第六話:花鳥風月
1、人間爆弾の脅威
フィーリア王女に導かれ、一同は再び大空の樹を通り戻って来た。相変わらず、戻って来た時は体勢を崩していた。だが、それに付いて文句を言う余裕は、一同には無かった・・・
咲と舞だけでは、甦ったカレハーンやモエルンバを倒す事は出来ない!
だが、なぎさ達にも生活がある・・・
この街にずっと居る訳にも行かない・・・
どうするべきか・・・
一同に沈黙の時間が続いた・・・
「ムプ?フィーリア王女の姿が見えないムプ」
「ププ!本当ププ・・・フィーリア王女は何処ププ?」
辺りをフワフワ浮かびながら、フィーリア王女を探し回るムープとフープだったが、フィーリア王女の姿は何処にも無かった・・・
「一体、フィーリア王女は何処に行ったんだろう?」
「さあ、でも緑の郷に行くとは行っていたから、何処かに居るのは間違いないとは思うけど・・・」
なぎさの問いに、ほのかも何処かに居るのは間違いないとは思うと言うものの、心の中では、咲と舞の身を心配していた。何か方法が有る筈、そうは思うのだが、今具体的な妙案が浮かぶ事は無かった。
そんななぎさ達の心を察してか、
「大丈夫!これまでだって、いろんな困難を乗り越えて来たんだもん」
「うん、だからなぎささん、ほのかさん、ひかりさんも、私達の事は心配しないで!」
なぎさにも、ほのかにも、ひかりにも、それが二人の空元気だとは直ぐに分かる。
だが・・・
「そう・・・分かった!でも、何かあったら必ず私達を呼ぶ事!」
「なぎさの言う通りよ・・・咲さんも、舞さんも、もちろんフラッピ達も、私達の大切な仲間何だから!」
「はい!お二人共、必ず駆けつけますから・・・」
「うん!ありがとう・・・」
「もしもの時は・・・必ず連絡します!」
後ろ髪ひかれる気はするものの、なぎさ、ほのか、ひかりは帰って行った・・・
なぎさ達が帰った後も、咲と舞は、中々大空の樹から帰ろうとはしなかった・・・
フラッピ、チョッピ、ムープ、フープは、そんな咲と舞を心配し、ただ黙って二人の側に居るのだった・・・
PANPAKAパンの看板横は、咲の飼い猫、コロネの指定席であった。コロネは気持ち良く眠っていたのだが、コロネの目の前に光輝く球体が現われる。
「あなたからは、咲への思いが強く感じられます・・・咲と舞の為にも、あなたの身体を、私に貸しては頂けませんか?」
光の球体からの声に、コロネはニャっと一声鳴くと、光の球体はコロネの中へと消えていった・・・
ダークフォール・・・
アクダイカーンとゴーヤーンの目の前に、ゴーヤーンの力によって甦った戦士達が集結していた。カレハーン、モエルンバ、ドロドロン、ミズ・シタターレ、キントレスキー・・・
そして・・・
「皆さん、お久しぶりです!皆さんを甦らせた理由・・・お分かりだと思いますが、泉を取返され、フィーリア王女が復活致しました。あなた方には、フィーリア王女を浚うか、もしくは太陽の泉の在処を手に入れる事、そして、プリキュア達を倒す事を最優先して頂きます。今のあなた方ならば、泉の精霊の力を持つプリキュアなど、何の脅威も感じない哀れな戦士!しかし、クイーンの力を持つプリキュア達と組まれては、こちらの計画が大幅に狂う恐れがあります・・・そこで、二組のプリキュアを倒す為、陽動作戦と行きましょう!」
ゴーヤーンの言葉に真っ先に反論したのはキントレスキー、だが、ゴーヤーンの命令は、我が命令だとアクダイカーンに言われ、渋々ながら同意する。
「では、クイーンのプリキュア達は、カレハーン殿とモエルンバ殿にお任せ致しましょう・・・そして、あなた方に取って置きの策を授けましょう!よいですか、三人のプリキュアとは戦わなくて結構!あの者達の力、侮りが足し・・・そこで、三人には罠を仕掛け、消えて頂く!!カレハーン殿とモエルンバ殿は、あの三人が心を許す人物を見つけ出し・・・爆弾を持たせ、一気に三人のプリキュアを・・・ドカァァンと消し去って頂きたい!!」
含み笑いを浮かべながら、楽しそうに語るゴーヤーンの姿に、キントレスキーは不快そうに眉根を曇らせた。指示されたカレハーンとモエルンバも不服そうに、
「待て、ゴーヤーン!俺達ではあいつらには適わないと思っているのか?」
「見くびるなよ、ゴーヤーン!俺とカレッチのコンビなら、あいつらなど・・・」
ゴーヤーンの卑劣な策に、異議を唱えたカレハーンとモエルンバだったが、ゴーヤーンの一睨みを受けると、二人は沈黙する・・・
「先程、アクダイカーン様は仰いましたよねぇ?私の命令は・・・アクダイカーン様の命令だと!!逆らうならば・・・今直ぐ消えて頂いても、宜しいんですがねぇ?」
カレハーンも、モエルンバも、ゴーヤーンから発せられる得体の知れぬ脅威に、顔中から冷や汗が沸き起こる。以前は、こんな感覚を持った事は一度も無かった。アクダイカーンに媚びを売る存在、そう思っていた二人だったが、今のゴーヤーンに逆らう事は、死を意味する事を、一同は改めて思い知らされた。
「そして、精霊の力を持つプリキュアですが・・・既に自分達の力が、あなた方に効かない事は気付いて居るようですが、二度と刃向かう気持ちを起こさぬように、徹底的に痛めつけて上げようと考え、ドロドロン殿、そして・・・満殿と薫殿にお任せ致します!!」
「うん、分かったよ!でも、満と薫は裏切り者だよ?何でまた!?」
ドロドロンの言葉に、キッと冷たい視線を浴びせた満と薫は、
「私達が裏切り者?何を言っているの!?」
「私達は、アクダイカーン様の忠実なる下僕!邪魔者のプリキュアは・・・敵よ!!」
「ホホホホ、これは頼もしい!満殿、薫殿、お頼み致しましたぞ!!」
満と薫は、プリキュアと言う名前を聞くだけで、憎悪を募らせた表情を見せた。そんな満と薫を見て、ゴーヤーンは頼もしいと不気味に笑い、他の幹部達は、驚きの表情を浮かべるのだった。
満と薫はどうしてしまったのか?・・・
「カレッチ、どうする?」
「どうするって・・・言う通りにする以外あるまい・・・不本意だがな!」
カレハーンとモエルンバは、ゴーヤーンから授かった、滅びの力を凝縮させた漆黒のペンダント爆弾を見ながら、渋々ながらも言われた通り、なぎさ達の身近な存在を監視していく・・・
なぎさの家族、岳、理恵、亮太、ほのかの祖母さなえ、愛犬忠太郎、ひかりの家族、アカネ、ひかる、ザケンナーコンビ、そして友人の志穂、莉奈、ユリコ、奈緒、美羽、藤P先輩と候補者をどんどん割り出していった。
「大体こいつらで良いだろう!」
「そうだな・・・だが、三人のプリキュアを纏めてとなると・・・此奴はどうだい?俺が初めて会った時も、あいつらはこの店に居た!」
カレハーンと共に候補を絞り込み、更に絞っている時、モエルンバは腰を振りながら閃き、ある人物を指さした!
