TS異世界転移-男がヒロインで大丈夫かよ-   作:変T

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書き終えたのがさっき、22時50分ごろ。ギリギリすぎる。
急いで書いたから誤字も多そう。

そして、久しぶりの爆弾。
苦手な人は苦手かも。


第4章 ヒロイン
プレゼント


 草原の一角が焼け、焦げ臭さが鼻につく。

 

「俺たち出動する意味あったのか?」

「ムツメ様はともかく、クウガ様は実戦から離れすぎていましたので」

「なら、俺が魔族一掃したのダメでは?」

「ダメですね」

「先に言ってよ」

 

 王都の城門の外、木っ端な魔族たちが少し集まっているとの報告があり、王都に居残り組である俺と空河とイオーネさんで対処に出動となった。数としてはおよそ200くらいだったが、一撃で全部倒してしまったので、空河の戦闘は行われなかった。

 

「そもそも空河と限らず男って、強い魔族と相対しなくちゃ意味なくないか? 雑魚狩りは女の方が得意だし」

「ですね。しかし、中には少しだけ強い部類の魔族がいたはずなのですが」

「一緒に消し炭にしたかもな」

 

 中級魔法を使ったせいで生き残りの魔族がいるなんて思えない。多少なりとも強い魔族のドロップ品が見つかれば終わりなのだが、見つからないので探し始めることになった。

 

「俺はどうすれば?」

「ここにいてもやることありませんね」

「帰れと?」

「どちらでも構いません」

「帰るわ。布団洗ってるから干さなきゃいけないし」

 

 鬼の居ぬ間に洗濯だ。イオーネさんがいないうちに食堂にチョコパフェ頼んでおこう。城下町に向けて足を進めたところで空河から声がかかる。

 

「ムツメちゃーん! 俺の勇姿見てってくれよー!」

「1分待ってやるから魔族連れてこい」

「無茶過ぎ!」

 

 1分待ったが生き残りの魔族が見つからないので俺はそのまま帰路についた。空河は居残っているかどうかもわからない魔族を探すことになったらしい。そもそもこの依頼って、たまたま王都に来ている隣町の貴族からの報告があったからだとか。見間違いなんじゃねえのか?

 

「あ、ほんとに姉ちゃんいた!」

「ん?」

 

 考え事をしていると前方に元気はつらつな少年2人を発見する。孤児の子どもたちの知り合いだ。街の復旧作業で仲良くなった子どもたちだ。孤児院には100人くらいの子どもたちがいるが、全然名前を覚えていないから、応えを返しづらい。

 

「よ、よお。えっと……、アキとリュネだっけ?」

「相変わらず名前覚えられないのかよ、ムツメ姉ちゃん」

「まだ会って1週間くらいだからな……」

「俺たちは覚えているぜ。俺はユア、こっちはキント。第一にリュネは女だよ」

 

 ユアも女の子的な名前に聞こえるんだけどなあ……。

 

「アキが姉ちゃんにプレゼント渡したいって言ってて」

「プレゼント?」

「なんか姉ちゃん疲れてるからって」

 

 疲れてるか……。疲れてる?

 

「ため息いっぱいするのは疲れてるってシスターが言ってた」

「えぇ……」

 

 ため息ねえ。そんなにしてたっけ?

 

「誰かを待つのは疲れるんだってシスターが言ってた」

「ぶふっ!?」

 

 修也を頭に思い浮かべたところで少年の一言が突き刺さった。

 

「姉ちゃん会いたい人いるの?」

「えっと、あれ、そうそう、奈央香お姉ちゃんって覚えてる?」

「あの怖いお姉ちゃん?」

 

 怖い?

 そういえば奈央香って子ども苦手だったっけ? 距離とってたから怖いって思われてるのかな?

 

「えっと、たぶん? その怖いお姉ちゃんが今出かけているからさ。会えなくて寂しいなって」

 

 一応嘘ではない。奈央香もいないといないで寂しいからな。

 

「最近見なかったから魔族に食べられたのかと思ってた」

 

 おう、なかなかひどい発想だな。でも、これが普通なんだよな。見なくなったら喰われたというのが自然な発想……。

 

「それより何だっけ? プレゼント?」

「そうそう、アキがプレゼント用意したって言ってて、それでプレゼントをくれる人がいるから会わせたいんだって」

 

 サンタクロースか何かか? ちょうど季節だし。いや、サンタの文化が異世界にあるわけもなし。似たような行事があるとかだろうか?

