【完】外宇宙生まれのSさん   作:ふくつのこころ

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ウルティマなんとかって言えば、なんとかなる風潮


変化した新形態、Uセイバー

 兵藤兄弟が異星人と戦っている傍ら、出そびれたことで気まずい神父がいた。

 そう、我らがフリード・セルゼン神父である。背中には幽霊を切ることができるというニッカリ青江、徳川家を呪いで襲った妖刀・村正である。上司のタケハヤスサノオから溺愛している『しーくん』の為にその剣術を評価され、タケハヤがロクに使わずに倉庫に放り込んでいたそれらの品をフリード神父は受け取ったのだ。掃除をさせられたことにはタケハヤに彼も思うところはあるが、聖剣のように作られる過程の中で犠牲はなかったのと報告の際にはBASARAのおやかたさぶぁ!を強要するタケハヤは正直面倒くさかった。だが、考えても見て欲しい。ノリとニーズに応えてこそのTAKAMAGAHARAなのだと。TAKAMAGAHARAの笑いの判定は難しい。万人が面白いと思ったことでも彼らは面白いと思わない。

『アットホームな職場です!美少女は大歓迎!』と銘打ったポスターを『あわじしま』で見つけたときは流石のフリードも目を疑った。美少女とあったのでマジかよ!と食いかかったわけだが、何を勘違いされたのか店主に杏仁豆腐を貰えなかったのが不愉快だった。

 だがアーシアのような金髪美少女が喜ぶのであれば別に良いと思うあたり、やっぱりフリードはタケハヤのユーモアセンスを受け継いでいるようだった。なんという上司からの影響。

 

「イッセー兄ちゃん、俺ちゃんも手伝うぜ!」

「フリード!?」

 

 背中のホルダーから二本の刀を引き抜いたフリードは独特の構えを行う。ゾッドの武人の勘が語りかける。コイツは相当な手錬だ、と。拳撃の打ち合いを止められたことがゾッドの本意ではなかったが、禍々しい気を放ちながらゾッドの腕に振り下ろす。しかし、その禍々しい刃を顕にさせた刀を受け止めてもなお、ゾッドの動きに鈍さが現れないのはゾッドの着ているスーツに何らかの仕掛けがある様子。フリードも一誠も途中までだがゾッドの話の内容を聞いており、ウルティマブレスレットのような神が作った道具が正士郎とゾッドにとって対を為し、そして弱点ともなるならば肌に触れる段階又は発せられる気でも外見に影響が現れるはずだ。

 タケハヤスサノオの下で鍛錬を積んだ一誠も天性の戦闘センスを持つフリードも、ゾッドと同様の存在である正士郎も疑念を抱いた。しかし、ゾッドは言葉とは裏腹に衰弱した様子は見られない。足蹴にされている正士郎は衰弱していくばかりで見せ付けられる一誠は奥歯をかみ締め、具足を纏う蹴りを下顎に振り上げる。ゾッドが足を外したのを見て一誠は正士郎を抱えてその場から離脱した。正士郎はゾッドに踏まれていたことで衰弱していたようだったが、足から離れたことで少しマシにはなっていたらしい。

 

「おま、しーくんに何をしたんだよ!?」

「どうやら、その様子だとクリプトン人の弱点を知らないようだな?」

「マジで?しーくん、無敵じゃなかったのッ!?」

 

 剣撃を受け流し、ゾッドの身体からオーラとして放たれる気。クリプトン人の弱点というのについて興味がわくが、ゾッドのオーラのようなものによって動きが止められる。禍々しい刃から放たれるタケハヤから譲られた刀からエネルギーを放つも、そのエネルギーすら相殺される障壁が張られているようだ。朝方から戦うには早すぎるが、元々、戦闘狂のフリードには関係ないと言える。だがフリードとしても、「昨日、スーツの変態と戦っていた」ことを近所の人に噂されるのは辛い。個人的にフリードとしてもスーツのガチムチで筋肉モリモリマッチョマンを相手にしているよりも金髪美少女だとかオネーサンだとかを相手しているのがいいのであって、しーくんのような線が細いタイプはなんというか……貧弱そうで苦手だが、まぁ、正直なところ正士郎とは肉まんを食べに行こうと約束した仲なので約束を護ってこそのいい男だと思う。スピードには自信があるフリードだが、相手のスーツには何らかの超技術が詰まっているらしく、妖刀を使っても防戦一方だ。ニッカリ青江はタケハヤによると、幽霊を切ることができる刀らしいが、正直今は必要ないと思う。意図はきっとあるんだろうが、任務で使える刀をよこしてもらいたいものだ。村正のような刀ならばオールオッケーだが、個人的に聖剣はあんまり使いたくない。どうせ破壊してしまうのだ、日本でも名刀とされる万物切り裂く刀フツノミタマでも寄越せと言いたいが身内になったばかりのフリードではタケハヤの逆鱗に触れるだろうと思うと言い出せなかった。

 

 決してヘタレだからではない。

 

「おいおい、あの奇妙な鎧を纏った奴の攻撃は一撃だったが、良いものだった」

「マジかよ・・・・・・。イッセーちゃん、あんたに一撃入れたのかよ…・・・」

 

