TS異世界転移-男がヒロインで大丈夫かよ-   作:変T

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連日投稿、ちょっと早めの投稿。

そして

待たせたな!(ゴミボイス


医療行為

「え……、えぇ!?」

 

 血のついていない下着を見た後に思わず股に手を添える。かなりの湿り気がある。

 くちゅくちゅという音が周囲に響き渡る。

 

「……これ、……発情期?」

 

 なんだ……。

 なんだこれは……。

 イライラしていたと思ったら実はムラムラしていた?

 そんなバカな。

 

「でも……、うっ……」

 

 手を離す。

 触り続けるわけにはいかない。俺は男なんだ。自分の女の体をいじる趣味なんてない。どうせなら他人の……。

 なんで修也が頭に出てくるんだ!

 奈央香やシスターさんだろ、そこは。

 くそっ。

 

「ムツメ、ちょっといいか? 荷物のことなんだけど」

 

 コンコンとドアをノックする音と修也の声が部屋の入り口から聞こえてくる。

 そうだ。修也の荷物を渡さないと。

 

「——っ!?」

 

 入り口にある姿見に映った俺の表情がとんでもなく緩んでいて、しかも尻尾が大きく揺れている。修也に尻尾を振っているのか!?

 くっ、収まれ。

 普段力を入れない尾てい骨付近に力を込めて、尻尾が動くのを抑える。

 

「わりぃ、忘れてた」

「……」

「どうした?」

「いや……、なんでもない」

「そうか。それで荷物多いし修也の部屋で出すぞ」

「ああ」

「あ、鍵取ってくる」

 

 自室の鍵を取りに修也と少し離れる。修也は自室に戻って行く足音を立てている。

 

「……」

 

 嘘だろ……。

 修也と離れるとものすごくイライラする。違う。正確にはお腹の中がものすごくムズムズする。宿屋のカウンターで感じた不満は修也と店員さんの会話が原因じゃなくて、修也と違う部屋になることが嫌だったとかか?

 俺、男だぞ……。

 これが、発情期の症状なのか……。

 ひとまず修也の荷物を届けないと……。

 どうする?

 いや、どうしようもないんだけど。なんとか発情しているのがバレないようにやり過ごそう。バレたら死ねる。恥ずかしくて死ねる。

 

「戸締り良しと……」

 

 鍵をかけてから、隣の修也の部屋の扉に目を向ける。同性の男の泊まる部屋に向かうのに心臓が高鳴っているのか。体が女だからか……。

 俺は目をぎゅっと閉じる。

 俺は男、俺は男、好きなタイプは奈央香やシスターさんのようにかわいくおっぱいの大きな女性が好きなんだ。間違えた、奈央香は除外だ。あいつを女としては見れない。見てくれはめちゃくちゃかわいいんだけど。

 そう、俺は男。だから修也の部屋に入っても問題は何もない。

 

「……」

 

 なんで、ドアノブに手をかけて止まってしまうのか。

 何も問題はないんだ。

 意を決する必要もない。普通に入ればいいだけだろ。

 

「……っ」

 

 尻尾が動かないように力を入れて……。

 ドアノブを回す。

 扉を開けると修也が目の前にいた。

 

「へっ?」

「あ、来てたのか。遅いからもう一度訪ねるところだった」

「き、着替えてたから」

 

 急に目の前に修也が現れて一瞬思考が飛んだ。

 冷静になれ、相手は3つ歳下の後輩男子みたいなものだ。ほら、大丈夫、何も問題はない。

 

「荷物全部出す必要ありゅ?」

「ん?」

 

 噛んだ!?

 

「全部出すぞ」

「あ、ああ、頼むわ」

 

 顔から火が出そうだ。

 うぅ……。

 でも、荷物を出すと修也が反対を向いた。顔を合わせなくて済んだ。羞恥心で赤くなった顔を見られたくなんてない。普段であれば、顔なんて赤くなることなかったのに……。

 熱い。

 空気は冷たいはずなのに……。

 

「ちょっと、暑いな」

「え? 寒いけど?」

「あ、そうだった……」

「ムツメ?」

 

 墓穴掘った!?