 

「姉ちゃん、こっちこっち」

「アキも待ってるんだ」

 

 会わせたい人ねえ……。

 孤児のこの子たちの合わせたい人物って言っても思いつくのは世話をしているシスターさんとかだけど、名前は忘れたけどイオーネさんの部下だから知ってるし、孤児院に出資しているお偉いさんとかが濃厚か? いちいち会うのは面倒だ。でも、子どもたちは善意で会わせようとしているわけで、彼らの善意をぞんざいに扱うわけにもいかない。

 

「ここだよ!」

「……えぇ」

 

 思いっきり、裏路地なんだけど、しかもかなり入り組んでいる場所だ。ここに俺を会わせたい人物がいるとは思えないけど……。

 というより、こんな場所に子どもたちが足を運ぶことなんてあるのか?

 孤児院の世話をしているシスターさんが許さないはずだ。

 なんだかやばい気がしてきた。

 

「姉ちゃん逃げて!」

 

 突如案内された家のドアが開き、中から男に抱えられた少年が現れる。

 

「アキくん!?」

 

 動揺して行動が一歩遅れた。案内してくれた少年2人も取り押さえられ、周りを囲まれる。

 

「お、お姉ちゃん……」

「ムツメ姉ちゃん……」

 

 こいつら!!

 一瞬で子どもたち3人を人質に取られてしまった。

 

「ガキの命を助けたいなら黙って従え」

 

 シンプルな要求だった。

 男が少年の首元にナイフを突きつけている。少年は暴れていたのだろうか、首元からいくらか血が流れている。

 

「痛い、痛いよ……」

「やめろ!!」

 

 俺が臨戦態勢を解かないから男が少年の首元にナイフを突きつけた。魔法がこの場面でまったく役に立たない。ゴロツキどもを焼き払えば少年の命も焼き払うことになる。

 

「くっ……」

 

 俺は手に持つ杖を投げ捨て、抵抗しない意思を示す。

 

「ひひっ、いいぜ。マジで俺好みだ……、生意気な目つきもこの後どうなるか楽しみだ」

 

 子ども3人を人質にとって俺を慰み者にしようって魂胆か。末期世界に下劣な人間がいるという認識がなかった。出会う人間が皆、必死に戦っていたからだ。

 人間だ。

 中には下衆な奴だっているだろう。それが目の前の奴らだ。

 子どもたちに俺のことを話して連れてくるように誘導したのか。子ども相手なら俺の警戒が緩くなるのを知っているということか。

 

「入れ」

 

 下衆な笑みを浮かべるゴロツキの後をゆっくりと歩いて進む。人質になった3人の子どもたちも一緒に連れ込まれた。中に入ると、少し広めのリビングのような部屋に通され、そこにふてぶてしく古びたソファーに座る髭面の男がいた。

 このゴロツキたちの親玉か。

 

「これから何をされるかわかっているな?」

「……ちっ」

「あまり生意気な態度は取るなよ? 3人もいるんだ。ついうっかり1人やっちまうことになってもまだ2人いるからなあ」

「くっ……」

 

 どうにか少年たちを助けられないかと逡巡するが、どれもうまくいく未来が見えない。

 魔法は広範囲技だから使えない。獣人の利を生かし多少の肉弾戦は熟せるが、人質の3人の子どもたちを同時に救うなんてことはできない。万が一にも失敗したらこいつらなら絶対に1人は殺せるだろうし、躊躇(ちゅうちょ)なく殺してしまうだろう。

 

「後ろに手を回せ」

「……」

 

 言われたとおりに背中に手を回し、後ろに控えていたゴロツキに手首を紐で縛られる。力を込めれば脱出は可能といったところか。

 

「くくっ、いい目だ。いつまで睨みつけていられるか楽しみだ。おい、口枷もさせておけ。魔法を唱えられないようにな」

「へい」

 

 口枷をつけられ、呼吸がしづらくなる。これも、腕の拘束を解けば、すぐに脱却できるだろうが、1秒くらいはかかりそうだ。

 

「テーブルに上がって股を開け」

 

 この状況で!?

 

「ね、姉ちゃん……」

 

 子どもたちがいるんだぞ!?

 

「……おい、早くしろ。……1人殺した方が従順になるんじゃねえか?」

「はえほっ!!(やめろっ!!)」

「やめろってか? なら早くしろ」

 

 手を使えないため、腰ほどある高さのテーブルに太ももをかけて登る。

 こいつら、子どもたちの目の前でしようっていうのか。

 ……くそっ、どうする。正確な発音はできないが、魔法はなんとか使えるし、手枷も一応は外せる。

 

「股を開けって言ったよな?」

「……」

 

 ……嫌だ。

 嫌だ。嫌だ。嫌だ!

