のでタケハヤがいかに親馬鹿なのか、キャラを立たせねばならぬ。
そしてタケハヤはその身でOHANASIに行った。
タケハヤは鬱フラグを破壊する、荒れ荒ぶ親馬鹿だから。
*この物語はしーくぅぅぅぅん!で出来ております。
「何が大切か考えてみた」
組長風の着流しに身を包む男、タケハヤスサノオは町外れの教会に訪れていた。
連行したレイナーレにOHANASIをした結果、ここでアーシア・アルジェントなる修道女をほぼ軟禁状態にしていたという。
首からかけた勾玉は禍々しい輝きを放ち、その勾玉にはかつてタケハヤが苦戦した日本最凶の神霊・八岐大蛇の魂が封じられている。
若い娘を生贄に欲し、ある夫婦の末娘を助ける為に挑んでいった際に苦戦し、その後、高天ヶ原で日本を統べる姉によって勾玉に封じられた。
様々な使い手の元で様々な形になり、その度に所有者を殺してきた呪いの
「けど、わからん物だな。俺にとっちゃあ、あんなにもクソガキ共を愛おしく思うのに、同じ年齢のガキはなんとも思わんとは」
タケハヤの前でガクガクと身体を震わせているのは異教の宣教師で修道服に身を包んだ白髪の少年だった。
周囲には少年の仲間だと思われる者達が倒れ、小生意気そうな堕天使とレイナーレの名を叫んで死亡した堕天使もまた粛清済みだ。
この国においてはタケハヤは無敵である。
ご当地限定のヒーロー、といえば話が早いだろう。他の地方では名前が知られなくとも、その地域で子供たちに人気があるヒーローは子供たちにとっては仮面のヒーローや光の超人のように眩しく写るものだ。
この辺境の地ともいえる、島国においてはタケハヤら三貴子は絶対的な存在である。
隠居してしまった父、タケハヤら三姉弟より先に生まれた『万物』の末っ子の炎を司る神、ヒノカグツチを出産の際に死亡したイザナミに変わってアマテラス、タケハヤスサノオ、ツクヨミらはそれぞれが天と地、そして海を任されている。
「そう思わんか?フリード・セルゼン」
フリード・セルゼンは目の前の異国の服装に身を包んだ男性に神々しさを覚えるのと同時、恐怖を覚えていた。
男性の握る雷は荒ぶる神としての象徴、そして男性の身体の部分の延長線にある。
フリードはかつて教会で行なわれた計画での“適合者”として選ばれ、その好戦的な性格から教会を追放されてはぐれエクソシストとなった。
放浪して悪魔を殺し、狩猟するのはフリードにとっては一種の義務となっていた。
周囲からは狂人と呼ばれようと、確かにフリードは自らの信念を疑ったことはなかった。
むしろ、なぜ悪魔がのうのうと暮らして自分が苦しい目に遭わねばならないのか、と疑問に思う感情が強く、雷を振るい、教会に残留した堕天使や聖職者を一掃した男を自らがかつては憎んだ“
「アンタなんかに答える質問はねーですよ、しょ、正直に答えるとでも思ってんですかー?」
「ほう、言うではないか。弱い犬ほど良く吠えるというが、オレは子犬をいじめる趣味はありゃせん。おいおい気づいているんだろう?白髪のクソガキ。お前のその気概、このタケハヤを目前としてもなお、己の信念を曲げないのをオレは気に入った。貴様ならば、オレの倉庫にある武器を扱えるやもしれん」
フリードは殺されるのを覚悟し、剣を握る手を下ろさずに声を震わせながらも両目はタケハヤに向ける。
フリードには恐怖の象徴に見えた、この異国の服に身を包んだ変な男は少年神父に興味を抱いた。
さきほどまでに薙ぎ払った、害虫共と違い、この少年はかつての己に通ずるものがあると見た。
高天ヶ原を追放され、姉と和解するまでの奢り昂ぶっていたかつての自分と。
己の信念を曲げず、ひたすらに突き進んできた、過去の自分と。
「け、けどよ、あんたは教会のやつらを皆殺しにしたじゃねーですか!?そんな奴を信じられるとでも!?」
「ああ、それが一般論だろう。だが、オレの質問はまだ終わっていない。オレにはお前のその力が必要なんだ。血を求め、戦いを楽しむ素質を持つ者を。お前、特殊部隊には興味ないか?」
「特殊、部隊……?」
タケハヤは社員寮という名義で買い取っているアパート一つに住まう、兵藤兄弟と塔城小猫を思い浮かべながらフリードの双眸を見つめる。