 せっかく反対向いていた修也がこっちに向きかける。

 

「ほら」

「お、おう」

 

 まだ残っていた修也の荷物で顔を見られないように修也に押し付ける。

 やばい。

 会話すると何かしらのボロが出てしまう。

 

「お、おい。着替えるのかよ」

「……別に全裸になるわけじゃないぞ」

 

 そ、そうだよ。初日の洞窟で野宿したときだって修也は俺の目の前でパンイチになるくらいどうってことなかった。修也は俺を男扱いしているから気にせず勝手に着替える。しかも俺が着替えるときはきちんと空気を読んで洞窟の外に行っていた。俺が寝袋の中で着替えていたにも関わらずだ。今更上半身裸になるくらいどうってことないだろ。

 

「なあ、ムツメ。背中拭いてくれないか?」

「へっ?」

「嫌ならいいんだけど、うまく拭けないんだ」

「わ、わかった」

 

 初日の野宿も宿屋も風呂というのは存在しない。王宮で過ごしているときは国の最大の贅沢が満喫できるのだから風呂はある。しかし、王都ではない街の高級宿屋では風呂はない。代わりに熱いタオルみたいなのがもらえる。それで体を拭いているのだろう。

 修也にタオルを手渡される。

 ちょっと熱いくらいだな。

 

「……」

 

 修也が後ろを向いた。

 いや、待たせたら変に勘ぐられるからさっさと済ませよう。

 

「い、行くぞ」

「え? あ、ああ、頼む」

 

 修也の背中にタオルを当てて上下に擦っていく。

 なんでもない動作なのに、俺の頭は違うものを想像してしまっていた。

 ダメだ。上下はダメ。

 左右にしよう。

 

「ん……、ん……」

「ムツメ?」

「へっ?」

「いや、力を込めてそうで込めていないから、なんなのかと……」

 

 力を込めて……?

 

「い、いや、大丈夫、大丈夫だから?」

「……?」

 

 力を込めてってどういうことだろうか。

 ……。

 …………。

 ……俺の呼吸が荒れていたからか?

 なんで荒れているんだ?

 呼吸の仕方がわからなくなってる?

 修也の背中を拭いていることに興奮しているからか?

 とにかく、どうにかこの酸欠状態を脱しないと。

 ゆっくりと深呼吸をしながら修也の背中を拭く。バレないように、息を荒立てないように呼吸を整える。

 ゆっくりと鼻で呼吸を———。

 

「————っ!?」

 

 あ、やばい。

 香水の匂いが落ちている。

 背中を拭いている距離ではあるが冬場だ。普通なら修也の匂いはほとんどしない。だが、俺にはほとんどしない匂いも嗅ぎ取ってしまう獣人の嗅覚がある。

 

「……」

「……」

 

 ゆっくりともう一度息を吸う。

 体が震えた。

 

「あの……」

「ん? なんだ?」

「もう大丈夫だと思うんだけど?」

「あ」

 

 何回擦るんだってくらい背中拭いてた。

 

「ありがとう」

「う、うん」

「ムツメどうしたんだ? 顔赤いけど」

「え?」

「普通に熱いな」

 

 おでこに手を当てられた。

 

「ぁ……」

「風邪ひいたか? 耳も赤いし、ちょっと待ってろ。確か風邪薬も貰って————」

「だ、大丈夫! 俺も持ってるから!」

「そうか?」

「荷物は回収しておくぞ!」

 

 また思考が飛んだ。

 ダメだ。

 一刻も早くこの部屋から退散しないと。

 おかしくなる。俺がおかしくなってしまう。

 

「じゃあ、脱いだ分は回収しておくからな。他に要らないものは?」

「ないけど……」

「よし、じゃあな!」

「あっ、明日の————」

 

 急いで部屋を飛び出した。最後に修也が何か言っていた気がするけど。俺は部屋から退避する方が優先だ。

 ……。

 …………。

 ようやく呼吸が整った。

 修也の部屋の扉に寄りかかった状態でいつまでもいると宿の人に変に思われてしまう。自室に戻らないと。

 

「はあ……、俺、どうかしちまったのか……」

 

 修也と離れるだけで辛い。これが発情期なのか。近くにいるのが修也じゃなくても、空河や王様でもこうなったのだろうか。

 それにしても……。

 修也の匂い……。

 やばい。

 やばすぎる。

 あれは猛毒だ。あれは俺には毒なんだ。

 だから、忘れる。気にしてはいけない。あのまま修也の部屋にいたら、俺は……。

 …………。

 ……。

 

「……あれ?」

 

 自室の扉を閉めたタイミングで俺は気づいてしまった。

 俺は手をグーパーグーパーと動かす。

 この手には魔法を使える力が備わっている。

 魔法使いの俺は荷物を運んでいる。

 今しがた修也の不要な荷物を受け取っている。

 俺は自室に駆け込んだ。

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

 整っていた呼吸がまた乱れる。

 興奮している。

 自分でもわかる。

 興奮している。

 宿の自室の玄関にある姿見には尻尾が揺れに揺れている光景が写っていた。

 

「うっ……」

 