「藤田アカネ・・・TAKO CAFEとかいう店の主か・・・確かにお前の言う通り、利用出来そうだな・・・よし、この女にしよう!」
「ああ、では、この女を浚い・・・悪く思うなよ、プリキュア共、次に会う時が・・・お前達の最後チャチャ!」
今、アカネに危機が迫ろうとしていた・・・
TAKO CAFEでは、ザケンナーコンビが、アカネからたこ焼き作りの指導を受けていた。チビザケンナーの腕前は、アカネから合格を貰って居たが、ノッポザケンナーの腕前はまだまだのようで、歪(いびつ)な形をしていた。チビザケンナーが作った物と隣り合わせると、その出来映えは歴然だった。
「う~ん、あんたはまだまだ練習が必要だねぇ・・・でも、前よりやる気になってくれたし、何とかなるでしょう!さて、もうすぐひかりもひかるも学校から帰って来るし、その前にちょっと買い物済ませてくるから、開店準備しといてねぇ!」
アカネはザケンナーコンビに後時を託し、買い物へと出掛けて行った。その姿を見つめる四つの目に気付かず・・・
買い物を終え戻る途中、アカネは急に立ち眩みを起こした。朦朧とする意識の中で、何者かの声が聞こえてくる。
「さあ、お前にこれを授ける・・・美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかり、三人が揃った時、お前はこの漆黒のペンダントの中心部を押せ!分かったな?」
「なぎさ、ほのか、ひかりが揃ったら・・・ペンダントの中心部を・・・押す?」
「そうそう!アミーゴ、上手くやってくれよ!!」
アカネは、カレハーン、モエルンバの暗示に掛かり、なぎさ、ほのか、ひかりが揃ったら、爆弾のスイッチを入れるよう命を受ける。モエルンバが指をパチリと鳴らすと、アカネは我に返り、
「あれぇ?私、何でこんな所でしゃがみ込んでるんだろう!?急いで帰らなきゃ!!」
アカネは慌てて駆け出してTAKO CAFEへと向かった。
「ただいま帰りました!」
「「お帰りなさいザケンナー!」」
ひかりが学校から帰って来たのを、先に帰って居たひかると一緒に遊んでいたザケンナーコンビが出向かえる。ザケンナーコンビは、アカネが買い物に出掛けていると伝えると、ひかりは頷き、ワゴン車の中で何時ものように手早く着替え、エプロンを着けると、開店準備を始めた。
「二人共、今日もたこ焼き作りの練習をしてらっしゃったんですか?」
「見て下さいザケンナー!アカネ様に褒められましたザケンナー!」
「まだまだ練習しろと言われましたザケンナー・・・」
チビザケンナーは嬉しそうに、ノッポザケンナーはまだまだだと言われた事をひかりに教えると、ひかりはチビザケンナーには、凄いですねと笑顔を向け称え、ノッポザケンナーには、直ぐ作れるようになりますよと励ました。
「ひかり、たこ焼き頂戴!三つねぇ!!」
「ひかりさん、私は一つでいいわ!」
「なぎささん、ほのかさん、いらっしゃい!今アカネさんが買い物に行ってますので、もう少し待って貰っても良いですか?」
何時ものようにやって来たなぎさとほのかの姿に、ひかりは微笑みながらも、アカネが留守なのでもう少し待ってくれるように頼むと、ひかりはアカネが戻るまでの繋ぎで、なぎさとほのかにオレンジジュースをサービスし、同じテーブルに座った。顔色を変えたひかりが、小声でなぎさとほのかに話し掛ける。
「咲さんと舞さん、大丈夫でしょうか?」
「そうだね・・・何も連絡来ない所を見ると、今はまだ敵の攻撃は受けていないようだね!」
「ええ、でも油断出来ない・・・特に、あのゴーヤーンとか言う者は、要注意だと思う!」
ほのかの言葉に、頷くなぎさとひかり、大空の樹の下で、ダークフォールで、そして金の泉で出会った危険な雰囲気を持つゴーヤーンに、ほのかは特に警戒心を持っていた。
「あれ!?なぎさとほのか、もう来てたんだ?ちょっと待っててねぇ・・・」
ひかりも帰って来ており、なぎさとほのかも店に来ていた・・・
アカネの脳裏に、先程の暗示が響いてくる・・・
美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかり、三人が揃ったら、ペンダントの中心部を押せと・・・
(三人が揃ったら・・・)
アカネの目から光が消えていた・・・
「お帰りなさ・・・おい、アカネ様って・・・買い物行く前にあんな飾りしてたかザケンナー?」
あかねが胸に掛けて居る、黒いペンダントを見たチビザケンナーが、首を捻りながらノッポザケンナーに問い掛けるも、
「さあ?覚えてないザケンナー」
「よく見ろザケンナー!あの飾り物・・・何か嫌な感じがするザケンナー!」
「・・・特に何にも感じないザケンナー・・・あれ?」
「どうしたザケンナー?」
ノッポザケンナーが何かに気付き、指を指した。チビザケンナーが、ノッポザケンナーが指さしている方を見て、思わずアッと声を出す。二人の視線の先に、物陰に隠れて様子を伺う二つの影があった。その内の一人に、二人は見覚えがあった。
「あいつは、アカネ様や、プリキュア達の母親を人質に取った踊るアホザケンナー!」
「何でこんな所に居るザケンナー?」
カレハーンとモエルンバが、何かを企んでいそうだと感じたチビザケンナーは、気付かれないように、そっと二人に近付くのだった・・・
「よし、そうだ!そのままプリキュア共にバレないように近づけよ・・・」
カレハーンの視線の先に、ゆっくり三人に近づいて行くアカネの姿があった。
「良いぞ!よし、そこでボタンを押せ!!」
モエルンバの合図に頷き、アカネは、黒いペンダントの中心部のボタンを押した。ピーピーピーと、何かの機械音のような音が辺りに響いてくる。
