、フェスティバルで娘達を救ってくれた恩人だと知り、二人でミズ・シタターレの前に慌ててやって来ると、お礼を言い始める。

 

「咲やみのりから話しは伺ってます。男達に絡まれていた娘達を、助けて頂いたそうで、何とお礼を申したらよいか」

 

「本当にありがとうございました!娘に成り代わってお礼申します!」

 

 大介と沙織が、ミズ・シタターレに深々と頭を下げると、満更悪い気はしなかったのか、高笑いを浮かべながら上機嫌になる。

 

「オ~ホホホホ、大した事じゃございません事よ!それより、これは何かしら!?」

 

 ミズ・シタターレが、興味深そうにパンの数々を指さすと、大介と沙織がパンに付いて色々ミズ・シタターレに教え、良かったら食べていって下さいと薦める。ミズ・シタターレは、大介お薦めのチョココロネやクリームパンを貰うと、テラス席で食べ始める。一口食べ、もう一口食べ、口内に広がるチョコやクリームの蕩ける美味しさ、パンの食感に幸せそうな表情を浮かべる。

 

「美味しいわねぇ・・・さっさとプリキュアを倒さなくて正解だったわ!もうちょっと満喫すれば・・・」

 

「もうちょっと満喫すれば何ですか?」

 

「ゲッ!ゴーちゃん!?相変わらず神出鬼没だ事・・・」

 

 パンの美味しさに、まだプリキュアを倒さないで、この世界を満喫して居て良かったと思うミズ・シタターレの前に、ゴーヤーンが姿を現わす。ゴーヤーンは、そろそろアクダイカーンも痺れを切らしている事を、ミズ・シタターレに告げると、さしものミズ・シタターレも激しく動揺する。

 

「だ、大丈夫よ!プリキュア何て何時でも倒せるから・・・そろそろ、あたくしもプリキュアを倒そうと考えて居た所よ!」

 

「なら良いんですけどね・・・じゃあ、お願い致しましたよ!」

 

 そう言うと、ミズ・シタターレの食べ掛けていたチョココロネを奪い、ゴーヤーンは姿を消す。

 

「ゲッ!?チョコがたっぷり残ってた方を・・・ゴーヤーン!食べ物の怨みは、恐ろしい事よぉぉぉ!!」

 

 不機嫌そうな顔を浮かべ、悔しがるミズ・シタターレ、そのミズ・シタターレに、咲の飼い猫コロネが唸り声を上げて威嚇していた。

 

「あら、このあたくしにそのような態度を取る何て・・・お仕置きが必要かしらねぇ?」

 

 ミズ・シタターレが、コロネに対し表情を変えた時、目の前を舞が通り過ぎ、店の中に入っていった。ミズ・シタターレは、コソコソしながら店の中の舞の様子を見る。

 

「あら、舞ちゃんいらっしゃい!咲ならソフト部の練習に出掛けてて居ないわよ」

 

「はい、これから私も、ソフト部の練習を見に行こうと思ってたんです」

 

 舞が学校にこれから行くと知ると、大介は申し訳なさそうにしながらも、

 

「それはちょうど良かった・・・舞ちゃん、悪いけど咲達に差し入れを、届けてやってくれないかなぁ?」

 

「あなた、これだけの量を舞ちゃん一人に持たせたら・・・」

 

「大丈夫!みのりも舞お姉ちゃんと一緒に行くぅ」

 

「みのりには無理よ・・・」

 

 舞は大丈夫ですよと言うも、沙織は、それでは舞が大変だろうと困った表情を浮かべる。

 

「オ~ホホホホ、何ならこのあたくしが、そのお嬢さんと一緒に運んで上げてもよろしくてよ!」

 

 再び店に入ってきたミズ・シタターレに気付いた舞が、この間の礼をする。当初は恩人にそんな事は頼めないと言った日向夫妻も、ミズ・シタターレに遠慮しなくてもいいと言われ、ミズ・シタターレの行為に甘えるのだった。

 

(これで、労せず二人に出会えるって訳ね・・・お礼にあたくしもパンを食べれるし、一石二鳥じゃない)

 

 舞は、ミズ・シタターレがダークフォールの人間だと気付かず、ミズ・シタターレと共に学校に向かった。

 

 

 ソフト部の練習も終わり、差し入れのパンを食べ終えた一同、咲も舞と共に帰ろうとするも、

 

「あら、まだ帰るのには早いんじゃなくって?」

 

 ミズ・シタターレに呼び止められた咲と舞が、首を捻りながら、

 

「でも、もう練習も終わったから、学校に用は無いし、明日に備えて休養も取りたいし・・・」

 

「ゴチャコチャ言わない!さあ、ここからがメインイベントの、始まり始まり・・・」

 

 早く帰りたがり、戸惑う咲と舞に、焦れたミズ・シタターレは、周りに水柱を巻き起こすと、シタターレが真の姿を露わにする。咲と舞は驚愕し、気付かなかったフラッピ達も動揺する。

 

「オ~ホホホホ!あたくしは、ダークフォールのミズ・シタターレ!さあ、プリキュアに変身なさい!」

 

 恩人だった女性が敵だったと知り、咲と舞に激しい動揺が巻き起こる。敵なのに、何故あの時自分達を助けてくれたのか?

