せっかくのゴールデンウィークを風邪で台無しにしてしまいました、法皇の緑です。
サブタイトルがネタ切れしはじめたな、この作者とか思っても口に出したら駄目なんだからねっ!
それでは、焼き鳥三男とオーバーキル部隊の対決です。
「はい、これからぁ、種馬と百鬼夜行の“れーてぃんぐげーむ”をはじめまぁす。私は高天ヶ原側の超絶イケメン荒れ荒ぶGOD、タケハヤスサノオ様です。ウチの連中は問題ないと思いますけど、上級悪魔の時期当主候補だろうがなんだろうが、不正を行えば即座に鉄槌を下しますんで、そこんとこ夜露死苦」
ライザー・フェニックスと百鬼夜行のはじめてのレーティングゲーム当日、
百鬼夜行サイドが
観覧席にはサーゼクス・ルシファー、グレイフィア・ルキフグス、トワイライト・フェニックスをはじめとする者がおり、グレイフィアはタケハヤが審判を行なうと言った際には反感の意を示したが、タケハヤが肩に担ぐ剣のを威光を前にした途端、反抗の意思が消えた。
一週間前に正式に百鬼夜行やフェニックス眷属に通達された今回のレーティングゲームだが、百鬼夜行サイドは
というのも、今回はアーシアと白音に見学させる為に行ったのであり、タケハヤは実戦慣れしている兵藤兄弟であればライザーの瞬殺は堅いとにらんだのだ。
もちろん、タケハヤは正士郎の影の中にいるモノの存在に気づいている。
「ファイッ!」
タケハヤが弾幕を上げると、火蓋は切って落とされた。
フィールドはタケハヤが選択した、一方通行のストリートで両脇には建物が建っており、お洒落なイメージを見るものに与える。
タケハヤ自身も百鬼夜行に経験を積み重ねたい、という思いからあえて市街地のフィールドを選択した。
無駄に女子の制服の胸部の強調の激しい駒王学園でもフィールドとしては良かったが、タケハヤとしては女子高生に対してオッサンが覚える劣情を優先するよりも
そんなタケハヤは立ったまま、一歩下がった位置で観覧席で冥界の有力者の背後に立っている。
少数精鋭とはいえ、フェニックス眷属からしてみれば実に優勢である。
相手は
そのうちの二人は実戦慣れしていないように見えるし、そのうちの一人は目が死んでいる。
「お前、しーくんじゃないか!?」
「しーくんよ、あの金髪知ってんのか?」
「さぁ?種馬野郎なんて知り合いにいないね」
ファーストコンタクトは比較的にライザーに良いイメージを持っていた正士郎だったが、悪魔と言うのをしらされた時点で一種の裏切りを覚えていた。
後方のアーシアと白音を抱えて姿を消した後、
『Boost!』
一誠の左腕が赤い篭手に包まれ、緑色の宝玉が点滅して一誠の身体能力を上げる。
「……!お前、まさか……!?」
「お前に語ることは何もないな、焼き鳥野郎」
『行くぞ、相棒!』
「ああ!」
『BaranceBreaker!』
赤龍帝の篭手に宿る二天龍のうちの一体、赤龍帝ドライグの言葉と共に一誠の身体を篭手と同じ赤い鎧が包み込む。
紅蓮の鎧にはタケハヤが一誠に与えた、勾玉が一誠の魂と融合したことで本来の禁手を変化させたソレはーー『
緑色の宝玉の形状は勾玉に近いものとなっており、全体的な印象は和洋と言ったところか。
「面白い、それが赤龍帝の力か!」
ライザーが両手に炎を灯し、背中に生えた両翼は完全な戦闘態勢だ。
主に武器を持たない禁手化状態の一誠だが、その状態は炎と風を司る悪魔のフェニックスにも劣らない。
炎を纏った拳を振るわれる前に鳩尾を狙い、ライザーが血液を吐き出すたび、それを振り払うようにして臓器に徹底的なダメージを与えるべく、両足による殴打が炸裂する。
ドラゴンを宿した神器による禁手化状態は恐ろしいもので、全てを溶かしかねないフェニックスの炎すらも鎧の外殻は防ぎ、所有者の毛一本も燃やさせない。