「あれぇ!?何の音だろう?」
急に鳴り響く機械音に、なぎさも、ほのかも、ひかりも、首を捻る。
「よし!これで後1分後に、プリキュア共はあの女と共に・・・ドッカ~ンだ!!」
「上手く行きそうだな、アミーゴ!・・・悪く思うなよ、プリキュア・・・それがせめてもの俺達からのレクイエムさ!!」
カレハーン、モエルンバの言葉を聞き、思わず声を出しそうになったチビザケンナーは、自分の口を塞ぎ、慌ててノッポザケンナーの側に戻ると、手短に状況を説明した。
「そ、それは大変ザケンナー!!」
「もう時間が無いザケンナー・・・アカネ様、ひかり様が居なくなったら・・・坊ちゃまは悲しむザケンナー・・・」
チビザケンナーとノッポザケンナーは、何も知らずに車の中で遊んでいるひかるを見た。ザケンナーコンビが頷き合うと、一気にアカネ目掛け駆け出し、チビザケンナーがアカネに飛びつくと、黒いペンダントを引き千切って転倒する。転倒したチビザケンナーをノッポザケンナーが小脇に抱え走り出す。一瞬唖然としたなぎさ達だったが、直ぐに我に返ると、
「コラァ!あんたら、やっぱり悪事を・・・それはアカネさんの・・・」
「ひかり様!坊ちゃまを頼みますザケンナー!!」
「お願いしますザケンナー!!」
「エッ?あなた達・・・一体何を!?」
なぎさの言葉を無視するように、ザケンナーコンビがひかりに後時を託し走り出すと、ひかりは戸惑い、物陰に隠れていたカレハーン、モエルンバが大慌てで飛び出してくる。
「貴様らぁ!何してくれてるんだぁ!!」
「何てこった・・・」
状況が読めない、なぎさ、ほのか、ひかりは、突然現われ頭を抱えるカレハーン、モエルンバに臨戦態勢を取るも、ザケンナーコンビが走り去った方角から、爆発音が聞こえ、ザケンナーが倒された時に聞こえる、ゴメンナーと言う言葉が響いてくる。
「何?一体何が起こったの!?」
「わ、私にも何が何だか・・・」
戸惑い困惑するなぎさとほのか、ワゴン車の側で、ひかるの泣き声が聞こえだし、ひかりは慌ててひかるの側に行き宥めると、ひかるは落ち着いたのか、ひかりが再びワゴン車から出てきて、なぎさとほのかの下に駆け寄る。
「クソォ・・・あいつらの所為で、プリキュア共を始末しこなうとは・・・まあいい、貴様らを爆発に巻き込んで消す事は失敗したが・・・」
「これで堂々と、お前達と戦えると言うものだ!!」
カレハーン、モエルンバの言葉を受け、なぎさ、ほのか、ひかり、そして、メップル達の思考が目まぐるしく回転していく。
「じゃあ、あの二人は・・・私達やアカネさんを庇って!?」
「身代わりになってくれたって言うの?・・・そんな!?」
「酷い・・・何でこんな酷い事するんですか?」
なぎさ、ほのか、ひかりの目に涙が溜まる。自分達を庇ってくれたザケンナーコンビは・・・もう居ない!
お礼を言う相手は、もう居ないのだ!!
俯いたなぎさの全身が震える・・・
顔を上げたなぎさが、鋭い視線をカレハーンとモエルンバに浴びせると、
「私達を狙ってくるのは構わない!覚悟は出来てる・・・でも、関係無いアカネさんを巻き込む何て・・・それにあの二人は、ひかりに取って家族同然だったんだよ!それを・・・それを・・・あんた達だけは・・・絶対許さない!!」
なぎさの言葉に同意するように、カレハーンとモエルンバを睨み付けるほのか、ひかるに車から動かないように指示したひかりも、険しい表情を浮かべる。コミューンを手に取った三人は、
「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!!」」
二人の身体をオーロラが包み込み、なぎさとほのかをプリキュアへと変えていく・・・
「光の使者・キュアブラック!」
「光の使者・キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「闇の力の僕達よ!」
「とっととお家に帰りなさい!!!」
「ルミナス、シャイニングストリーム!!」
ひかりの掛け声と共にひかりの身体を光が包み込んでいく。神々しい光と共にルミナスがその姿を現わす。
「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」
変身を終えた三人、ブラック、ホワイトは、ルミナスにアカネ達を守るように伝えると、ブラックはモエルンバに、ホワイトはカレハーンに攻撃を仕掛けた。憎しみではなく、悪への怒りに燃える二人は強かった・・・
「ダダダダダダダダダダ・・・ダァァァ!!」
雄叫びを上げ、モエルンバにパンチの連打を浴びせ続け、強烈な右ストレートでモエルンバをぶっ飛ばすブラック・・・
「ヤァァァァァァァ!!」
気合いを込めながら連続蹴りをカレハーンに浴びせ、投げ飛ばすホワイト・・・
「な、何だ!?どうなっている?」
「俺達はパワーアップしているんだぞ!?此奴ら・・・」
甦った自分達は、強さを増して居る。だが、ブラック、ホワイトは、嘗て以上の力で自分達を圧倒する現実に、カレハーンもモエルンバも驚愕する。
体勢を立て直すべく、ブラック、ホワイトから距離を取ったカレハーンとモエルンバは、枯れ葉の舞をホワイトに、炎の渦をブラックに浴びせると高笑いを浴びせた。
「どうだ!調子に乗りやがって」
「俺達が本気を出せば、チャチャチャと片付くのさ!今頃、もう一組のプリキュアもドロドロン達にやられているだろうさ!あの世で再会するんだな!!」
だが、ブラックもホワイトも、二人の攻撃に怯むことなく、一歩、また一歩近づいて来る。カレハーン、モエルンバは驚愕の表情を浮かべ、
(何故俺達の攻撃が・・・)
(な、何なんだ・・・こいつらの力の源は!?)