 ダメだ。ダメだ。ダメなんだ。

 こんなことしてはいけない。どんな言い訳も成り立たない。これはやってはいけない行為だ。常識的に考えて、人としてアウトなんだ。

 でも……。

 でも、人間には誰にも秘密があるはずだ。

 秘密も墓場まで持っていけばバレることはない。

 

「……」

 

 男だぞ。俺は男なんだ。これはやってはならないはずだ。

 

「……」

 

 でも、この胸の高鳴りを、下腹部にジンジンと伝わってくる欲求不満を抑えるのにはかなり向いている。

 

「……」

 

 甘い毒なんだ。誘われることもあるだろう。

 

「最低限、こっちだよな……」

 

 最低限も何もない気がするけど。

 

「……」

 

 俺は男だ。

 

「……」

 

 でも、今の体は女で、発情期を迎えていると思われる。

 

「……」

 

 その症状を抑え込むには必要不可欠なんだ。

 

「……」

 

 俺は意を決した。

 部屋を出るとき回収している。

 修也が着ていたインナーを空間魔法で取り出した。

 

 

 

 高級宿に泊まって良かったと思う。

 

「ん……」

 

 安宿なら暖かい羽毛布団とかなかっただろうし、部屋も厳重な鍵なんてついていないだろう。

 

「ん……、ん……」

 

 なにより音漏れが少ない。

 

「ふっ……、くっ……、ふっ、ふっ……、ん…………、んぅ…………」

 

 こんな変態行為、バレるわけにはいかない。

 

「ちがっ……、んあ……!?」

 

 これは、変態行為じゃない。変態行為に見えるだけで、これは医療行為だ。病気を治すための医療行為だから……。

 

「ひぅ!? ん!? っ…………、…………んく、今の…………、はあ…………、はあ…………、ん…………」

 

 今日は初日と違って汗もかいているはずだ。道中、魔族の群れを突き抜けるのに全力を出している。12月も近い寒い時期に汗をかくことは早々ない。

 インナーからはわずかに修也の汗の匂いがする。

 

「ん、ぁ…………、はっ…………、ん…………」

 

 修也……。

 

「ダメ……」

 

 修也を想像しちゃダメだ。誰も想像しない。これは自慰行為じゃない。医療行為だ。ただ、体の熱を沈めるために、これが最適そうだから利用しているに他ならない。

 誰だろうと名前は呼んじゃいけない。

 

「っ…………、んあ!? ふっ…………」

 

 これは医療行為、医療行為なんだ。

 対症療法だから。

 

「ふぅぅ————!?!?」

 

 あぶなかった……。

 いま……。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ……」

 

 あぶないとかじゃなくて、そっちにいかなくちゃ……。

 

「ひぅ!? ん…………、ぁ…………、はっ!? ひぅ!? やっ————!?」

 

 いりょうこうい……。

 いりょうこういだから……。

 

「はあ、はあ、ひゃあっ!? ————んあ!? やぁっ————!?」

 

 く、る!

 

「イッ————!? ————っっんあ!? ————っ!? —————っく!? ぁ……、はあ…………、はあ…………、はあ…………」

 

 やっちゃった……。

 …………。

 ……。

 最低だ。もう本当、最低だよ、俺……。

 明日、どんな顔で修也と顔を合わせればいいんだよ……。

 

「あ、あれ?」

 

 慰めたはずなのに……。

 全然体から熱が引かない。下腹部がまだまだ熱い。

 

 

 

「ん……」

 

 朝だ。朝か。朝だな。

 どうやら眠ることができたらしい。

 状況は下着を履いておらず、枕元には修也のインナーがある。

 そうか。疲れきるまで慰めたから寝れたのか……。

 違う。医療行為だ。……あほくさ。

 体が重い。

 思考も放棄したい。

 姿見で自分を見たら酷い表情をしていそうだ。

 部屋には時計はない。大広間に大きな時計があるだけだ。外の景色を見るに朝焼けが見えるから、5時くらいだろうか。

 

「……」

 

 疲れた。

 寝ているはずなのに疲れた。

 疲労困憊だ。

 

「顔洗わなくちゃ……」

 

 ベットの中の匂いが鼻につく。

 これ、宿の人に洗われるのか……。

 今のうちに軽く水で洗えばなんとかならないかな?

