これはあくまでエロ成分メインの小説だということを作者が忘れてたよ。
というわけで、爆弾投下。
王都に戻ってから1週間が経過した。
その間、戦闘訓練と街の復興の手伝いをしていた。途中でイオーネさんから発情レベル1のときに効く薬を受け取って服用したが、効果のほどは見られない。修也の唾液の効果で一時的に押さえ込んでいるから、目に見える効果が現れるわけもなく、ただ自分がついた嘘を本当にするために、発情レベルが0である態度を取らなければならない。この嘘をわかっているのは修也だ。修也に返した『獣人の生態』という本から、俺が発情レベル2に入っていることは容易に想像できるだろう。そして本来の薬ならばそろそろ効果が切れる時期だ。
「ふっっ、ふっっ、う……、く……、イッ————!? はぁーーっっ、はぁーーっ、はぁーー」
またやってしまった。一度知った快楽を忘れられず、思春期中学生のごとく毎日自分を慰めてしまっている。問題なのは男の頃と違って終わりがないことだ。あと30分で会議だというのに、次をしたくて堪らない。
我慢しなきゃ。我慢……。
ドアが不意にノックされる。
「ムツメ、起きてるか?」
「あ、うん。起きてるよ」
「遅れるなよ」
「わかったー」
熱は冷めた。修也が来たことで緊張感が膨れ上がった。聞かれてないよな?
とりあえず身綺麗にしておかないと、鋭い奈央香とかには気づかれかねないからな。烏のように早い朝シャンなら間に合うか。
「あ、ムツメ。ちょうどいいところに」
「え?」
お風呂場に急ぎ足で向かおうとしたところ、部屋から顔を出した修也に呼び止められる。まずいまずい。臭いなんて消してないぞ。
「要件は、あ、あとでだとまずいかな?」
「風呂?」
「うん」
「悪い呼び止めて、時間ないし急げよ」
ほっ。
修也は顔を引っ込めて自室に戻った。
「……」
熱が完全に冷めると自己嫌悪に陥る。毎日毎日、俺は一体何をしているのか。
大浴場に入り、シャワーを浴びながら体を洗っていると、思考の沼に嵌る。考えることは奈央香と修也と、そして部外者の俺の立場。部外者というわけではないけど、元男の俺が立ち入ることができない関係を築きつつある奈央香を指を加えて眺めるだけの俺、元男だから男に懸想しなくて済むと割り切っている俺、矛盾する2つの思考に振り回されてしまっている。戦闘訓練の合間の休憩時間で奈央香と修也が会話しているだけで、俺はいつもこの2つの考えに毒され、最近では訓練に身が入らない。
あ、時間がないんだった。急がないと。
風呂から上がり、ある程度乾かしてあとは自然乾燥でいいか。会議の開始時刻は残り15分、ちょっとは余裕がある。さっき修也が何か要件があるって言ってたけど。
シャワー帰りに修也の部屋をノックする。
「修也、何か用があったか?」
「……まだ濡れてるぞ」
「要件は?」
「別に今すぐの重要じゃない、早く乾かせ」
修也の部屋をノックすると中に引き入れられ頭と尻尾をタオルで念入りに拭かれる。要件聞きに来ただけなのに……。
修也が頭を吹いているときは尻尾に軽く風魔法を当て乾かす。尻尾を拭かれるなら髪を乾かす。
「とくぞ」
しまいには尻尾に櫛を通され、とかされている始末。
まるで小さな妹扱いだな。
そんな俺は修也の大きい手の感触をちゃっかり堪能していた。俺の指とは大きさが違うよな……。
「これくらいでいいか?」
「あ、うん。ありがとう」
「別にいいさ。時間がない、着替えてこい」
「はーい」
自室に帰され、戦闘用の服を着込んでいく。慣れたものだ。前は四苦八苦して10分くらいかかって着ていたのに、今では1分で着替えられる。修也の部屋をノックして、2人で並んで会議室、参謀本部に向かう。
「おはよー」
「おはよう。今日もかわいいぞ、ムツメちゃん!」
階段上の踊り場で奈央香と空河に出会う。
「はは……、毎日ありがとな」
空河のやつ、そのうち飽きると思っていたんだけど、ケモミミが現存する世界にいまだに興奮しっぱなしらしい。この国の王都ではあまり獣人を見ることができないからか、俺にいつも構ってくる。
褒められたら、流石に何か返事しないとかわいそうだからな。いいかげんちょっとうざいけど。
「そういえば、聞いてなかったけど、修也とムツメちゃんの部屋って同じ方向にあるんだね」
うっ……。
忘れてた。
そういえば、この1週間部屋が隣同士だってこと隠していたのに、今日は早朝に我慢ができなくて遅れたからバッチリと出会ってしまった。
「ムツメちゃんの部屋はわかるんだけど」
「隣だ」
おい!?