動じないブラック、ホワイトの行為に、思わず一歩後退った。
「こんな炎・・・あの二人が受けた痛みに比べれば・・・何とも思わないわよ!」
「ええ、こんな枯れ葉の舞何て・・・今の私達には意味が無い事を、教えて上げるわ!!」
「そして、咲と舞も・・・」
「「必ず救って見せる!!!」」
手を握り合ったブラックとホワイトが頷き合うと、
「ブラック、サンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの、美しき魂が!」
「邪悪な心を、打ち砕く!」
「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」
ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す
「「マックス~~!!」」
二人から放たれたマーブルスクリューが、カレハーン、モエルンバの攻撃を打ち消していく。二人は慌てふためきながらも、何とかマーブルスクリューを躱した。ブラック、ホワイトにルミナスが加わると、ルミナスから発せられた虹の光が、ブラックとホワイトを包み込む。
「漲る勇気!」
手を回転させながらブラックが構え、
「溢れる希望!」
ブラックと同じように手を回転させホワイトが構えた。
「光輝く絆とともに!」
「「エキストリーム!!」」
「ルミナリオォォォ!!」
ブラックとホワイトの叫び声がハモリ、気合いを込めたルミナスの叫びが響き渡る・・・
ハーティエルバトンを構えたルミナスが、そして足を広げ踏ん張るブラックとホワイトが気合いを込め、ブラックとホワイトの前方に巨大なハートが浮かび上がると、虹の輝きが照射され、一瞬の内にカレハーンとモエルンバを飲み込んだ。
「ウゥゥオオォォ!」
「アンビリィィィバボォォォ!」
ルミナリオの凄まじき威力に、為す術もなくカレハーンとモエルンバは消滅した。甦ったカレハーン、モエルンバを打ち倒したブラック、ホワイト、ルミナスだったが、敵を倒しても彼女達に笑顔が溢れることはなかった・・・
ブラック、ホワイト、ルミナスは、チラリとアカネを見るも走り始める。
これ以上、大切な仲間を失う訳にはいかない・・・
咲と舞は、必ず守って見せると誓いながら・・・
「ウ・・・ウ~ン・・・あれぇ!?私、何でこんな所で寝てたんだろう?なぎさやほのかが来てた気がするんだけどなぁ!?」
辺りをキョロキョロ見回すも、なぎさ達の姿が見えず、夢だったのかなぁと首を捻るアカネだったが、車の中から響き渡る、ひかるの泣き声に気付き、慌てて駆け寄ると、
「ひかる、どうしたの?今、アカネさん特製たこ焼き焼いて上げるから、ちょっと待って・・・あれ!?何でこんな所にたこ焼きが!?」
アカネは、ザケンナーコンビが作ったたこ焼きを見ると、自分でも分からなかったが、止め処なく涙が溢れてきた。
「あ、あれぇ・・・おかしいな・・・この二つのたこ焼きを見てると・・・涙が止まらない・・・」
アカネから、ザケンナーコンビの記憶は消え失せていた。だが、アカネの心の奥底には、二人の存在が確かに残っていた・・・
2、悲しみの中で
咲と舞、互いに普段の生活をしていても、何処か考え事をする事が多くなっていた。
新キャプテンに選ばれた咲だったが、今はソフト部の事より、ダークフォールが何時襲撃してくるのか、それが不安でしょうがなかった。舞も同じように、大好きな絵を描く気にもなれず、二人は最近放課後になると、大空の樹に行き、ボーとする事が多くなっていた。
そこにコロネがやって来る。
コロネが大空の樹にやって来るなど、咲が知る限り初めてだった。
「コロネ!?どうして此処に・・・あんた、こんな場所まで来てたの?」
「いや、此処はさすがに遠いからな・・・今回はお前達が心配だったから、様子を見に来た!!」
「な~んだそうか・・・って、エッ!?」
咲は、コロネと会話しようと思って話し掛けた訳では無い、だがコロネは、人の言葉を喋り、咲に答えた。顔を見合わせた咲と舞は目を点にし、
「ま、舞、夢じゃないよね?」
「え、ええ・・・」
「「どうなってるのぉぉぉ!?」」
思わず、コロネが喋ってる事に驚いた咲と舞は、ハモリながら驚きの声を上げた。
なぎさ達の身に起こった事も、この時の咲と舞は気付かない・・・
そして、自分達がこの後味わう苦しみの事も・・・
咲と舞、そしてフラッピ達は、コロネの話しに聞き入っていた・・・
「フィーリア王女は・・・コロネの中に居るラピ?」
「そうだ、何でも力を使いすぎた為、こっちの世界で実体化するには、力が足りないらしい・・・力を蓄えるまで、身体を貸して欲しいと頼まれてな、すると不思議な事に、この俺も、人間の言葉を喋れるようになったって訳だ!・・・ところで、大丈夫なのか咲?」
今の落ち込んでいる咲を見かねて、声を掛けたコロネだったが、自分の家の飼い猫、コロネに心配されるという状況に、変顔になった咲は戸惑いながら、
「コロネは、私より年下なのに、何か偉そうに説教される何て・・・最悪~」
「でも、動物の年齢は、人間の年齢より高いって言うし、コロネは5歳だから・・・人間の年齢で言えば、十分大人じゃないかしら?・・・」
「そ、そうなの?・・・でも、何か釈然としないなぁ」
「おいおい、大人の意見は聞くもんだぜ!」
猫に説教されるという、不可思議な出来事に、咲と舞は思わず顔を見合わせ、吹き出して笑い合った。
その時、ボソボソ何かが聞こえたような気が二人にはした。思わず互いに何か言ったか聞くも、咲も舞も、コロネもフラッピ達も、誰も何も言わないと答える。
「またかよ、何で僕を無視するんだよぉぉぉ!トォォ!!」
土の中から飛び上がり、ドロドロンが姿を現わす。フラッピとチョッピは慌ててクリスタルコミューンに変化すると、受け取った咲と舞は、表情を引き締め頷き合い、先端に付いているクリスタルのようなものを回し振ると、
「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」
「花ひらけ大地に!!」
「はばたけ空に!!」
ブルームのベルトに、イーグレットの左手に、新たなる力、スパイラルリングを付けた二人が舞い降りる。
「輝く金の花!キュアブルーム!!」
「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「あこぎなマネは、おやめなさいっ!!」
変身を終えたブルームとイーグレットがドロドロンに対し啖呵を切った。
だが、二人は戸惑っていた・・・
果たして自分達の攻撃は、ドロドロン相手では効くのか?効かないのか?