 

「おい、首を切れ」

「はえへ!(やめて!)」

 

 俺の手を引いていた男の子、ユアの首にナイフが刺さる。

 

「姉ちゃん! 姉ちゃん!! 助けてぇっ!」

 

 首から血が垂れる。

 くそっ。

 

「その辺でいい。まだ殺すのには少し早いだろう? お楽しみが1つ減っちまうからなあ」

「……」

 

 言われたとおりに足を開く。

 

「いいねえ」

 

 座っていた男がナイフを持って俺に近寄ってくる。

 エロい目に合わせるとかだと思ったけど、こいつまさか猟奇的な趣味でもあるのか!?

 唐突に湧いた恐怖心に足が震える。

 

「おお、怖がってる怖がってる。勇者様と言えど襲われるのは怖いか?」

 

 後ろに控えていた男に肩を掴まれ身動きを取れなくし、ゴロツキの頭の男は俺の足を掴み、ナイフを突き立てた。

 

「ひっ!?」

「野暮なズボンだ。スカートくらい履いたらどうだ?」

 

 肌に当たりそうなくらいナイフで俺のズボンを引き裂いていく。俺の肌には一切ナイフが当たらなかったが、

 

「ピンク色の可愛らしい下着、履いてるじゃねえか」

 

 くっ……。

 こんなやつらに見せるものじゃないのに……。

 

「おい、肩だからといって、あまり触って傷物にすんなよ。あの方の機嫌を損ねると面倒だ」

「頭、そりゃないぜ。あんたナイフで衣服破いてたじゃねえか」

「俺のナイフ捌きなら問題ねえ、傷はつけねえよ。それで、アレはどうした?」

「これのことですかい?」

 

 俺の肩を押さえ込んでいた男が懐から何かを取り出す。

 その間に俺は動くことができたが、抵抗の意思を見せれば、子どもたちの命はないだろう。

 人質さえいなければいつでも全員やれるのに……。

 

「これか……、甘い匂いだな」

「くさっ!?」

 

 頭と呼ばれている男と、子どもたちの反応は全くの別物だった。

 俺にも甘い匂いに感じられる。甘い。酷く甘い匂いだ。頭がクラクラする。

 

「確か、ガキには腐った匂いがするんだっけか?」

 

 腐った匂い?

 

「皮肉なもんだぜ。あんたらが倒したローパーから採取できた逸品だぜ。勇者様が討伐した魔族のドロップ品で自分が股を開く羽目になるんだからよお。倒した戦利品で気持ちよくなっていると言えば還元されてるのか?」

「皮肉がうまいぜ、頭」

 

 男たちが笑い声をあげる。

 ローパー?

 俺たちが倒した?

 頭の男が持つビンの中の白濁とした液体を見て、俺は合点がいった。

 触手の魔族か!?

 

「ローパーの体液はな。媚薬成分になるんだ。媚薬って言ってもいろいろな種類があって、こいつじゃガキには効果が出ない。精通か初経を終えた人間にしか効果がないんだぜ。勇者様がちっこいから不安だったが、どうやら効果はあったみたいだな」

 

 自分の吐息がうるさい。

 甘い匂いに興奮させられてしまっている。

 初経か……。確かにあのときはまだ俺の体は子どもと言えた状態だったかもしれない。ローパーを倒したときは腐った匂いだった。

 

「俺は約束を守るタイプでな。ムツメお姉ちゃん? ガキどもが、お姉ちゃんが疲れているから気持ちよくするプレゼントをしてほしいって頼まれてなあ」

 

 この野郎っ。

 

「これを垂らせばプレゼントの効果は出るぜ。ほら、股が閉じているぞ? 開け」

「くっ……」

「気持ちよくなって股を閉じるなよ? 閉じたらガキの命はもらうぜ」

 

 ちくしょう……。

 

「ほら、行くぞ」

 

 どろりとした液体が俺の秘部に向かって垂れる。俺はそれを眺めることしかできない。

 ちょうど秘部の突起部分に触れる。

 

「……?」

 

 ……。

 …………。

 ……あれ?

 衝撃みたいなのが来ると思っていたのだが……。

 

「……頭、これ効果あるんすか?」

「黙って見てろ」

 

 液体は少しずつ俺のショーツを濡らしていく。粘性が高いからか浸透はゆっくりとしたものだったが、秘部ひ触れる部分はすべて濡らされてしまった。

 なんかむず痒くなってきたような……。

 

「……ふーっ、……ふーっ、……ふーっ」

「……来たか」

「んふぅぅぅっっっ!? んんーーーっっっ、んーーーっっっ!?」

 

 まずいまずいまずい!

