【完】外宇宙生まれのSさん   作:ふくつのこころ

17 / 25
あけましておめでとうございます。
今年もSさんはユルい知の文を普段は書きながら、シリアスしたいと思います。

ユル可愛いイリナ姉やしーくんを愛でる百鬼夜行の中の良さを伝えたい(使命感


フリードくんとエックス、カリバー♪

「おかえり、イリナ姉」

「う、うん。しーくんってば背が高くなったよね。私は嬉しいよ、しーくんと再会して」

「僕もだ。イリナ姉が綺麗になってて嬉しい」

「なぁに、これぇ」

 

  イリナと正士郎の間に広がる甘い雰囲気にフリードはついつい本音を漏らした。流石にゼノヴィアもこればかりは理解しているようで鈍い音を立ててフリードを殴りつけたが、果たしてフリードの脳はダメージを受けているかさえ分からないが、ヘラヘラと笑って受け止めているあたりフリードもまた実にタフな男らしい。本当にタフな男よ、実にタフだ。きっと偉大なるタケハヤ様にでもメンタルごと鍛えられているのだろう、やっぱり教会出身は凄い!

 

「でも、しーくんと今手を繋いだら噂になっちゃうね」

「イリナ姉は自信を持とう。イリナ姉なら大歓迎さ」

「なァなァ、オニーサンや」

「なんぞや、白髪さんよ。今、しーくんメモリーを登録しとるんじゃ。待ってくれんかの」

「……なんだ、この茶番」

 

   近所の中華料理店に入ってからというものの、この会話は止まらない。白髪と聞いてピコーンピコーンと来た白音であったが、一誠は白音を白髪さんよとなんか呼ばないしフリードに対してであろうとは察しがついていた。少しばかり同級生の少年とその家族と暮らしていると、否が応でも彼らの実態を知っていくこととなる。ほとんど義姉も同然のアーシアは正士郎を猫可愛がりするし、一誠もまた同様である。がしかし!白音は一誠と二人きりになりたいのに正士郎が気を利かせてくれないので助けないのだった。ざまあみろです、しーくん。何も知らないくせにと白音は正士郎の脛を思いっきり蹴り飛ばした。そしたら、正士郎の身体が鋼鉄のように硬かったので逆にじんじんした痛みに襲われた。

   正士郎、許すまじ。

 

「ヘイお待ち!よう、兵藤兄弟!両手に花束かい?爆ぜろよ、リア充畜生め!」

「あっ、ヒルコさん。こんちゃっす。金髪はウチでホームステイしているアーシアでメッシュがゼノヴィアでしーくんとイチャコラしてるのがイリナちゃんです」

「ほう、兵藤弟に春が来た!いいね!青春してるかい?」

「ええ。超青春してます」

 

  店主の三貴子の兄に当たり、伊邪那岐・伊邪那美夫婦の長男に当たるヒルコさんが営む当中華料理店は特に役割も与えられていないヒルコが趣味で営み、幼少期に兵藤夫婦と来て以降ヒルコは彼らの顔を覚えているらしい。一度でもヒルコの店を訪れたならば、ヒルコは決して顔を忘れないので常連たちと家族のような関係を結んでいる。容姿はどことなく作り物のような気配があるが、人懐こい笑顔から老若男女問わずに受け入れられている。両親とはそれなりに親交もあるようでたまに伊邪那岐・伊邪那美夫婦が自らの化身である分霊を遣わせて食事をしている光景が見られているという。

  そのときに必ずと言っていいほどに喧嘩をするのでヒルコが舌打ちしながら仲裁に入る。アマテラスもビックリの鬼気迫る顔で両親に近づいて。ヒルコの経歴はヒルコをヒルコ兄貴と呼ぶタケハヤによると、両親に捨てられた経歴があるという。捨てられた後、ヒルコは技術を身につけて中華料理店を開くまでになったというが一度は捨てた両親にどうして寛容になれるのかが不思議だった。正士郎がある日、伊邪那岐・伊邪那美の分霊が帰った後に聞いてみたところ、さも当然にヒルコは言った。

 

「は?アレでも親だろ?腐ってもさ。お袋は物理的に腐ってるから分霊を遣わせるしかないのは仕方ないけどさ、捨てられたからといってヒルコ的にはパパンママン大好きよ?……うーす、炒飯だよ。オッサン、超食うね!しーくんもよく食って超目指せ、スーパーマン!」

 