戸惑う二人に対し、ドロドロンは自信満々に二人に攻撃しようとした時、
「待ちなさい、ドロドロン!」
「プリキュアは、私達が倒す・・・」
二つの人影が、ブルームとイーグレットに近づいて来る。ブルームとイーグレットは、現われた二人の少女を見て、心の底から喜びが沸き上がってきた。
「満!!」
「薫さん!!」
何時も付けていた水晶のペンダントは、二人共身に付けては居なかったが、確かにその姿は、満と薫であった。
「あれは・・・間違いないムプ!満ムプ!!」
「ププ!間違いなく薫ププ・・・でも、何か変ププ?」
ムープとフープは、満と薫が放つ、悪意にも似た力に怯えながら戸惑っていた・・・
嬉しそうに駆け寄るブルームとイーグレットだったが、満と薫から、闇のエネルギー波が二人に浴びせられる。
「キャァァァ」
「み、満、薫、止めて!」
吹き飛ばされたブルームとイーグレットは、地面に叩き付けられるも、信じられないといった表情で、満と薫に呼びかけ続ける。
「満、薫、私達だよ!咲と舞だよ!!」
「満さん、薫さん、止めて!止めて頂戴!!」
そんな二人の言葉も、耳障りに聞こえるかのように、満と薫の刺すような視線が、ブルームとイーグレットに向けられた。
「ど、どうなっていやがる?あいつらは・・・咲と舞の友達だった筈じゃ!?」
目の前で繰り広げられる光景に、コロネは呆然とするも、コロネの心にフィーリア王女が語り掛ける。
「詳しい事は私にも分りませんが・・・彼女達の記憶は、何者かによって弄られたようです!今の満と薫に取って、咲と舞は・・・自分達に刃向かう倒すべき敵、とでも思い込まされて居るようです・・・」
フィーリア王女の言葉を受け、心配そうにブルームとイーグレットを見るコロネだった。
「な~んだ、一方的じゃん・・・これじゃあ、僕の出番は無いよ」
自分も攻撃に参加したいものの、ゴーヤーンに、満と薫を優先させて戦わせるように指示されているドロドロンは、退屈そうにその場に座り込み見物を始める。
「どうしたの?そんな所で座り込んだままで!?腰でも抜けたのかしら?」
「じゃあ、無理矢理にでも起こして上げる・・・」
再びエネルギー波を放つと、ブルームとイーグレットは、衝撃波で宙に飛ばされるも、何とか回転をしながら地上に着地する。
「あなた達、プリキュア何でしょう!?何故攻撃してこないの?」
「私達に怖じ気づいたのかしら!?」
一気に加速を付けると、上空高く飛び上がった満と薫が、ブルームとイーグレットに跳び蹴りを食らわし吹き飛ばす。思わずコロネが絶叫するも、二人はヨロヨロ立ち上がり、
「こ、攻撃何か・・・出来る訳無いじゃない!満と薫は・・・私達の大切な仲間だもん!!」
「満さん、薫さん、思い出して!私達や、なぎささん達との事を・・・」
必死に満と薫に呼びかけるブルームとイーグレットの姿に、満と薫は顔を見合わせると、戸惑いが生まれる。
「薫・・・私、前にもこんな事があったような気がするわ」
「満・・・私もそんな気がしてた・・・でも、思い出せない!何故こんな不快な感情が沸き上がるの?お前達は一体・・・何だ!?」
自分達が感じだした苛立ちを発散させるように、ブルームとイーグレットを再び攻撃しようとするも、二人の顔を見ると、思わず躊躇してしまう。
「こ、これは・・・咲!もっとだ!もっと二人に話し掛けろ!!」
コロネは、満と薫に戸惑いが生まれた事を見抜き、ブルームとイーグレットに、もっと話し掛けろと檄を飛ばす。ブルームとイーグレットは頷くと、
「満、薫、あなた達と一緒に植えたひまわり・・・大きい花を咲かせたよ!!二人にも見せたかったなぁ・・・今度はさ、別の花も植えよう!!」
「満さん、薫さん、あなた達が私達に託してくれた奇跡の雫で、空の泉は開放されたの・・・そこで私達は、あなた達に救われた、ムープとフープに出会える事が出来たの!」
ブルーム、イーグレットの言葉に同意するように、フラッピが、チョッピが、ムープ、フープも満と薫に語り掛ける。特にムープとフープは、自分達が此処に無事で居られるのは、満と薫のお陰だと涙ながらに礼を言った。
満と薫の脳裏に、一同が言っている通りの光景が、フラッシュバックされてくる。
「こ、これは一体!?」
「プリキュアが言っている事は・・・本当だとでも言うの!?」
戸惑う満と薫は、呆然とその場に立ち尽くすのだった・・・
「満殿、薫殿、何をなさっておいでです?さあ、プリキュアを倒しなさい!!」
突然地面から現われたゴーヤーンが、満と薫にプリキュアと戦うように命令を下す。ゴーヤーンの右手には、二人が首から掛けていた、赤と青の水晶のペンダントが握られていた。
ゴーヤーンの命を受け、再びプリキュアに攻撃しようと腕を上げるも、満も、薫も、振り上げた手をそのまま下げ立ちすくんだ。
「またあんたか!あんたが満と薫を苦しめてるんだね!!」
「許せない!!」
「「私達が二人を・・・助けてみせる!!」」
ゴーヤーンを指差し、満と薫を救って見せると誓うも、ゴーヤーンは薄気味悪く笑い始めると、
「ホホホホ、出来ますかな?ドロドロン殿、お待たせ致しましたねぇ・・・プリキュアを倒して下さいまし」
「良いの?やったねぇ!」