 

「効果出てきたな、俺も一瞬、偽物かと思っちまったけど」

「んんっっっ!? んーーーっっっ!!」

「おい、股を閉じるなよ?」

 

 足は開け、開いたままにしろ。じゃないと子どもたちに危害が……。

 快感の衝撃で閉じそうになる足に力を込めて無理やり開いた状態にする。あまりの快感に呼吸が苦しくなり、目尻から涙が垂れる。

 

「頭、股だけですかい」

「あん? どこか他に……、おいおい、俺はちいせえのは趣味じゃねえんだよ」

「小さくてもいいじゃないっすか、効果がありゃ」

「それもそうか。おい、服を切るから、こいつを垂らしておけ」

 

 頭の男は部下の男にゆっくりと媚薬を垂らすように指示し、俺の背後に回って上体を起こさせた。そして背中の方でナイフで服を切る音がする。

 

「あぶねえぞ? 動くと背中が切れちまうぜ」

「んんっっっ!?」

 

 服が切られるまで痙攣をなんとか押さえ込む。快感の波が次々に襲いかかってくるのを耐える。視界が揺れる。

 

「よし、これで上も下着だけだな」

 

 押さえ込んでいた痙攣の分がはじける。

 

「んふぅっっっ! んんっっっ!? ん—————!?」

「お、軽くイったか」

「ふーっ、ふーっ、ふーっ、んんんっっっ!」

 

 まず、い……。

 快感が……、全然引かない……。

 

「んんぅっっっ!」

「ほら上にも掛けてやれ」

「んんっ」

 

 ブラの上から媚薬をかけられる。

 

「避けるなよ?」

「んくっ」

 

 胸にもゆっくりと媚薬をかけられる。その間にショーツに染み込んだ媚薬の快感を耐え抜くしかない。次第に胸にもむず痒い感覚が湧き上がってきた。

 

「胸にかけてる間も股は閉じるなよ」

「んーーーっっっ! んーーーっっっ!」

 

 無理だ、無理無理。これ以上は耐えられないっ。首を振って抗議するが、体をクネらせて垂れてくる媚薬を避けることはできない。

 目線を左に向けると男たちが子どもたちに何かをしていた。

 

「や、やめっ……」

「はいしへんあ! はえほ!!(何してんだ! やめろ!!)」

 

 おい、言われたとおりにしてただろ。

 子どもたちに手を出すな。

 子どもたちを捕らえていた男が、子どもの秘部を触っていた。何やってんだあいつは……。

 

「おっきくしてますぜ」

「いっちょまえに興奮してやがんのか?」

 

 くそっ、くそっ、くそっ。

 げすどもが————。

 

「んんっっっ! んんーーっっっ! ぅぅんん!? ん———————!?」

 

 あたまがまっしろになる……。

 

「いい反り方するなあ」

「やべえ、俺我慢できなくなってきた」

「我慢しろよ、こいつは売りもんだ」

「勇者って売れるんですかね? バレたらやばいっすよ」

「売ったやつより持ってる奴がやばいだけだ。俺たちは問題ねえよ。どうせ魔族に喰われたことになる」

 

 からだのけいれんがとまらない。

 

「んーーーっっっ!! んんぅっっっ!! ふーーーっ、んんっ!?」

 

 少しずつ思考が戻ってきたところで、あばら家のチャイムが鳴る。

 

「ふーっ、ふーっ、んんぅ!? んんっっっ!!」

 

 どうにか呼吸を整えようとするが、連続する快楽がそれを許してくれない。

 

「ほら通せ、依頼人だ」

「はいよ」

 

 部下のゴロツキが中に案内したのは身なりがいい初老の男性だった。

 

「パンタソさん、手筈通りだぜ」

「んんぅっっっ!! んんんっっっ!?」

 

 活路を見出そうと奴らの会話に耳を傾けていたが、我慢の意識が弱まったところに快感の波に飲まれてしまう。

 

「いい仕上がりですな。どれどれ」

 

 顔を覗き込まれる。俺は快感に抗いながら、どうにか睨み返すことしかできない。いますぐにこいつの首を引き裂きたい。

 

「まだ反抗的な態度がありますが、問題はないでしょう。お役目ご苦労様です」

「約束の金たんまり頼むぜ」

「なぜそのようなものを?」

「おい、どういう……」

「あなたたちの役目は終わりましたので、自害していただけると助かります」

 