 

 咲と舞は理解に苦しむも、

 

「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」

 

「花ひらけ大地に!!」

 

「はばたけ空に!!」

 

 咲と舞の姿をプリキュアへと変えていく、

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「聖なる泉を汚す者よ!」

 

「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」

 

 変身を終えたブルームとイーグレットが、ミズ・シタターレに対し啖呵を切った。だが、何時もと違い、戦う事に消極的なる二人だった。

 

「あなたが、ダークフォールの戦士だった何て・・・」

 

「何故、あの時私達を助けてくれたの?」

 

 不思議そうに首を捻るブルームとイーグレットの二人に、頬を少し赤くしたミズ・シタターレは、あの時は知らなかっただけだと、知っていたなら助ける訳が無いと必死に弁明する。

 

「さあ、お話しは終わりよ・・・ウザイナー!!」

 

 ミズ・シタターレが水を操ると、水はまるで生きているように蠢き、鮫のような姿に変わった。

 

「痛い目に遭いたくなければ・・・太陽の泉の在処をおっしゃい!」

 

「嫌、いくら助けてくれたからって教えない!」

 

「そう・・・ウザイナー、プリキュアを噛み砕いておやり!」

 

 ミズ・シタターレの命を受けたウザイナーが、空を泳ぐようにしながらブルームとイーグレットに攻撃を開始する。空を自在に泳ぎ、攻撃するウザイナーに、二人は翻弄され苦戦する。

 

「こっちの攻撃が全然当たらない!」

 

「動きを止めない限り勝負にならないわ」

 

 動揺するブルームとイーグレットに、ミズ・シタターレは高笑いを浮かべる。こんな所で負けていたら、満と薫に会えないのに・・・

 

 ブルームとイーグレットに焦りが生じ、益々敵の術中に嵌っていく。何度もウザイナーの体当たりを受け、吹き飛ばされるブルームとイーグレット、

 

「プリキュア達がピンチムプ」

 

「大変ププ」

 

 プリキュアの戦いを見守るムープ、フープは、劣勢のプリキュアを見て不安そうな表情を浮かべていた。勝ち誇ったミズ・シタターレは、

 

「一つ教えておいてあげるけど、もう一組のプリキュアの救援を期待しても無駄よ!あっちにも、あたくし程では無いけど、腕は確かな奴が戦いを仕掛けているから、あんた達の援護には来れないわよ・・・オ~ホホホホ」

 

 一同になぎさたちの救援を望んでも無駄だと話し、希望を砕こうとするも、ヨロヨロ起き上がるブルームもイーグレットも、

 

「なぎささん達なら、ダークフォール何かに負ける訳無い」

 

「私達も、諦めない・・・」

 

 手を握り合ったブルームとイーグレットの力が一気に膨れ上がると、ミズ・シタターレに動揺が起きる。再び二人目掛け突進してくるウザイナーを見つめると、

 

「大地の精霊よ!」

 

「大空の精霊よ!」

 

「今プリキュアと共に」

 

「奇跡の力を解き放て」

 

「「プリキュア!ツインストリーム・スプラッシュ!!」」

 

 腕で円を描くように回転させた二人が、両腕を前に突き出すと、螺旋の渦がウザイナーを飲み込む。ハァハァ荒い呼吸を繰り返しながらも、辛くもウザイナーを打ち倒した二人に、

 

「何なの、この力は!?これがプリキュアの絆の力・・・まあ、いいでしょう!今回はこのぐらいにしておいて上げるわ・・・オ~ホホホホ」

 

 高笑いを浮かべながら上空に消えていくミズ・シタターレ、何とか追い返し、ホッとしたその時、背後から不意打ち攻撃をモロに食らい、変身が解けた咲と舞がその場に倒れ込むと、フラッピ、チョッピが精霊姿に変化し、二人に駆け寄った。

 

「咲、大丈夫ラピ?」

 

「舞、しっかりしてチョピ」

 

「おやおや、ミズ・シタターレ殿と戦ったばかりとは言え、随分呆気なかったですねぇ・・・さあ、太陽の泉の在処教えて頂きましょうかねぇ?」

 

 二人に不意打ち攻撃をしたのは、ゴーヤーンだった。不意打ちを食らった咲と舞は、為す術も無くその場でもがき続ける。フラッピとチョッピが、二人を守るようにゴーヤーンに絶対に教えないと言うと、

 

「じゃあ、仕方がありませんねぇ・・・じっくり聞かせてもらいましょうかねぇ?」

 

 そう言うと、ゴーヤーンから発せられた黒い光が、フラッピとチョッピを包み込む。

 

「フラッピ!」

 

「チョッピ!」

 

 ヨロヨロ起き上がりながら、フラッピとチョッピの名を呼ぶ咲と舞、ゴーヤーンは嘲笑するように咲と舞を嘲笑うと、

 

「これでお別れですなぁ・・・精霊達が居なければ、プリキュアにも成れますまい・・・では、ご機嫌よう、プリキュアのお二方!ホホホホホ!!」

 

 消えゆくフラッピとチョッピに、手を伸ばす咲と舞だったが、フラッピとチョッピの姿は、無情にもゴーヤーンと共にその姿を消した・・・

 

「そんなぁ・・・フラッピ」

 

「いやぁ!チョッピ・・・」

 

 崩れ落ち涙を流す咲と舞、ムープとフープも、泣きながらフラッピとチョッピが消え去った場所を、クルクル浮遊し続ける。

 

 そんな一同の心を現わすように、夕凪中学校に日が落ちようとしていた・・・

 

 

               第四話:強敵登場!?

                   完

 

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