嬉々としたドロドロンが、満と薫に代わるように、ブルームとイーグレットに攻撃を仕掛ける。二人は先程とは違い、ブルームは正面から、イーグレットは上空からドロドロンに攻撃を開始する。ブルームの連続パンチが、イーグレットのかかと落としがドロドロンにヒットするも、そのままドロドロンは、二人の足を掴むと、振り回し放り投げた。
「「キャアァァ!」」
悲鳴を上げながら、木々に激突して倒れる二人、それを見る満と薫の心が痛み出す・・・
「プ、プリキュア達の悲鳴を聞いたら・・・」
「ええ・・・胸が苦しい・・・何なのこの感情は!?」
戸惑う満と薫を見たゴーヤーンは、軽く舌打ちし、
「おやおや、洗脳が解け始めているようですねぇ・・・あなた方と戦うのに利用出来ると思ってたんですけど・・・もう使い物になりませんかねぇ?」
ゴーヤーンの言葉を聞き、ヨロヨロ立ち上がったブルームが、イーグレットがゴーヤーンを指さすと、
「あんた、満と薫を何だと思ってるのよ!許せない・・・絶対許せない!!」
「満さんと薫さんは・・・あなたの道具じゃないわ!!」
顔を見合わせたブルームとイーグレットが頷き合うと、ブルームはリングをベルトに、イーグレットはリングを左手に装着すると、
「精霊の光よ!命の輝きよ!」
「希望へ導け!二つの心!」
「「プリキュア!スパイラルハート・・・」」
力を込めたブルームとイーグレットが一旦腕を引くと、
「「スプラ~~ッシュ!!!!」」
一気に力を解放し、両腕を突き出した二人から、凄まじいエネルギー波が、ゴーヤーン目掛け放たれも、
「ドロドロン殿!」
「うん、任せてよ!!」
ゴーヤーンの合図を受け目の前に現われたドロドロンが、スパイラルハートスプラッシュの直撃を受ける。だが、ドロドロンは何とも無さそうに、顔を掻き笑いだした。
やはり自分達の攻撃は効かない・・・
ブルームとイーグレットは激しく動揺する・・・
勝ち誇ったドロドロンは、嘗てのようにネットを繰り出し、ブルームとイーグレットを捕らえ、締め付けていく。
「アァァァァ」
「キャァァァァ」
ブルームとイーグレットから、絶叫が巻き起こる。
コロネが叫ぶ・・・
フラッピとチョッピが悲鳴を上げる・・・
ムープとフープが泣き叫ぶ・・・
「わ、私は・・・こんな状況を知っている・・・」
「ええ、満、私も・・・知っている・・・」
満と薫の記憶が、次々に甦って来ると、満と薫の目から涙が零れ出す。
「私達は・・・何故忘れていたんだろう・・・」
「咲と舞を・・・大切な仲間を・・・再び苦しめる何て!」
覚醒した満と薫が頷き合うと、上空高く飛び、鋭利なエネルギー波を放ち、ドロドロンのネットを引き裂いた。ブルームとイーグレットを庇うように、目の前に降り立った二人は、後方を振り返り、涙ながらの顔を一同に見せると、
「咲、舞・・・ゴメンね!またあなた達を苦しめてしまって・・・」
「こんな形で再会する何て・・・でも、私達も一緒に戦うわ!!」
「ううん・・・二人に、二人にまた会えただけで、私、私・・・」
「お帰りなさい!満さん、薫さん!!」
立ち上がったブルームとイーグレットも、満と薫の横に並びドロドロン、そして、ゴーヤーンを鋭い視線で見つめた・・・
3、満ちる月、薫る風、そして・・・
「ホホホホ、これは計算が違いましたねぇ・・・ですが、それで勝ったとは思わない事ですねぇ・・・満殿、薫殿、あなた方は勘違いなさっているようですねぇ?あなた方の命は、この私の手中にある事をお忘れ無く」
薄ら笑いを浮かべたゴーヤーンが、記憶を取り戻した満と薫をせせら笑った。自分達の命が、ゴーヤーンの手中にあるとはどういう事なのか?満と薫には理解出来なかった。
「下らない挑発には、私も薫も乗らない!」
「咲や舞と一緒に、ゴーヤーン・・・私達は、お前を倒す!!」
満と薫が臨戦態勢を整えると、戸惑ったドロドロンがゴーヤーンの方を見ると、
「ゴーヤーン、満と薫がまた敵になっちゃったよ・・・」
「ご安心なさい、ドロドロン殿!満殿と薫殿が、我々に攻撃を加える事など、不可能なのですよ!何故なら・・・」
ゴーヤーンは、右手に赤い水晶ペンダントを、左手に青い水晶ペンダントを握ると、力を込め始める。水晶は不気味な音を響かせながら、ミシッミシッと亀裂が入っていく・・・
「「アァァァァ!!」」
それと同時に、胸を押さえ苦しみ始める満と薫、その尋常じゃない苦しみように、ブルームとイーグレットは戸惑い、満と薫を介抱し始める。
「お分かりになりましたか?この二つの水晶は・・・あなた方の命なのですよ!赤い水晶は満殿、青い水晶は薫殿のねぇ・・・さあ、水晶を粉々にされたくなければ・・・プリキュアを倒しなさい!!」
非情なるゴーヤーンの命令が、再び満と薫に命じられるも、
「じょ、冗談じゃ無いわ!お前の命令など・・・聞く筈無いじゃない!!」
「例え、この命尽きようとも・・・二度とお前の命令など、満も私も聞きはしない!!」
「満・・・」
「薫さん・・・」
満と薫は、ブルームとイーグレットを見ると、ニコリと笑みを浮かべた・・・
守らなきゃ、二人を・・・
ブルームが、イーグレットが、フラッピ達が、コロネが・・・
一同の心は一つになった!!