 恐るべし、兵藤兄弟。流石はタケハヤの直属の部下と言ったところか。よく目を凝らしてみると、若干スーツに皹が入っている。一誠の呼び方を借りるならば、しーくんの同族(仮定)がこんなに強いとは思わなかった。事前データとして一誠にはドラゴンの神器があるからこそ渡り合えるとのことらしいが、流石はドラゴン。多少の無茶をしてもドラゴンだから仕方ないとできるのが憎たらしいところ。かつて、聖剣使いの被検体だった過去でも被検体の中では強いほうであったフリード。タケハヤスサノオのようなイレギュラーと比べてはならないのは分かるが、それにしたって規格外だ。

 イッセーちゃんなる呼称を実際に一誠に使ったことはないが、この闘いが終わってから言ってみるのも悪くは無い。どのくらいの間、この巣にいるかは知らないが久々の居場所で自分の場所を作ってみるのも良いだろう。

「それに俺はこのスーツとはいえ、クリプトナイトを克服し、唯一のクリプトン人であるカル=エルの力を封ずるべくDrの力によって人為にクリプトナイトの放射能を放てる鉱石を埋め込んだブーツを得ることができた・・・…」

「それを俺ちゃんに話すってことは、あとでしーくんらに話される可能性を考えたことあるのか?」

「もちろん。だが、あえて貴様にこうして話しているのだ。俺には自信がある、自然出産で生まれた数少ない存在であるカル=エルに役割を与えられて生まれた―――ロール・バースとしておこう。それで誕生した俺が負けるはずがないのだよ」

「んだよ、戦うために生まれたってか?」

 

 ウルティマブレスレットが取り残されたからか、宙にふわりふわりと浮遊している。タケハヤスサノオがどのような細工を仕掛けたかは分からないが、仮に勝機に繋がるならばウルティマブレスレットを使ってでも勝機を作りたい。戦うために生まれた、とゾッドが称するならば尚更である。

 戦闘は好きだ、食事くらい。

 戦闘は好きだ、睡眠以上に。

 戦闘は好きだ、美女と同じくらいに。

 

「・・・・・・あー、もう面倒臭ェ」

 

 村正とニッカリ青江をホルダーに戻し、ウルティマブレスレットを呼び寄せる。ウルティマブレスレットはフリードの脳波を感じ取り、その形を刀のような形状へと変えた。あくまで刀として使えるニッカリ青江と村正と違ってウルティマブレスレットが刀へと変わったウルティマセイバーは両手でないと支えられないほどに重い。所有者として刻まれた、正士郎でないからこそだろうが。

 

「ほう、ウルティマブレスレットならぬウルティマセイバーか」

「しゃらくせえ、名前なんてどうだっていい。聖剣と同じくらいにお前が面倒だ。さっさとブチ壊させてもらえませんかね!」

 

 ウルティマセイバーで切りかかると、やはりスーツによって覆われた腕を交差されてガードされる。ウルティマセイバーに含まれた、『神聖さ』は確かにゾッドにダメージを与えているようだがゾッドのスーツによって阻まれている。スーツを全て破壊しないと攻撃を与えられないというならば、その存在を破壊しつくそうと思ったのだ。頭部を切り捨てるのが一番いいが、ゾッドは隙を見せずにスーツに防御を委ねて拳撃を連続で放つ。呼吸を乱さずに放たれる攻撃の数々はあくまで人間のまま、変化していないフリードの体力を消耗する。頑健な肉体にダメージを与えるには魔力のような摩訶不思議な力を帯びていれば良いらしい。それに対して村正やニッカリ青江で切りかかったわけだが、どうも『魔』のようなものを含んだ力ではスーツの効果によって跳ね返されるようだ。

 

「太刀筋はいいが、いかんせん武器の性能に頼っているようだな。ウルティマセイバー、確かに神聖さを纏う攻撃は我々に効く。だがウルティマセイバーを制御するのに精神力と集中力を削られているようでは、まだまだだな」

「うっせえ、お前らみたいな超能力は持ってないんだよ」

 

 脳波で操るウルティマセイバー。生来から念力を持つ正士郎やゾッドと違い、クリプトン人ではないフリードは念力は持っていない。生まれ持った念力は例えるならば十分に湿らせたタオルのようなものでウルティマセイバーを制御するのは湿らせたタオルで絞り落ちた水滴を念力とし、その下に受け皿としてある風車を回転させるようなもの。反対にフリードの場合は乾いたタオルから水分を搾り出そうとしているようなもので、当然、水分は十分に絞ることはできない。よって風車が回りにくい、というように考えてもらえれば分かる。確かにウルティマセイバーに変えてからゾッドにダメージは与えやすくなったが、その分の体力の消耗が激しくなっているのが辛いところだ。戦うのは好きだが、こんな辛い思いをしてまで剣は使いたくなかった。

 

「いい動きだ、その動きを保てるようにな!」

「さっさと倒れてくれませんかねえ!?マジでしーくんに何かあったら、俺ちゃんの首が飛ぶんだわ!」

 

 ウルティマセイバーを振るう最中、やがてゾッドも視線から射出された赤外線から光線剣を作り出し、ウルティマセイバーの刃を受ける。正士郎と戦うとき以上に感じる戦闘への高揚感、それは自分と同様の戦闘狂に出会えたのがゾッドには嬉しいようだ。

 

「(早く来いよ、援軍……!)」

 




ゾッドとしーくんが戦うのはまだだよ!
だって昼間だもん(白目)
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