お人よしで正義感の強い父親、優しく芯の強い母親の元で育った兵藤一誠、口数少なくとも新たな場所で賢明にタケハヤの部下の役に立とうとする、猫又の塔城小猫こと白音、そして宇宙船が墜落したあたりでタケハヤと運命的な出会いを果たした、宇宙人にして一誠の義理の弟の兵藤正士郎。
彼らは何かの為に、という理由の元で戦う、いわゆる「セイギノミカタ」の典型のような部下たちで私情のために戦えるほど強くない一面がある。
この国に足を踏み入れれば、その者の経歴や過去が分かる能力を母から受け継いだタケハヤら三姉弟はフリードの経歴を知っている。
強い個人の意思ゆえ、異端扱いされた少年のことを、タケハヤは悪く思わない。
「んなの、無理ッスよ。俺に出来るわけありませんってば」
「ほう?では、野良になって教会サイドに駆逐されるか?それとも、悪魔の眷属に強引にされちまうぞ?今の手負いのお前ならば、オレは容易く殺せる。お前は生粋のこの国の住人ではないからな、オレは何の気兼ねなく殺せる。オレにとって大切なのはオレの
フリードにはタケハヤが清々しく思え、教会の生贄となった天涯孤独な己にとっては嵐の後に差し込む暖かな日差しのようだった。
「じゃあ、俺と同じじゃねーっすか。あんた、悪魔ってよりは神聖な感じするし……」
「ほう、そこに気づくとは天才か。オレの名はタケハヤスサノオ。この国に伝わる、神道と呼ばれる多神教の神さ」
「あんたはカミサマってより、ダンディなオッサンだな」
「おい、それ、褒めてんのか?最悪の場合、お前の頭は吹っ飛ぶ」
「褒めてます、ゴメンなさいっ」
鋭いぎらついた目、よく見れば凶暴そうな顔つきはフリードとタケハヤを親子っぽくしていた。
白髪とワカメっぽいボサボサヘアーから親子には見えにくいが、タケハヤスサノオとしての性格はあらぶる海でありながらも穏やかな一面がある、というのを示すようにフリードと同じ白髪へと変化させる。
より強いヤツと戦える環境を用意してくれそうな、この胡散臭いボサボサワカメはフリードにとっては気に入り、少年時代の自分にそっくりなフリードを高天ヶ原の修行部屋で獅子が子供を崖に突き落とすように訓練させよう、と誓ったタケハヤはドサクサ紛れにフリードと肩を組み、フリードの修道服の布を掴んで離さず、高天ヶ原へと連れて行った。
美人でも
そんな新しい上司とどう付き合えばいいのやら、と考えていると上司の首元が禍々しい光を放出していて一応は神父だったフリードは邪な力を感じる。
後に特殊部隊・百鬼夜行で白音と同じ白髪キャラでありながらも、正士郎の右腕として切り込み隊長となるフリードは後にアンニュイな友人に数百年分の時間を経験できる空間での修行を正士郎に語る。
「戦う技術は基礎しか教えてくれなかったけど、スタミナや体力は数百年分の時間のお陰で人間をやめられるほどに延びちゃったんですよねー。……おい、寝るな!」
…なお、フリードは苦労人になる模様。
「……さて、パーティーもお開きになるわけだけども」
「……はい。イッセー先輩に抱く、アーシアさんの印象を聞いてみたいものですね」
「えっ、イッセーさんのですか?」
パーティーも終盤になり、タケハヤが最も大切な
テーブルには空のペットボトルがいくつかと紙コップが四つ、そして四角形のテーブルを囲んでいる。
「イッセーさんは、困っていた私を助けてくれて、その……カッコイイです」
「(にいちゃんにも春が来てるな。塔城さんやアーシアさんとか美少女中の美少女じゃないか。末永く幸せになってくれ!)」
「……やはり、私と同じ感想を抱いたようです」
一誠が風呂洗いをしている最中、帰り支度を始めたアーシアは一誠への印象を吐露すると顔を赤らめて一誠のいる風呂場へと向かった。
残された白音と正士郎、そしてテーブルの上に置かれた一誠を含めた三人の携帯電話は同時にメールを着信する。
「これは……」
「どしたの、塔城さん」
家の中、ということもあってヘアバンドを外していた正士郎はテーブルの上のゴミを片付けながら画面を見て目を見開いている白音に問いかける。
教えるより見た方が早い、という白音は正士郎に画面を見せた。
「……なんてこった、連日、新規メンバー加入か」
「……驚くのはソッチですか、しーくん。脱帽です」
「脱ぐ為の帽子とかバイザーとかないじゃん」
「気にしちゃいけません」
小猫と正士郎のやり取りは微笑ましく、アーシアは二人の姉になったような気分だった。