 俺の喘ぎ声以外の音が消えた。

 両胸に垂らされていた媚薬も垂れなくなった。媚薬を持っていたゴロツキの動きが静止したからだ。

 

「……最初っから俺たちは殺す予定だったってか?」

「はい」

「これだけの人数の前で言ってくれるじゃねえか」

「それはそうと、その子どもたちを殺すのですか?」

 

 意味深長に話題が突如変わった。違和感しかない話題転換だ。

 ゴロツキたちの頭が口角を釣り上げる。

 

「ほう、そうかそうか。あんたもガキを目の前で殺されたくはないんだな?」

「んっ!?」

 

 なっ!?

 やめろ!!

 こいつまたしても子どもたちを人質にする気か。

 

「どうぞご自由に」

「なに?」

 

 な、何を言ってんだこのおっさんは……。

 

「お、おい、いいのかよ。やっちまうぞ!?」

 

 ゴロツキの頭の男も動揺している。

 

「いえ、目撃者を減らしてくれるのでしょう? 手間が省けます」

 

 なっ!?

 

「そういうことかよ……」

 

 このままじゃ子どもたちが……。

 いや、待て。これはチャンスだ。あいつらがやりあえば、隙をついて子どもたちを救えるかもしれない。子どもたちを逃がせれば俺の勝ちになる。

 痙攣する体をどうにか少しだけ起こし、なるべく早く動ける体制に入る。

 

「残念ですね」

 

 たぶん、あのおっさんは強い。

 ゴロツキ7人を相手に無傷で勝てるくらいには強いだろうが、俺の味方というわけでもない。どうやら、この荒くれ者たちへ依頼を出した人物みたいだ。俺をさらうように指示したのだろう。だが、こいつの言動からして本当の首謀者は別にいる。そいつの直属の部下といったところか。

 

「ふーっ、ふーっ、んぅっ」

 

 チャンスは一度だ。呼吸を合わせろ。

 

「やっちまえ! お前ら!」

「まことに残念です」

 

 俺は手首を縛っていた縄を無理やり振りほどき、口枷を外す。

 

「フレア!!」

 

 閃光が弾け、全員の目を眩ませる。俺は3人の子どもたちの位置にいた荒くれ者に近距離からライトブレッドで攻撃し、3人を解放する。

 

「3人とも逃げろ!」

「お、お姉ちゃんは!?」

「いいから逃げ————」

 

 後ろから襲撃を受けた。

 

「ぐあっ!?」

「いけませんね」

 

 初老の男に後頭部を掴まれ、壁に押さえつけられる。

 

「ライトブレッ————、んひぃぃぃっっっ!?」

 

 な、なんだ!? 視界がはじけた。

 

「まずは下着を脱ぐべきでしたね。染み込んだ媚薬に狂っているようでは私から逃げることなどできないでしょう」

 

 媚薬のせいか!? 戦闘に集中しすぎた!

 

「あああっっっ!? だめぇぇっっっ!! んああっっっ!!」

「まだ媚薬が効いているみたいですね。……ところで、子どもたちはあなたの人質になりえるのでしょうか? であれば、解放するわけにはいきませんね」

 

 こいつ……。違和感のあった話題転換は、俺に対する人質として子どもたちを利用できるか考えていたのか。

 だが、もう遅い。子どもたちを捕らえていた男たちから解放した。逃げられるはずだ。

 首を抑えられている状態ではあるが、視線を向けてみれば、そこには壁に縫い付けられている子どもたちがいた。

 逃げられていない。

 

「いい技でしょう。相手の身動きを封じる私の得意技です」

「くそっ……、卑劣漢の……、んぅっ! ……技だ……、んんんぅっ!?」

「ほめ言葉と受け取っておきます」

 

 馬鹿め、口を塞がぬ間抜けがっ。

 

「ファイア————」

「相変わらずいい仕事ぶりだな」

 

 もう1人の声が部屋の中に響き渡った。魔法を使おうとしていた思考が止まる。

 仲間がいたのか!?

 

「お、お前は……、んうぅ……、はあっ、はあっ」

「お久しぶりです。いえ、昨日ぶりですね。勇者ムツメ」

 

 昨日、師匠のおばあちゃんの葬儀で俺に話しかけてきたクソ野郎が、子どもたちにナイフを突きつけていた。

 状況は依然として変わらなかった。




 絶対3人の性癖歪む。

 次回は3日後。もう一回クソ野郎パートが続くんじゃ。
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