「ふーん」
奈央香の視線が一気に冷え込んだ。
空河と修也を前に歩かせて、奈央香と歩く。
「聞いてないんだけど」
「聞かれてないし」
「……」
「……」
「このっ、このっ!」
「ちょっ!? 服の中に手入れないで! 冷たっ!?」
前の2人は女子同士で戯れているように思えるのだろう。実態はそうじゃないんだけど。
「部屋の配置はイオーネさんが決めてたし……」
「俺のせいじゃないってば……」
「むぅ、ムツメちゃんばっかり優遇されてずるい」
そんなことはない。
優遇されても、ぬかに釘を打ち込んでいるだけ、俺と修也の関係に楔を打ち込むことなんてできはしない。俺が元男だから。
「良い匂いするし」
「それは関係ない。石鹸の匂いだから」
「お風呂か! お風呂はいったのか!? 朝からイオーネさんとしっぽりしたのか!?」
「人聞きの悪いこと言うな!? 1人でだよ!?」
「1人でしっぽりしたのか!?」
遠からず当ててきたよ、なんだこのエスパー!?
「んあ!? ちょっ……、やめ……」
「ちょっとー、そこの男子ー、こっち見ないでよ」
他人の胸揉んでる女が言うセリフじゃねえ。
「そっち系もアリだな!」
空河も親指立てんな、グッジョブじゃねえんだよ。その親指引き抜くぞ。修也みたいに後ろ向け。あと奈央香だけはありえないから。
「えっと、会議を始めます」
たんこぶで頭部を腫らした奈央香と機嫌の悪い俺を交互に見ながら元帥さんが会議の司会進行をする。参謀本部長はどうした?
「今日説明させていただくのは上級魔族討伐作戦です」
おおっ、ついに来たか。大量の魂を喰らった上級魔族か。俺の魔法は効かないらしく、今回の作戦には組み込まれていないとか。
「四大魔将のような強固な敵拠点を責めるのではなく、独立した小勢力の上級魔族を相手とします」
魔族の小国ってところかな。
「投じる戦力は勇者様方からは、シュウヤ様、ナオカ様、我々からは王が出陣いたします」
王様が出て良いのかよ。
「王都防衛にはクウガ様、ムツメ様、そしてイオーネ様に残っていただきます」
防御力と味方を守る能力に長けた空河と、殲滅力のある俺、イオーネさんは何が得意なんだろう。あまり知らないんだよな。
「明日の朝9時に出発、作戦開始は明後日の早朝になります」
これ以上は俺には関係ないか。
……。
…………。
奈央香と修也が一緒に行くんだよな……。
心の中に靄がかかったように気分が晴れない。ちらりと横目で奈央香を見ると、奈央香も俺を見ていた。にんまりと笑う。
脇腹つねってやった。
「聞いていますか?」
「キイテルキイテル」
俺あまり関係ないだろ。むしろ、修也と旅ができるからと自慢げな横の女をどうにかしろ。絶対話聞いてねえぞ。
会議が終わり、いつも通り戦闘訓練となった。
戦闘訓練では女性が苦手とされる時空間の認識能力を鍛えている。俺は元男だけど、確かに今は空間認識に弊害が出ている気もする。サッカーでコーナーキックからのヘディングとかできないだろうな。スカる自信しかない。鍛えればなんとかなるって言うけど、指導者がおばあちゃんなのはどうなのだろうか。一応、俺以上に空間を認識する力に長けているのは実践してもらってわかってはいるが、なんでおばあちゃんなんだよ。っていう平均寿命の低いこの世界でおばあちゃんという存在は希少過ぎないか? 希少だからと言って、良いとは限らないけどな。
「そうじゃそうじゃ、よくできとるわエルシアちゃん」
誰だよ。ムツメだよ。ボケるな。