「タケハヤ殿、もしかして、あの少年は……!?」
「うっせ、テメエらは大人しくオレの部下の活躍を見てやがれ。やれやれ、先が思いやられるねえ、冥界も。こーんなに貧弱な奴らが背負っていくんだぜ?テメエら、ニンゲンとか他の種族のこと甞めすぎてやしないかい?ああ、そうそう。あとは魔王だ。旧魔王派のやつらに領地も何にもやらずによォ、追放だなんて腐れの極みでしかねえ。脳味噌発酵して納豆でも作ってんじゃねえの?ああ、いいんだよ、別に否定してくれても。オレは事実を述べているだけだ。旧魔王派ってさぁ、凄い責任感あると思うのよ。間違ってもー、今の年増魔王少女みたいにさ、コスプレしないし」
クルリ、と観覧席にて後ろを向いて得物を玩びつつ、煽っていきながらタケハヤはトワイライト・フェニックスをはじめとする全ての悪魔を煽りはじめる。
冥界に実況放送されている中でのタケハヤの魔王を煽る姿勢は冥界中に放送され、タケハヤのイメージをダウンさせるものの、タケハヤの言うことに一利ないわけではない。
追い出す際に移転先がなければ不満を持つのは明白で、冥界の悪魔の中には現在の魔王陣にたいする不満を持つ者も多いはずだ。
それに最強の女王といえど、いい年してメイド服を着用しているグレイフィアを蔑むような視線で一瞥し、舌打ちするタケハヤをサーゼクスは見逃さなかったが、この観覧席そのものもまたタケハヤによって牛耳られている。
下手な動きをすれば天叢雲剣で粛清に遭うだろうし、タケハヤスサノオに対しての侮蔑の言葉をぶつけようものならば微塵切りにもなるだろうし、冥界で子供たちの間に流行っている玩具の大半はタケハヤの会社が製作している。
主に子供たちからの支持の熱いタケハヤはイベントにも積極的に参加し、ある意味では冥界を支配しているにも同然であったのだ。
「……凄い、アレがイッセーさんの力……」
「(私を助けてくれたときの力でも、まだコース料理における前菜レベルってところ……?)」
建物の屋上からアーシアと白音は自らを助けてくれた一誠の実力を知る。
普段は正士郎を溺愛する兄としての一誠を見ることが多かった分、シリアスな一誠は新鮮でそして眩しく映る。
不死身の肉体を持ち、身を焦がすような炎の温度は二人のいる所に伝わり、正士郎が妙な唇の動きで噴いた息によって周囲の気温が僅かに下がっていなければ身体中の水分が蒸発していたかもしれない。
恐るべき才能と荒れ荒ぶ嵐の神によって
大切な者をその手から零れ落とさない為、高天ヶ原で積んだ過酷な修行の成果は一応は『ニンゲン』である一誠を人ならざるものの領域に足を踏み込ませていた。
傍ら、正士郎はチェーンソーを持っている双子相手に大立ち回りを行っていた。
相手が異性だろうが、悪魔ならば無慈悲に振り下ろされる鉄拳は幼少より鍛え上げられたことで生まれ持った正士郎の頑丈な鋼鉄のような肉体から繰り出される為、並みの悪魔ではすぐにノックアウトしてしまう。
チェーンソーを奪い取り、双子の上半身と下半身を引き裂き、紙のように切り裂かれた両方から溢れる血液は正士郎に降りかかり、双子の遺体を探っていると光る液体の入った小瓶を発見した。
小瓶の蓋をこじ開け、一気に喉の奥へと流し込むと全身に降りかかった血液は消えうせ、新たな獲物を探しに周囲を見渡す。
人間のような容姿をしながらも、超常的な存在である悪魔よりも頑丈な肉体を持つ正士郎にとっては悪魔の剣すらも蚊に刺されるのに等しく、苦悶に歪む剣士と援軍にやってきた他の眷属を叩きのめしつつ、両方の後頭部を掴んで衝突させる。