ブルームは地上から、イーグレットは上空からゴーヤーン目掛け突撃するも、ブルームの前にドロドロンが立ち塞がり、行く手を阻んだ。ならばと上空から急降下したイーグレットの攻撃を躱したゴーヤーンが、エネルギー波を放ちイーグレットを吹き飛ばす。
「やれやれ、あなた方が攻撃する度に、満殿と薫殿は苦しむ事になりますよ?」
両手に力を入れると、二人の命の水晶が再び亀裂を起こす。
「止めるラピ!」
「そうはさせないチョピ!」
フラッピとチョッピがゴーヤーンの腕にしがみつくも、邪魔だとばかり振り飛ばされる。隙を付いたコロネが、まるでボールのように丸まりながらゴーヤーンの顔面に一撃食らわせるも、逆にコロネを弾き飛ばす。
「全く、しつこいですねぇ・・・でも、もう無駄ですよ!此処まで亀裂が走っては、どうせ満殿と薫殿は息絶えます!!ですが、あなた方の絶望に歪む顔は、一興ですからねぇ・・・さあ、見なさい!!二人の最期の時を!!!」
「止めてぇぇぇ!!!」
「イヤァァァァ!!!」
ゴーヤーンの両手に力が込められると、水晶は深くひび割れ、ブルームが、イーグレットが絶叫し、満と薫から絶望的な呻き声が響き渡った・・・
その時・・・
「ブラック、サンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの、美しき魂が!」
「邪悪な心を、打ち砕く!」
「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」
手を握りながら、全速力で駆けつけるブラックとホワイトが、上空高くジャンプすると、ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて前に突き出す
「「マックス~~!!」」
ブラックとホワイトが発した、意表を突いた走りながらのマーブルスクリューの攻撃は、ゴーヤーンをも脅かし、慌てて避けたゴーヤーンの手から、満と薫、二人の命の水晶が飛ばされる。ドロドロンが素早く水晶を取ろうとするも、
「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」
ルミナスがハーティエル・アンクションを放つと、光の力がドロドロンの動きを完全に封じる。
「あれぇ!?身体が動かなく・・・」
動きを封じられたドロドロン、その隙を逃さずムープとフープが空中でキャッチすると、満と薫の下へと届けに向かう。
「ブラック!ホワイト!ルミナス!」
「三人共、来てくれたのね!」
頼もしい仲間、ブラック、ホワイト、ルミナスの出現に、思わず顔が綻ぶブルームとイーグレットだったが、何処か三人の表情は険しかった。三人はゴーヤーンをキッと睨み付けると、ゴーヤーンも忌々しそうに睨み返した。
「やってくれましたねぇ・・・全く、あなた方が生きてらっしゃるとは・・・カレハーン殿も、モエルンバ殿も、しくじったようですなぁ・・・」
「黙りなさい!私達は、尊い仲間のお陰で救われた・・・彼らの無念、私達プリキュアが、晴らして見せる!!」
ザケンナーコンビの事を思い出しながら、ホワイトがゴーヤーンを指差すと、ブラック、ホワイト、ルミナスは戦闘態勢を整えた。
「満、薫、ブラック達が来てくれたよ!」
「しっかりして!満さん、薫さん」
横たわる満と薫の胸に、泣きながらムープとフープが水晶を乗せると、
「ありがとう・・・あなた達の事は、私も薫も覚えて居るわ・・・」
「今度は・・・私達が助けられたのね・・・」
ムープの頭を撫でる満、フープの頭を撫でる薫、ムープとフープは、次第に弱まっていく満と薫に縋り付き、泣き続けた。
「咲、舞、ゴメンね!なぎさ、ほのか、ひかり、ゴメンね!」
「折角会えたのに・・・私達、何の力にもなれなかった・・・」
どんどん弱まっていく満と薫に、ブルームとイーグレットは、手を握り必死に呼び掛け続けた・・・
「嫌だよ、満・・・薫・・・」
「気を、気をしっかり持ってぇぇ!!」
背後の尋常じゃない様子に、ブラック達三人も駆けつけるも、今にも消えゆくような満と薫の姿に目に涙が浮かぶ、
「クッ・・・私達、間に合わなかったっていうの?」
「また、また、仲間を失うなんて・・・」
今、消え去ろうとする二つの命・・・
泣き叫ぶ一同に、フィーリア王女の言葉が聞こえてくる・・・
最後まで諦めないでと・・・
(はて、変ですねぇ!?フィーリア王女にも、この状況は分かってらっしゃる筈・・・いまだに姿を見せないとは・・・もしや、王女はまだ完全に力を取り戻して居らぬのでは?)
ゴーヤーンは、いまだに姿を見せないフィーリア王女は、力を取り戻していない事を見破り、此処でプリキュアと雌雄を決すべく動き始めた・・・
「ホホホホ、お別れは済みましたかな?では、あなた方には更なる絶望を味わって頂きましょう・・・キントレスキー殿、ミズ・シタターレ殿、お出で下さいまし!!」
ゴーヤーンに呼ばれた、二人も大空の樹の前に姿を現わした。このタイミングで強敵キントレスキー、ミズ・シタターレが現われた事に、一同に緊張が走る。
ブラック、ホワイトが、キントレスキー、ミズ・シタターレと睨み合いになる。
「悪く思うなよ!これもアクダイカーン様の為ならば・・・恥を承知の上、ゴーヤーンに組みする・・・行くぞ、プリキュア!!」
「クイーンのプリキュアの力・・・見せて貰おうかしら?」
ブラックとホワイトが二人と戦闘に突入すると、ドロドロンもブルームとイーグレットの側に近づいてくる。ルミナスに満と薫の事を頼んだ二人は、ドロドロンと戦闘に突入した。だが、二人の必殺技はドロドロンに破られ、劣勢になっていた・・・
ムープとフープは、消え始める満と薫を見つめると、顔を見合わせ合い頷くと、スプラッシュ・コミューンへと突入する。
「月の力~!」
「風の力~!」
「「スプラッシュターン」」
嘗てのように覚醒したムープとフープの力に導かれるように、精霊達が集まってくる。精霊達は、まるで満と薫を助けたいと願う、一同の心を汲み取ったように、水晶に突入していくと、水晶の亀裂が埋まり、徐々にその姿を元の姿へと復元していった。復元した水晶は、満と薫の心臓付近へと吸い込まれて行った・・・
ドクン、ドクンと動き出す鼓動、満と薫の目がゆっくりと見開いていった・・・
「な、何事ですか?ドロドロン殿、今の内に満殿と薫殿に、止めを刺してらっしゃい!!」
満と薫の異変に気付いたゴーヤーンが、ドロドロンに命じる。ドロドロンは言われた通り、満と薫の下に赴こうとするも、そうはさせまいとブルームが、イーグレットが、ドロドロンの足を持って動きを封じた。
満と薫が再び目を覚ました・・・
ブルームが、イーグレットが、ブラックが、ホワイトが、ルミナスが、フラッピ達、メップル達一同から、歓喜の声が沸き上がる。
「何ですって!?そんなバカな?」