こんな調子の指導者の元でずっと鍛えている。他の指導者だと俺の方が空間認識能力高いからむしろ指導する側になってしまうから、このおばあちゃんの相手をしなければならないのだが半分介護だ。
おばあちゃんにお茶を飲ませていると、また遠目に、休憩中の修也に奈央香が声をかけているのを発見してしまう。
「……」
「機を伺い過ぎればその機は逃すぞ、エルシアちゃん」
「——っ」
お茶を飲みながら指導者のおばあちゃんから言葉を告げられ驚いてしまいお茶をこぼした。あとエルシアじゃないから、ムツメだから。
「あの娘は厄介じゃの」
「別に……、俺には関係ない」
「こっちの娘も厄介じゃのう。素直になりなさい」
「……」
……。
…………。
素直ってなんだよ……。
少し早い上がりで自室に戻ってきた。
また心がモヤモヤする。
素直。
素直。
この1週間ずっと、もしもと仮定して考えていたことがある。
もしも、俺が最初から女性だったら、修也は女性扱いしただろうか。いや、するよな。当たり前だ。女性なんだから女性扱いだ。
俺は男だ。元ではあるが、男。たとえどんなに可愛くなっても、発情期で性的な女の表情を晒しても、修也はきちんと男扱いする。
誠実さという仮面をかぶって、修也は本心を明かさない。
本当はどう思っているのだろうか。
舌と舌を合わせたというのに、その瞬間は確かに互いに意識をしてしまっていたが、修也は翌日には考えないようにしていたし、さらに翌日には普通に会話しても何もない程に戻ってしまった。俺はこの1週間ずっと舌の感触を鮮明に覚えている。俺だけが毎日修也のことを考えてしまっている。
修也は俺を男扱いする。
俺が本当の女じゃないからだ。
「……発情期かな?」
これだけ修也のことを自然と考えてしまうということは、女の思考が表に現れてきたということは、修也の薬が切れてきたということかもしれない。
普通にアプローチができる奈央香と違って、俺が取れる手段は、修也に助けを求めながら間接的に触れ合うこと。発情期はある意味でいい機会となっている。
……最低だな、俺。
発情期を理由に修也とまた舌を合わせることを楽しみにしてしまっている。
「まだ帰っていないか……」
隣の修也の部屋の気配をチェックする。足音に聞き耳を立てていたから当然帰ってきてはいない。でも、エントランスホールに修也が帰ってくる足音が聞こえた。他に重い足音と軽い足音が2つ、空河と奈央香とイオーネさんかな。
次第に近づいてくる気配に注意していたら、修也の部屋との壁の一部にへこみがあるのを発見する。
「なんだこれ?」
帰ってきた修也よりもへこみが気になって押してみると、壁の一部が横にスライドした。
「は?」
「……気づいたか」
「は?」
「着替えたいんだ。閉めてくれないか?」
「いやいやいやいやいやいや、なにこれ?」
「隠し扉だが?」
「ええっ!? これ知ってたの!? 修也お前、え? ええっ!? え、いつから? いつから気づいてた!?」
「初日から」
「言えよ!?」
部屋の作りが変だとは思っていたけど、隣と密かに繋がっているなんて聞いてない。
「着替えるんだが」
「うん」
「……」
「……」
「見られていると着替えづらい」
「あ、ごめん」
「……」
「……」
「後ろ向いてくれるか?」
「あれ?」
突如開いた扉に動揺していたのもあったけど、主に修也の腹筋に見とれてしまっていた。生返事をしていた自分の思考を起動させて後ろを向く。
そういえば俺は何をしようとしてたんだっけ?