衝撃で援軍に来た一人のカンフー少女と剣士は足取りもおぼつかず、正士郎は地面に突き刺さった血糊に塗れていないほうのチェーンソーを振るいーー。
「タケハヤ殿!アレは、ライザー君の眷属です!それに、このゲームは無効だ!百鬼夜行サイドによる蹂躙劇を我々に見せつけたいと言うのですか!?前々より思っておりましたが、貴方は我々悪魔を玩具か何かと思っていらっしゃるようだ。このままで済むと思わないことだ、タケハヤスサノオ……!」
「サーゼクス君、それ以上はいけない……!」
「フェニックス卿も放っておけと言うのですか!?今回のレーティングゲームは高天ヶ原サイドと悪魔サイドの交流と言う名目のはず。サーゼクス様のそのような望みがありますし、そもそもフェニックス卿。貴方はご自分のご子息がボロ雑巾のようになって平気とでも!?」
「違う、そういう問題ではないのだ……!」
観覧席におけるサーゼクスとグレイフィアの抗議はタケハヤに向けられ、フェニックス卿はそれを制止しようとする。
サーゼクス・ルシファーは眷属に愛情を注ぐとされる、グレモリー家の出身だ。自分の家でなくとも眷属の扱いには何か言いたいところがあるようで、フェニックス卿の制止を振り払ってタケハヤに食って掛かる。しかし、タケハヤの方はサーゼクスの目に秘められた激情を読み取るように笑い、振り払うとサーゼクスは尻餅をついた。
「サーゼクス様!」
グレイフィアがサーゼクスに駆け寄り、タケハヤを睨むとタケハヤは魔王夫妻に言葉をかけるでもなく冷たい視線で見下ろすだけだった。
眼前に繰り広げられる、『元』・ニンゲンの兄弟と今になって無意識のうちに兄弟のサポートを始めた金髪の元・修道女のアーシアとタケハヤがアクセサリーとして白音に与えたマガタマによって猫又としての姿をとり、カンフー少女と互角に打ち合うのが見える。
「オレぁね、赤毛坊主とメイドっ娘。フェニックスが絶滅しようが、なんだろうがどうでもいいんだよ。正直なところ、オレは百鬼夜行のガキ共が幸せになってくれればいい。白音ちゃんはテメエら害虫にジンセイ狂わされたんだし、赤毛坊主、お前は白音ちゃんに土下座したっていいはずだ。おっと、それは無理か?前任者の子孫に領地も与えずに追いやり、それなりの地位の一つや二つもやればいいのになー。
魔王夫妻に侮蔑の言葉を飛ばした後、剣を担いでタケハヤスサノオは冥界の子供たちに呼びかける。
現在、この放送を見ている冥界の悪魔の両親はチャンネルを変えようとしたが、悪魔の子供たちはチャンネルを変えようとする親と争った。
タケハヤスサノオ。
冥界の玩具の大半を作り、特撮番組「スティール・ジョー」を高天ヶ原や冥界で放映中。
資金集めのためとはいえ、鋼鉄のような肉体を持つ正士郎を元ネタとしたヒーローは冥界における子供の支持はアツい(しかし、スティール・ジョーを演じるのはタケハヤである)。
冥界の未来をある意味で支配した、タケハヤはカメラの前で腰を落として人差し指を画面に突きつけた。
この神、ノリノリである。
白音がカンフー少女を退け、一誠がライザーと打ち合い、アーシアが怪我を遠距離で癒している中、正士郎の影が蠢く。
影は人型を形成し、やがてそれは女性の姿をとる。黄金色の長髪、片方だけに付けられた髪飾り、豪奢なドレス、そして大太刀。
「ふえぇ、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードでたぁ……」
「タケハヤ様、気持ち悪いんすけど……」
大の男が幼女の真似をし、後から訪れた護衛のフリードは苦笑する。
悪魔サイドに衝撃が走る中、戦場に降り立った金色の恐怖は雄叫びのような笑い声を上げて己の存在を示す。
冥界中に己の姿を知らしめるように。