   明るく朗らかに語りながらも、カウンターに座る中年男性の客にヤンキー風のバイトの気前のいい兄ちゃんみたいな口調のヒルコは父親の次に不思議と大きな存在だった。自分の境遇を見つめ直した上で今最も充実できることを見出している。そんな姿がまるでかつて憧れたヒーロー、ウルティママンに見出したのだ。

   ヒルコが神であると知ったのはタケハヤに連れられてきて初めて知ったが、それにしてもヒルコは人懐こい。一度は見捨てられた境遇、そうだからこそ自分だけは誰も見捨てまいと心に誓っているのだろう。誰にでも優しく、明るく接することのできるヒルコはまさにスーパーヒーローだった。

   そんなヒルコは現在独身。彼女募集中だそうである。

 

「……では、本題に入ってもらおう。荒ぶる海が神たる建早素戔嗚が直属の百鬼夜行として」

「しーくんも凄むのか。そりゃあ、わっすも年取るねえ。参ったね、どうも」

 

   珍しく凄んで見せた正士郎に目を丸くし、茶々を入れるヒルコは兵藤兄弟とアーシア、ゼノヴィアとイリナ、そして流れでついてくる羽目になったフリードの注文した料理を目の前に置いていった。

  ラーメンセット(ラーメン、餃子、炒飯の王道。どれも大盛りである)。

  エビチリ定食(全て大盛り)。

  日替わりレディースセット。

  激辛麻婆豆腐。

  エビチリ定食。

  あんかけチャーハン。

  フリードは杏仁豆腐を頼んだはずだったが、ヒルコは真顔でお前はこれだと言わんばかりにあんかけチャーハンを置いた。それから何かを期待するような目でフリードの目を見た後、飽きたようでそさくさと杏仁豆腐を持ってきた。すると、ヒルコ。フリードの前に置こうとしてフリードの目が輝いたのですぐにアーシアの前に小皿を幾つか置いた。通常サイズかと思いきや、ヒルコはフリードに独占杏仁豆腐!をさせることを許可しないィィィィ!のである。

 

「照らすアーちゃんに宜しくね、あとはスーくんとツッくん。イッセー、しーくん、アーちゃん。ごゆっくりしてくれい。……らっしゃっせー!」

 

  まるで嵐のように切り替えを早くした日本の建国神話での原初の長男は、幾つか離れた兄弟にその荒御魂を似させたのと同じく、客前ではいつも通りのらっしゃっせー!口調に戻ったのだった。店の常連の噂によると、遠く離れた地方都市で同様の口調であるというガソリンスタンドの店員に会ったらしい。常連がヒルコについて尋ねると、その地方都市に向かった三人中の二人がガソリンスタンドの店員に何かしたらしい。

   それを聞いたヒルコさん、即日実行で中華料理店『あわじしま』は臨時休業になったそうな。

 

「(えっ、しーくんがオラオラ系になっちゃった!?どうしよう、しばらく見ない間にしーくんがグレちゃったよ!どうしよう、どうしよう!でも、エビチリ食べてるしーくんかわいいなあ)」

「(あー、イリナ姉の前で凄んじゃったよ。こーいうのは兄貴の役割だろうに。たまにはカッコいいところ見せてくれよな)」

「(……って、イリナとセイシロウは考えているんだろうなぁ)」

「話を戻すぜ?ゼノヴィア、なんだ?」

 

   要件ってのは、と一誠が仕事が入った際に入るスイッチがONになったようだ。正士郎とタケハヤがこの状態の一誠を『トップギアモード』と呼ぶ。どうして一誠は自分がトップギアモードだと言われていることに気づかないが、正士郎は素直な意味でトップギアモード、タケハヤは見ているネタでトップギアモードと呼んでいるようだ。

 

「ああ、エクスカリバーについてだ」

 

   ようやく本題に入れたことにホッとしたのか、ゼノヴィアはキリッと表情を変えて百鬼夜行に伝える。グレモリー眷族がこの辺りを領地として主張するならば、そちらに行けばいいのにどうもこちらに吹っかけてくるあたり、何か思惑があるようだ。エクスカリバーと聞いたところでピンと来ない百鬼夜行学生組はアーシアは湖と剣、白音と正士郎と一誠はウザいエクスカリバーを思い浮かべていた。

  日本人はそんなものだ。

  で、最もキレた男がいる。

 

「エクス、カリバーだってぇ……!?」

 

  最近、百鬼夜行に配属された元・エクソシストのフリード・セルゼン氏だった。




お久
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。