あ、そうだ。
修也が帰ってくるから、前みたいに唾液をもらおうと思っていたんだ。たぶん発情期の症状が現れ始めているから押さえ込むために……。
「修也」
「なんだ?」
服の擦れる音を背後に聞きながら話しかける。
「その、言い出しにくいことなんだけど……」
「これのことか? 朝呼び止めた案件だ。もういいぞこっち見て」
「へ?」
修也の返答の意味がわからず、背後を振り向けば修也から何かを投げ渡される。とっさに受け取ったそれは前にみたガラスの容器だった。
「薬作ったんだ。必要になると思って」
……。
…………。
そうだよな……。
そうだよな。俺みたいな中途半端な女は、気持ち悪いよな。
この1週間会話はしても距離を少しだけ離されている感覚があった。あれは間違いじゃなかったのか。
あ、やばい、涙が出そう……。
「ムツメ?」
泣くな、泣くな……。
「修、也……」
「どうした?」
本物の女の子じゃない俺はお前に認められるにはどうしたらいいんだ?
「舌出して」
「いや、だからくす……」
「修也」
お願いだから避けないで。
「お願い……」
「……」
俺は修也にゆっくりと近寄り、ゆっくり押してベッドに座らせる。俺は修也の太ももの上に座り込む。
「ムツメ、これ以上は……」
「ダメ?」
「ダメって……」
「尻尾、触って? 付け根の方、気持ちいいから」
奈央香に修也を取られたら、俺はどうにかなってしまう。毎日毎日想い受かべる相手は修也だ。イオーネさんのことも考えるけど、やっぱりメインは修也なんだ。発情期に入れば、確実に修也のことしか見れなくなる。それが、奈央香に取られたら俺は修也に触れることはできない。修也は絶対に浮気はしない。度がつくほどの真面目な誠実な人間だ。取られたら最後、取り返すことはできない。
「ムツメ、それは発情期だから——」
「発情期でも俺は俺だよ。変わらない」
「……須木根さん?」
「何かな?」
「……」
「……」
修也はどうにか俺を止めようと頭を悩ませているみたいだ。苗字呼びなんてしなくていい。もう男の頃の俺とは違う。変わっているのだから。
「俺を女として受け入れてはくれないか?」
「ムツメは男だろう」
「そんなに嫌?」
「嫌って……、嫌とかじゃないだろ……」
修也の腰に手を回し体をすり寄せる。女の体だということを修也に刻みつけなくては。
「ムツメを、女としては見られない」
「……ぅ」
あ……、そう、なんだ……。
言葉にされると、……効くなあ。
「今からじゃダメ……?」
「……」
「……」
しつこく、くじけず、僅かな希望でもいいからと食い下がる。だが、急激に俺を避けていると感じたのには理由があった。
「今更言われても、もう女としてみることはできない」
「なんで?」
「奈央香に告白されたんだ」
「——っ!?」
俺の中で何かが切れた感覚がした。
「答えはまだ保留している」
奈央香……。
もう行動して……。
俺の存在が奈央香を焦らせてしまったのだろうか。
「保留したのは、ムツメのことを、決着つけなきゃいけないって思って」
「……決着?」
「ああ、今後一切、ムツメの発情期を抑えるために、俺の体は使わせないようにしないとと思ってな」
「……それは、修也の体液をって、こと?」
「ああ」
会話の流れから修也が奈央香と付き合うことを前向きに考えていることがわかる。
奈央香と付き合うのに俺は邪魔な存在だからな。誠実な修也なら、俺との不明瞭な関係も整理しておきたいのだろう。浮気と僅かでも思われることさえ嫌うのだろうな。見方によっては浮気だもんな。いくら元男といえど……。
「俺以外にも男はいる。俺じゃなくても薬は作れる」
「……」
そうか、だから奈央香は警告したのか。もう時間の猶予もないから諦めてくれと言外に言っていたのか。
ここで引いたら、終わる。
終わる。
終わってしまう。
ああ、これが女の勘かな?