 

「……」

 

 喪失感、いや、虚脱感か。

 俺は椅子に座って呆けてしまっている。

 もう発情は収まった。

 今の状況は身に覚えがある。

 

「なんだこの大賢者タイム……」

 

 はあ……。

 最悪だ。

 せめて。

 せめてものお願いだ。

 神様お願いだから、修也にこのことがバレませんように。というか修也が鑑定を使っていないって教えて欲しい。あの女神でも様付けできるぞ。名前忘れたけど。

 修也にバレたら俺の中の何かが崩れ落ちてしまう。

 

「夜だけか……、発情期は……」

 

 日中は発情はないみたいだ。ひとまずは安心だが、これが毎日続いたら当分寝不足だ。シスターさんが急いで薬を用意すると言っていたけど、間に合わないとも言われたな。あのクソ女神に。あ、様付けだったっけ?

 クソ女神様だな。

 ……どうしよう。

 どうすることもできないけど……。とにかく布団を軽く洗濯しておこう。最低限の匂いは消しておきたい。

 布団に魔法の水をかけながら風の魔法で乾かす。窓も開けて換気しないと。

 そうだ、これからどうするんだっけ?

 確か帰る前に……。

 

「……観光」

 

 してる余裕はないな。洞窟とかで一晩過ごすことになったら、俺はどうかする。どうかしてしまう。修也の隣でおとなしく眠ることなんてできそうにない。

 ……。 

 …………。

 

「そうか……」

 

 そうか、これが原因か。

 獣人が神託を受けられないわけだ。12歳ごろから発情期の高ぶる感情に揺さぶられてしまえば自制なんてできるはずもない。世界を守るために神託を受けるためといえど、発情期を乗り切れないのも納得がいく。

 男の成人の俺でさえ半分心が折れているのだから。

 ……これ2ヶ月も続くのか。憂鬱だ。

 

 

 

「観光はいいのか?」

「ああ、なるべく早く帰りたい」

 

 宿のチェックアウトを済ませ、早朝の例の門は迂回して違う門から王都に向けて出発だ。

 

「多少飛ばすけどいいか?」

「急加速と急停車だけは勘弁な」

「車じゃないんだけど……」

 

 観光する余裕はない。早朝から修也がかなりの速度で飛ばしてくれれば5、6時間もあれば王都に着くだろう。夜を一緒の空間で共にするのは危険だ。修也の飛ばした速度はかなり怖いけど、そのうち慣れるはず。

 修也の背中に乗る。

 

「あれ? 鎧は?」

「飛ばすなら邪魔になる」

「魔族に遭遇したらどうするんだ!?」

「大型にあったら一時撤退して装備してから戦う。俺も装備した状態で飛ばせば流石に疲れる。急いで帰るんだろ?」

「そ、そうだけど……」

 

 俺も軽装だ。修也にごつい鎧を着せて走ってくれと酷なこと言えない。

 修也の背に登ってから気づいた。

 やばい、ブラし忘れてる。朝のごたごたというか、主に匂い消しに奮闘していたせいで忘れた。

 これ、感触伝わったりしないよな。厚手のローブを着ているから大丈夫だよな。

 

「なんか香水くさいぞ」

「最近風呂入れていないからっ! お前だって付けてただろ」

「いや、2、3滴じゃないだろ。香水浴びただろ」

「浴びてないよ!?」

 

 匂い誤魔化すために10滴くらい使ったけど……。

 

「行くぞ」

「う、うん」

「しっかり掴まっていろよ」

 

 修也が加速した。

 でも、ブラをしていなから密着したくない。

 

「捕まらないと速度出せないんだけど?」

「ご、ごめん」

 

 俺は修也の首に手を回し、体を密着させる。

 やばい。

 発情期って夜だけじゃないのか?

 修也の吐息を近くに感じ、匂いを嗅いでしまっている。

 

「修也、香水は?」

「不評だからやめた」

 

 くっ、身から出た錆というか。余計なことを口走ってしまったのか。修也が香水を使っていれば少しは違ったかもしれない。

 

「速い、ね」

「……大丈夫そうだな」

「うん」

 

 とんでもない速度で走っていることはもう気になっていない。それ以上にまずい状況になっていて気にする余裕がない。

 おんぶって股を開いて首に手を回して密着しているんだ。今までは修也が鎧を着ていたからごつごつとした感触しかしなかった。手がふとももに触れているくらいで、そこは我慢していた。

 修也が近い。

 今までも近かったけど、それ以上に近くに感じてしまう。

 俺……。

 これ、5時間も保たないぞ……。




 長かった。お待たせしました。本編です。

 ToLOVEるとか
 少女漫画とか
 R-15のラインを参考にしてギリいけるやろ精神。

 ふたりエッチがセーフならセーフやろ。

 読者様方はどれくらいのレベルのエロさを想像したのだろうか?
 タグではなかなか類を見ないレベルで、本当にR-15か? ってものばかり入れたけど。

 次はまた3日後くらいです。
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