驚愕の表情を浮かべるゴーヤーンだったが、直ぐに冷静さを取り戻すと、
「まあいいでしょう・・・満殿、薫殿、精霊の力で甦ったあなた方には、もう闇の力は残っていない!折角生き返っても、何の力にもなれませんねぇ・・・」
ゴーヤーンの言葉を聞き、二人でエネルギー波を出そうとするも、ゴーヤーンの言うように、満と薫は、闇の力を使う事が出来なかった・・・
「そんな・・・私達はみんなの力になる事は出来ないの?」
「みんなは、必死に私達の為に力を尽くしてくれたと言うのに・・・」
目の前で戦うプリキュア達を、只此処で眺める以外出来ないのか、満と薫は苦悩の表情を浮かべた。そんな二人を見たムープとフープも、悲しげな表情を浮かべるも、フィーリア王女の声がムープとフープを励ました。
「ムープ、フープ、あなた達はまだ・・・真の力に目覚めていません!満と薫と力を合わせた時、あなた達は、真の力に目覚める事でしょう・・・」
フィーリア王女の言葉に励まされた二人は、頷き合い満と薫の側に行くと、
「満・・・みんなを助けてムプ」
「薫・・・フープと一緒に戦うププ」
「あなた達、どうしたの?何か方法があるとでも言うの?」
「一緒に戦いたいのは山々だけど・・・今の私達には・・・」
「大丈夫ムプ!満と薫は、咲や舞と同じ心を持ってるムプ」
「フィーリア王女は言ってたププ!満と薫、フープとムープが力を合わせたら、真の力に目覚めるって言ってたププ」
ムープとフープは顔を見合わせ頷き合うと、
「月の力~!」
「風の力~!」
「「スプラッシュターン」」
ムープとフープの容姿が変化した。フラッピとチョッピのクリスタルコミューンのような形になるも、先端は星形の姿をしていた。
「そうです!それこそがあなた達が真に覚醒した姿、スターライトコミューンです!!満、薫、さあ、スターライトコミューンを手に取り、新しい力で、ブルームとイーグレットを救って上げて下さい!!」
心の中に響いてくるフィーリア王女の言葉に、満と薫は見つめ合うと頷き、スターライトコミューンを軽く振ると、
「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」
星の輝きが二人を包み込むと、咲と舞のように、二人の身体を光が覆い、満と薫をプリキュアへと変えていく・・・
「未来を照らし!」
「勇気を運べ!」
満の髪は更にボリュームを増し、薫の髪は、ポニーテイルのように束ねられる。そして、二人の姿が完全にプリキュアへと変化する!!
「天空に満ちる月!キュアブライト!!」
「大地に薫る風!キュアウィンディ!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「あこぎなマネは、おやめなさい!!」
満は黄色を主体とし、緑のラインが入った衣装を着たキュアブライトに、薫は、薄いブルーを主体とした衣装を着て、両肩にはまるで天女の羽衣を纏ったようなキュアウィンディに変身を遂げた・・・
「満、薫、その姿は・・・」
「二人共・・・私達と同じプリキュアになったのねぇ!」
ブルームが、イーグレットが、満面の笑みを浮かべブライトとウィンディを見た。
「満と薫が、プリキュアに!?」
「凄い・・・二人から力が溢れてるわ!」
「はい!こんなに心強い事はありません!」
ブラック、ホワイトは驚きながらも、二人に笑顔を向ければ、ルミナスも嬉しそうに二人を向かえた・・・
「な、な、何ですとぉぉ!?何故、満殿と薫殿がプリキュアに?」
驚愕するゴーヤーン、闇に生まれたものが、プリキュアになるなど、ゴーヤーンの思考では理解が出来なかった・・・
ブライトとウィンディは、苦戦するブルーム、イーグレットの側に向かうと、
「風よ!!」
ウィンディの突風が、ドロドロンのネットを切り裂き、
「光よ!!」
ブライトの光の光弾が、ドロドロンを怯ませる。上空からウィンディの凄まじい連続蹴りが、地上からブライトの連続パンチがドロドロンに浴びせられる。吹き飛ばしたドロドロンを見たブライトとウィンディは、ブルームとイーグレットの側に降り立つと、四人の精霊のプリキュアが微笑み合った。
ブルームはベルトに、イーグレットは左手に付いているハート形の中心部分にリングを装着し、ブライトはベルトに、ウィンディは左手に付く星形の中心部分にリングを装着する。
「「精霊の光よ!命の輝きよ!」」
イーグレットとウィンディが叫べば、
「「希望へ導け!二つの心!」」
ブルームとブライトが叫ぶ、
「「プリキュア!スパイラル・ハート・・・」」
「「プリキュア!スパイラル・スター・・・」」
「「「「スプラ~~ッシュ!!!!」」」」
四人のプリキュアから発射された強大な光が、ドロドロンを飲み込んでいく。自信満々にほくそ笑んでいたドロドロンだったが、
「フフン!君達の攻撃何て、効きま・・・したぁぁぁ!!」
その強大な力の前に、ドロドロンは為す術もなく倒された・・・
「そうです!花、鳥、風、そして月、花鳥風月が揃った今、精霊のプリキュアは、滅びの力にも負けません!!」
コロネの体内から見つめるフィーリア王女も、四人の勇姿に微笑みを浮かべながら見届けた・・・
「キャラフェで甦りし者をも一蹴するとは・・・四人合わさった精霊のプリキュアの前では、効果は無いという事ですか?」
ゴーヤーンは、歯軋りしながら怒りに耐えていた・・・
このまま此処で戦い続けるのは不利だと見極めると、プリキュア達を分散しようと行動を起こした。
「キントレスキー殿、ミズ・シタターレ殿、こちらはお任せ致しましたよ!!さあ、あなた達をダークフォールにご案内して差し上げましょう!!」
キントレスキーとミズ・シタターレにこの場を任せると、ゴーヤーンは、ブルーム、イーグレットの足下に、次元の亀裂を起こし飲み込んだ。
「「キャアァァァ」」
闇に落ちていくブルームとイーグレットを追うように、ブライトとウィンディがその後を追う・・・
「ルミナス!あなたも行って!!」
「こっちの二人は、私達が食い止める!!」
「はい、分かりました!!」
ホワイト、ブラックの指示を受け、ルミナスも四人の後を追って亀裂の中に飛び込んだ。亀裂は塞がり、元の姿を取り戻す。
「我ら相手に、二人で挑もうとは・・・」
「オ~ホホホホ・・・その思い上がり、後悔させて上げてよ」
険しい顔をブラック、ホワイトに向けるキントレスキー、ミズ・シタターレの二人に、
「あなた達こそ・・・今の私達の前に居る事を、後悔させてあげるわ!」
「私達は、負けない!あの娘達が帰ってくるこの場所を・・・絶対に守って見せる!!」
ブラックが、ホワイトが、キントレスキー、ミズ・シタターレと正面から激突した・・・
大空の樹の下で・・・
ダークフォールで・・・
今、決戦が幕を開けようとしていた!!
第六話:花鳥風月
完