「まだフリーってことでしょ?」
「そうだけど」
「なら、治療してくれる?」
「おい、俺の話を聞いて」
「付き合う前なら別にいいでしょ?」
「告白された段階からもう無理だ。そんな不誠実なことを俺はしたくは——」
ごめん、奈央香。いくら先行されて離されていても、引き下がる気は最初からなかった。
「俺も修也が好き」
「……」
「……」
修也の抵抗が止まった。
「……俺はムツメをどう見ればいいんだ?」
修也が天井を向いて片手で自分の額を抑える。
困るよね。ごめんね。でも、困らせなきゃいけないんだ。
「少なくとも、女ではあるんだよ……、俺も正直、自分が男か女かわからないけど、修也に男扱いはされたくなくなった、かな……」
「そうか……」
「治療してくれる?」
修也の葛藤が1分ほど続いたが、抱きついている状態で脇腹をくすぐっていたら、耐えられなくなったのか、吹き出した。
「やめてくれ、くすぐったい……」
「返事が遅い」
「俺だってわからないんだ……」
「理解なんてしなくていいよ。修也が治療してくれるか、してくれないかだけ」
「……」
理性で物事を考える修也の思考をできる限り崩していく。
「助けて欲しいんだ、修也に」
だから俺は修也に通じる、甘い酷い言葉を用意する。修也の優しさに漬け込む言葉を。
「俺じゃなくても男は……」
「修也以外の男はやだ」
「……わかった」
どこまでわかっているのだろうか。俺のずる賢いところもわかっているのだろうなあ。
修也が舌を出してくれた。
修也の唾液を舌先で受け取る。
身体中の熱が俺を昂奮させ続けていて、前と同じように舌がぶつかりあっても、今回は引っ込めることがない。修也の体を捕まえているから逃すことはしない。修也は観念して舌先を交わらせてくる。
下側、上側、左、右とくすぐるように触れ合っているうちに、目的の体液を体内に取り込むことができている。
もう発情期の熱は冷めてきた。
でも、俺の中にくすぶっている女が一切引かない。引く気もないし、引かせる気もない。ここで引いても奈央香に奪われる気がした。
「修也……、足りない」
「足りない? って、そんなに出ないぞ」
「塗って」
「は?」
「首でいいから塗って欲しいな」
「それは……」
「お願い……」
「……わかった」
「ひぅんっっ!」
「あ、悪い」
「だ、大丈夫。ちょっと驚いただけだから……」
柔らかい感触ではあったが、焼けるような熱さを感じた。
首筋を舐められながら、少し気になったことを口走ってしまった。
「もし、これを、不純行為って言ったら、どうするの?」
「すぐにやめる」
「あっ……、やめないで……、まだ治っていないから……、ごめんってば……」
好奇心で聞いてみたら、修也が俺の肩に手をかけて引き剥がそうとしたから即座に謝罪する。少しだけ修也の誠実さというバリアーを突破できただけ良しとしよう。ここでやめられたら終わる。関係が終わる。
好奇心は猫を殺すというけど、聞くんじゃなかったな。
少ししてからまた首筋に舌を這わせてくれた。
「俺の発情期を止めるための、塗り薬を修也が、んぅっっ、塗って、くれているだけ、だから、んっっ!? 鎖骨も、そ、そう。垂らして、うぅんっっっ! これは、不純でもなんでもないよね。ひゃあぁっっっ!」
寝巻きの服から見える素肌には吸い付いてもらえた。修也も先程までの不機嫌な表情はどこか行き、首筋にキスを落としてくれる。