教会では聖女として祭り上げられ、外界と接することすら禁じられてしまい、扱いは殆ど“モノ”のようであった。
教会に所属するようになったのは治癒の力を宿す
普通の少女のように恋愛をし、好きな人と結ばれたい、という願いは教会の中にずっといれば叶わなかった。
言葉が通じず、困っていた所に助けてくれ、様々な場所につれて行ってくれた一誠はアーシアにとっては初恋も同然だった。
出会ってすぐと言うのに、弟や後輩の為に夕食を作るからついでに来る?との誘いを受けて家にやってきたが、その家の部屋もまた生活観が滲み出ている。
自分が監禁同然に押し込められていた部屋と違い、暖かさのある空気が常にあった。
「アレ?アーシア、帰るのか?」
「はい、そろそろ、帰らないといけないかなって思いまして」
「兄貴、着信来てるよ」
「おう、ありがとな」
風呂洗いを済ませ、修道服のベールを被るだけの簡単な帰り支度だが、少し寂しそうなアーシアは今夜の夕食に満足してくれたんだろう。
正士郎から携帯を渡され、メールの着信を受けていたので確認してみると、まるでアーシアが帰りたくないのを意図していたように朗報はやってくる(?)。
【世界で一番カッコイイ、このタケハヤスサノオ様からの辞令だ。お前ら百鬼夜行にある人物が新人として入ってくることになった。その子の名前はアーシア・アルジェント!カワイイ、優しい、天然、ヤッター!その子のお偉いさんとOHANASIし、オレはアーシアちゃんを百鬼夜行の構成員にすると決めた。なお、このことはアーシアちゃんには伝えてある、という事実を作り出したので度忘れしちゃう天然ちゃんじゃない限り、我が社員寮に住まうこととなるだろう!やっべーわ、アーシアちゃんカワイイわー。日本人がキンパツに染めて似合うヤツ何人いるか知ってるか?オレは知らん。一回だけ、姉貴が閉じこもった際にパツキンになって出てきたんだけどよ、ひでーのなんの……】
「実は、今日、教会の方から新しいところに行くように言われまして。その人とまだ会ってないんです。駄目ですよね、これじゃ……」
「いや、アーシア。お前は駄目なやつじゃない、スゴく幸運な女の子だ。」
「えっ?」
アーシアは自らのダメダメさを自嘲するも、自らの携帯の画面を眺めて唖然とする一誠によってかき消される。
この後、高天ヶ原全土にて「女殺しのブラコン龍」の名を轟かせることとなる、そのクサい台詞を吐くと、アーシアはうつむいていた顔を上げる。
正士郎と小猫はメールの最後の文章をよく読んでいない一誠が、それに気づくのを楽しみに待っていた。
「だって、それが俺ら特殊部隊・百鬼夜行なんだよ」
「でも、特殊部隊に見えないじゃないですか。何処からどう見ても普通の男の人と女の人ですし……」
「アーシアさん、本物の特殊部隊は特殊部隊の格好はしないモンだよ?」
「そ、そうなんですかっ!?」
当たり前のことを言ったはずなのに、アーシアはぱああっと顔を輝かせる。
そんな素直なアーシアが将来、詐欺に引っかかってしまわないか心配しつつ、正士郎はアーシアにそっと助言する。
「だからさ、此処にいていいんだぜ?いや、いてくれ、アーシア」
「……はいっ!」
一誠はそんなアーシアの頭を撫でると、アーシアは一誠を上目遣いに見上げて抱きしめる。
公然でイチャイチャしてもらわないでいただきたい、という正士郎の思い空しく、小猫はジト目で睨むものの、彼らの世界は止まらない。
感激で目を真っ赤にして大粒の涙を溢れさせるアーシア、それを抱きしめる一誠。
一誠がカッコよく見えた白音は今は一誠にアピールしないでおこう、と空気を読んで冷蔵庫からアイスを取り出してガリガリと食べ始めた。
しかし、時間が近づいて正士郎は思い出す。
この空気をぶち壊しかねない、あのトリックスターが仕掛けたものを。
【なお、このメールは三十分後に爆発する】
その一文を思い出し、一誠の携帯電話が爆発(物理)した。
その瞬間、百鬼夜行メンバーはアーシアを加え、気まずくなった。
そのとき、一誠はタケハヤをちょっと恨んだ。
抱きしめた時に一誠の鼻をつく、アーシアの香りはとても甘い香りだったからだ。
末永く幸せに爆発しろ!
(訳:末永く幸せに結婚して幸せになって、お亡くなりになって下さい、お二方!)
つまりは幸せをめでたい、と思う賞賛のお言葉である。