「もう少し、お願い、してもいい?」
「もう少しって……、おい!?」
寝間着を脱いで、下着姿になる。とっさに目を逸らそうとした修也の両頬を掴んで目を逸らさないようにする。
「お願い」
「卑怯だぞ……」
なんと言われてもいいよ。修也が俺を見てくれるなら。
胸部、お腹、下腹部と塗られて、息も絶え絶えになっている状態で、今は太ももから股関節に塗られている。
「はぁーーっ、はぁーーっ、ひぅんっっ————!?」
あっ、何か漏れた。修也も気づいただろうが、無視してくれたみたいだ。
「後ろ向いてくれるか?」
「はぁ……、はぁ……、わ、わかった……」
うつ伏せになると腰から上に舐められあげる。前のインパクトほどじゃないから物足りない。これはこれで心地いいけど、上まで到達した際に、首筋から左耳の付け根に到達する。さすがに首筋は気持ちいい。そしてもう一度下に下がったと思ったら、今度は尾てい骨周囲を舐められる。
「ひゃあぁあぁ!?」
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫……、続けて……」
声が微塵も抑えられない。修也の枕に顔を埋めてなんとか声が漏れないようにこらえるが、メイドさんが変え忘れたのか、修也の枕から修也の匂いがして昂奮する。
しばらく背中側の施術を堪能していたら、また仰向けにさせられる。
結局右耳も付け根までしか塗られなかった。俺の耳は人とは違う獣耳、毛が多いから髪の毛みたいな感覚だろう。そういえば、地球では耳舐めというフェチジャンルがあったような……。もうそんなレベルはとっくに超えてるけど。
今度は修也が俺の上に乗り込む。なんだろうか。って、あ、修也も昂奮しているみたい——。
「あ、あぁっっ!?!? しゅう、やぁ……」
耳の中の毛をかき分けて中を舐められる。そこはやらないと思っていたのに……。不意打ちの快楽にとてつもなく大きい喘ぎ声を出してしまった。いくら部屋が離れているとはいえ、今の音量はまずい。とっさに口を押さえるが、敏感すぎる耳内部の感覚に声が漏れる。
「ふぅんっっ、んぅうっっっ! うぅんっっっ!!」
気持ちいいというよりも、ただひたすらに敏感だ。耳から修也の意識を逸らすために、次の場所を提示しようと、ブラを外そうとしたら止められた。
「そこはしない」
「そ、そうか……」
くそぅ、変な線引きがあるのか、これだと生殺しだ。全身がびくびくと震える。耳は俺にはまだ早かった。
あ、そうだ。修也も苦しそうだった……。
無意識に修也の下半身に手を伸ばそうとしたら、これも手首を掴まれて止められる。
「そっちもダメだ」
「……苦しくないのか?」
「大丈夫だ。こっちに手を伸ばすということは、まだ足りないみたいだな」
「へ?」
手首を掴まれ、まじまじと顔を観察される。恥ずかしい。とろけている顔を隠すこともできずに見られるのがすごく恥ずかしい。顔に熱がこもってきた。
手を伸ばしたのは発情期というより興味本位だっただけなんだけど、いい感じに勘違いしてくれたみたいだ。
「もう1周、しようか?」
「——っ! ……お願い、します」
今度は両手首を押さえつけられて、声を抑える手段がなかった。
R-18に片足突っ込んだ気がするけど、本番ないから一歩手前だな。
後半半分くらいカットした。カットしなきゃ絶対アウト、カットしてもアウトなきがするけど、ぎりセーフやろ(暴論)。
次回は明後日。